日垣隆
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日垣 隆(ひがき たかし、1958年7月30日 - )は、日本の作家、ノンフィクションライターである。
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[編集] 人物
長野県長野市生まれ。長野県長野高等学校・東北大学法学部卒。書店員、トラック配送員、販売員、編集者、といった様々な職業を経て(自ら「4度の倒産、3度の離婚」と語る。また、ニートだった時期もあったことを明かしている)、1987年より独立、作家、取材活動に入る。
批判対象を完膚なきまでに罵倒する攻撃的な筆致が特徴で、ベストセラー『買ってはいけない』や朝日新聞のコラム「天声人語」、評論家佐高信、日本共産党および筆坂秀世らを「斬って」きた。その一方で、イラク戦争に反対したり、日本共産党の市田忠義に一定の評価を与えるなど、従来の左右対立図式には当てはまらない幅広い分析をする。(日垣氏は、一応は自分自身に対して『保守』という言葉を使っている)
執筆分野は多岐に及ぶが、特に刑法39条を中心に日本の司法制度の欠陥を突いた著作が多い。既存のジャーナリズムに対する批判も活発で、「本書の執筆と出版によって、またしても私は幾つかの仕事の場を失いました」(『エースを出せ!』文庫版)といった記述が散見される。 有料メールマガジン「ガッキィファイター」を発行している。2004年に『そして殺人者は野に放たれる』で第3回新潮ドキュメント賞受賞。少年法批判論者として知られる。ちなみに、現在は「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)の辛口巻頭コラム「敢闘言」(”巻頭言”のもじり)など多くのコラムを執筆している。
[編集] 生い立ち
※注意…以下、文章中で『子どもが大事!』『いのちを守る安全学』の内容に触れています。
日垣が中学校3年生の時に、中学校1年生であった弟が同級生に突き落とされて殺害された。 加害者が刑法でも少年法でも罪を問えない13歳であり、また学校側はこの事件を学校事故として処理したので、 加害者は「のうのうと翌日から学校に来」た(『いのちを守る安全学』より)。 後に日垣は「最初のうちは(私の場合は5年くらい)、加害者の家族を殺そうと考えていました。 そのほうが、本人を単純に殺すより、ずっと『思い知らせる』ことができると思ったからです」と語っている。 実際に2回加害者の家に行ったこともあるという。しかし思いとどまる。
日垣の弟が殺された後、裁判になるがこの事件は日垣の家族に大きな苦しみを与え「家庭が崩壊するまでもう秒読み段階」となった。 3年後、日垣の2歳年上の兄が真夜中に「隠しカメラがある!」「自分は天皇の子だ」と叫び、翌日に病院に連れていかれた。 その後、日垣の兄は(1998年時点で)15年以上精神病棟で入院生活を続ける。 これらのことで日垣の父親も精神的に病んだ。
このような経験は日垣の人生に多大なる影響を与え、「少年犯罪」「人権への疑い」「家族」はそれぞれ彼のライフワークの一つとなる。 下記の著書の中では『子供が大事!』『少年リンチ殺人「ムカつくから、やっただけ」』『裁判官に気をつけろ!』『そして殺人者は野に放たれる』がそれらに関係した著作である。
[編集] 日垣隆に対する否定的な意見
- 谷沢永一や藤岡信勝のような保守派と化した元・共産主義者の履歴に触れず、『人権』を声高に叫びながらも、渡部昇一の大西巨人に対する『差別発言』に触れぬなど、見識のバランスに欠ける面が否めない。
- 履歴を無駄に飾るのだが、イラクから帰国後に「イラクの平和」をテーマに著した「それでも私は戦争に反対します」(編:日本ペンクラブ.平凡社)発刊直後の2004年4月に発生した「イラク日本人人質事件」において、内容とは明白に喰い違う自分の汚点を隠すかのように欺瞞と虚偽に塗れた擁護発言をする(その後の人質事件に関しては触れておらず)など、他者を批判できても自分の批判には耐えられないという諸刃の剣のような弱点が見られた。
- 格差社会的な保釈金制度や、長野県塩尻市で発生した後に迷宮入りと化した、2002年10月12日に発生した「カップル焼死体殺人事件」に見られる警察の怠慢、自身の著書の出版社の汚点ならびに権力の中枢期関の不正間係の闇の部分には触れておらず。
[編集] 上記批判に対する反論
- 日垣氏が「人権を声高に叫」んでいたかどうかは、判断が分かれる所であろう、むしろ『人権』という言葉の成立過程(アメリカ大陸におけるネイティブアメリカン侵略)に触れ、『人権』という言葉がそもそもの成立過程で他者(ネイティブアメリカン)の人権を侵害して自分の人権を守るものであったことを指摘している。世間一般の人権意識や人権団体の主張には懐疑的である。上記をもって「見識のバランスに欠ける」とまでは断言できないのではないか。
- 「履歴を無駄に~弱点が見られた。」以上の記述が何を指しているのか不明。「イラク日本人人質事件」について日垣は、「拉致される危険は本人たちで予測しておくべきであり、家族にあのような行動(人質事件の際に、イラクからの自衛隊撤退を訴える市民団体と結託して、『総理と直接話をさせろ』などと署名・デモ行動を起こす)を起こさせる者(しないように事前に説得できていない者)は最初から行くべきではない」という旨の記述をしている。さらにその後の人質事件についても、彼らが後に行なった記者会見でのコメントに対して、「ジャーナリストが軽々しく”使命”などと言うべきではない」と記述している。
- 触れていない事件をことさら取り上げて日垣氏の業績を低く評価することには疑問を感じる。なお、自身の著書を出版した信濃毎日新聞社の汚点については後年激しい勢いで言及している。
[編集] 著書
- されど、我が祖国 中国残留帰国者物語(信濃毎日新聞社、1988年)
- 信州教育解体新書(信濃毎日新聞社、1991年)
- <ルポ>高校って何だ(岩波書店、1993年)
- 「松代大本営」の真実 隠された巨大地下壕(講談社現代新書、1994年)
- 学問のヒント 「知」の最前線がわかる本(講談社現代新書、1997年)
- 情報の技術 インターネットを越えて(朝日新聞社、1997年/文春文庫、2001年〔『情報系 これがニュースだ』と改題〕)
- ご就職 大倒産時代を生きる知恵(郷土出版、1998年)
- 子供が大事!(信濃毎日新聞社、1998年)
- 敢闘言 さらば偽善者たち(太田出版、1999年/文春文庫、2002年)
- 少年リンチ殺人 「ムカつくから、やっただけ」(講談社、1999年)
- 「買ってはいけない」は嘘である(文藝春秋、1999年)
- 「学校へ行く」とはどういうことなのだろうか(北大路書房、1999年)
- サイエンス・サイトーク(同名ラジオ番組での科学者との対談集)
- 愛は科学で解けるのか(新潮OH!文庫、2000年)
- ウソの科学 騙しの技術(新潮OH!文庫、2000年)
- いのちを守る安全学(新潮OH!文庫、2001年)
- 偽善系 やつらはヘンだ!(文藝春秋、2000年/文春文庫2003年)
- 偽善系II 正義の味方にご用心!(文藝春秋、2001年)
- 何でも買って野郎日誌(角川書店、2001年)
- それは違う!(文春文庫、2001年〔『「買ってはいけない」は嘘である』に加筆して文庫化〕)
- エースを出せ! —脱「言論の不自由」宣言(文藝春秋、2002年/文春文庫、2004年)
- 情報の「目利き」になる! ――メディアリテラシーを高めるQ&A(ちくま新書、2002年)
- 裁判官に気をつけろ!(角川書店、2003年)
- そして殺人者は野に放たれる(新潮社、2004年/新潮文庫、2006年)
- 日本につける薬(実業之日本社、2004年)
- 現代日本の問題集(講談社現代新書、2004年)
- 世間のウソ(新潮新書、2004年)
- 売文生活(ちくま新書、2005年)
- いい加減にしろよ(笑)(文藝春秋、2006年)
- 使えるレファ本150選(ちくま新書、2006年)
- どっからでもかかって来い! 売文生活日記(ワック、2006年)
- 刺さる言葉―目からウロコの人生論-(角川書店、2006年)
[編集] 出演番組
- Science Xitalk (TBSラジオ、1999年10月~)
[編集] 関連項目
- 少年法
- 刑法39条
- 敢闘言
[編集] 外部リンク
- 日垣隆公式サイト ガッキィファイター
- サイエンス・サイトーク - パーソナリティーを務めるラジオ番組(ナイターオフ期間のみ放送)
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