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写真

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

写真(しゃしん、photograph、photography)とは、狭義には光学系を通して対象物を結像させ、ある時間露出することにより、物体で反射した(または物体が発した光)を感光剤に焼き付けたのちに現像処理を経て可視化したもの。 この過程はカメラと呼ばれる機械的、化学的または電子的機器を用いて行われる。

Photograph なので、光画とでも訳す場合もある。 "Photograph"という言葉は、イギリス科学者天文学者ジョン・ハーシェルが創案した。 英語で写真を指すphotographは、ギリシア語のφωσ phos (「光」)とγραφισ graphis またはγραφη graphê (「鉄筆」または「絵筆」)から来ており、合わせて、光を使った描画という意味である。 略してフォトという。 デジタル写真では写真といわず画像と呼ばれるようになりつつある。


目次

[編集] 歴史

カメラ・オブスクラの原理
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カメラ・オブスクラの原理

19世紀に写真が発明されるまでの数世紀もの間にも、風景が放つ光を平面に投影する試みは行われていた。 芸術家は、16世紀頃には立体の風景を平面に投影するために、カメラ・オブスクラやカメラ・ルシダと呼ばれる装置を用い、その中に投影された影をなぞって本物そっくりの風景画などを描きあげた。 これらの初期の「カメラ」は像を焼き付けて固定化することはできず、単に壁に開いた開口部を通して、像を暗くした部屋の壁に投影するだけ、つまり部屋を大きなピンホールカメラにしたようなものだった。 カメラ・オブスクラ という語の字義は暗くした部屋という意味である。

一方18世紀には、銀とチョークの混合物(塩化銀)は光に当てると黒くなるという1724年のヨハン・ハインリッヒ・シュルツの発明をはじめ、塩化銀やハロゲン化銀など化合物の一部は感光すると色が変わることが知られており、遊戯などに用いられていたが、これとカメラを組み合わせようという発想はなかった。

カメラ・オブスクラの映像と感光剤とを組み合わせ、映像を定着させる写真術の発明は、19世紀初めに同時発生的になされた。この時代は、美術では現実を誇張するロココの時代から自然や真実を探求する意欲に燃えリアリズムを追求するロマン主義へ移行した時代であり、また大勢誕生した中産階級による肖像画の需要が高まっていた時代であり、石版画というメディアが新聞図版や複製画などに活用され大衆化しつつあった時代でもあった。自然のままの画像を手に入れること、それを量産することへの需要が高まった時期である。

[編集] カメラ発明と化学研究の歴史

ジョゼフ・ニセフォール・ニエプスによる世界最初期の写真 1827年
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ジョゼフ・ニセフォール・ニエプスによる世界最初期の写真 1827年
上の写真のスケッチ
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上の写真のスケッチ

[編集] ニエプスの発明

最初の写真は、1827年にフランス人発明家ジョゼフ・ニセフォール・ニエプス (Joseph Nicéphore Niépce) による、石油の派生物であるユデアのアスファルト(瀝青)なるものを塗布した、磨いたシロメ(白鑞)の板に作成された画像である。彼はもともと石版画制作に興味を持っており、やがて手で彫るのではなく光で自動的に版を作る方法を模索した。瀝青は光に当てると硬くなって水に溶けなくなるため、これを使って印刷用の原版を作ろうとした。彼はこれをカメラ・オブスクラに装填して自然の映像を定着させることを思いつき、試行錯誤の結果1827年に自宅からの眺めを写した最初の写真を撮影した。 カメラによる画像ではあったが、明るい日光のもと8時間もの露出が必要だった。

その後ニエプスは、1724年のヨハン・ハインリッヒ・シュルツの発明に基づき、銀化合物を使った実験を始めた。

[編集] ダゲレオタイプ

シャロン・スール・ソーヌのニエプスと、パリで舞台背景画家・パノラマ画家・ジオラマ作家として成功していたルイ・ジャック・マンデ・ダゲール1829年以降協力して、既存の銀方式を改良した。

ダゲレオタイプによるエドガー・アラン・ポーの肖像。1848年
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ダゲレオタイプによるエドガー・アラン・ポーの肖像。1848年

1833年、ニエプスは脳卒中で死んだが、彼のノートはダゲールに遺された。 ダゲールには科学の素養は無かったが、元々だまし絵作家であった彼には本物そっくりの画像を作り出したいという願望があった。彼は化学の研究を進め、二つの重要な貢献を残した。 まず銀をヨウ素蒸気に曝露し、それから光に露出し、その後水銀の蒸気に当てることにより、隠れた画像を作ることができることを発見した。これが潜像であり、露光時間の短縮に役立った。 また、こうしてできた板を塩水に漬けると像を固定でき、それ以上光に晒しても変化を起こらなくさせることに成功した。

1839年、ダゲールは銅版にハロゲン化銀を乗せた方式を発明し、これをダゲレオタイプ(銀板写真)と呼んだ。 これはニエプスの考えたように複製を無数に作ることはできず一枚限りのものだったが、これに似た方式は、今日でもポラロイドで使われている。 ダゲレオタイプは1839年のフランス化学・芸術アカデミー席上で発表され、世界にセンセーションを起こした。フランス政府はこの特許を買い上げ、直ちにパブリックドメインにした。やがて多くの技術者達が改良を急速に進めていった。また、1840年代にはダゲレオタイプ熱が吹き荒れ肖像写真ブームが起きた。

[編集] カロタイプ

イギリスの貴族、ウィリアム・フォックス・タルボットは、イタリアへの休暇旅行でスケッチの際にカメラ・ルシダを使ったことからこれに興味を持つようになり、もっと手軽なスケッチの手段として画像を定着させる研究をはじめた。ダゲールに先んじる1835年頃、カメラの画像から、黒白の反転した陰画を銀方式で固定する手段を発見していたが、これを秘密にしたまま途中で放棄しており、数学など別な研究を進めていた。 しかしダゲールの発明を知ったタルボットは奮起し、彼の方式を改良し、人物の写真が撮れるぐらい短時間で撮れるようにした。

タルボットの撮ったカロタイプ。ウィルトシャー州の働く大工、1842-43年
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タルボットの撮ったカロタイプ。ウィルトシャー州の働く大工、1842-43年

1840年までにタルボットは、ジョン・ハーシェルら多くの科学者の協力を得てカロタイプ方式を発明していた。 カロタイプでは、紙に塩化銀を塗布し、中間的な陰画(ネガ)を取るのに使い、ここから別の感光紙に密着焼付けを行い陽画(ポジ)を得る方式をとっていた。 繊維のある紙を使うため、金属板を使うダゲレオタイプとは異なり鮮明さでは劣ったが、カロタイプの陰画は陽画を焼くのに何度でも使えて複製が作れるというダゲレオタイプにはない利点があった。1843年には彼は写真工房を作り、複製能力を生かした写真集の出版を開始した。1844年に出版した『自然の鉛筆(Pencil of Nature)』は特に有名である。この『自然の鉛筆』は世界最古の写真集とされている。

タルボットはこの方式を特許としたので、その利用は大きく制限された。後述のコロジオン法などに対しても特許侵害だと主張した。 彼は残りの人生を写真家たちを相手に特許を守る裁判に費やしたが、敗訴に失望して最後には特許を放棄した。 しかしカロタイプの技術はフランスなどで改良され、1850年代よりフランス政府により自然、建築、産業、災害、遺跡などの記録を残すプロジェクトが始まり、フランス国内外の多くの風景が記録された。また、後にアメリカのジョージ・イーストマンはタルボットの方式を改良し、これが今日の化学フィルムカメラで用いられる基本技術になっている。

[編集] バヤールの発明

フランスのイポリット・バヤールも独自に紙と銀化合物を使用したカロタイプに似た写真技術を開発し1839年ごろには撮影に成功したが、発表が遅かった上ダゲレオタイプの普及と研究を推進するアカデミーに無視されたので、最初の発明者としては認識されていない。1840年、彼は抗議の意味を込めて、身投げして溺れ死んだ死体に扮装した自分自身を撮影して公表したが、これは世界初のセルフ・ポートレイト写真(自写像)とされる。

[編集] コロジオン法

1851年、フレデリック・スコット・アーチャーがコロジオン法(湿式コロジオン法)を発明し、金属板に代わりガラス板を使ったネガ版を作る写真術を導入した。またこれに先立ち、スロベン・ジャネス・プハールは1841年にガラス面へ写真を撮る技術を発明し、1852年7月17日、パリの国立農工商大学?で認知されている。

ガラス板によるコロジオン法はダゲレオタイプの鮮明さとカロタイプのネガポジ方式の複製可能性の両方を併せ持っていたため、1850年代にはダゲレオタイプに代わり、肖像写真の主流となってゆく。また印画紙のハロゲン化銀を凝結させるために卵白を使った新しい印画紙、アルビュメン・ペーパーも開発され、その弱点であった色あせやすさも次第に改良された。

この頃から肖像写真のほかに記録写真が出現し、一方でアマチュアらにより心情を反映した写真も撮られるようになった。

コロジオン法を使った風景写真には、ギュスターブ・ル・グレイの作品のように光や水や空気感のうつろいの一瞬を捉えたものも出始め、写真は静止した風景から次第に動きを感じさせる風景に関心を見せるようになる。

クリミア戦争で現像用馬車に乗って戦地を回ったロジャー・フェントンや、アメリカ南北戦争でのマシュー・ブレイディ、アレクサンダー・ガードナー、ティモシー・オサリバンらによる報道写真も登場したが、この写真技術の感度では戦闘の激しい瞬間は写せなかった。その代わり物資の運搬風景、兵士たちの写真、戦いの舞台となった後の荒野やあちこちに横たわる戦死者などを撮影したが、これらは当時としては大きな反響を呼んだ。その他、植民地化や欧米の帝国主義の進出に伴い、開国したばかりの日本をはじめ欧米以外の世界の風景や風習がヨーロッパ人によって撮影されるようになった。

コロジオン法の普及により豊かな層の中には自分で写真機を買う者もあらわれ、アマチュア写真家も多く出現した。ジュリア・マーガレット・キャメロンは絵画的な肖像写真を多数撮影し、写真家にして児童文学者ルイス・キャロルは多くの少女達の写真を密かに撮影した。

[編集] ゼラチン乾板

1871年、リチャード・リーチ・マドックスによって臭化銀をゼラチンに混ぜた感光乳剤が開発され、ガラス板に乳剤を塗ったゼラチン乾板が1870年代末期以降、湿式コロジオン法に代わり普及するようになった。ゼラチン乾板は感度も高く、また撮影者自身が用意しなければならないコロジオン湿板に比べて工場で大量生産し予めたくさん用意することができた。

これによって、野外での撮影の機動性も飛躍的に高まったほか、これまでの感度では撮れなかった動く人々が撮れるようになった。エドワード・マイブリッジによる、走る馬や跳ぶ人間の動きの瞬間を捉えた連続写真もこれで撮影された。

[編集] 写真の社会史

[編集] 大衆化

ダゲレオタイプは、産業革命の頃の中産階級から沸き起こる、肖像画が欲しいという需要に応えるため、1840年代のヨーロッパに熱狂的に広まった。 この肖像画需要は、油彩画では量的、コスト的に合わなかったので、写真技術の発展を後押しすることになった。 ダゲレオタイプは美しい画像が撮れたが、原板が壊れやすく複写も難しかった。 スタジオで肖像画一枚を撮るのに、2006年の物価に換算して1000米ドルほどかかることもあった。 写真家は、安くたくさんのコピーを作る方式へ改良するよう化学者に要請し、これが後にコロジオン法の登場やタルボットの方式(ネガポジ方式)への回帰につながる。

究極的には、現代の写真処理は、1840年から最初の20年の一連の改良に基づいている。 1884年、ニューヨークのジョージ・イーストマンは紙に乾燥ゲルを塗布する方式を開発し、もはや写真家は乾板の箱や有毒な化学物質を持ち歩かなくて済むようになった。 1888年7月、イーストマンの設立したコダックカメラが「あなたはボタンを押すだけ、後はコダックが全部やります」との触れ込みで市場に参入した。 こうして現像サービス企業が登場し、誰でも写真を撮ることができる時代となり、複雑な画像処理の道具を自前で持つ必要はなくなった。 1901年にはコダック・ブラウニーの登場により写真は大量生産市場に乗った。1925年の35mmライカカメラの登場で大衆性、カメラの持ち運びやすさ、フィルム交換の手軽さは高まり、スナップ写真が一般化するなど機動性はさらに増した。

20世紀以降、カラーフィルムやオートフォーカスや自動露光が標準になった。 画像の電子記録もますます広まっている。 21世紀の現在、デジタルカメラでは液晶画面でのインスタントプレビューが可能となり、最新モデルの解像度は高品質の35mmフィルムのそれを越えている。 その一方で、低解像度のモデルは気軽に買える値段になり、写真を撮ることや写真家になることへの敷居はますます低くなっている。

白黒フィルムを使う熱狂的な写真家にとっては、1925年の35mmライカカメラの登場以来変わった点はほとんどない。

[編集] 経済史

19世紀には写真は商業サービスとして速やかに広まった。 エンドユーザーへの写真器具の販売は工業利益のわずか20%だった。

20世紀末から広がったカメラ付き電話のような、電子技術や通信サービスの発展に連れて、通信技術の進化を全体的に理解するためには、画像利用の経済学的な理解がますます重要になってきている。

[編集] 写真の原理

[編集] 銀塩による写真の原理

ハロゲン化銀は光を与えると、銀イオンが還元され、イオン化されない銀ができる。感光して銀になってもそのままでは画像にはならない。感光した部分にある銀はごく少量のため、有意な量まで銀を増やす必要がある。これは現像液で行なう。又、感光しなかった部分はそれ以上感光しては困るため、不要な部分の銀分子は取り除く必要がある。これは定着処理で行なう。

ハロゲン化銀は感光する時、波長を吸収する領域は青色によっている。そこで、可視領域にわたって感光させるために、感光色素を用いて本来の吸収波長以外にも反応が起こるように設定する。まず、感光色素が光に反応し、色素の電子がハロゲン化銀の方に移動する事によって、ハロゲン化銀が直接感光するのと同じような作用を行なう。特定の光の波長領域にのみ感光するようにし、三原色に対応するように感光層を重ねるとカラーフィルムになる。

[編集] 光の量と感光量

基本的に写真は光の量(単位時間あたりの光の量×光が当たっていた時間)によって感光量が決まる。この事を相反則という。しかし、入射した光の量と感光量は正比例ではない。

まず未露光部は、ベースフィルム以上の透明度にはならない。逆にある一定以上の光を当ててもそれ以上画像が濃くならない。感光するハロゲン化銀は有限だからである。従って、光の入射量と画像の濃さをグラフにすると、習熟曲線(?)のようなカーブになる。カーブの途中は直線状態であり、この部分の傾きの事をガンマという。

更に、非常に暗い場合や非常に短時間の露光の場合には相反則が成立しない場合がある。これを相反則不軌という。相反則不軌は、例えば、天体写真を取る時に大きな問題となる。相反則不軌は、カラーフィルムでは、さらに問題になる。各色ごとの相反則不軌の状態が異なるからである。

[編集] アスペクト比

デジタルカメラによる写真のアスペクト比(縦と横の比)については次の規格が主流である。横長の順に並べてある。また、デジタルカメラの場合、パソコンとの親和性から以前は「4:3」の比でしか撮影できない機種が多かったが、現在では複数の比率から選択できる機種も多い。

一般的なDPE店に依頼して行う写真の印刷の場合、小型紙のサイズでは次の規格などがある。

  • Lサイズ(89m×127mm)
  • DSCサイズ(89mm×119mm)
この節は執筆の途中です この節は、書きかけです。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

[編集] 画像撮影機器

カメラまたはカメラ・オブスクラは画像撮影機器である。 写真フィルムまたは電子的記録カードが記録媒体であるが、ほかの方法が使われることもある。 例えば、光学コピーや乾式コピー(ゼロコピー)は恒久的な画像を作るが、写真フィルムではなく静電気の移動を使っているので、電子写真術という。 マン・レイの刊行したレイヨグラフなどフォトグラムは、印画紙に投影された影でできた画像であるので、カメラを用いない。 電子写真を撮るために、スキャナのガラス面に直接撮影対象を置くこともある。

写真家は記録媒体を必要な量の光に露出するため、カメラとレンズを制御する。 (記録媒体として通常は写真フィルムか電荷結合素子(CCD)。金属酸化物半導体を使うこともある。)

制御には以下の項目がある:

  • レンズの焦点
  • レンズの絞り(アパーチャ)。レンズを通過する光の量を制御する
  • レンズの焦点距離と形式(望遠、マクロ、広角、ズーム)
  • 対象と記録媒体の間のフィルターまたは覆い。レンズの前後のこともある。
  • 露出時間
  • 色/波長の強さに対する記録媒体の感度
  • 記録媒体の性質。例えばピクセル数や銀塩の粒子径で表される解像度

カメラの制御は互いに関係しあっている。 フィルム面に到達する光の総量は、露出時間、レンズの絞り、そしてレンズの焦点距離に比例して変わる。 これらの制御項目のひとつでも変えれば露出が変わる。 多くのカメラはレンズの絞りを焦点の変化に合わせて自動的に調整してくれ、さらに一部のものはズームの変化にも合わせてくれる。

露出時間はシャッタースピードで表され(物理的なシャッター機構を持っていないカメラであっても)、普通は秒の逆数で表示されている。 絞りはf数またはfストップで表示されているが、これは開口の直径と焦点距離の比に比例している(fは焦点比(focal ratio)のf)。 f数がルート2分の1倍になるごとに、絞りの直径はルート2倍大きくなり、絞りの面積は2倍になる。 典型的なレンズに付けられたfストップは、2.8、4、5.6、8、11、16、22、32といった数字で書かれているが、これはひとつ進むごとにフィルムに到達する光の量が倍になるという意味である。

露出はシャッタースピードと絞りのさまざまな組み合わせで実現する。 例えば、125分の1秒でf/8と、500分の1秒でf/4では、同じ量の光が得られる。 どの組み合わせ選んだかは最終的な仕上がりに影響を与える。 シャッタースピードに応じてさまざまな値になる対象とカメラの動きに加えて、絞り(そしてレンズの焦点距離)は視野の深さを決める。 深さとは、焦点の合ったときのレンズからの距離である。 例えば、長いレンズに大きい絞り(f/2.8とか)を使用した場合、対象の目には鋭い焦点が合うが、同時に鼻の頭には焦点が合わない。 逆に小さい絞りまたは短いレンズを使えば、対象の目にも鼻にも焦点が合う。 ピンホールのような非常に小さい絞りを使うと、幅広い距離に焦点が合わせることができる。

イメージキャプチャーは画像生成の一過程である。 材質に関わらず、カメラが捕らえた像を最終的な写真作品にするには、何らかの工程が必要である。 この工程には現像と焼き付けの二つがある。

焼きつけ工程では、いくつかの調整によって焼きつけ結果を変えることができる。 こうした調整の多くはイメージキャプチャーで行われる制御に似ているが、焼きつけ工程に独特なものもある。 大部分はデジタルに等価な概念があるが、違った効果をもたらすものもある。 例えば、覆い焼きと焼きこみは、デジタルのそれとフィルムの処理では異なるものである。 これ以外の調整には次のようなものがある:

  • フィルム現像で用いる化学物質と化学反応
  • 露出時間
  • 焼きつけの絞り
  • コントラスト
  • 覆い焼き(焼きつけの一部だけ露出を減らし、画像を明るくする)
  • 焼きこみ(一部だけ露出を増やし、画像を暗くする)
  • 印画紙の品質(つやの有無、マット、その他)

[編集] 写真の利用

写真は、その誕生したときより多くの科学者や芸術家の関心を集めてきた。

科学者は写真を記録と研究に利用した。 例えば、エドワード・マイブリッジの、連続写真を使った人間の動きに関する研究(1887年)などである。これはそれまで人の目では見ることのできなかった一瞬の動きを写し出しており、人々の視覚に与えた影響は大きかった。また19世紀後半からの世界各地での探検や人類学的調査や遺跡調査などの記録写真、あるいは天文写真や顕微鏡写真などは、人類の知識や視覚を大きく変えてきた。

芸術家もこれらの側面に関心を持ったが、現実を光学機械的に写し取ること以外の方向性を模索した。 例えば、ピクトリアリスム運動など、絵画を思わせる写真を作ろうという動きがそうである。一方で、わざわざ絵画らしくしなくとも写真本来の持ち味を生かして鮮明な物の形を撮ろうというストレートフォトグラフィの動きが現れた。写真はしばしば「ただの記録技術であり、芸術ではない」という攻撃を受けてきたが、対象の選択や対象との距離のとり方、シャッターを押すタイミングなど、撮影者の心情や世界の見方が非常に色濃く出る表現手法であり現代の芸術の欠かせない一部である。

ジャーナリストも写真を使って事件や戦争、人の暮らしぶりなどを記録して来た。報道写真の萌芽は写真発明直後のクリミア戦争の戦場記録写真などに現れている。 軍隊警察、警備隊も、偵察、調査、捜査、裁判などのデータ記録に写真を利用する。 また写真技術は一般の人々にとっても、スナップ写真を撮ったりお気に入りの記録を保存するなど、娯楽の一種としても使われる。

[編集] 写真のタイプ

[編集] カラー写真

セルゲイ・ミハイロヴィチ・プロクジン=ゴルスキーによるカラー写真、1910年代にロシア帝国各地で撮られたもののひとつ
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セルゲイ・ミハイロヴィチ・プロクジン=ゴルスキーによるカラー写真、1910年代にロシア帝国各地で撮られたもののひとつ

カラー写真は1800年代に開発が始まった。 初期のカラー実験では画像を固定することができず、また退色が避けられなかった。 最初の恒久的カラー写真は1861年に物理学者ジェームズ・クラーク・マックスウェルによって撮影された。

初期のカラー写真を撮る方法は、三つのカメラを使うというものだった。 それぞれのカメラがレンズの前にカラーフィルターを持っていた。 この技法は暗室や画像処理工程に三系統の処理設備を必要とした。 ロシア人写真家セルゲイ・ミハイロヴィチ・プロクジン=ゴルスキーは、別の技法を開発した。 これは三枚のカラー乾板を素早く連続して撮影するというものだった。

この技法が実際に用いられた背景には、初期のフィルムがごく限られたカラーレスポンスしか持たなかったことがある。 しかし1900年代に入ると、H.W.フォーゲルのような光化学者たちの活躍により、ついに緑と赤に適当な感度を持つ乳剤が発売された。

フランス人のリュミエール兄弟によって発明された最初のカラーフィルムであるオートクロームは、1907年に市場に現れた。 これは染料で染めたジャガイモでんぷんで作られた「スクリーン板」フィルターに基づいたもので、ドイツのアグファ1932年に類似のアグファカラーを発売するまでは市場の唯一のカラーフィルムだった。 1935年アメリカのコダックが三色乳剤を採用した最初の近代的なカラーフィルム(integrated tri-pack)であるコダクロームを発売した。 1936年にはアグファのアグファカラーノイエが追従した。 アグファカラーノイエのカラーカプラは、コダクロームのトライパック方式とは異なり、乳剤が層状になっており、フィルムの処理が大幅に簡略化されていた。 コダクロームを除くほとんどの近代的カラーフィルムは、アグファカラーノイエの技術に基づいている。 インスタントカラーフィルムは1963年にポラロイドから発売された。

興味深い注釈として、コダクロームの開発者だったレオポルド・マンネスとレオポルド・ゴドウスキ・ジュニアは、どちらも熟達した音楽家だった。 ゴドウスキーはジョージ・ガーシュウィンの従兄弟であり、彼の父レオポルド・ゴドウスキーは世界で最も偉大なピアニストの一人だった。

カラー写真は、スライドプロジェクタで使うための陽画の透過フィルムとして像を撮ることもできるし、陽画の焼き付けを作るためのカラー陰画を作ることもできる。 自動プリント機器が登場したために、現在では後者が最も普通のフィルムである。

[編集] デジタル写真

写真処理施設へアクセスできないような遠隔地で仕事をする写真家(例えば新聞記者)にとって、伝統的な写真は少なからず大荷物だった。 テレビジョンとの競争が激化するにつれ、新聞に載せる画像をより短時間で送付しなければならないという圧力が生まれてきた。 そこで遠隔地で仕事をするフォトジャーナリストたちは、小型の写真現像セットと、電話線で画像を送るための道具を持ち歩くのが当たり前な時代があった。

1981年ソニーが、画像撮影にCCDを使い、フィルムが要らない最初のコンシューマ用カメラ「マビカ」を発表した。 マビカは画像をディスクに保存するのだが、その画像そのものはテレビに表示するので、完全にデジタルとはいえなかった。 1990年コダックが初の市販デジタルカメラDCS100を発表した。 その価格は、フォトジャーナリズムか業務用でもなければ手の届くものではなかったが、とにかく商業的なデジタル写真術がこのとき生まれたのだった。

デジタル写真術は画像をフィルム上の化学変化としてではなく電子データとして記録するために、CCDのような電子センサを用いる。 携帯電話のようなその他の機器も、最近ではデジタル写真機が付いているものもある。

デジタル写真術を本当の写真と認めない写真家もいるが、実際のところ、デジタル写真は写真と呼ぶべき全ての要求事項を満たしている。 化学反応こそ使っていないが、デジタルカメラはその向いた方向の画像をキャプチャーし、それを後で見ることができる。 この10年で、デジタルの自動露出・自動焦点カメラは広く行き渡った一般向け商品になってきた。 こうしたデジタルカメラはいまやフィルムのカメラよりもよく売れているし、多くが動画音声を撮れるといったフィルムのカメラにはない仕様を持っている。

2004年1月、コダックは「2004年末をもって35mmリローダブルカメラの生産を打ち切る」と発表した。 これはフィルム写真術の終焉と受け止められた。 しかし、当時のコダックはフィルムカメラ市場では小さな役割しか持っていなかった。 2006年1月、ニコンも同様に、2つのモデルを除いた全フィルムカメラの生産を打ち切ると発表した。 生産を続けるのはローエンド機ニコンFM10と、ハイエンド機ニコンF6の2種類である。 2006年5月25日、キヤノンは新しいフィルムSLRカメラの開発を中止すると発表した。 35mmカメラおよびAPSコンパクトカメラの値段は下落してきた。 これは恐らくデジタルカメラとの直接の競争、および中古フィルムカメラ市場が拡大したためであろう。

デジタル写真術については、倫理面での問題が浮き上がってきている。 多くのフォトジャーナリストは、写真を改変してはいけないという道徳感を持っており、複数の写真を組み合わせて一つの「イラストレーション」を組み上げ本物の写真を装うのは禁じられている。 多くの裁判所では、デジタル写真は容易に改変しうるという理由で、証拠として採用されない。 今日のテクノロジを使えば、初心者の写真家でも容易に写真を加工できる。 Adobe Photoshopなどの画像処理ソフトウェアは、かつては暗室で厖大な時間を費やさなければできなかったような、倫理的な問題を起こす画像加工が即座にできる。色合い、コントラスト、露出やシャープネスをクリック一つで初心者にすら調整できるのだ。

[編集] デジタル対フィルム

デジタルとフィルム、二つのフォーマットのどちらが優れているかという議論がある。 どの観点においても一方がもう一方よりも優れていると言うのは難しい。 むしろ、どちらのフォーマットもそれぞれ固有の良さがあると言うべきだろう。 この節では個々の観点での議論を紹介する。

[編集] 品質

静止画写真の品質を評価するのに使う尺度にはさまざまあるが、中でも最も議論されるのは空間分解能、すなわち写真を分解する点の個数である。 これは、その写真が何個の画像セル(ピクセル)で構築されるかで計る。

しかし、フィルムとデジタルで分解能の比較をするのは複雑である。 分解能を測定するのは、さまざまな条件に依存するためである。 フィルムに関して言えば、使うフィルムのサイズ、使うフィルムのスピード、およびカメラに据えたレンズの品質に依存する。 加えて、フィルムはアナログ媒体であるからピクセルというものが存在せず、ピクセルで計った分解能は単なる目安でしかない。

同様に、デジタルカメラは公称のメガピクセル値を実力で出すことはめったにない。 また、デジタルカメラでは、画像を保存するときのピクセル数、センサフィルタのバイエルパターン(Bayer pattern)の効果、およびセンサ画像をピクセルに補間するときに用いる画像処理アルゴリズムなどの条件が重要になる。 加えて、デジタルセンサは長方形パターンで敷き詰められているのが普通で、このためにモワレ模様の影響を受けやすいが、フィルムでは粒子がランダムな並び方をしているのでこのような効果の影響はない。

35mmフィルムカメラで撮影した写真の解像度評価は、まちまちであるが、概ね12メガピクセルといった評価が多い。 例えば、より粒子の細かいフィルムを使うとこの数字は上がるし、低品質の光学系を使ったり照明が悪ければこの数字は下がることもありうる。 R.N.クラークの解析の結果は次の通り: 「フィルムのデジタルメガピクセル等価数は非常に変わりやすく、また大まかに言ってフィルムスピードに依存する。ISO 50から100の低速で微粒子の35mmフィルムなら8から16メガピクセルに等価である。ISO 400フィルムはおよそ4メガピクセルしかない。」 これだと、2006年時点の最新鋭デジタルカメラは35mmフィルムカメラよりも優れているという評価になる。

しかし、35mmフィルムは一般消費者向けカメラの標準フォーマットであって、プロ向けフィルムカメラはミディアムフォーマットないしラージフォーマットを使う。 これらはフィルムのサイズが大きいために、2006年現在の最新鋭デジタルカメラより数倍優れた分解能を持つことになる。 例えば、ミディアムフォーマットのフィルム写真はおよそ50メガピクセル、ラージフォーマット(4×5インチ)なら200メガピクセルにもなる。 通常のフィルムでは最大の8×10インチではおよそ800メガピクセルに等しくなるだろう。

一級品の高品質レンズを通し、理想的な絞りで露出した、現代の低速の白黒フィルムの分解能は、30メガピクセル以上のファイルサイズにおいて、適当な細かさが得られる。 一般消費者向け35mmカラーフィルムでは12メガピクセル以上の有効分解能が得られるが、安い35mm全自動カメラでも8メガピクセル以上の解像度は出せる。

異なるタイプのカメラで比較する場合、画像を表示するのに使う媒体も考慮に入れる必要がある。 例えばある写真がテレビやコンピュータのディスプレイ(2006年時点ではそれぞれ2メガと1.3メガピクセルの解像度しかない)でのみ表示できるというのであれば、ローエンドのデジタルカメラで出せる解像度があれば十分と言える。 標準的な4×6インチのプリントに出力する場合に限れば、デジタルとフィルムの間に知覚できるような品質の差があるのかどうかは議論の余地がある。 出力媒体が大きな広告版なのであれば、より大きい解像度の媒体か、大きな判が必要になるだろう。 プリントサイズがより大きければ、高品位の35mmフィルム写真が望ましいだろう。

長時間露出写真術については例外があることを付け加えなければならない。 現在利用可能なテクノロジーでは、デジタルカメラで撮影する画像に、熱雑音と製作不良から発生するランダムノイズが乗る。 一部のデジタルカメラでは、これに対抗するために長時間露出することでノイズを軽減する機能が付いている。 非常に長期間露出する場合、ノイズが最終的な画像に影響を与えないように、ディテクターを低温で動作させる必要がある。 フィルムの粒子は露出時間の影響を受けないが、長時間露出すると見かけのフィルムスピードが変わりカラーバランスが崩れる。

[編集] 便利さと柔軟性

便利さと柔軟性は、デジタルカメラを幅広く受け入れさせた主要な駆動力の一つである。 デジタルカメラが登場する以前は、ひとたび写真を撮ったらフィルムのロールは使い切った上で、現像のために現像所へ出さなければならなかった。 そしてフィルムが戻ってきたとき初めて写真を見ることができる。 一方、ほとんどのデジタルカメラは液晶ディスプレイを備えており、撮った直後に写真を見ることができる。 こうして撮影者は不要な写真を削除して、再撮影の機会を作ることができる。 ユーザーがプリントしたければ、良い写真だけをプリントすることができる。

デジタルのもうひとつの長所は、写真をパソコンに移動させて加工するのが容易だという点である。 多くのデジタルカメラは画像を、センサーからの出力を画像に変換せずそのまま保存するRAWフォーマットで保存することができる。 適当なソフトウェアと組み合わせれば、最終的な画像に「現像」する前に、撮った写真のパラメータ(シャープネスなど)を調整することができる。 さらに洗練されたユーザーなら、記録された画像の内容そのものを加工したり書き換えたりするほうを選ぶかもしれない。

フィルム写真もスキャニングという工程を経てデジタル化することができる。 こうしてデジタル写真と同様に加工することができるようになる。

[編集] 費用

費用に関しては、フィルムとデジタルでは異なる論点が重要視される。 デジタルでは、カメラは似た性能のフィルムカメラよりかなり高価になる傾向にある。 これは、写真を撮るのには事実上コストがゼロであるという事実で相殺される。 写真は無料で撮れ、複写はインターネットを通じて無料で配布できるのだ。

これは、フィルム写真術では、高品質のカメラほどシンプルでありそれゆえ廉価であるという点と対比しなければならない。 しかし、フィルム写真はフィルムと画像処理にコストがかかり続ける。 特に、フィルムカメラは、ひとたび撮影した後は即座に画像を見ることができないので、最終的な写真の品質を知ることなく、撮った全ての画像を処理しなければならない。

デジタル写真にもコストはある。 デジタルカメラはバッテリーを使うが、その一部は専用のもので少なからず高価である。 充電できるとは言え、バッテリーは使うごとに劣化し、定期的に買い替えなければならない。 デジタルカメラにはフィルムは無いが、画像を記録するメモリーカードやマイクロドライブを必要とし、それらは限られた寿命しかない。 さらに、デジタル画像を保存する機具を用意しなければならない。 普通は、これは光学ディスクということになろう。 物理的なプリントをするならば、写真業者に頼むか、撮影者自身が印刷しなければならない。

二つのフォーマットのコストの差は、撮影者自身の意図や、撮影の目的によってしばしば変わる。

[編集] 頑強さ

頑強さにおいては、現在のテクノロジーではフィルムがデジタルに勝る。 その強さのひとつは露出寛容度、言い換えれば露出過多または露出不足のネガから良い画像を得る能力である。 デジタル画像ではわずかに露出過多になると全てのデータがハイライトで飛んでしまう。 露出不足ではかなりの陰影の細部が失われる。 フィルムなら、特に白黒フィルムであれば、露出過多、露出不足のフィルムを使っても、なお正常な画像が得られる。

結像面に乗った塵は、撮影者にとっていつもつきまとう問題である。 デジタルカメラは、センサーが固定であり、またデジタルSLRでは塵を修正するのが難しいため、塵の問題には無力である。 しかし、一部のデジタルSLRでは、イメージセンサー面の塵を検知して補正し、ある程度選択的に塵を無視する機構が付いている。 フィルムカメラでは、画像ごとにフィルムを交換するので、塵は容易に対処できるし、正しい手順で清潔に扱えばほとんどの問題は低減できる。

[編集] 保存

フィルムとデジタルを比較するとき、保存媒体としての適不適を考慮しなければならない。

理想的な状態で処理され保存されたフィルムは、実質的に100年以上変わらず性能を発揮する。 金またはプラチナの色調を持つプリントは、ベース素材の寿命にのみ制約され、それはおそらく数百年であろう。

デジタル媒体が登場してから50年しか経っていないので、デジタル写真の保存能力はフィルムほどにはよく分かっていない。 しかし、保存を考えたとき、乗り越えなければならない三つの問題が存在する。 すなわち、記録媒体の物理的耐久性、記録媒体の将来の可読性、そして保存に使ったファイルフォーマットの将来の可読性である。

多くのデジタル媒体は長期に渡ってデータを保管する能力はない。 例えば、磁気ディスクと磁気テープは20年でデータを失い、フラッシュメモリーカードはそれよりやや短い。 高品位の光学メディアはもっとも耐久性のある記録媒体であろう。

記録媒体の将来の可読性を考えることも重要である。 記録媒体が長期間データを保持できたとしても、デジタル技術のライフスパンは短いので、しばしばメディアを読み取るドライブが無くなっていることがある。 例えば、5.25インチフロッピーディスクは1976年に初めて発売されたが、それを読めるドライブはわずか30年後には既に極めて珍品となっている。

また、データをデコードできるソフトウェアがまだ存在するかどうかも考慮しなければならない。 例えば、現代のデジタルカメラは画像をJPEGフォーマットで保存するが、このフォーマットはわずか15年前に登場した。 現在厖大な数のJPEG画像が生み出されていることが、この問題に影響を与えるに違いないとは言え、JPEGが100年後にもまだ読めるかどうかは分からない。

もっともプロ向けのカメラは画像をRAWフォーマットで保存するが、これが将来どうなるかはさらに不確定である。 これらのフォーマットの一部は、暗号化または特許で保護された専用データが含まれるため、単なる経済的理由で突然メーカーが放棄する可能性がある。 カメラメーカーがRAWフォーマットの情報を開示しない限り、こうした事情が将来RAWフォーマットを読むことを難しくしている。

しかし、デジタル保存にはこうした障害を乗り越えるいくつかの方策がある。 ファイルフォーマットの問題に対処するため、多くの団体がオープンでよく知られたファイルフォーマットを選んでいる。 こうすることで、将来ソフトウェアがそのファイルを解読できる可能性が増える。

加えて、多くの団体が数十年後にも読めるフォーマットに保存するためのアプローチを取っている。 これは、デジタルメディアの完全なコピーが作れる特長を利用している。 そこで、例えば将来読めなくなるまたはサポートされなくなる可能性があるフォーマットにデータを保存するのを止め、品質を低下させることなく新しいメディアにコピーすることができるのだ。 これはデジタルメディアにしかできないことだ。

[編集] 改変への耐性

フィルムが作るのは一次画像であり、これはカメラのレンズを通った情報だけを含んでいる。 オルトクロマティックのように特定の周波数領域に限られた感度、またはパンクロマティックの幅広い感度の違いはあるが、いずれにせよカラーで対象を見る。 現像技術の違いにより、最終的なネガやポジに微妙な差が出るが、ひとたびこの工程が終わればそれは永久に変わることがない。

フィルム画像は合成が非常に難しい。 それゆえ、画像が本物かどうかを重視する行政府や裁判では(パスポートや査証の写真)、フィルムはデジタルよりもずっと安全である。 デジタル画像は簡単にパソコンに移して改変できてしまうという欠点があるからである。

[編集] 写真のスタイル

[編集] 商業写真

商業写真の世界には以下のような分類がある:

  • 広告写真:サービスや製品を表現するために作られる写真。一般的にこれらの画像は広告代理店、デザイン会社、または自社のデザイン部門によって製作される。
  • 報道写真:新聞・雑誌記事の内容や考えを表現するために作られる写真。普通はその新聞社・雑誌社によって製作される。
  • フォトジャーナリズム:これは報道写真の一種と考えられる。フォトジャーナリズムの枠内で製作される写真は、ニュース内容の真実を物語る資料として受け入れられている。
  • ポートレート、結婚写真:画像のエンドユーザに対して直接製作・販売される写真。
  • 芸術写真:視覚を満たすための写真で、顧客に直接販売するために再生産される。

写真サービスの市場は、「百聞は一見に如かず」という格言を実演しているが、この格言は写真術の歴史において興味深い背景を持っている。 雑誌や新聞、ウェブサイトを立ち上げる企業、広告代理店やその他の団体が、写真術のためにお金を支払っている。

多くの人が自分自身のために写真を撮る一方、また多くの人が商業目的で写真を撮る。 写真を必要としそのための予算をもつ団体は、写真を利用するには以下のようないくつかの選択肢がある。その団体の誰かを撮影担当に任命する、外部の写真家を雇う、写真を公募する、またはストック写真を利用する権利を取得する、などである。

[編集] 芸術の一形態としての写真術

20世紀の間に、芸術写真とドキュメンタリー写真の両方が、英語圏の美術界とギャラリー業界に受け入れられてきた。 米国では、少数の学芸員が、写真をそうした業界に取り込ませるために生涯を掛けた。 中でも傑出した学芸員・編集者は、アルフレッド・スティーグリッツ、エドワード・スタイケン、ジョン・シャーカフスキー、およびヒュー・エドワードである。

写真の美術性は、特に芸術界では常に議論されるところである。 多くの芸術家が、写真は単なる画像の機械的再生産に過ぎないと主張する。 もし写真が本当の芸術であるなら、芸術としての写真は、写真の何が観客に美しいと感じさせるのかといった再定義が必要である こうした議論は、最も初期の「光で描いた」画像の頃に始まっていた。 ニセフォール・ニエプス、ルイ・ダゲールなどの最初期の写真家は賞賛を浴びたが、その中には芸術の定義と目的にかなうかどうか疑わしいものもいる。

クライブ・ベルはその古典的随筆「芸術」の中で、芸術と芸術でないものを分けるのは「意味のある形態(significant form)」であると述べている。

[編集] 技術

[編集] 機材

ラージフォーマットのレンズとマウント
拡大
ラージフォーマットのレンズとマウント

[編集] 撮影の対象等による分類

[編集] ジャンル・傾向・グループなど

[編集] 著名な写真家

詳細は写真家一覧を参照。

[編集] 日本の写真に関連する人物・施設・雑誌・賞

[編集] 著名な写真批評家

詳細は写真評論家を参照。

[編集] 写真に強い日本の美術館

[編集] 写真関連の日本のギャラリー・画廊

詳しくはCategory:写真のギャラリー自主ギャラリーを参照。

[編集] 写真の学校

[編集] 写真関連の主要雑誌(日本)

現在刊行されているもの。(廃刊されたもの、海外のものなどCategory:カメラ・写真の雑誌を参照)

  • アサヒカメラ朝日新聞社
  • 日本カメラ(日本カメラ社)
  • CAPA(学習研究社
  • デジタルCAPA(学習研究社)
  • 四季の写真(学習研究社)
  • 月刊カメラマン(モーターマガジン社)
  • フォトテクニック(玄光社)
  • デジタルフォトテクニック(玄光社)
  • コマーシャル・フォト(玄光社)
  • 日本フォトコンテスト(日本写真企画)
  • 旅写真(ニューズ出版)
  • 風景写真(風景写真出版)
  • 写真工業(写真工業出版社)
  • PHaT PHOTO(ぴあ
  • デジタルカメラマガジン(インプレスジャパン
  • デジタルフォト(ソフトバンククリエイティブ

[編集] 主な写真に関する賞

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

飯沢耕太郎 『世界写真史』 美術出版社

[編集] 外部リンク


 美術芸術文化

絵画 - 版画 - 浮世絵 - - イラストレーション - 彫刻 - 工芸 - 陶芸 - デザイン - 写真 - 映画 - 舞台芸術 - 建築 - 庭園


ウィキポータル:美術 - 舞台芸術 - 建築 - デザイン - 写真

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