仮想敵国

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仮想敵国（かそうてきこく）とは、ある国が国防計画を立案する際に仮に敵国と想定する国のことである（隣国が想定されることが多い）。英語では「a hypothetical　enemy」と表記するが必ず敵国となるという意味はなく、あくまでも想定である。しかしながら、一部には仮想敵国イコール敵国との誤解も存在する。

[編集] 意義

国防計画を策定する際に、どのような装備がいくら必要になるかという想定が必要になる。そのため、仮想敵国を想定する必要がある。多くの場合には隣国もしくは利害が対立する可能性のある国を対象とする。

アメリカ合衆国は友好国についても政変などにより敵国となった場合を想定して、国防計画を立てているといわれている。たとえば2つの世界大戦の間には日本が仮想敵国となっていることは有名であったが、同時にドイツばかりかイギリスまでも仮想敵国にしていたという。それに対する日本海軍もアメリカとの軍艦同士による決戦を想定して軍艦を建造していたが、実際の戦争は航空機中心の機動部隊が活躍する戦いになったため、想定とは異なったものとなった。

大日本帝国陸軍は1931年の満州事変以降、ソ連との武力衝突の可能性からシベリアの極寒地に耐えられる装備を整えていたが、その後日中戦争の泥沼化と経済制裁の結果、戦争遂行に不可欠な石油資源を確保するために南方侵攻に切り替えたためソ連を仮想敵国とした装備は無駄になった。

また日本の自衛隊は冷戦時代ソ連からの軍事的脅威が存在していたため、防衛計画では侵攻が予想される北海道を重点的に部隊配置を行っていた。これは「北方重視」と呼ばれ、北海道での運用を念頭において開発されたという90式戦車などが良い例である。また、近年では南西諸島などへの武力侵攻の可能性があるとして研究しているといわれている。