ウォーターフロント

ウォーターフロント（Waterfront）とは、文字通りには「河岸、海岸通の土地、水辺」といった意味になるが、今日メディアで流通している用法では、過密化する都市の新たな開発領域としての港湾部を指して使われている。

日本において港湾部が注目されはじめたのは、神戸市の神戸ポートアイランド博覧会（1981年）とされる。埋立地のほかにも、既存の港湾周辺では、コンテナ化など物流形態の変化による空き倉庫の増加や、工場の撤退などの状況があり、荒廃が進んだため新たな開発で再生が期待されるようになったものである。

世界的な先駆はアメリカ合衆国のボルティモアとされる。1960年代後半から30年に亘る計画の元に着手され、ショッピングセンターや大型水族館が整備され、湾岸部が市民や観光客に開放され賑わいを取り戻した。

[編集] 日本におけるウォーターフロントブーム

サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフやボストンの水族館などのウォーターフロント開発の成功事例を参考に1980年代より日本でも導入された。

嚆矢となったのが1981年に竣工した神戸市の世界最大（当時）の人工島ポートアイランドである。これと、倉庫街や貨物駅といった旧い港湾施設の再開発により誕生した神戸ハーバーランドの2つの事業に対し、今後の都市開発に先人的な役割を果したとして、日本都市計画学会石川賞がそれぞれに授与されている。

首都圏では、東京の佃島、天王洲、お台場、有明、汐留、葛西、横浜市のみなとみらい地区、千葉市の幕張新都心（海浜幕張）などの再開発が行われた。芝浦空き倉庫を利用したディスコやライブハウスなども人気を集め、バブル崩壊前の一時は「ウォーターフロントブーム」とも言われた。浦安市の東京ディズニーリゾートもウォーターフロント開発の一つである。

大阪の場合、天保山ハーバービレッジや南港やUSJなど港湾地区の他にも、都心に河川が通るため（水の都）、湊町リバープレイス、大阪アメニティパーク、大阪ビジネスパークなど、河川沿いの方が多く、近頃は元々川沿いにある中之島地区（中之島とその周辺）で、親水さに注目された再開発が注目を集めている（阪大病院跡の水都・OSAKA α プロジェクトなど）。

その他著名な場所は、名古屋のガーデンふ頭や金城ふ頭、福岡市百道（ももち）にあるシーサイドももち、神戸の六甲アイランドやHAT神戸などがある。

バブル景気に乗って実際の需要以上に巨大化させた計画が多く（お台場、みなとみらい、南港など）、各自治体の債務増加と財政悪化の一因となり、計画の見通しの甘さが問題になっている。