スバルff-1 1300G

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スバルff-1 1300Gは富士重工業が生産していた乗用車。1970年7月、スバルff-1シリーズの改良型、スバルff-1 1300Gシリーズとして発売された。エンジンを1267ccへと排気量アップし、内外装に大きな変更を行った。当時、スバルff-1が属するセグメントには、トヨタ・カローラ（20系 1970年5月フルモデルチェンジ。1200ccに排気量拡大）、日産・サニー（B110系 1970年1月フルモデルチェンジ 1200ccに排気量拡大）、東洋工業（現マツダ）ファミリア・プレスト（1970年3月マイナーチェンジ 1300ccに排気量拡大）、ホンダ1300（1969年5月発売 115ps/7500rpm(99S)）と軒並み排気量拡大・高出力化に動いており、販売サイドのみならず、メーカーサイドも、早急な商品力の向上が必要と判断したといわれる。 1971年4月マイナーチェンジ。1972年初頭に生産中止。

スバルff-1 1300G スポーツセダン

[編集] エンジン

スバルff-1のEA61型エンジン（ボア×ストローク＝76×60mm 1088cc）のボアを更に6mm拡げて、82×60mm 1267ccとしたEA62型エンジンを搭載。標準エンジンで最高出力：80ps/6400rpm、最大トルク：10.1kg-m/4000rpmに。三国工業製ソレックスタイプ・ツインキャブレター装着のスポーツセダン及びスーパーツーリングに搭載されたEA62S型エンジンでは93ps/7000rpm、10.5kg-m/5000rpmを発揮。デラックス以下のグレードには従来の1088ccエンジンも残され、62ps/6000rpm、8.7kg-m/3200rpmのスペックに変更はない。この1100cc搭載車を｢スバル1100シリーズ」と呼び区別している。この改良で、公害対策としてブローバイガス還元装置、アイドルリミッターが追加されている。更に1971年4月には「スバルEECS」と呼ばれる燃料蒸発防止装置を追加。出力等に変更はない。

[編集] シャシー

基本的にはスバル1000 スバルff-1からのキャリーオーバーだが、リヤサスペンションがスバル1000 スバルff-1のトレーリングアーム方式から、セミトレーリングアーム方式に変更となっている。これは主に高出力化に対してリヤサスペンションの横剛性の確保を狙ったもので、スバル1000 スバルff-1のリヤアクスルの限界時の挙動が若干ナーバスであった事から加えられた改良だと言われる。横置きトーションバーをスプリングとして利用するため、セミトレーリングアーム方式への変更に当たっての主な変更点は、トレーリングアーム自体の大断面化とボディ側のサスペンションション支点部＝クロスメンバー固定ボルトを1本から2本に増やすなど、変更も最小限に留められている。

[編集] エクステリア

エクステリアも基本的にはスバル1000、スバルff-1からのキャリーオーバーである。ボンネット、エプロン、フロントグリルなど細部の意匠が変更。ボンネットは前後方向へのプレスラインが増やされ、フロントグリルはヘッドライトリムを大型のプラスティック製ガーニッシュに変更したことと合わせて、横桟2本に数多くの縦フィンを組み合わせた豪奢なものとなり、やはり中央に六連星と「G」をあしらったオーナメントが付く。また、エプロン部の開口部も大型化され、サイドターニングフラッシャーも白からオレンジへ変更された。1971年4月のマイナーチェンジに伴い、スバルff-1 1300Gシリーズは、フロントグリル内のモールの意匠変更、テールライトを平型の四角のものから大型の異型魚眼タイプのもの変更、トランクフードの形状変更とオーナメント追加を行っている。1100シリーズのエクステリアに変更はない。スバルff-1 1300Gシリーズ標準車のデラックス以上のグレードのホイールキャップの形状変更。また、1971年4月のマイナーチェンジで、スポーツセダンのホイールキャップが後のレオーネGSRと共用のものとなっているのも興味深い。レザートップ、ボンネットストラップ、ノーズフィンなど外装関係のオプションも多数用意されていた。

[編集] インテリア

スバル1000、スバルff-1の棚型形状から、一体成型クラッシュパッドの豪奢なものに変更され、大きくイメージを変えている。標準車は2個の円形メーター、スポーツ系が3個の円形メーター構成とされている。1971年4月のマイナーチェンジで、衝撃吸収ステアリング、エアフローベンチレーションシステムを採用、オプションでクーラーの装着も可能となり、安全性と快適性の向上を図っている。カスタムのみに、リヤ熱線デフォッガーを装備。スポーツセダン、スーパーツーリングに大型センターコンソール、樹脂製ウッド風センタークラッシュパッド付きステアリングを装備。

[編集] スバルff-1 1300Gバン 4WD

現在の富士重工業＝スバルのメカニカル・パッケージングの中核をなす、「シンメトリカルAWD」の始祖。 1966年5月に発売されたスバル1000の開発段階において、縦置きのエンジン、トランスミッションの後端にプロペラシャフトを繋いでリヤアクスルを設けたAWD化が話題に上っていたといわれている。しかし、当時の日本ではAWDといえば悪路踏破性には優れるものの、乗用車に比べ著しく居住性・静粛性に劣る、いわゆるジープタイプが全てで、ようやく『マイカー時代』を迎えて「一家に一台」と言われ始めた折、業務用・レジャー用としての乗用車ベースのAWDの市場はないと考えられていた。開発の発端は、東北電力から1ディーラーである宮城スバルに山間・降雪部の保守点検用車両の開発要請が寄せられた事だといわれる。宮城スバルでは「スバル1000バン」に「スバルff-1」の1100ccエンジンを搭載した車両に日産・ブルーバード（510型）のプロペラシャフト、リヤアクスルを装着した車両を開発。1971年3月には富士重工業・群馬製作所に搬入され、本格的な開発・テストが開始された。ジープタイプのAWDより居住性に優れながら、乗用車より圧倒的に高い悪路踏破性が確認され、製品化が決定された。1971年10月の「第18回東京モーターショー」の商用車館に展示されている。「スバルff-1 1300Gバン 4WD」は合計8台が製作され、5台が東北電力に、それぞれ1台づつが、長野県白馬村役場（当時）、長野県飯山農業協同組合、防衛庁に納入された。当時、「スバルff-1 1300G」シリーズは「レオーネ」シリーズに移行することが決定しており、本格的な生産・販売は1972年9月、「レオーネ1400エステートバン4WD」から始まった。