日本のタクシー
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日本のタクシー(にっぽんのタクシー)とは、日本におけるタクシーについての事情など。
目次 |
[編集] 法的定義など
日本においてタクシー事業は、道路運送法上の「一般乗用旅客自動車運送事業」である。
- 第3条第1号「一般旅客自動車運送事業(特定旅客自動車運送事業以外の旅客自動車運送事業)」
- (ハ)一般乗用旅客自動車運送事業(一個の契約により乗車定員10人以下の自動車を貸し切つて旅客を運送する一般旅客自動車運送事業)
営業用を示す緑地に白字、3ナンバー又は5ナンバーのナンバープレートがつけられる。自家用自動車を用いて無資格で営業しているものは白タクと呼ばれ、違法である。この呼び方はナンバープレートの色が白地緑文字であることからきている。
この他、タクシー業務適正化特別措置法、旅客自動車運送事業運輸規則などの法令の適用を受ける。
[編集] 歴史
日本では1912年7月10日にタクシー自働車株式会社が設立され、8月5日から本社前でT型フォードを6台使用して旅客営業を開始した。これが日本における、自動車を使用したタクシーの最初の営業であった。このタクシーは料金メーターを搭載して「辻待ち自動車(タクシー)」と呼ばれており、上野駅と新橋駅を拠点に営業していた。料金は最初の1マイルが60銭、以後1マイル毎に10銭増しであった。その後、1914年には東京駅が開業したことにより、同社によって東京駅でも営業が行われるようになった。
1960年代にはモータリゼーションの発達により、「神風タクシー」が問題となる。
2002年2月1日に道路運送法・タクシー業務適正化臨時措置法の一部が改正施行され、事業はこれまでの免許制から許可制とし、事業者の車両数増減も届出のみで自由に可能になった(いわゆる「タクシー規制緩和」とはこれらの法改正を指す)。これにより大都市では新規参入事業者が増加している反面、既存の中小事業者は地方・大都市の別を問わず、マイカーの普及や公共交通網の拡充、社会事情の変化などによる乗客の減少に加え、業務の性質そのものが収入を増やせず支出を減らせないため、構造的な業績不良に陥り、経営の苦しいところが多い。また、売り上げを上げるため労働者に過大な負担がかかるようになって来ていることも問題視されている。
- 1912(大正元)年8月15日:東京市の上野駅前・新橋駅前で営業開始。
- 1914年(大正3年):東京中央駅開業とともに駅構内営業開始。タクシー自働車株式会社による。
- 1924(大正13)年6月27日大阪、1926(大正15)年6月10日東京で、市内1円均一タクシー(通称円タク)が登場。
- 1945年(昭和20年)迄の間、全国各地で政府勧奨による企業統合が行われる。(いわゆる戦時統合)
- 各地区の大手タクシー会社は概ねこの時期に成立。東京では三度に分けて企業合同が行われた結果、大和自動車交通・日本交通(日交)・帝都自動車交通・国際自動車(km)の4社に集約され、また大阪では相互タクシー・澤タクシー(現 日本交通)・信興タクシー(現 三菱タクシーグループ)・大阪交通(現 国際興業)・都島自動車の5社に、名古屋は名鉄交通(名タク)・東和交通・名古屋相互の3社に、横浜・川崎は東横タクシー(現在の神奈川都市交通)に、神戸は神姫合同自動車(現在の神姫バス)・神戸タクシー(現在の国際興業)の2社にそれぞれ集約された。
- 1949年:戦時統合以外の新規免許取得会社が登場。
- 1953年10月13日:札幌にて日本初のタクシー無線が運用開始。
- 1959年12月3日:東京都区部で個人タクシー営業が許可され173人に初免許交付。1960年1月15日には大阪市、同3月1日名古屋市へと全国に免許区域拡大する等個人タクシー復活。(「個人タクシーの日」)
- 1969年:東京都23特別区と武蔵野市、三鷹市を管理する財団法人東京タクシー近代化センターが開設。
- 2002年:東京タクシー近代化センターが東京タクシーセンターに改称。
[編集] 介護・福祉タクシー
タクシーの利点の一つが「旅客をドアtoドアで輸送できる」という点である。この利点を活かして、身体障害者や高齢者など、移動に大きな制約を伴う人々を対象にするタクシー事業者が増加した。中には、運転手にホームヘルパーなどの公的資格を取得させている事業者もある。車椅子を積載できるタクシーには8ナンバーの特種用途自動車の登録となっているものもある。
本業がタクシーではない介護事業者(特に訪問介護・居宅介護事業者)が、介護サービスの利用者を病院などへ移送することを目的に、一般乗用旅客自動車運送事業(患者等輸送限定)という種別の許可を受けることも多くなってきている(「介護タクシー」)。このうち、介護保険や支援費制度を適用しない場合をケア輸送サービス、適用する場合(通院等乗降介助)を介護輸送サービスといい、運賃の収受方法に差がある。
道路運送法第80条を拡大解釈し、普通2種運転免許を持たずとも、陸運局の認可を受ければ、旅客を有償運送できる、いわゆる「80条許可車両」があるが、タクシー業界から「完全な白タクではないか」との強い異議が国土交通省に寄せられ、厚生労働省との折衝で現時点では、なんとか折り合いがつけられている。
[編集] 地域防犯・防災の役割を担うタクシー
タクシーには「24時間365日、地域内のあらゆる場所を走行し、無線により連絡手段を確保している」という特性がある。この特性を活かして、非常時には警察無線とも連絡を取り合う体制を築いている地域もある(犯人が犯行後タクシーを使用して逃走した疑いがある場合は暗号による一斉手配が無線で流れる)。また、乗務員に警備員などの資格を取得させている事業者もある。
[編集] 運転代行業
タクシー事業者が運転代行業を兼業する例は古くから地方で数多く存在するが、タクシー事業の多角化に加えて、2004年の法改正により第二種運転免許(タクシー運転手に必要な運転免許)を取得した者でなければ代行運転に従事できなくなった(法律自体は2002年に施行されたが、二種免許義務化は2年間の猶予期間が設けられていた)ため、運転代行業に参入するタクシー事業者がさらに急増している。
以上のほかにも様々な種類のユニークな事業があり、最近では同じタクシー事業といえども地域や事業者により、多角化の方向を示しているといえる。
[編集] タクシーの利用方法
駅・空港・港、百貨店、観光地、繁華街などにはタクシー乗り場が設けられており、順番に並んで乗車する。なお、一部では、小型タクシー専用、特定の事業者に属するタクシー専用の乗り場がある場合もある。また、主要都市の市街地では、フロントガラスから見えるように「空車」のプレートをダッシュボードに掲げて走っている(流し)タクシーに対して手をあげたら停車するので乗車すればよい。夜間の場合はプレートが見づらいことから、プレートの代わりに車上の行灯が点灯しているか否かで区別できる地域もある。最近はほとんどの車両で電光式の「空車」「迎車」「回送」「割増」表示がされており、プレート表示は減っている。
各家や会社などに電話をして迎えに来てもらうこともできるが、その場合は迎車料金がかかる(無料の場合もある)。地方においては、流し営業を行わず、殆どが呼び出しまたはタクシー乗り場での乗車という地域も多い(しかし、走行しているタクシーが空車であった場合、手を上げれば乗り込めることは都市部と変わらない)。
タクシーは自動で(一部タクシー会社は乗務員が後方に回り込んで開ける)後方左側のドアを開ける場合が多いので、客は自分で開ける必要はない。後方左側以外のドアは自動では開かないので客が開ける(ただし、タクシー乗り場によっては後方右側から乗り降りする場合もある)。タクシーに乗り込んだら行き先を告げる。走り出すときに乗務員が運賃メーターをセットする(スタートさせる)。ただし、電話などで注文して迎車で進行してきた場合、既に基本料金分のメーターが作動している場合もある。いずれの場合も、一定の走行距離・時間ごとに運賃メーターの額が増えだし、目的地につくと乗務員が運賃メーターを止めるので、そのときに表示された額に従って算定された額を払う。多くの場合、基本となるメーターの他に、ユニットといわれる支払額を示すメーターがついており、これに従って運賃料金を精算する。これは、遠距離割引や迎車料金、予約料金等の、通常のメーター以外の割引や加算をした額を示すものである。なお、有料道路を利用した場合、その通行料は乗客が負担するものなので、メーター額のほかに支払わねばならない。例外として、あらかじめ定められた定額の運賃による利用もある。この場合、メーターによる運賃の収受ではなく、あらかじめ決められた運賃を支払えばよい。
精算方法としては、現金の他、チケット、クーポン、クレジットカードなどがある。現金以外の場合は、使えるタクシー(事業者)が限られているので、よく確認して利用すべきである。なお、特殊な利用方法として、後でタクシー会社からの請求に応じる約束で何も持たずに、あるいは名刺などをチケットの代わりとして利用される場合がある。
降りるときもまた左後方のドアが自動で開く。客が降りるとドアが閉まるので客は閉める必要はない。ただし、これは乗務員が客の動作や周囲の状況を確認し操作するものであり、一般的な意味での自動ドアとは違う。近年では、油圧式で強く腕力を要しないものも増えてきたが、ワイヤーなどで乗務員の人力に頼るものも多く、意外な肉体作業である。また、その際に降車者がドアを閉めると、ワイヤー式やてこを利用したレバー式の場合、乗務員側のレバーも連動して動くため、乗務員の腕がレバーに挟まれる場合もあるので、ドアの開閉は乗務員に任せるべきである。
[編集] タクシーの運賃
タクシーの運賃はかつては同一地域同一運賃の原則に従い、同じ地域では会社を問わず同じ運賃が原則であったが、1993年にこの制度が廃止されている。現在では運賃は地域ごとに上限値があり、一定の範囲内で、各社の裁量により自由に決めることができる。たとえば、2004年2月現在、東京都区部では中型車初乗り660円である。しかし、規制緩和により、ある程度運送会社の自由裁量が認められており、一部の会社では初乗り500円の所もある。また、1997年には初乗距離短縮運賃制という制度が一部の会社で導入された。これは、初乗り運賃を安くする代わりに初乗り運賃が適用される距離を短くするというもので、一定距離を走行すると通常の運賃と同額になるが、初乗り運賃の高さから敬遠されがちな短距離利用の促進を狙っている。
タクシーの運賃には消費税がかかっているが、個人営業のタクシーでは消費税法に基づく事業者免税点制度が適用されることから(売り上げが規定値以下のため)消費税の納税義務を免除されており、そのぶん運賃が安くなっている。
[編集] 基本的な運賃料金システム
通常のタクシーの運賃・料金は以下のように構成される。
[編集] 基本運賃
- 距離制運賃
- 初乗り運賃
- 乗車してから一定距離までは定額の運賃となる。これを初乗り運賃という。
- 距離制運賃
- 一定距離を走行するごとに、一定額の運賃が加算される。2002年の規制緩和以降、加算額は事業者が自由に設定できるようになった。
- 時間制運賃
- 一定スピード(時速10Km)以下で走行していたり、停止していたりする間は、走行距離の代わりに経過時間を一定基準の計算法により距離に換算し、運賃が加算される。このため走行経路が渋滞していると、移動距離の割に高額な運賃となってしまう。
- 時間制運賃
- 乗った時間だけで決まる運賃。観光地周りなどの場合によく使われる。
- 定額制運賃
- 距離や時間にかかわらず決まっている運賃。空港連絡の場合などに使われる。
[編集] 割増・割引運賃
- 深夜割増運賃
- 22時(一部大都市圏では23時)から翌5時まで加算される運賃。通常2~3割加算される。この時間帯は、表示灯に青く「割増」と表示されることから「アオタン」とも言われる。
- 冬季割増運賃
- 北海道や東北、北陸信越地方などで、冬季の道路状況が劣悪になることに鑑みて、特定の地域を走行するタクシーにおいて、厳冬期間に限って終日加算される運賃。通常2割加算される。
- 障害者割引
- 障害者は障害手帳を提示することにより、地域にもよるがおおむね運賃が1割引となる場合が多い。
- 遠距離割引
- 一定距離以上を利用された場合、一定額が割り引かれる。
[編集] 車種による運賃の違い
以上の運賃体系のほか、タクシーの車両は車種によりクラス分けがされており、クラスによって運賃が異なっている。初乗り運賃だけでなく、運賃が加算される走行距離なども異なる。
概ね以下の4種類に分類されているが、この分類は必ずしも全国共通のものというわけではなく、特に大型車と特定大型車の区別がない地域は多い。分類方法が道路交通法と異なる事に注意。
- 特定大型車:普通自動車及び小型自動車で乗車定員7名以上の車。ジャンボタクシーなどはこれに該当する。ハイエース、アルファード、エルグランド、エスティマ(7人乗り)など。
- 大型車:普通自動車(3ナンバー車)で乗車定員6名以下の車。センチュリー、セルシオ、シーマ、クラウンマジェスタ、クラウン(ロイヤルシリーズ/アスリート)、マークX、レジェンド,フーガなど。エスティマ(8人乗り)、プレサージュやオデッセイなどのミニバン(3列目シートは撤去,実質ステーションワゴンに近似している)もある。
- 中型車:小型自動車(5ナンバー車)のうち、自動車の長さが4.6メートル以上で乗車定員が6名以下の車。クラウンセダン、クラウンコンフォート、セドリックなど。
- 小型車:小型自動車(5ナンバー車)のうち、自動車の長さが4.6メートル以下で乗車定員が5名以下の車。コンフォート、クルーなど。キューブやファンカーゴなどの小型ワゴンもある。
- ※乗車定員には乗務員も含まれるため、実際に乗車できる乗客の数は乗車定員より1名少ない数となる。
- ※地域により中型車の多い地域と、小型車の多い地域、中型車と小型車が半々程度の地域がある。概ね首都圏・近畿圏・中京圏の三大都市圏は中型車が多いが、例外的に京都市や和歌山市では中型車と小型車が半々程度である。また北海道・東北・北陸・四国・九州・沖縄では小型車が多い。
- ※中型車、小型車の料金区分と使用する車種については個人タクシーの項も参照のこと。
[編集] 料金など
- 迎車料金
- 車を呼んだ場合にかかる料金。最近では無料化する会社も増えつつある。
- 待料金
- 利用者の都合で待機している場合にかかる料金。勿論迎車料金無料の場合はこちらも無料。
- その他
- 高速道路などの有料道路を通った場合、その通行料金を請求される。
[編集] 支払方法
- 現金
- 最も一般的な手段。現金乗車を認めないタクシーはありえない。
- チケット
- タクシー会社または無線グループ、お得意先顧客、クレジットカード会社が発行する。厳密にいえばチケットは金額欄を乗客が下車時に記入するもの(着服防止のため乗務員は記入できない)であるが、広義的には金額があらかじめ設定されたクーポン券も含まれる。
- クレジットカード
- カードを読み込む端末が装備された車両なら、利用制限を守っていれば使用できる。但し、前述のチケット発行会社と異なる場合(どちらかしか対応していない)もあるので注意。
- 会員カード
- タクシー会社または無線グループがお得意先顧客に対し発行している。クレジットカードと違い、タクシー乗車専用である他、有効期限内であれば使い放題である。
- おサイフケータイ
- 携帯電話を専用の端末にかざし、電子マネーで料金を支払う。現在は東京無線(全車)とチェッカーキャブ無線(順次導入中)しか対応しておらず、更に一部の電子マネーしか利用できず、普及にはなお時間を要する。
[編集] 空港送迎タクシー
南関東、愛知(名古屋)、京阪神では自宅と空港の間で乗合タクシーサービスを行っている。これには二種類のものがある。一つは「自宅からある場所までは普通のタクシーで行き、そこで大型のタクシーに乗り換え、他の客と一緒に空港に行く」パターンである。もう一つは「大型タクシーが各利用者のもとを巡回して集客後、直接空港に向かう」パターンである。単独でタクシーに乗って空港にいくよりも安く、たいていサービス提供地域のどこから乗っても定額である。
空港連絡バス乗り場まで行く手間がはぶけ、また24時間運用の空港では深夜や早朝に到着した場合にタクシーの他に公共交通機関が利用できないということもあり、特に荷物の多い海外旅行客を中心に需要がある。中にはマイカーを空港に置きっぱなしにできない飛行機乗務員専用のタクシー会社もあり、こちらは完全予約制で、一般の客は利用できない。
[編集] 乗務員
タクシーの乗務には普通第2種自動車運転免許が必要である。(これをもっていないタクシーは白タクとよばれる)AT車にしか乗務しないのであればAT限定の2種免許で乗務することもできる。2種免許の取得資格がある者(普通第1種運転免許を3年以上取得している者)を教習生として雇い、2種免許を取得させる事業者もあるが、その場合数年(おおむね1~2年)の拘束期間が発生する(この期間を終える前に退職した場合、取得費用を返還しなければならないという契約で雇用されている場合が多い。ただし、法的な拘束力はない)。さらに上に述べたタクシー事業の多角化に対応するため、入社後、ホームヘルパー、警備員、市民救急員等の資格取得を求められる会社もある。
乗務員は男性が多いが、タクシー乗務員については1999年の労働基準法改正以前から女性の深夜労働(22時~5時)が認められており、女性の乗務員も少なからずいる。しかし、一般的には昼日勤をする場合が多い。乗務員は、一般に正社員(期限の無い雇用契約)が多く、隔日勤務の場合、月に11から13乗務行なう。隔日勤務の場合、一回の乗務を2日分の労働と計算するので、一ヶ月に22日から26日の勤務をすることになる。昼日勤(朝から夕方まで)、夜日勤(夜から朝まで)を毎日乗務する勤務体系もあるが、この場合、一ヶ月に22回から26回の乗務をすることになる。正社員は通常、このような勤務体制をとる。
定時制といわれる乗務員は、正社員ではなく、月に8乗務しか出来ない(昼・夜日勤の場合、16回)。主に、高齢者や兼業者がこういった勤務をする場合が多い。
毎月の給与は固定給と歩合給が両方存在する形が多い。したがって稼働日が多いときや水揚げが多いときは給与も高く、少ない時は給与が安い。一定の運送収入に達しない場合、歩合率が下げられる場合が多い。賞与は毎月の支払べき給与の中から一定の割合で控除し、賞与の時に渡すのが慣例であり、水揚げが少ない場合は支給されない。歩合は運賃の50ないし60%を基本として各種条件により上下するというのが一般的である。
[編集] 車両
車両は排気量2リッター級のセダンがおもに使われるが、最近ではミニバンもみられる。以前は1.5~2リッター級FR方式の市販車をベースに若干の設計変更を施した車両を使っていたが、現在ではそのクラスの市販車がFRからFFに切り替えられ、またタクシーとしての快適性の追求と合わせて、FR駆動のタクシー専用車が開発されるに至った。軽自動車は介護用以外で使用される事は少ない。
法人・個人どちらかに運用する場合でも、後部座席に旅客を乗せて営業するためそれ相応の安全性・乗降のスムーズさが求められることから、車両が国土交通省の「道路運送車両の保安基準」(以下、保安基準と略)に適合していなければ運用できないことになっている。例えば、後部座席には必ずヘッドレストが設けられており(価格の安い自家用車、ライトバンには設けられていない場合が多い)、他にも前後の間隔やドアーの開口部についても、基準以上の数値を満たすことが義務付けられている(なお、1970年代に個人タクシーで用いられたマークⅡ(X10系まで)やスカイライン(C10・C110・C210系)などでは、下級グレードを中心に後部座席のヘッドレストを装備していない車種が多かったため、基準を満たすためにメーカー・ディーラーでヘッドレストの後付けが盛んに行われていたと推測される)。
現在、全国のタクシーのほとんどはトヨタ自動車のクラウンコンフォート、コンフォート、クラウンセダン、日産自動車のクルー、セドリックのいずれかである。このうちセドリック以外はタクシー専用車として開発された車種である。ただ、これらの専用車は内装があまりにも安っぽいので、あえて高価なクラウンセダンやセドリックの上級グレード車を選択する会社も増えてきている。また最近は地球温暖化に対する意識の高まりを受けてハイブリッド車であるプリウスも使われるようになった。しかし、2代目プリウスは1500CCエンジン搭載車であるにもかかわらず、横幅が1.7mを越えた3ナンバーになってしまい、中型車として扱われる為、小型車中心の地域では初代ほど登録されていない。
積雪地ではFR車は走行しにくいため、FF車の市販車をベースにしたタクシーもまれに見られる(1999年までは三菱自動車のギャランΣにFF・LPGのタクシー専用車が設定されていた。なお、現在でも北海道や東北、中国地方でごくたまに見られる)。4WD車は燃費が悪い為、導入している会社は積雪地でも少ないが、北海道小樽市のこだま交通では一部に日産・ブルーバードシルフィの4WD仕様車を導入している。かつてはスバル・レオーネやレガシィの4WD仕様車の導入実績もあった。
燃料の税金の関係でLPGを使用する車両が多い(かつてはガソリンエンジンをLPGに改造するケースも個人タクシーや大都市圏のハイヤーで見られた)。 LPGスタンドの設置がない地域や、タクシー事業者がガソリンスタンドも経営している場合などでは、ディーゼルエンジンの車両を使用しているところもある。24時間営業のLPGスタンドは少ない為、閉店間際は混雑しやすい。これを避けるべく、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを使用する個人タクシーも多い。
また、法人タクシーの多くはフェンダーミラーである。理由として、視認時の視線移動が少量で済む事、ドアミラーと比較して車幅が狭くなる為、狭い路地に出入りし易い等が挙げられる。またドアミラーでは左のミラーを視認する際に運転手が客の方を向いていると誤解される場合があり、それを避ける意図もある。
ミニバンを使用する場合は保安基準で3列目シートの乗客が避難できるように2列目のシートはキャプテンシートの車が多く使われている。2列目がベンチシートの車を使う場合、3列目シートを撤去し5人乗りとして用いる場合が多い。
- 車内装備
(注:「タキシー」という表現がされていた時代があった(昭和初年ぐらいまで)従って計量法に基づく解説書の中にはその経緯から「タキシーメーター」と書いてある場合があるが、これは読み替えて差し支えない。)
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- 実空車表示器
- スーパーサインともいう。車両の状態を表す。初めて設置された頃は「空車」と「回送」しか表示しない物しかなかったが、「回送」では分かりにくいので「迎車」や「予約車」、更に最近では「賃走」、「支払」、「無線予約」などが表示できる物の搭載が義務付けられるようになってきた。
- カードリーダー
- 運行記録計(タコグラフ)
- 速度・時間・距離を記録するタコグラフの装着が義務付けられている(地方では装着されていない会社も多い)。円盤状の紙に線描される。形状はメーターパネル(車種によってはトランク内、ボンネット内、コンソールボックス内)に埋め込まれた錠前付きの大きなアナログ時計。最近はメモリーカード方式(デジタル)のタコグラフを使う事業者もある。
- あんどん (社名表示灯)
- 天井灯、屋上灯、防犯灯などとも呼ばれる。空車時は点灯して実車時は消灯する地方、夜だけ点灯する地方など、点灯方法には地域差がある。強盗など緊急時には、あんどんを赤色に点滅させることができる。最近ではあんどんと連動して実空車表示機に「SOS」や「助けて」と表示するものもある。(街中でこのような状況を見かけた場合にはすぐに警察へ通報する事が望ましい)。あんどんと無線機器が連動して、あんどんを防犯ONにすると自動的に車両の位置情報と救難信号が送信され、無線のマイクがつなぎっぱなしとなり、車内のやり取りが無線室に聞こえるシステムを採用している会社もある。最近では広告付きのあんどんを使用する事業者も出てきた。形は蒲鉾型、ラグビーボール型、球型、星型、太鼓型などがあり、渦巻き型(一般にデンデン型と呼ばれる)や提灯型は個人タクシー専用となる。
- オートドアー
- てこ式や圧縮空気などを利用して後部左ドアを運転席で操作することが出来る。世界的に見てオートドアーが標準になっている国は少なく、外国人客が驚くことも多い。日本でも運転手が車の外側から開けるドアサービスを実施する会社もある。
- カーナビ
- 最近は事業者が設置している事も多いが、乗務員が私物を取り付けている場合もある。GPSで位置を捕捉されている場合は、無線配車で近い車から配車されるので便利ではあるが、完全に拘束されることになる。
- 無線
- 配車係が乗務員へ客のいる所へ案内するのに使用する。屋根に無線用のアンテナを装備する。パトカーなどのアンテナは、屋根に直接、専用の物が取り付けられているが、タクシー用は、ほぼすべて後付け(マグネット、シール貼付、雨どいにネジ締め)であり、アンテナケーブルも露出している。周波数は400MHz帯を使用する。配車係が最寄の車を調べるには、乗務員に無線ナンバーと現在地を報告してもらう、GPSで検索するなどがある。乗務員同士の会話はできるものとできないものがあり、事業者の方針によって異なる。会話できないものは、配車係(基地局)の送信周波数と乗務員(移動局)の送信周波数を変えることで実現している。大都市では周波数の有効利用と安定した通信のために集中基地局方式が取られている。この方式の場合、基地局の電波は常に送信されており、配車係がマイクの送信ボタンを離したときの「ザッ」と言う音(スケルチのテールノイズ)が聞こえないため判別可能である。ほとんどの会社が無線営業を独自にしているが、大都市では混信を避ける為、いくつかのグループにまとまっている。主に大都市ではタクシーが多過ぎる事や、予約せずに飛び込む客や駅待ちの客がそれ程少なくない事、乗務員のほとんどが携帯電話を持っている事などにより、無線のない車もある。個人タクシーではアマチュア無線を装備している人もおり(“タクシー業者でハム”という人が集まって、「無線クラブ」を作ったり、クラブの名義で社団局を開設したりしている場合もある。)空車中は雑談を楽しんでいる。しかしながら、一部にはアマチュア無線を使って業務上のものと思われる通信(道路の混雑や、客待ちの情報など)を行なう者もいる。このことは電波法(昭和25年5月2日法律第131号)第52条の「目的外使用」に当たる恐れがあると指摘されており、一般のアマチュア無線家から批判されることがある。また、無線の使用料を乗務員から徴収する会社もある。
- 乗務員証
- そのタクシー会社の社員証。東京・大阪についてはタクシーセンター発行の乗務員登録証となる。顔写真(寸法も法令で規定がある)を貼り付けて実空車表示器の室内側表示部分に、客室に見えるように提示しなければならない。もし写真と運転手の顔が一致しなければ、犯罪行為と疑われる。
- その他
- バッテリーケーブル(仲間がバッテリーが上がったときに救援するため)、救急箱、傘(雨の日の迎車のため。宣伝になるので会社名が大きく入ったオリジナル傘をそろえている会社もある)、バケツ、消火器、毛布などを、装備している場合もある。
- 実空車表示器
[編集] タクシー仕様として現在メーカーから発売されている車種
[編集] タクシー仕様として発売されていないが、現在タクシーに使用されている車種
- 三菱
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- ディアマンテ★
- デリカ・スペースギア●
- シャリオグランディス●
- ミニキャブ軽自動車・介護タクシー●
★=主に首都圏等の個人タクシーでの使用が多い ●=主にワゴンタクシー、介護タクシーでの使用が多い ▲=個人タクシーでの使用が見受けられる場合がある(特に札幌市など)
[編集] 過去にタクシー仕様がメーカーから発売されていた車種
[編集] 日本の主なタクシー事業者・事業グループ
- 秋田中央交通グループ(秋田)
- 秋田中央トランスポート(「秋田中央タクシー」として営業、秋田市)
- 船川タクシー(男鹿市)
- 三傅商事グループ(秋田市)
- 秋田港交通(「みなと交通」名(旧・港キング)と「みなと交通カンコウ営業所」名(旧・秋田観光タクシー)で運営。拠点(両タクシーの旧本社)は統一されたが、配車用電話番号と車体の色がそれぞれ違う)
- 高尾ハイヤーグループ(秋田市)
- 高尾ハイヤー(秋田市南部・雄和地区)
- 新屋タクシー(秋田市西部)…配車センターは本社ではなく、高尾ハイヤー内にある(高尾ハイヤーの電話番号とは別)
- 和田タクシー(秋田市河辺地区)
- 東京四社(直接的な業務提携等は無いが共通の塗装色、行灯形状、タクシーチケット等がある)
- グリーンキャブ(東京・横浜)
- 東都自動車グループ(東京)
- 日の丸自動車グループ(東京・横浜)
- ANZENグループ(旧:安全自動車)(東京)
- 東京無線グループ(東京)
- チェッカーキャブ無線グループ(東京)
- 東京相互無線グループ(東京)
- 中央無線グループ(東京)
- 共同無線グループ(東京)
- EM自交無線グループ(東京)
- 東京私鉄自動車協同組合(東京)
- アシスト(東京)
- コンドルタクシーグループ(東京)
- 荏原無線グループ(東京・石川)
- 都自動車(東京)
- 陸王交通(東京)
- 全個連グループ(でんでん虫マーク)
- 日個連グループ(ちょうちんマーク)
- 京成グループ(東京・千葉 下記を含む場合と含まない場合がある)
- 神奈川都市交通(横浜ほか神奈川県の都市)
- 神奈川無線グループ
- 平和交通(横浜・東京)
- ラジオタクシーグループ(横浜)
- 神奈中ハイヤー(横浜ほか神奈川県の都市)
- 三和交通(神奈川・東京・埼玉)
- 北海道交運グループ(札幌・旭川・函館・釧路・帯広・青森・仙台・東京ほか)
- 日交タクシー(札幌・小樽・函館・室蘭・苫小牧・釧路ほか)
- 北海道交通(北交ハイヤー)(札幌・旭川・函館・釧路・北見・網走ほか)
- 金星自動車(金星ハイヤー)(札幌・旭川・函館・釧路・帯広ほか)
- 三八五タクシーグループ(「みやご」と読む:八戸・三沢・青森・上北・東北・六ヶ所・五戸)
- マルイチグループ(福島県)
- 宝グループ(名古屋)
- つばめグループ(名古屋)
- 名鉄交通・名鉄タクシーグループ(名古屋・長野・山梨ほか)
- 毎日タクシーグループ(名古屋・東京)
- 飛鳥交通グループ(東京・神奈川・千葉・埼玉)
- エムケイグループ(京都・大阪・神戸・東京・名古屋)
- ヤサカグループ(京都・東京・大阪・滋賀)
- 京都タクシー(京都・大阪)
- 京聯タクシー(京都)
- カイナラタクシー(奈良)
- 服部タクシー(奈良)
- 阪急タクシー(京都・大阪・兵庫)
- 関西ハイタク事業協同組合 (大阪)
- 関西中央グループ(大阪)
- 南タクシー(大阪)
- 近鉄タクシーグループ(大阪ほか)
- 北港梅田グループ(大阪・京都・兵庫・和歌山・東京・千葉・神奈川・静岡ほか)
- 日本交通グループ(大阪・京都・神戸・鳥取・島根)
- 国際興業(大阪・神戸)
- 相互タクシー(京都・大阪・神戸)
- クラウンタクシー(大阪)
- 三菱タクシーグループ(大阪・京都)
- 神姫タクシー(神戸)
- 広交タクシー(広島)
- つばめ交通(広島)
- 第一交通産業グループ(北九州・福岡・札幌・仙台・東京・横浜・名古屋・大阪・広島ほか)
- 太陽交通グループ(北九州・行橋・宇佐ほか)
- 西鉄タクシーグループ(福岡・北九州ほか)
- たかのすタクシー(秋田県北秋田市)
- ラッキーグループ(佐世保・長崎・福岡・熊本)
- 水島タクシー(岡山県倉敷市)
- 日本タクシー(岐阜県岐阜市)
- 甲府ハイヤー事業協同組合(山梨県甲府市)
[編集] タクシーをテーマにした映画・ドラマ・小説・漫画・ゲームなど
※日本国内で発売・公開された作品。
- 映画
- タクシードライバー
- TAXi
- TAXI NY
- フィフス・エレメント
- コラテラル
- 月はどっちに出ている
- ナイト・オン・ザ・プラネット
- バカヤロー! 私、怒ってます 第三話 運転する身になれ!
- ドラマ
- 女タクシードライバーの推理日誌
- 危険な関係
- タクシー(土曜ワイド劇場)
- 小説
- タクシードライバーの推理日誌(笹沢左保原作。土曜ワイド劇場でドラマ化されている。渡瀬恒彦主演。)
- タクシー狂躁曲(梁石日。筆者自身、元タクシー乗務員である)
- 随筆
- 花のお江戸のタクシードライバー(しゃけのぼる)
- タクシードライバー日誌(梁石日)
- 元社長のタクシー運転手奮戦記(大塚いさお)
- 笑う運転手(植上由雄)
- 漫画
- ゲーム
- そのほか