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現代音楽/地域別の動向

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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21世紀を迎えた現代音楽の現状は、「影響が世界中に拡散した」ことが19世紀クラシック音楽以前と異なる点である。この現状に対応するために、現代音楽/地域別の動向では、各地域ごとの動向を解説する。

目次

[編集] 西欧・南欧

[編集] ドイツ

ヨーロッパの現代音楽の方向性を決定付けた功績としては、戦前より開始されたドイツドナウエッシンゲン音楽祭や、戦後の現在は隔年開催のダルムシュタット夏季現代音楽講習会「大ダルムシュタット」の役割が大きい。初期にはピエール・ブーレーズカールハインツ・シュトックハウゼンルイジ・ノーノルチアーノ・ベリオなどがここで活躍し、前衛的な音楽の探求を試みた。後にはジョン・ケージジェルジ・リゲティヤニス・クセナキスなど異なる流派の作曲家も参加し、ケージの偶然性などがヨーロッパに輸入された。後年にはヘルムート・ラッヘンマンブライアン・ファーニホゥなど、シュットットガルト音楽大学やフライブルク音楽大学を中心とした次世代の作曲家らが講師陣をつとめ、1980年代の音楽シーンを新たに牽引した。

ドイツではダルムシュタットの他にドナウエッシンゲン音楽祭も重要な作曲家の声の発信地として挙げられる。歴史は戦前からでこちらの方が古く、組織は別だが取り上げられる作曲家の傾向はほぼ同一楽壇内で連動していると見て良い。南西ドイツ放送(SWR)の主催で、放送(海外放送局への録音配布も含む)および録音の販売によりその活動は世界的に知られる。

[編集] ドイツ語圏

ドイツ現代音楽の潮流は、広義としてはドイツおよびオーストリアスイスのドイツ語圏を含むと考えてよい。

スイス出身の作曲家としては、まずクラウス・フーバーハインツ・ホリガーが挙げられる。彼らはドイツのフライブルクで教職を勤め、前者は前述のブライアン・ファーニホゥ細川俊夫を教えた。

ウィーンでは戦前の新ウィーン楽派の偉大な功績がまず挙げられるが、より現在に近い事項では、ポーランド人作曲家のローマン・ハウベンシュトック・ラマティが名教師としてウィーン音楽院で多くの作曲家を育てた。なかでも、その弟子でスイス出身のベアト・フラーは、優秀な現代音楽アンサンブル、クラングフォールム・ウィーンを結成し、グラーツ音楽大学で教え、ウィーンを中心に新たな潮流を生み出している。同じくスイス出身の、クラウス・フーバーの弟子のミカエル・ジャレルも、現在ウィーン音楽大学と故郷のフランス語圏のジュネーブ音楽院で教鞭をとっている。また現代音楽祭としてクラウディオ・アバドが提唱し、格安の料金だが規模の大きいウィーン・モデルンなどがある。

ザルツブルクでは、ポーランドから移住したボグスワフ・シェッフェルがモーツアルテウム音楽院で電子音楽のゲルハルト・ヴィンクラ-などを教えた。退官後はシュヴァツで夏期講習を開催し、多くの弟子を輩出している。ザルツブルク音楽祭は近年ジェラルド・モルティエ以降、現代音楽が重宝されるようになった。

一方、東西分断時代に共産圏であった東ドイツでは、西側とはまったく異なる作曲活動を余儀なくされた。ドレスデンで活躍した作曲家および指揮者のヘルベルト・ケーゲルは東西ドイツ統一後に自殺したが、一説では、社会主義の終焉に絶望したためとも言われている。なおパウル・ハインツ・ディートリッヒなどが優れた作曲家に挙げられるが、近年あまりにも急に西側の考え方が入ってきたため、語法的に混乱して創作している作曲家が多い。

[編集] フランス

フランスでは、まず戦後よりオリヴィエ・メシアンがパリ音楽院で教鞭をとり、多くの作曲家を育成した。その弟子の一人であり現代音楽の最重要作曲家の一人であるピエール・ブーレーズは現代音楽アンサンブル、ドメーヌ・ミュジカルを組織し、その演奏会などによる前衛音楽の紹介活動が多く行われた。後にはIRCAM所属のアンサンブル・アンテルコンタンポランによって同種の活動が行われるようになる。この道のりは決して平たんではなく、「メシアン門下になることは少数派につくことを意味した」というブーレーズの発言に見られるように、戦争直後のフランスから前衛を生み出す土壌はあまりにも貧弱であった。当のメシアンが作曲科の教授に迎えられたのは1960年であり、それまでは別の科を渡り歩いていなければならなかった。

そしてまたブーレーズが初代所長を務めた電子音響音楽研究施設IRCAM(イルカム、1976年より)を中心として、ジェラール・グリゼートリスタン・ミュライユをはじめとするスペクトル楽派と呼ばれる作曲家が、電子音響あるいは音響学的な分析を応用した作曲活動を行っている。スペクトル楽派の影響はフランスという一つの国籍に縛られず、むしろIRCAMで学んだ多国籍の作曲家に影響を与えている(詳しくはスペクトル楽派の項を参照)。

スペクトル楽派にくみせぬ作曲家は現在では非常にまれである。しかし、ヤニス・クセナキスUPICを開発したCEMAMu(スマミュ、現在の名称はCCMIX)や、ラジオフランスのINA-GRM(イナグラム)で活動する作曲家の一部は、スペクトル音楽とは別の方向性を探っている。代表的な作曲家にリュック・フェラーリ(またはフェラリ)などがいる。ただしIRCAMとINA-GRMの双方の組織にかかわるたいていの作曲家は、自由にそれらの長所を使い分けている。

ほかに、全くの異端としてパスカル・デュサパンのような存在もあるが、デュサパン本人は近年の濫作のせいか、最近はかつてほどフランス楽壇への影響力が見られない。若手の異色としてはレジス・カンポのようにグリゼーに師事しながら全く別の語法を探る作曲家もいる。マルク・モネもエレクトロニクスを駆使しつつ、ユーモア色の強い作風で話題になることが多い。

海外への影響力は薄いものの、クロード・バリフ、アラン・バンキャール、ジャック・ルノオリヴィエ・グレフ、ブリス・ポゼ、ニコラ・バクリ、ティエリー・ランチノらのように、エクリチュールの完成度の格調と音色美を誇る「フランスの古き良き伝統」を継承する流派も今日まで生き残っている。教会音楽としては近代からのマルセル・デュプレシャルル・トゥルヌミールモーリス・デュリュフレらの伝統を受け継ぐ流派として現役ではティエリー・エスケシュなどの名が挙げられるし、世俗的諧謔性とフランス室内楽の精神(エスプリ)を併せ持つ流派としては、近代からのジャック・イベールジャン・フランセを引き継ぐジャン=ミッシェル・ダマーズらの名が挙げられる。いずれも現代音楽と認識される書法から見れば保守的だが、現代においてなお脈々と受け継がれるフランスの伝統的楽派である。

[編集] イタリア

イタリアではルチアーノ・ベリオブルーノ・マデルナルイージ・ノーノのような先駆者の後に、1930年代生まれの作曲家から次々に独創的な作曲家が出現した。ダヴィデ・アンザギ、シルヴァーノ・ブッソッティ、ニッコロ・カスティリョーニ(ニコロ・カスティリオーニ)、フランチェスコ・ペンニージ、アルマンド・ジェンティルッチ等が挙げられる。

イタリア勢の快進撃は1947年生まれのサルヴァトーレ・シャリーノの出現で1つのピークを迎えた。独学ではあったものの、イタリア前衛の仕掛け人フランコ・エヴァンジェリスティの後援でデビューした彼は、期待に答え1970年代に次々と斬新な音色感に溢れた作品を書き、スターの座をほしいままにした。彼の才能がどれだけ大きかったかは、2004年時点でCDが複数のレーベルから21枚リリースされるといった反応に現れている。ノーノがサントリー音楽財団からの委嘱のとき次世代の有望な作曲家として紹介した作曲家でもある。

この頂点の後、イタリアの作曲家たちには急速に「斬新さ」や「新しさ」といった側面を疎む傾向が進み、ファブリチオ・デ・ロッシ・レ、ルカ・ベルカストロ、ジョルジォ・コロンボ・タッカーニといった1960年代生まれの作曲家からは、書法の緻密さに拘泥しただけともとれる、覇気のない後ろ向きの音楽性が主流となった。近年は、リッカルド・ヴァリーニやエマヌエーレ・カザーレのような奇抜な音楽性に打って出る若手も見られるようになってきている。21世紀に入った現在も、イタリアの巨大な伝統は「先生から教わり、それを継承する」といった類の因習から、抜け出ているとは言いがたい。サルヴァトーレ・シャリーノはほぼ独学なのだが、シャリーノが先生になったとたん、弟子はほぼ全てシャリーノのスタイルに染まってしまっていることにも現れているように。

現在はステファノ・ジェルヴァゾーニ(2006年度以降パリ音楽院教授)やマルコ・ストロッパ(現シュツットガルト音楽大学教授)のように、国外で教職に付きながらイタリア本国へ逆輸入する形式で創作する者も目立っている。これは、ブルーノ・マデルナ以来の古き良き伝統とも言われている。

ジャチント・シェルシ1943年頃病を得て退院後、フランスのジェラール・グリゼーなどへ指導を行うかたわら、マイペースで作曲活動を行った。そのためか、イタリア国内では時折紹介されるという形が続いていたが、世界に名声が轟いたのは1980年代に入り、ケルンのISCM音楽際でハンス・ツェンダーが一連の管弦楽曲を指揮してからである。彼のアシスタントはアルド・クレメンティを始めとして数多く、ローマ近辺の楽壇への影響力は強力であった。

フランコ・ドナトーニは前衛の時代から既に創作活動を行っていたが、1977年に「自己否定のオートマティズム」に開眼してからはこの手法で作品を多作し、ミラノ近辺の楽壇へ強烈な影響を与えた。この時代から没年までの彼の作風には現在も賛否両論が分かれるが、門下のイタリア人はほぼ全てこの作風に染まって尊敬の念を捧げていたことを注記しておく。現在もドナトーニ信者とアンチ・ドナトーニのにらみ合いが続いている。

[編集] オランダ

[編集] 概論

オランダは前衛音楽に対する拒絶の一切ない国として知られ、これはガウデアムス財団の大変暖かい若手作曲家への支援に現れている。かつてのイギリスは大変保守的であったために、マイケル・フィニスィーなどの優れたイギリス人作曲家がこの地に逃れて作品発表を行った。現在も母国の文化状況の怠慢を嫌ってオランダに逃れる作曲家は跡を絶たない。逆にアントワーヌ・ボイガーはベルリンに移住して10数年が経過したために、「オランダ人作曲家だが、オランダでは受け入れられていない」という現象も引き起こした。

世界中のどのような傾向も消化できる一方、快楽主義的及び折衷主義的な傾向で作曲することも奨励してしまった為に、「作曲家には極めて優しいが、優し過ぎるが為の個性の疲弊」も問題点の一つとされている。「アーティストと宣言するだけで誰もがアーティストになれるというのも、考え物」と言うコメントは、フレデリック・ジェフスキーのものである。日本、中国、韓国などの特定の国にスポットを当てて演奏会を行うことも普通であり、デビュー直前の若手作曲家を成功させる確率もかなり高い。

音楽家同士のフットワークの高さも特筆される。テオ・ルーヴェンディは2004年になって新たにアンサンブル・ジグラートを結成し、西洋楽器と同等に中近東や東アジアの楽器を使用し、東西折衷のアンサンブルを自在に扱う。また、70歳を優に越えているにもかかわらず、自らサックスの即興演奏で若い後進の演奏家と一緒に舞台に立つこともある。

[編集] 歴史

現代音楽の黎明期にアルチュール・オネゲル門下のシモン・テン・ホルトが位置しているのは大変興味深い。彼は現在も創作活動を行っており、際限のない反復語法を師から受け継いだ後は独自のミニマル書法を展開しているが、その影響はオランダ全体に行き届いている。

ルイ・アンドリーセンは即興音楽を図形楽譜で表現する手法を用いる作曲家として極北に位置していたものの、1970年代以後は自由に商業音楽との境界を突き崩し、「物質」四部作では過剰な同音連打や反復語法により一世を風靡した。現在もオランダ楽壇で強い影響力をもっており、ヤング・コンポーザーズ・ミーティングでは常に審査委員長を務めている。

マータイン・パディング、フバ・デ・グラースなどの中堅世代からミヒャエル・フォン・デル・アー、メリーン・トヴァールホーフェンに至る若手の世代までは、前衛イディオムと古典イディオムの折衷が顕著になるが、決して音楽性の後退は感じさせず、独自の道を歩んでいる。世代全体に行き渡る反復語法は、20世紀のオランダ人の画家のマテリアルの配置センスからの影響と見る研究者も多い。現代音楽のセレクションと通常のオランダ発のポップス系の音楽とが同じ時間帯に放送されることもある点は、ドイツやフランスのような楽壇の硬さを全く感じさせない。

オランダ在住の作曲家はほとんどの場合ドネムス社から、作品を出版している。

[編集] イギリス

イギリスは長年にわたり前衛が敬遠される国柄であったが、ブライアン・ファーニホゥのフランスデビュー以後、ジェイムズ・ディロンマイケル・フィニスィー、リチャード・バーレットに代表される新しい複雑性を皮切りに、新しい切り口を持つ作曲家が次々と現れている。全くの一匹狼と呼んでよいクリス・ニューマンのような異端も存在する。ファーニホゥの認知後、フィリップ・ミードが英国現代音楽ピアノコンクールを開催するなど、演奏活動の振興にも熱心な層が出現した。フランスのIRCAMからの影響として、ジョナサン・ハーヴェイジョージ・ベンジャミンのような作曲家も挙げられる。

一方でマニエリスムの音楽への聴衆の支持は厚く、マイケル・ナイマンをはじめマーク・アントニー・ターネジ、トーマス・アデスのような作曲家が一般にはもてはやされている。吉松隆がレコード会社シャンドスのレジデンスド・コンポーザーとして迎えられたのも、こうした層の需要が影響している。

[編集] スペイン

いち早くシュトックハウゼンのアシスタントを務め、前衛の時代にしばしば作曲コンクール等の審査員長を務め、政治的な力のあるトマス・マルコ、伯父(エルネスト・アルフテル)も作曲家で、自分は指揮者も務め大編成の作品を書くクリストバル・アルフテル、武満徹が作品を委嘱して日本でもなじみがあるルイス・デ・パブロ、といった先駆者が活躍していたこともあって、一時はスペインからも次々と有能な若手が飛び出してくるかに見えた。しかし、フランチェスコ・ゲレーロの予期せぬ早逝、ホセ・マリア・サンチェス・ベルドゥ、マヌエル・イダルゴなどの有能な作曲家がドイツに仕事を移しているために、現在ではスペインに留まって活動する世界的に有名な作曲家は多くない。近年マウリツィオ・ソテロは長らく留まったドイツを離れ、母国のスペインへ帰り民族主義的な色彩を強化してきている。

なお現代カタルーニャ作曲家協会は、現代スペイン作曲家協会と別個の存在として活動している。

[編集] ポルトガル

ポルトガルで生涯を送った中堅作曲家としてはジョリー・ブラガ・サントス(1924-1988)とシュトックハウゼンのアシスタントを務めたホルヘ・ペニショがいた。サントスの「スタッカート・ブリランテ」作品63はリスボン・メトロポリタン・管弦楽団により常に大切に演奏されている。一方、国際的に知名度が高く、精緻な音響美学を持つのはエマヌエル・ヌネスだが、長らくパリ音楽院で教えたのち定年退職した。ポルトガル本国で「ポルトガル作曲家アンソロジー」も定期的に編まれており、国外から国際作曲家を呼んでマスタークラスなども行われているが、世界的に活躍する作曲家は近年ほとんど輩出していない。

[編集] ギリシャ

ギリシャはヤニス・クセナキス、アネスティス・ロゴティティスを除いては世界的に著名な作曲家は少ない。しかしながら国内に帰り、とどまって大衆をひきつけているミキス・テオドラキスは、民主共産主義という国家のイデオロギーにもかかわらず、ポピュラー音楽の分野で最近は世界的に注目を浴びている。

同世代で1926年エジプトで生まれたギリシャ人のヤニ・クリストウは自身の大変大胆な管弦楽作品「Enantiodromia」で歴史に残るような仕事をしたが、惜しくも1970年に交通事故で夭逝した。若い世代でパリ在住のジョルジュ・アペルギスなどもクセナキスの与えた衝撃に及ぶ活動には至っていない。

現在はパナヨティス・ココラスと、パリのアンサンブル・アレフ作曲コンクール入賞でフランス在住のアタナシア・ツァノウが若手の双璧といってよい。マスタークラスもギリシャで定期的に開催されるようになり、情報解禁が進んでいる。

[編集] 中欧・東欧

中欧・東欧は旧ソ連・スターリン政権下で文化活動についても制限が加えられ、声楽家はクラシック音楽すら歌えないという窮地にまで陥った。こうした圧制はスターリン没後緩和され、いち早くポーランドが現代音楽を奨励する国家へ生まれ変わった。

[編集] ポーランド

ポーランドは戦後まもなく、ソヴィエトの影響により社会主義リアリズムが強制され前衛的な作風は陰に潜まざるを得なかった。しかし、その後共産圏ではいち早く方針転換し、前衛的な活動が認められるようになると、ヴィトルド・ルトスワフスキクシシトフ・ペンデレツキなど第一次ポーランド楽派と呼ばれる作曲家たちが活躍し、次々と西側に紹介された。

これらの巨大な流行の後、大きな作曲家は現れていないものの、音楽出版社PWMなどが若手作曲家を支援し続けている。現代音楽祭ワルシャワの秋では若手作曲家紹介の日が満席になるなど、依然として新しい創作へ熱心な聴衆を獲得している。ムジカ・ポロニカ・ヴィヴァも数十年にわたって続けられた結果、作曲家の世代層が確認できるほどに健在である。

詳しくはポーランド楽派の項を参照。

[編集] クロアチア

クロアチアの作曲家で、現在国際的な知名度があるのは、長年シュトットガルト音楽大学で教えたミルコ・ケレメンであろう。俗に言うシュトットガルト楽派(譜面よりも実際に出てくる音の尊重や特殊奏法の駆使)に典型的な書法で当時の寵児となった。アメリカにも知名度があり、ブライアン・ヴォルフなどの弟子がいる。退職後はサグレブ・ビエンナーレの総監督も務めているが、近年は体調を崩し長らく病床にある。

[編集] ハンガリー

現代のハンガリーを代表する作曲家には、まずジェルジ・リゲティジェルジ・クルタークの2人が挙げられる。リゲティはオーストリアへ亡命し、その後一作ごとに新たな作曲理論を模索しつつ、常に作風を変化させながら作曲した。現在では真に20世紀後半を代表する作曲家の一人と見なされている。一方クルタークはハンガリーに在住し、ポスト・ウェーベルン的な路線から新たな音楽語法を紡ぎだした。活動の場を国内と国外のどちらにおくかに関しての両者の立ち位置の違いはバルトークとコダーイの関係にも喩えうる。

この2人よりも若い世代では、ペーター・エトヴェシュが作曲家および指揮者としても活躍し、舞台性に富んだ作品を多く書いている。

[編集] ルーマニア

現在、現地在住の作曲家で国際的に知名度の高い人物はドイナ・ロタル、ディアナ・ロタル(パリ音楽院留学中)の親子以外には見当たらない。しかしながらジュネッセ・ミュジカル・ロマニアやジョルジュ・エネスコ協会が若手作曲家の支援を積極的に行っている。

国外では現地生まれのドイツ系でドイツシュトットガルトに家族で移住し、名声を博したアドリアーナ・ヘルツキーがいる。彼女はミルコ・ケレメンの弟子であり、室内オペラ「ブレーメンの自由」で大成功し、一気に知名度を上げた。現在はザルツブルクのモーツァルテウムで教鞭をとり、若きキプロスの逸材マリオス・ヨアンノー・エリアと一緒に仕事をしている。同じく1953年生まれでドイツ在住のヴィオレッタ・ディネスクも同じころ若くして故国を脱出し、ブッキ賞を含む50回を超えるコンクール歴を持っているが、作品の評価自体は必ずしも高くはなく現在ドイツのオルデンブルクの大学の教職についている。(出典:バーデン・ビュルテンベルク・トーンクンストラー音楽祭の総合プログラム)

イアンク・ドゥミトレスクとホラチウ・ラドゥレスクはルーマニア版スペクトル楽派と呼ばれ、国際的に高い評価を受けているが同じく2人とも活動の場を海外に移している。昔からこの前者以上の評価を受けているのがアウレール・ストレーでラドゥレスクと同じダルムシュタットの長らくの常連でルーマニア代表としては当時双璧的な存在であった。現在は作曲活動をドイツマンハイムからフランスに移して非常に個性の強い作品を発表し続けている。(出典:アンサンブルアレフ年鑑)

[編集] アルバニア

アルバニア出身のトマ・シマクは国際コンクールを総なめにした経歴を持つが、アルバニアを脱出してイギリスのヨーク大学で教鞭を取っている。

[編集] モルドヴァ

この節は執筆の途中です この節は、書きかけです。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

[編集] チェコ

レオシュ・ヤナーチェク没後、ボフスラフ・マルティヌーなどの多くの優れた音楽家がナチス政権、そして共産政権のために国外での活動を余儀なくされた。近年ではマレク・コペレントやマーティン・スモルカなどの作曲家が佳品を創作している。

[編集] 北欧・バルト諸国

[編集] バルト三国

俗に言うバルト楽派は、ソビエト連邦から独立したエストニアラトヴィアリトアニアの3ヶ国出身の作曲家たちである。ロシア風の書法からは完全に区別され、音的にはフィンランド楽派に近い。簡素かつ地味で色彩は薄く、繰り返しの多い音楽が特徴である。調的な音組織を使うにもかかわらず、アレクサンダー・グゲルのように機能しない薄い作品が多い。代表格のアルヴォ・ペルトは現在ドイツベルリン在住であるが、その様式は現在もバルト楽派そのものである。この3ヶ国は国家による現代音楽の振興策がフィンランド並みに優れている。

近年のバルト三国はバルト楽派の影響はむしろ薄く、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会などの西側の前衛イディオムからの影響のほうが強い。リトアニアのヴィキンタス・バルタカスはダルムシュタットへ適合した最初のバルト圏からの作曲家であり、指揮活動も達者である。同じくリトアニアのリカルダス・カベリスは特異な沈黙の使用法により、ドイツで大問題を引き起こした。現在はラミンタ・セルシュニテなど、国際的な舞台で活躍できる人材が確実に育っている。ラトヴィアのアンドリス・ジェニティスはウィーンモスクワなどで学び、国からの援助を最も受ける若手のホープとされている。彼が国際コンクールに出場する時は、大使館の職員もコンサート会場に出席するなど、熱の入れようが好印象と映っている。

[編集] 北欧

ノルウェーフィンランドスウェーデンの3ヶ国は大変音楽家に甘い。若手作曲家にとっては作品の発表が容易な反面、何も考えず斬新さに欠ける作品を送り出す怠惰な作曲家たちを生んだのは否めない。ベンクト・ハンブレーウス、カルク・エルク・ヴェリンの2人はともにオルガニスト兼作曲家で、後者はジェルジ・リゲティのヴォルーミナの発想の源泉になるなど、北欧現代音楽の黎明期に相応しい活動を成した点で注目される。

フィンランドの最も有名な作曲家にはエイノユハニ・ラウタヴァーラの弟子達のカイヤ・サーリアホマグヌス・リンドベルイ、指揮者でもあるエサ=ペッカ・サロネンとレイフ・セーゲルスタムらを挙げることが出来る。特にサーリアホは北欧人で初のクラーニヒシュタイン音楽賞を受賞したこともあり、このあたりから北欧の作曲家たちに注目が集まった。

しかしこの北欧旋風も長くは続かず、クリスチャン・マリーナ、ヨアキム・サングドレンのような希少な例外を除いて、多くの作曲家は意外なほど調的な音素材に固執しているのが現状である。その例外とされたマリーナやサンドレンの作品にすら、滑らかな順次進行や調性的イディオムの侵食の痕跡が見られる。

なお、フィンランドとスウェーデンは、EMSストックホルム)やシベリウス音楽院コンピュータ音楽スタジオの存在もあり、コンピュータ音楽の先進国でもある。

アイスランドは慢性的な情報不足に悩まされた国家という印象が依然として強いものの、アトリ・インゴルフソンの「オーケストラB」のように、国際的なレベルの最前線を切り開く作品を書く者も若干は見られる。

[編集] ロシア

ロシアソヴィエト連邦)では、ロシア革命前後はショスタコーヴィチの初期作品およびアレクサンドル・モソロフなどのロシア・アヴァンギャルドなどのような前衛的な作曲活動も行われたが、やがてスターリンの思想統制が強くなると、社会主義リアリズムの強制により前衛的な活動は大幅に制限され、ほぼ不可能となった。セルゲイ・プロコフィエフやショスタコーヴィチらが表面上は社会主義リアリズムを遵守しながら、実は常に反抗心を持って作曲していたことが近年明るみに出た。

一方で、社会主義を標榜するイタリアのルイジ・ノーノが、極秘に西欧前衛現代音楽の楽譜をソヴィエト国内に持ち込み、戦後の若い世代の作曲家は水面下でそれらを勉強したほか、記譜せず証拠が残らない即興演奏という形でアンダーグラウンドでの前衛活動を試みた。後述のアリフレド・シュニトケの「レクイエム」の世界初演はプログラムに掲載せず、飛び入り演奏のような形で行われたことを参考例のひとつとして挙げておく。

ペレストロイカ以降になると思想的な規制は大幅に緩和され、それまで水面下で活動してきた前衛的な世代の作曲家が次々と西側に紹介された。ソフィア・グバイドゥーリナアルフレッド・シュニトケ、エディソン・デニソフなどである。彼らの音楽はソヴィエト国内においては前衛的な思想を持ちながらもその語法は西欧前衛とは全く異なるものであり、ペレストロイカのもたらした現代音楽上の「未知との遭遇」とも言える情報交流として注目を浴びた。それに先立ってエストニア(ソ連崩壊後独立)のアルヴォ・ペルトが西ベルリンへ亡命し、新しい単純性として注目されている。ショスタコーヴィチが想いを寄せたガリーナ・ウストヴォーリスカヤは1970年代以降、素材こそ単純ではあるものの衝撃的な作風を打ち出し、1990年代にオランダから世界へ発信された。紹介当初のインタビューで、これが初めての海外渡航だと語った彼女は、ショスタコーヴィチをはねつけた、というそれだけの理由で作品を発表する自由も奪われていた。

ソヴィエト崩壊後はロシアの新世代も次々と紹介されている。崩壊後の数年はソヴィエトの若手世代にとっての「解禁された音楽」、つまりアメリカなど西側のポップやロックなどを生のまま取り入れた音楽が、同じく解禁されたばかりの商業主義の流通路線により目立って紹介された。バッハのマタイ受難曲やシューベルトの鱒の五重奏曲などの引用にロックのスタイルをつなぎ合わせるといった、木に竹を接いだような音楽が氾濫した。

ソ連崩壊は西洋音楽の伝統の終焉を示したという見解を持つ学者も数多い。これはクラシック音楽の存在の負の遺産を、現代音楽にまったく興味を示さない数多くの国際コンクール荒らしのロシアの演奏家たちが、何の苦もなく引き継いでいたという事実に基づいている。現代音楽のホープ的存在の演奏家は、ロシアで見いだすことは非常に困難である。

現在ではこれらのカルチャーショックを克服し、独自の語法を得た若手世代が徐々に台頭しつつある。現時点でニュー・ロシア・アヴァンギャルドと呼ばれているが、アヴァンギャルドという言葉が常にその時代における前衛という意味を指すことを考えると、これはもう少し時間がたってからこの世代の作曲家の共通点を見いだしてその特徴に値する名前で呼ばれるべきである。最近では1970年代後半生まれのフョードル・アミロフやニカ・シロコラッドのように、満足なレヴェルとは言いがたいが現代音楽に挑戦する演奏家が少しづつ脚光を浴びてきている。

一方でロシア中央部以外、例えばタタールのような周辺の自治共和国では、いまだに「民謡に基づくスタイルの音楽と前衛的語法を折衷する」といった作曲も続けられており、あたかも動物学で言う絶滅危惧種を扱うような形で紹介されたりもした。ロシアで教育を受けたカザフスタン出身のジャミラ・ジャジルベコヴァとオレグ・パイベルディンの作品には、確かに土俗的要素と前衛語法の統合が図られている作品が見られる。

[編集] 北米

[編集] アメリカ合衆国

20世紀のアメリカ合衆国における現代音楽の展開は、カイル・ガン著の「20世紀のアメリカ音楽」(シャーマー社 1997年)に極めて高水準のリサーチが行われており、本項は彼の著作との重複をなるべく避ける形で展開したい。

戦後のアメリカは、フランスから渡ったエドガー・ヴァレーズの音楽思想をそのまま受け継ぐ形でスタートした。だが、彼の言う「音楽とは科学である」という思想を半ば曲解したような受け入れが進み、ピッチクラスセット理論などにみられる高度な理論化に焦点が置かれ、音楽のあり方そのものを考える余裕は失われた。この状況がミルトン・バビット、エリオット・カーター、チャールズ・ウォーリネンに代表される「東海岸アカデミズム」と呼ばれる潮流を生んだ。とかくデメリットばかりが強調されるこの楽派だが、ブライアン・ファーニホゥがアメリカに招かれたのは、この潮流がなければ実現しなかったかもしれない。現在もこのアカデミズムはファーニホゥの影響を取り込み、アーロン・キャシディー、ジェイソン・エッカルトに継承されている。

その一方で、楽器の発案や身体性、土着文化等に想を得た作曲家たちも存在し、ヘンリー・カウエルは戦前からヨーロッパで評価が高く、来日も果たし950曲以上の作品を生んだ。彼の書いた「新しい音楽の源泉」に多くの作曲家が触発され、コンロン・ナンカロウジョン・ケージルー・ハリソン、ハリー・パーチ等の作曲家たちが「東海岸アカデミズム」と対立する形になった。この対立は、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会でケージが高い評価を得てから、なおも深まっていった。エリオット・カーターに自分の作品が認められず、転校を余儀なくされたローリー・シュピーゲル、「いったい何人のPh.D所有者が創造的な音楽を書けるのかね」と憤慨したアンソニー・ブラクストンのエピソードは、「東海岸アカデミズム」の弊害の一端を示している。

1960年代以降、スティーヴ・ライヒに代表されるミニマリズムなど反復語法が復権してからは、ヨーロッパのエクスペリメンタリズムの音楽が敬遠される形となった。しかし、そのような中でも1939年生まれのリチャード・トライサルはダルムシュタット夏季現代音楽講習会にてクラーニヒシュタイン音楽賞をピアノ1969年に受賞し、ヨーロッパを中心に作曲と演奏の両面で活躍していた。1940年生まれのデアリ・ジョン・ミゼルもこのころのシュトックハウゼンから教えを受けた数少ないアメリカ人の1人であり、前衛音楽を希求する人々がいなかったわけではない。

1980年代にブライアン・ファーニホゥ、ロジャー・レイノルズ・湯浅譲二カリフォルニア大学サンディエゴ校で教え始めてからは、かなり風向きが変わってきた。ヨーロッパの前衛を再認識する若手も増え始め、トリスタン・ミュライユマイケル・フィニスィーシュテファン・シュライエルマッヒャー、アントワーヌ・ボイガーなどがアメリカに招かれた。もはや東海岸と西海岸の対立も既にない。これらの諸事情を通過及び消化した1970年代生まれの新世代、ニック・ヘンニーズ、テイラー・ホ・バイナム、アーロン・シーゲル、アーロン・キャシディー、クレッグ・シェパード、ロバート・ダックワースらはそれぞれ独自の道を歩んでいる。

インターネットの出現で自分の消化する音楽文化を、自由に選択できる時代に入っても、依然としてローカルで低レベルな創作を行う者もいれば、世界で高い評価を得られるレベルの者もいる。アメリカ合衆国では博士号を乱発してすぐに教職につかせる常識が存在し、指導内容の幅が日本よりも広くならざるを得ない。このような要因のため、なかなか日本に高水準かつ最先端のアメリカ合衆国の作曲家が紹介されにくい状況が続いている。近年ではどう考えても負の領域としか見られていない東海岸アカデミズムの弊害が、審査員の手によって国際コンクールで評価されることもある。これは明らかに「アメリカではこのような作曲家が優れている」ことを政治的に操作する傾向とされている。

[編集] カナダ

今も昔もこの国の作曲の第一人者はマリー・シェイファー(1933-)であろう。日本では1980年代に尚美学園が主催した「東西の地平の音楽祭」に武満徹が招待して一躍有名になった「環境音楽」の創始者である。なお普通のノース・ホワイトなどの管弦楽作品などの音楽も発表しているが、しばしば電子音も伴うため、グラフィックな記譜が多い。

[編集] 中南米

中南米諸国は、ポルトガル語圏であるブラジルを除くほとんどの国がスペイン語圏に属していることもあり、現代音楽分野においても一国にとどまらず中南米全体の作曲家同士のコミュニティが存在する。しかしこれらの国そのものが現代音楽の発信源となる力は弱く、これらの国々の出身者がアメリカやヨーロッパ諸国へ渡ってはじめて発信源となる場合が多い。

中南米の作曲家は全体構造にドグマが感じられず、当てのない音色がいつまでも浮遊し、たゆたう音楽性を持つ者が多い。しかしながら民族音楽からの波及はドグマ的に強い。

[編集] メキシコ

メキシコは、アメリカ合衆国から亡命して来たコンロン・ナンカロウが微分リズムの大家として、また、フリアン・カリジョが微分音の生みの親として、ともに名高い。現在は現代音楽への拒絶も一切なく注目すべき若手が育ちつつある。

ポスト・クセナキスの衣鉢を継ぐフリオ・エストラーダ、エリザベート国際作曲コンクールとマリー・ジョゼ王妃国際作曲コンクールの優勝者のジャヴィエル・トーレス・マルドナード、若手作曲家対象ユルゲンソン国際コンクール第2位のガブリエル・パレヨンなど、明らかに北米圏や欧州圏の何処にも属さない音楽性を展開できる人材は育っている。エストラーダは微分音程ではなく、積分音程で奇妙な音律を展開することができる。パレヨンはメキシコのルーツを自国の民族楽器に託し、1音ごとに特殊奏法が変化するヴァイオリン曲を書くなど、探究は止む事がない。エストラーダは現在パリ郊外メゾン・アルフォール市にあるクセナキスが設立した電子音楽研究所CCMIXに務めており、UPICシミュレーターであるイアニクスの開発にも関わっている。

他にダルムシュタット夏季現代音楽講習会でクラーニッヒシュタイン賞、また日本で入野賞を受賞したイグナチオ・バカ=ロベラが、日本やドイツ語圏諸国で積極的に紹介されている。

[編集] ホンジュラス

ホルへ・グスターヴォ・メヒアはベルリン芸大でバイヤーに作曲を学び、トロッシンゲン音大で指揮を、更にルートヴィックスブルク映画大学で映画音楽を学んだ。ダルムシュッタット夏期講習にも参加して、ロイトリンゲン・フィルハーモニー管弦楽団なども指揮したが、現在本国の管弦楽団で作曲家兼指揮者として活躍している。作曲コンクール歴もあり、ラテン的な明るい色調の音楽が特徴である。

[編集] アルゼンチン

アルベルト・ヒナステラ微分音トーン・クラスターなどの前衛イディオムに拒否反応を示すこともなく自由に用いたこともあり、この国もアジア圏のように現代音楽への拒否反応を示すことはなかった。

国庫が破綻するなどの悲運にも関らず、ペドロ・パラツィオ、ホセ・ルイ・キャンパナといったカジミェシュ・セロツキ国際作曲コンクールの優勝者を2名、クリストフ・デルツ国際作曲コンクール優勝者のノラ・エルザ・ポンテ、ウィーン国際作曲コンクール優勝者のシルヴィア・フォミナ、ボスヴィル国際作曲フォーラム第1位のリッカルド・ニッリーニ、ジュネッセ・ミュジカル・ロマニア主催ブカレスト国際音楽コンクール作曲部門優勝のエドゥアルド・ムギャンスキィなど、近年は最も優秀な作曲家を生み出す南米圏の国家という印象が強い。前述の作曲家たちはすべて国際的な第一線で評価が確立しているが、評価先は主に海外という点が哀しいところである。

作風もバルト圏や北欧のような国が持つトーンのようなものは感じられない。フォミナの作品はオーケストラの団員1人1人にクリックトラックを強いるなど、強烈な最前衛の言語で作曲する1人とみなされている。しかしながら、現在ケルンで強力に活動し、大家としての地位を不動にしたマウリツィオ・カーゲルに、匹敵して歴史を塗り替えるレヴェルの大作曲家は未だにいない。戦後世代の伸び悩みをこの国も蒙っている。

現在2005年度のIRCAM研究員には同国出身でフランス国籍を持つセバスチャン・リヴァスが居るほか、同じくアルゼンチン出身の幾人かの作曲家がストラスブールをはじめとする複数の現代音楽祭で特集されるなど、国別(というより南米全体と言う面もあるが)の作曲家としてスポットを浴びていることは事実である。

[編集] チリ

チリ出身の作曲家では、現在フランス在住で2005年度IRCAM研究員であるホセ=ミゲル・フェルナンデスが、Max/MSPなどの電子音楽ソフトを駆使した作風を展開させている。国立ラジオ放送の音楽局であるラジオ・ベートーヴェンでは現代音楽特集の番組も毎日放送されており、ブーレーズやベリオのような世界的に知名度の高い古典的な作曲家のみならず、上記のフェルナンデスを初めとする地元作曲家の紹介も行われている。

また20代でチリの現代音楽協会の副総裁に就任したオスカル・カルモナの作品も日本に紹介されている。

[編集] ペルー

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[編集] ブラジル

ブラジルはヨーロッパでピアノ演奏を中心に活躍した、ピアニスト兼作曲家のジョシィ・デ・オリベイラが重鎮である。彼女が、ルチアーノ・ベリオやイアニス・クセナキスから作品を献呈されている事や、メシアンの作品選集をLP数枚組みで出すなど、当時の常識を越えた活動がドイツで注目を浴びた。現在の彼女はミクスト・メディアに活動を映したが、個性は未だに衰えてない。

[編集] アフリカ

[編集] 南アフリカ

黒人系の作曲家はまだ日の目を見ないが、白人系やユダヤ系の作曲家が多数してドイツの音大に学びやってきている。ディヴィット・コスヴィーナはシュットットガルトにテオ・ヘルプストはドイツを経由して現在イギリスに住み安住の地としている。ドイツの作曲家ウルリッヒ・ズーセは南アフリカの大学と常に太いパイプを持ち、作曲家達をドイツに招待して刺激を与えつづけている。南アフリカで教鞭を取る作曲家に、ハワード・スケンプトン、ユルゲン・ブロイニンガー、ケヴィン・ヴォランスがいる。

[編集] 中東

[編集] トルコ

中東地域で最も複雑な音律理論を育てるに至ったトルコは、西洋音楽の受容にも積極的であり、四分音G管クラリネットは未だに使われている。ロシアと同じく、チャイコフスキーのように西洋音楽を自国流に改良する「国民楽派」がトルコにも存在し、なおかつ似たような形式を保っている。

そのような黎明期を経て、現在ではトルコ人も多くドイツに留学し、ジェルジ・リゲティに師事したアルツク・ウンリュのような少数の精鋭が輩出された。ヨーロッパに流出するトルコ人の層の厚さを考えると、オルレアン国際20世紀作曲コンクール第1位を制したムヒッディン・デュログル=デミリツのような存在が、今後は目立つものと思われる。

[編集] イスラエル

ルチアーノ・ベリオに師事したベティー・オリベロをはじめとして、独立後のイスラエルは最も早期に西洋音楽を消化した地域に数えられる。既に「20世紀のイスラエルの作曲家」と題された書物も20世紀中に出版された。シュテファン・ヴォルペやローマン・ハウベンシュトック=ラマティは短期間教職についた後この地を離れており、イスラエルの作曲家とはみなせない。この他、早くからドイツアメリカに学び、日本に一時期在住したのち現在は再度アメリカへ移住したハヤ・チェルノヴィンがいる。

[編集] シリア

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[編集] レバノン

レバノンはフランスの委任統治領だった歴史があるため、フランス現代音楽シーンのみならずフランス楽壇全体との接点が見られる。最も有名なピアニストアブデル・ラーマン・エル=バシャピアニストとしてデビューする前は作曲家としての将来も考えていた。レバノン出身でフランス国籍を持つカリム・ハッダドは自身作曲家でもある他に、技術者としてIRCAMのコンピュータ支援作曲ソフトOpenMusicの開発にも主要なメンバーとして関わっている。

[編集] ヨルダン

ヨルダン出身の作曲家では、音楽学を学んだのちにベルギーで哲学を学んだザヘド・ハッダドが、近年アンサンブル・モデルンなどによって紹介されている。

[編集] インド

現在ドイツミュンヘンで学び、カールスルーエで音楽理論を教えているザンデープ・ヴァックワティと、早期にイギリスへ亡命したナレシュ・ソーハルが唯一公的な認知を受けた例である。

カルカッタ育ちのクラレンス・バーロウは、ボリス・ブラッハーのように幼少期を東洋で育ち、現在アムステルダムに住み教育活動や電子音楽の仕事で名をあげている。曲の重圧な構造がインド人の体格を思わせクラーニヒシュタイン音楽賞を受賞後の歩みも、別にインドのオリジンを主張するようなこともない。「トム・ジョンソンの鋏」のように耳で聞く構造やマニエリズムを皮肉った感じの作風が多く西洋前衛への帰依でもなかったが、代表作のピアノ独奏曲「ÇOGLUOTOBÜSISLETMESI」や「LUDUS RAGALIS」ではインドの伝統文化への回帰を示唆する。

一般に認知されている例では、ラヴィ・シャンカールシタール協奏曲が挙げられる。ほとんど転調すらしない単純な調性の上に書かれた音楽は前衛的とは全く言いがたいが、常にオスティナート、ほとんどドローンのように進行する音楽は、西洋音楽とは明らかに異なるインド音楽風の構成を持つ。当時このLPのリリースも、シャンカールの人気のせいでよく売れた。

[編集] 東アジア

[編集] 日本

日本編は本稿が日本語版ということも鑑み、別項を設けて後述する。

[編集] 中国

近年の政府の情報統制に伴い、中国の若手作曲家はまだまだ長い文化的重圧に苦しめられている。

一方アメリカに出た中国出身の譚盾(タン・ドゥン Tan Dun)は、20歳の時にフィラデルフィア管弦楽団の演奏で初めてベートーヴェンの第交響曲第5番を聴いて西洋音楽に関心を持ち、ニューヨークのコロンビア・アーティスト(CAMI)の後ろ盾もあって、最初に世界的に通用する作曲家に挙げられている。またドイツ留学系では北京音楽院の同世代で映画音楽が主で坂本龍一と一緒にオスカー賞をもらったコン・ス、や日本でのハープの国際作曲コンクールの受賞暦があるヴァン・フェィ、台湾出身の女流李美満(リ・メイマン)やシャウナン・パンなどが挙げられる。

そのほかブザンソン国際作曲コンクール第一位のレイレイ・チャン、レイ・リャン、ファン・ルオ、ルクセンブルク国際作曲コンクール第二位のリン・ワン、デュティユ国際作曲コンクール第一位及びボスヴィル国際作曲フォーラム第一位のビァオ・チェンらも世界的な評価を受けている。ここで挙げた音楽家らはすべて経済的に非常に裕福かその両親が音楽家であったかどちらか、または両方の条件を保持しているかである。欧米や日本に比べ、中国は現代音楽の教育体制が十分に整っておらず、充実した教育を受けるには海外へ留学する必要があった。

それ以外にそのような財力や環境を持たない若い作曲家は、国内で自由に情報を得ることが不可能なため、最先端の情報についていけない状態が今もまだ続くが、シュトットガルト音楽大学のエアハルト・カルコシュカやロルフ・ヘンペル、ポーランド作曲界の重鎮ツィグムンド・クラウツェなどの老大家達の来中講義によって、少しずつ最先端の音楽的情報が浸透しつつあり、更に最近ではインターネットによるこういった情報〔譜面や音〕入手もごく容易になってきた。晩年の石井眞木は、中国での現代音楽の普及に尽力していた。

[編集] 台湾

台湾は、ヘルムート・ラッヘンマンに師事した最初の台湾人の作曲家パン・ファオ・ロンが国際的な名声を博したことから話題となる。彼は1970年代まで現代音楽の情報を「全く」知らなかったことが音声ファイルで確認できるが、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会に参加の後個性が開眼した。1980年代以降は文化統制らしきものも見当たらず、独自のアジア音楽を探索するものが現れる。マウリツィオ・カーゲルに師事したチャオ・ミン・トゥンはリコーダーアンサンブルの為の極めてアジア的な感性に基づく音楽を書いたが、これらの音楽が単なるエキゾチズムなのかそれとも新しい音楽言語の開発なのかどうかは意見が割れている。

現在も、エキゾチズムでひとやま当てようとする若手が中国人のように後を絶たないが、大御所であるヨーロッパ人の評価が東洋人にエキゾチズムしか求めようとしないのも今も昔も大きな要因の一つである。(出典:ベルリンのクラウス・フーバー作曲ゼミナールとダルムシュタット夏期講習1996、ヘルムート・ラッヘンマンのレクチャーにも同様の発言あり。)

[編集] 韓国

まず東洋最初の大作曲家として世代的に朝鮮の伝統音楽と西洋音楽を融合した尹伊桑イサン・ユン)が第一に挙げられる。次にそれに続く弟子として上げられる現在韓国在住の姜碩煕スキ・カン)が早くから地元の韓国で名前が広がっている。陳銀淑(英:Unsuk Chin、ジン・オンソク)はその弟子として国際的に名がある。

一方ユンとは違う師弟関係で出てきた、ヨンギー・パクパーンクラウス・フーバーの弟子で現在の妻であるが、傾向としてはすでにアカデミックとなってきたユンの態度と同じ歩調を取っている。その他、異色の道を取りヘルムート・ラッヘンマンとニコラウス・A・フーバー側から出てきて日本にもかなりなじみが深い、クンス・シムは最近極度に音楽と非音楽の領域で活動し一時間を越える非常に長い作品で全く別な印象を与えている。

エキゾチズムへの逃避はヒョーシン・ナまで続いた。しかし、ヘーラ・キム、サンウォン・リー、ウンジュ・リー、ジヤン・カンなどの近年の若手は空疎なエキゾチズムを脱出し、最先端の情報をリアルタイムで消化する有能な世代が育ちつつある。しかも、強烈な音響へ個性を託す態度は、ユンの世代から脈々と続いている。

[編集] 東南アジア

東南アジア諸国はパウル・グタマ・スギヨやホセ・マセダのような例外を除いて、情報解禁が中国よりも遅延した。しかも、当局からの弾圧すら、ない。まだ国別で記事を書ける地域は恵まれたほうに入り、21世紀初頭時点において未だに西洋伝統音楽の歴史を執筆することが出来ない地域すら存在する。

[編集] ベトナム

ベトナム出身の作曲家はフランスで活躍して現在は帰国しているグエン=チェン・ダオ、現在もフランスにとどまって活動中のトン=タ・チエがいる。どちらも出身国が歴史的に体験してきたような政治的なメッセージ性は少なく、前者は即興的な身体性、後者は仏教的観念に基づく作品が主軸を占める。他にアメリカで活躍中のファッカン・ファン(P.Q.ファンとイニシャルで書かれる場合が多いが、現地での名前の発音に問題があるためと言われている)がクロノス・カルテットによって広く紹介されている。2006年4月にパリのシャトレ座で行われたチエのオーガナイズによる演奏会ではこの3人の音楽が主に取り上げられ、居住地を超えてベトナムの代表的作曲家と双方が見なしていることを裏付けるものであった。

[編集] フィリピン

フィリピンの作曲家ではホセ・マセダが高橋悠治の紹介によって日本でその名前が浸透したほか、若手世代ではラモン・サントス、チノ・トレド、などが各種のアジアをテーマにした音楽祭の中で幾度も日本に招待されている。アラン・ヒラリオ、コンラト・デル・ロザリオはドイツ語圏で評価が高い。マセダの創作はかなりフィリピンの歴史の中では例外的存在であり、現在の状況はダルムシュタット・ショックなどのヨーロッパの音楽言語へ傾斜している感が強い。

[編集] インドネシア

インドネシアの現代に生きる作曲家は、まず西洋現代音楽から学ぶタイプ、ガムランなどの土着伝統の枠内で志向するタイプ、そして両者の伝統を統合するタイプの三つが存在する。これら三つのタイプに対立関係はない。

ドイツで学び、ボリス・ブラッハーに師事したパウル・グタマ・スギヨは現在もドイツインドネシアを往復し、独自の道を進む重鎮的な作曲家である。後の中堅世代のスラマット・シュークルやマイケル・アズマロは高橋悠治がアジア発の音楽と紹介したことで日本でも知名度がある。現在は西洋現代音楽のフェスティバルを盛り上げる動きがあるなど、情報解禁は進んでいる。寺内大輔や田口雅英のようにインドネシアに招かれる日本人作曲家も見られる。

[編集] マレーシア

近年では、イギリスアメリカで学んだのち日本で武満徹作曲賞第一位を受賞し武生国際作曲ワークショップにも招待されたタズル=イザン・タジュディン(タジュッディンと表記する場合もある)やICOMS国際作曲コンクール第一位をはじめとする国際コンクールを総なめにし続けているキー・ヨン・チョンの活躍が目覚しい。単にコンクール荒らしではなく、自国の伝統文化を最先端の音楽言語で解決する独自性に、敵う者が見つからないくらい強力な人々である。

この二人の他にも、1970年代後半以降の世代が続々とマレーシアから巣立ちつつあるが、彼らの将来は未知数のままである。

[編集] カンボジア

カンボジア出身の作曲家としては、チナリー・ウング(ウンと表記される場合もある)が現在カリフォルニア大学サンディエゴ校で教鞭をとっている。

[編集] タイ

タイは近年マイケル・ピサロ門下のジラデジ・セタブンドゥ、入野賞受賞者のシラセート・パントゥラアンポーン、武満徹作曲賞第二位のナローン・プランチャルーンなど西洋音楽の作曲家も現れた。気候面に影響されているのか、豪放な音量と暑苦しい音色に頼る作曲家が多い。エキゾチズムは相変わらずで、そのままタイの伝統音楽の様式を下敷きにするなどの段階に留まる作曲家も多い。

現実的にはタイの民俗音楽を用いて自由に作曲するクリストファー・アドラーのような存在のほうが、タイにとってはむしろ重宝されている。タイの伝統様式を借用する作曲家が存在しても、洋楽器とタイの楽器を混ぜて自由に作曲するアイデアは、タイ人では生み出せなかったのである。現在フライブルクにいるクラウス・フーバーの弟子のカッツ(1957-)が唯一のポスト前衛世代のタイ出身者であろう。

[編集] ラオス

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[編集] ミャンマー

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[編集] シンガポール

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[編集] 日本

戦後当初の日本の楽壇ではドイツ系諸井三郎門下の「新声会」およびフランス系池内友次郎門下の「地人会」をはじめとする芸大アカデミズムが主流と見られていたが、その枠組みの外では松平頼則清瀬保二ら新作曲派協会の活動、実験工房出身の武満徹湯浅譲二、鈴木博義らの活動(武満と鈴木は新作曲派協会にも参加)がより前衛的な語法を目指し活動していた。また、黛敏郎によるあらゆる西洋前衛語法の模倣と紹介や、後には一柳慧らによるジョン・ケージなどアメリカ実験音楽の紹介などによって、ヨーロッパやアメリカの前衛音楽を吸収していった。

また1957年からは二十世紀現代音楽研究所による軽井沢現代音楽祭が計3回開かれ、ヨーロッパの前衛現代音楽が次々と紹介された。作曲コンクールも行われており、後の電子音楽の巨匠となったローランド・カイン、武満徹松下眞一が受賞者に見られることからも、志の高さがうかがえる。この催しはドイツのダルムシュタット夏季現代音楽講習会およびドナウエッシンゲン音楽祭を強く意識しており、後述する秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティバルを歴史的に先取りするものである。また1960年からの草月アートセンターによる現代音楽演奏会草月コンテンポラリー・シリーズもヨーロッパおよびアメリカの最新現代音楽シーンを紹介し続けた。

1964年からは邦楽器ブームが起こり、日本の西洋系現代音楽の作曲家の間で邦楽器を使った現代邦楽作品が多数作曲される。特に武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」(琵琶、尺八とオーケストラのための)は国際的にも広く認知され、この分野で最も成功を収めた作品である。後には邦楽器ブームは近世邦楽のみならず雅楽の楽器にも広がり、国立劇場の委嘱活動として雅楽の編成を用いた現代雅楽作品が黛敏郎武満徹カールハインツ・シュトックハウゼンらにより作曲される。1970年には大阪万博が開かれ、大掛かりなテープ音楽の上演を含む多くの催しが行われた。この万博をもって日本の現代音楽、さらに日本の前衛現代芸術はひとつの頂点を迎える。日本中のゲーテ・インスティチュートで日独現代音楽演奏会が行われていたのも、このころであった。

前衛の停滞期以後、日本ではマニエリスムが先行しエクスペリメンタリズムの音楽と呼ばれる実験主義による次世代(かつての前衛世代以後)のヨーロッパ前衛音楽はなかなか認知されなかった。しかし、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会の日本版を意図して細川俊夫が主催した秋吉台国際20世紀音楽セミナー&フェスティバル1989年 - 1998年)によってヨーロッパのエクスペリメンタリズムの音楽が次々と紹介され、さらに、1960年代生まれ以降の作曲家を中心に、日本の作曲家の潮流として秋吉台世代という新たな枠組みを生み出した。現在は別組織武生国際作曲ワークショップ(監督はやはり細川俊夫)によって類似の活動が行われている。

またその他にも同じベルリンで勉強した電子音楽作曲家の嶋津武仁とその弟子たちによる前衛音楽の活動、東京学芸大学で教べんをとった吉崎清富門下生らの活動も、秋吉台世代や武生世代との対立軸をなす一つの大きな潮流になり、楽壇に次第に強い影響を与えつつある。現在では現代の波‐現代音楽祭、京都・若い作曲家による連続作品展、日伊現代音楽交流会九州現代音楽祭、札幌現代音楽展SGO、プレゼンテーションなどの催しは継続しており、日本全体の潮流は常によりよい細分化を目指している。

日本においては、機械的な処理を必要とする現代音楽に対し「NHK電子音楽スタジオ」の設置やその他の支援によって多くの実験的作品が作られ、FM放送番組「現代の音楽」などでも定期的に紹介されるなど、NHKが果たした役割は大きい。アメリカの現代作曲家のトップレベルに位置するデアリ・ジョン・ミゼル、マイケル・ピサロ等の紹介が遅れ、イアニス・クセナキスポーランド楽派の紹介が驚異的に早かったのは、第二次世界大戦における敗戦が原因とみられる。伝統を背景としたこれまでの傲慢さが欠け、なお大きな謙虚さがあったのではないかと見られていて、ドイツ音楽の戦後の発展と似た道を進んでいる。

現在も、松平頼則が逆輸入の形で日本に紹介された様に、若手作曲家の何割かも逆輸入の形で日本に紹介される。21世紀を迎えた現在では、音楽大学や国内コンクールで過少評価された者が国際コンクールで優勝するという珍事すら起きている。また、国際コンクールで入賞歴を積んでから、国内コンクールへ出品するケースも出現している。このことは、専門家としての資質を著しく欠く音大生や教師など、日本の音大の教育現場がいまだに現代音楽を消化できない証左であり、事態は深刻である。

[編集] 概論(その他の地域)

概論を書くことが不可能な地域もアフリカ、インド、いくつかのアジアで確認できる。

国家が西洋音楽を消化することが不可能だった地域、例えばインドは西洋楽器をマスターする演奏家の不足から、楽派的なものが全く存在せず、単発的に作曲家が留学して国外で名声を得る状態である。20世紀はほとんどの世界で西洋音楽が「普及」したとされている。しかし、西洋音楽を持つことの出来なかった地域は、果たして「後進的」地域と呼ぶことが可能なのだろうか。この問いは1970年代からしきりに叫ばれているものの、未だ何の解決も得ていない。

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