ハマーン・カーン
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ハマーン・カーン (Haman Karn U.C.0067年1月10日~0089年1月17日) は、「ガンダムシリーズ」のうち、『機動戦士ガンダム』にはじまる宇宙世紀を舞台にした作品に登場する架空の人物。アクシズ(ネオ・ジオン)の実質的指導者。(声:榊原良子)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 経歴及び劇中での活躍
ガンダムシリーズには多数の派生作品があり登場人物の事蹟も異なる場合があるが、ここでは特に断りのない限り、アニメ『機動戦士Ζガンダム』及び『機動戦士ガンダムZZ』における事蹟について記す。
[編集] 生誕からアクシズ潜伏時代
宇宙世紀0067年1月10日、ジオン公国高官、マハラジャ・カーンの次女として生まれる。一年戦争時はフラナガン機関で育成され、戦後、父マハラジャらとともにアステロイド・ベルトの小惑星基地アクシズに逃亡、潜伏する。
宇宙世紀0083年8月9日、父マハラジャ・カーン死去。8月11日、当時恋人関係であったシャア・アズナブルの推挙で16歳の弱齢にしてミネバ・ラオ・ザビの摂政となりアクシズを率いる。就任の直後の10月、デラーズ・フリートの支援に艦隊を派遣する(アニメ『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』)。優れた政治的手腕とカリスマ性を発揮し、ザビ家再興の名の下に元ジオン軍の残党をまとめ国力を蓄える。そして宇宙世紀0086年2月6日、アクシズを地球圏に向けて発進させる。
[編集] グリプス戦役 (『機動戦士Ζガンダム』)
宇宙世紀0087年10月12日、地球圏に舞い戻り、第三勢力アクシズとしてグリプス戦役に介入。エゥーゴより同盟を持ちかけられるがシャアとの確執が表面化し交渉は決裂。一方、ティターンズと同盟を締結する。
宇宙世紀0088年1月、エゥーゴからサイド3を譲渡するという条件でグリプス2(コロニーレーザー)の破壊を要請されると、グワダンの主砲でグリプス2の一部を破壊してグリプス2を奪取する。ティターンズに対してはアーガマを攻撃したものが外れたと虚偽の報告をする。その後、ティターンズの要塞ゼダンの門でジャミトフ・ハイマンとの会見の隙に暗殺を狙うが失敗する(最終的にジャミトフはグワダン内での会見でパプテマス・シロッコに殺された)。しかし、アクシズ自体をぶつけてゼダンの門を破壊する。
同年2月、グリプス2はエゥーゴに奪われ、最終的には三つ巴の戦いとなるが、当初の目的である戦後の地球圏制圧を実行するために戦力の大半を温存する。
[編集] 第一次ネオ・ジオン抗争 (『機動戦士ガンダムΖΖ』)
宇宙世紀0088年2月29日、グリプス戦役の終結後にジオン共和国の戦力も吸収し、組織名をアクシズからネオ・ジオンと改称。戦後の隙を突いて各サイドに制圧部隊を送り込み、地球圏を掌握。
同年8月、自ら艦隊を率いて地球に降下。武力の威嚇をもって連邦議会のあるダカールを制圧し、旧ジオン軍やティターンズ残党を配下に収める。10月末には、ダブリンへのコロニー落としを決行し大惨事を引き起こす。その結果、地球連邦政府にジオン発祥の地であるサイド3の譲渡を認めさせる。
同年12月25日、これら一連の作戦で戦局は大きくネオ・ジオン側に傾くが、単なるザビ家の再興がハマーンの目的ではないことが、急進的な親ザビ派による反発を招き、グレミー・トトを中心にした内乱が勃発。これを鎮圧するものの戦力は大きく疲弊する。
宇宙世紀0089年1月17日、エゥーゴとの最終決戦でΖΖガンダムを駆るジュドー・アーシタと対決し敗れ、ジュドーが救いの手を差し伸べるもののそれを拒む(グレミーの反乱の動きを見逃した事で自軍の敗北を悟り、この出撃の時点で既に死を覚悟していたと見られる)。そして、ジュドーに未来を託しながら、キュベレイをモウサ(アクシズの居住ブロック)の壁に激突させ、絶命する。享年22。(ただし、映画版Zガンダムからいくとこの戦争自体がなかったことになり、結果後年まで生き続けている場合もある。)
約一年に渡る戦いは、第一次ネオ・ジオン抗争(別名:ハマーン戦争)と呼ばれている。
[編集] パイロットとしてのハマーン
ハマーンは強力なニュータイプでパイロットとしても非常に優秀である。専用モビルスーツ、キュベレイで戦闘に参加する。
グリプス戦役では、モビルスーツに初めて搭載されたサイコミュ兵器のファンネルを駆使し、同じく強力なニュータイプであるカミーユ・ビダンのΖガンダムや、パプテマス・シロッコのジ・Oと互角の戦いを繰り広げる。また、シャアの百式に対しては、モビルスーツの性能の差が大きいこともあり一方的な強さを見せる。
第一次ネオ・ジオン抗争では、タイガーバウムと最終決戦以外ではモビルスーツには乗らなかった。
またアニメ『機動戦士ガンダム』に登場するアムロ・レイとララァ・スンのように、戦闘中のカミーユと精神邂逅を起こすが、そこでシャアの幻影(記憶)を見、解り合える直前で拒否して戦うこととなる。カミーユのZガンダムを倒すべき敵と自認したが、カミーユ自身の精神崩壊によって決着が着くことはなかった。
ちなみに2006年に公開された劇場版・機動戦士ΖガンダムⅢ「星の鼓動は愛」ではティターンズ壊滅後にアステロイド・ベルトにアクシズごと引き下がり、その後の行動や生死は不明となっている。
[編集] シャアとの関係
劇中、特に『機動戦士Ζガンダム』では、元恋人でもあるシャアとの確執が多く見られる。これはシャアがハマーンの摂政就任後に、地球圏の偵察を名目に自分の元から離れたことに対して、怒りと憎しみ、悲しみをもったからに他ならない。そして、彼女は心を閉じ孤独に戦うことになるのである。また、二人はニュータイプによる人類の革新を目指すという点では一致するが、実際に人類をどのように導いていくかについて大きな違いがあった。
しかし、ハマーンは幾度となくシャアに自らの元に戻るよう発言しており、自分を理解し受け入れてほしいと本心では願う。一方的に離れてしまった元恋人シャアへの未練そのものであり、冷酷で高慢に描かれているハマーンが見せる女性的な一面であろう。
後のシャアが、ハマーンと同じ道をたどったのは皮肉であるとしか言いようがない。⇒アニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
[編集] 主な搭乗機
[編集] 主な旗艦
[編集] その他
北爪宏幸の漫画作品『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて、副主人公として14歳時点からのハマーンの姿が描かれており、話題を呼んでいる。また、ことぶきつかさの漫画作品『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』では、『C.D.A.』とはまた微妙に異なるハマーン・カーン像が一年戦争時にドズル・ザビに仕えていたラコックによって語られていて興味深い。名前の由来は未来学者ハーマン・カーンから。