ふじ (宇宙船)
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ふじは、日本の宇宙開発事業団(NASDA)先端ミッション研究センターにより2001年12月に公表された、使い捨てのカプセル型有人宇宙船構想。なお、ふじは提案のみが行われ、NASDAによる開発は行われていない。
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[編集] 背景
日本は有人宇宙飛行をアメリカのスペースシャトルに依存しており、独自開発という声も一部ではあったものの、短中期的な目標として取り上げられることはなかった。また、ふじ提案当時はスペースシャトルコロンビア号の事故以前であり、X-33やHOPE、ブラーン等、世界的に同様の再利用型の宇宙往還機を推進する意見が多数派であった。
そんな中、NASDAから宇宙航空研究開発機構(JAXA)への統合後のフラッグシップミッションの候補の一つとして、ふじは提案された。ふじでは、再利用型はコストや安全性に問題があるとして、また成熟した技術を用いることにより8年程度の短期間で開発が可能であるとして、使い捨てのカプセル型という構造が取られた。
[編集] 構成
複数のモジュールを用途により組み合わせて使用することが考えられていた。
[編集] ミニマムシステム
必要最小限の構成。地上帰還能力と、24時間の宇宙滞在能力を目指す。計画では、先行して開発・運用されることになっていた。
- コア・モジュール
[編集] スタンダードシステム
上記のミニマムシステムに以下のモジュールを追加した構成。1ヶ月の宇宙滞在能力、月自由帰還軌道への到達能力を目指す。
- 拡張モジュール
- 居住用モジュール。長期間の宇宙滞在で使用。
- 推進モジュール
[編集] エコノミーシステム
ミニマムシステムを元に、宇宙旅行向けに低コスト化を図った構成。
- 宇宙観光用コア・モジュール
- 標準型コア・モジュールをベースとして開発する宇宙旅行用のコア・モジュール。搭乗定員5名(旅客4名)。
[編集] その他モジュール
上記の各システム用のモジュールに加え、以下のような追加モジュールも考えられていた。
- 宇宙実験室モジュール
- 実験用モジュール。放熱機構を装備。
- 宇宙作業ロボット型モジュール
- 先端部にマニピュレータハンドを装備したモジュール。
- 簡易居住モジュール
[編集] 特徴
- 使い捨て前提による安全性の確保
- 脱出ロケットやアブレーター(融除材)等、使い捨てカプセル型で一般的な技術を採用することにより、スペースシャトルのような再利用型に劣らない十分な安全性を確保する。
- GPSを利用した自動操縦により、精度の高い着陸を行う。最終的には、地上基地にピンポイントで着陸することを目標とする。
- コスト削減や技術開発、市場の拡大を進めるためオープンアーキテクチャ方式をとることを前提とする。具体的には
- システム/サブシステム間の機械/電気/熱的インターフェースなどの情報を公開
- 上記インターフェースの第三者使用に法的/金銭的制約を設けない
- 安全性も含めた、システム/サブシステム試験基準を公開
- を行う計画であった。また、打ち上げについてもH-IIAロケットに限定しないことが考えられている。
[編集] ふじの応用
コア・モジュールによる有人宇宙飛行の実現後、さまざまな形での利用法が考えられていた。
- 宇宙観光用のコア・モジュールを使用し、24時間の宇宙旅行を実現する。費用は、衛星との相乗りにより打ち上げ費用を削減することで、一人2億円程度と見込み。簡易居住モジュールによる無重力空間や、キューポラ(展望窓)による風景を提供する。
- 拡張モジュール・宇宙実験モジュールへの機能追加により、単独での飛行や長期間の宇宙滞在を実現。小規模な宇宙ステーションとして利用する。
- ふじをベースに、科学観測機器等を軌道上で結合。有人の月・小惑星探査用の宇宙船として利用する。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 参考文献
- 松浦晋也、『われらの有人宇宙船-日本独自の宇宙輸送システム「ふじ」-』、裳華房、2003年。