京王9000系電車
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9000系電車(9000けいでんしゃ)は、2001年(平成13年)1月24日に営業運転を開始した京王電鉄の通勤形電車である。
2006年12月現在、8両編成8本64両と10両編成2本20両の計84両が在籍する。
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[編集] 概要
8000系の新製が終了した後、2004年7月までに8両固定編成8本(64両)が投入された。その代替として6000系が廃車されている。
6000系は経年が古く、傷みの進行が早い8両編成から廃車したため、9000系は増結用として1980年代以降に新製した6000系及び7000系の2両編成と併結できるように設計された。但し実際の増結相手はほぼ6000系に限定されている(運用の項も参照)。
2006年1月からは、東京都交通局(都営地下鉄)新宿線乗り入れ対応編成が登場した。この編成は編成番号の下2桁を30番台として従来の編成と区別している。
- ※ 本稿では編成内で1番小さい車両番号(新宿方電動車)で編成を記している。
[編集] 性能・外観
主電動機出力は170kW。IGBT素子を用いた日立製作所2レベル方式のVVVFインバータ制御装置をM1車系に搭載し、主電動機8台を制御する(4台ずつ開放可能な2群構成:2C8M)。10両編成に存在する単M車は1C4Mである。
起動加速度は0番台が2.5km/h/s(設計最高起動加速度は3.3km/h/s)、30番台が3.3km/h/s、常用最大減速度は4.0km/h/s、非常減速度は4.5km/h/s、設計最高速度は120km/hである。
車体は軽量ステンレス製であるが、ビードがないためすっきりした外見になっている。先頭形状は京王によればかつての5000系をイメージしたデザインで、普通鋼で製造されている。前面窓も5000系と同様にパノラミックウィンドウが採用されている。日本車輌製造の標準車体構造で設計されたため、客用ドア部分に縦の溶接線が入っているのが特徴である。0番台と30番台では裾の処理が若干異なり、0番台はわずかに曲がっているのに対し、30番台は直線だが、基本的には同じである。0番台の偶数編成は東急車輛製造製であるが、これも同一構造である。
京王の鉄道車両として初のドアチャイムとLED式の車内旅客案内装置(千鳥配置)を装備している。これらは後に8000系・7000系室内更新車・1000系にも改造して設置している。但し自動放送装置は設置していない。その他、三角形のつり革も同時に採用されている。パンタグラフは8000系で試験採用されて来たシングルアーム式を採用した。
ドアが開く時は東海旅客鉄道(JR東海)の313系と、閉まる時は都営三田線の6300形とそれぞれほぼ同じチャイム音(ドアチャイム)が流れる。
ラジオアンテナは9006Fの3号車(デハ9106)で試用され、新宿寄りの屋根に設置した。その後9007Fと9008Fで本採用され、各車両の新宿寄り(クハ9707とクハ9708は八王子寄り)屋根に設置されている。30番台編成は準備工事のみとなり、あらかじめ台座が用意されている。その後デハ9106のラジオアンテナは撤去され、台座のみが残っている。
[編集] 運転台
運転士からの視認性向上を目的に、京王線の他系列に比べて運転台の位置が高くなっている。速度計はデジタル式を採用した8000系で視認性の問題が指摘されたため、1000系と同様に白地のアナログ式に戻した(6000系は当時は全車黒地・7000系は現在も全車黒地)。これは0番台と30番台でATSやATC信号表示スペースに差がある。なお、圧力計は全系列共白地である。加えて、戸閉め表示灯の点灯時に音が鳴るようになり、これは車掌からのブザー合図とは異なる。
速度計の横にTNS装置のカラー液晶モニタが設置されており、8000系とは逆に左側に設置されている。また、別に車両機器の動作状況を表示するTIMSのようなモニタ装置が運転席上部に取り付けられており、種別・行先表示器の設定は0・30番台の双方共後者のモニタ装置で行う。マスコンハンドル(他系列も含め力行4段常用制動7段)は8000系までの系列より大型化されている。1000系のものに似た形状であるが、運転台デスクのノッチ刻みの印は異なる。
[編集] 番台別概説
[編集] 0番台
2004年までに8両編成8本(64両)が投入された。電動車4両と付随車4両のMT比4M4T編成を組む。将来の都営新宿線乗り入れを前提に設計していたものの、この時点ではまだ都営新宿線にVVVFインバータ制御車両が入線不可能な状況下で登場したため、乗り入れ用の機器は装備されていない。パンタグラフは3基搭載である。
室内は妻面側の化粧板に、京王の電車では初めて木目調のグレーのものを採用している。それ以外の部分は白色系である。袖仕切りや壁だけに支えられた片持ち式座席構造などのデザインは、東日本旅客鉄道(JR東日本)の209系やE231系に類似するが形状は異なる。この袖仕切りは大型であるにも関わらず上部に横方向の手摺パイプを設置しているという、他鉄道事業者では見られない形態であったが、後述の30番台では横方向の手摺りを廃止した。なお、井の頭線用1000系の1011F以降も片持ち式座席となったが、デザインは異なる。側扉窓は外側から支持する形状で、化粧板を貼付する室内側は平滑になっている。
10両編成で都営新宿線への乗り入れを行う際には、6000系2両編成を橋本寄りに増結できるようにクハ9750形の乗務員室は6000系と同様に貫通路を構成できる仕切りを設置した構造である。逆にクハ9700形には仕切りがない。また、非乗り入れ運用では増結車は新宿側に連結するため、貫通路を使用することはない。6000系同士で8+2の10両を組成する場合でも非乗り入れ運用では貫通路は使用しない。
[編集] 30番台
都営新宿線のATCがデジタルATCに更新され、VVVFインバータ制御車両でも乗り入れに支障がなくなったことから乗り入れ用機器を装備して新製した10両固定編成である。電動車5両(うち1両は1M構造車)と付随車5両のMT比5M5T編成を組む。
2006年1月に第一陣が落成し、3月15日より営業運転を開始すると同時に都営新宿線への直通運転も開始した。シングルアーム式パンタグラフはすべての電動車の京王八王子・高尾山口・橋本寄りに搭載している。
乗り入れ時に使用する前面の運行番号表示器は、LED式で車掌台下部に設置している。運行番号の表示フォントは行先・種別表示に採用したゴシック体ではなく6000系の一部の編成で旧来から採用していた明朝体で、行先・種別表示と異なりオレンジ1色のみでの表示である。但し、6000系よりも表示サイズはかなり小さい。
前面形状は0番台と極力揃えているが、貫通幌取り付け台座を廃止したため、0番台と違い前面の帯がつながっている。10両固定編成のためクハ9750形の乗務員室内の仕切りは設置していない。
車体前面・側面の種別表示器は、京王では初採用のフルカラーLEDになっている。車内掲出の路線図と同様に快速と通勤快速は青地、急行は緑地、準特急はオレンジ地、特急はピンク地で表示される。側面の種別表示は従来の3色LED車と同様に「各停」以外も省略表示(例:準特急→準特)となる。行先表示は幕車とは異なり新線新宿及び都営新宿線内の駅名も含め全て黒地白文字である。車内案内表示器は0番台編成と同様の3色LED式である。この表示器は新宿線内でも次駅停車表示が可能になっており、同線内走行時には次停車駅のドアの開く方向も到着前に表示する。表示方式は停車時を除き都営新宿線10-000形の7次車のものとほぼ同様である。車体側面の窓ガラスは、形状は0番台と同じだが、新たにUVカットグリーンガラスを採用し、巻き上げ式カーテンを廃止している。
車内座席の袖仕切りは0番台から変更し、小田急電鉄新3000形とほぼ同型のものを採用した。地下線運用を考慮してか、室内の化粧板の色調は妻面も含めて明るい白色を採用した。0番台では2両に1ヶ所の設置であった貫通扉も各車両の京王八王子寄りに設置している。ドアチャイムも音自体は0番台と同じであるが、音質が若干違っている。車いすスペースは2・5・7・9号車の新宿駅寄りの山側に設置している。
加えて、以下に挙げる点で、0番台よりもコストダウンや、いわゆる通勤・近郊電車の標準仕様ガイドラインに基づく共通化が進められた部分もある。
- 客用扉はこれまでの京王車両の窓が角ばっている標準タイプとは異なり、JR東日本E231系や乗り入れ先の都営新宿線10-300形と同様のものを採用し、室内側もステンレス地のままとなった。
- 車体妻面の窓を廃止した。
- 車内の号車表示等をプレートからシールに変更した。
但し、客用扉間の寸法が独自の方針を貫き車端部の座席を4人掛けとしていることなど、必ずしも他社との標準化を重視して設計しているとは限らない。客用扉も京成電鉄新3000形と同じく光沢の強い物を使用している。
[編集] 運用
[編集] 0番台
- 6000系や7000系の8両編成などと共通に特急から各駅停車まで幅広く運用している。但し特急への使用事例は、かつての相模原線特急及び2001年(平成13年)3月のダイヤ改定直後を除き2006年8月まであまり見られず、日中は高尾系統の準特急運用(10両全て6000系の場合もあり)となっていた。しかし、翌9月1日のダイヤ改定により八王子系統に変更された。さらには夕方の相模原線直通急行電車にも使用されている。
- また、8000系20番台(8両編成)とは違い、特急などで10両編成で運行する際に、新宿寄りに増結用の6000系又は7000系の2両を併結できることから弾力的な運用が可能になっている。しかし6000系と7000系は電装品は同じだが回路に違いがあり、9000系と7000系の併結は電気的に相性が悪い。そのため現在の併結相手は専ら6000系で、7000系と併結して運用することはごく稀である。
[編集] 30番台
- 10両固定編成であることから、登場後しばらくは6000系30番台編成と共通で朝ラッシュ時の都営新宿線への乗り入れや、7000系・8000系10両編成と共通で朝夕ラッシュ時の相模原線系優等列車に使われていた。だが、2006年5月末頃には一時的に本線系優等列車に使われていたが、9月1日のダイヤ改定で京王車の優等列車の乗り入れ運用が基本的に10両編成となったため、終日都営線に直通するようになった。それでも、若葉台入出庫の本線系優等列車に運用されることもごく稀にあり、この場合乗り入れ用10連は全編成が運用に入ることとなる。
[編集] その他
- 2001年に(財)日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞を受賞している。
- 京王電鉄の2006年度計画では9000系を30両新造することになっている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 京王電鉄の電車 ■Template ■ノート
- 現用車両
- 過去の車両