アルド・クレメンティ
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アルド・クレメンティ(Aldo Clementi,1925年 - )はカタニア生まれの、イタリアの作曲家。
[編集] 略歴
ジョヴァンナ・フェッロとアルフレッド・サンジョルジに師事。ピエトロ・スカルピーニのピアノのマスタークラスを受講した事もあり、ピアニストとしての訓練も受けた。ジャチント・シェルシのアシスタントを務めたこともあったがシェルシの影響の痕跡はほとんど見られず、ほぼ独自の試みに基づいた極めて個性的な創作を行っており、20年代生まれのイタリアの作曲家の中では創作寿命が一番長い。
[編集] 作風
世代的にも当然の結果であれ、セリエルの模範作を完成させることに邁進した「コンポジション第一番」、「トリプルム」の頃の第一期。総計144段譜(多分世界記録)を駆使した「ヴァリアンティA」、偶然性の影響を最良の解決へ導いた「アンフォルメル1」に見られる大量の音符を撒き散らす第二期。「ピアノと9楽器のためのコンチェルト」に見られるような極度に点的な音楽観へシフトした第三期。「アダジオ」、「スケルツォ」、「子守唄」など同一の素材のローテーションにまるでオルゴールが止まってゆくかのような遅延をかける「カノン・ラレンタンド」と呼ばれる様式を確立した第四期。そして「カノン・ラレンタンド」から脱し、旋律断片の部分的拡大及び縮小を施した「ファラドワルツ」、19世紀的語法に単純な反行型を与える様式上のミスマッチが新鮮な「ソナタY.」における近年の第五期。
前衛の停滞以降、クレメンティも積極的に過去の音楽的遺産を振り返るようになった。とはいえ、これらの作品群はすべて「カノン的思考」に徹底されていることが、クレメンティ音楽の大きな特色である。シェルシからクレメンティが学んだものは「聴覚上のカノン」ではなく「書法上のカノン」であった。実際、クレメンティの音響嗜好は年とともに刻々と移り変わっている。最も有名な第四期の音響は立体的だが、第五期はそれに反するかのように平面的である。
現在に到るまでイタリアの作曲家達は、対位法の伝統とは切っても切れない関係にあるといえるであろう。その中でクレメンティはマドリガル様式に現代的解釈を与えることに成功した、唯一の作曲家である。全作品はツェルボーニ社から出版され、レンツォ・クレスティとジャンルイージ・マッティエッティに拠る研究書も同社より刊行。作曲活動は現在も継続中。
[編集] 受容状況
2005年はヌオヴァ・コンソナンツァ音楽祭にて、80歳の誕生日を盛大に祝うコンサートシリーズが展開された。対位法の伝統を駆使するタイプの作曲家はアジア圏では受け入れられないことも多く、日本のみならず韓国や中国でもクレメンティの受容は遅々として進まなかったが、2006年は東京芸術大学で日本初の個展が開催された。