ショカツ
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ショカツとは元警視庁警察官佐竹一彦(故人)著の小説、及びそれを原作とする関西テレビ制作の刑事ドラマ。タイトルは所轄警察署を略した「所轄」から。
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[編集] 原作
時代は昭和期。主人公「僕」が捜査専科講習を終え、刑事としての実務研修のため派遣された城西署での一ヶ月間をボウガン襲撃事件を軸に回想する形で物語が進む。
盗犯係に配属された主人公の指導役となるのは五十二才の捜査主任、赤松作造巡査部長であるほかその内容はドラマとは大きく異なる。 (角川文庫 ISBN4-04-345105-9)
[編集] テレビドラマ
[編集] ストーリー問題点
2000年4月~6月の放送。ドラマ版は警視庁城南署を舞台にふたりの対照的な刑事がぶつかり合いながらやがて理想を同じくするまでになる姿を追う。
リアルポリスストーリーを副題とし真実の警察の姿に忠実になるよう描かれたようだが、実際にはそれほど現実的な警察描写が多かったわけではなく、むしろ紋切り型のいかにもという感じの「刑事ドラマ」に終始しており、また完全に刑事の姿のみを中心に描いており、他の警察描写はほんのおまけ程度にしか描かれておらず、警察全体の様相を描いた「ポリスストーリー」というプロットとは言い難い。
原作とドラマではストーリーが大きく異なるが、一応原作における警察描写などの雰囲気はドラマにも出来るだけ取り入れる形で制作された。
しかし、これがむしろ紋切り型のステロタイプな刑事ドラマの雰囲気を強くしてしまった感がある。これは、原作の舞台は昭和期(概ね1970年代後半)を舞台としているが、このドラマが放送されたのは2000年である。この為、原作の雰囲気をドラマに取り入れるとかなり古風な雰囲気が出てしまい、平成期にしては警察官の姿や警察庁舎、市民社会の描写などが古めかしくやや時代錯誤な雰囲気が出てしまう結果となった。1970年代ならば、このような雰囲気でも当時の社会情勢を鑑みて許容範囲だが、2000年という極最近の日本の社会情勢を鑑みると時代錯誤感否めない演出が目立つ。
また、佐竹氏の原作では完全に刑事課の職務を中心に描かれているので、警察活動全体の描写は殆ど見られない。また、刑事課や防犯課に熟した佐竹氏の主観による警察描写なのでそれ以外の警察部門に関しては主観から逸れているので殆ど描写されていない。特に交通部門、地域部門、鑑識部門、情報通信部門、機動隊部門などいずれも重要な警察活動を占める部門も、佐竹氏の主観には入っていない為に全く描かれずドラマにおいては触れられてすらいない。
警察全体を見通して描かれた警察描写とはなっておらず、殆ど全てが刑事警察、それも所轄の刑事課のみに固定された描写が目立ち、ポリスストーリーというよりコップストーリーに近い構成となっている。
原作者が元警察官なので警察考証に関しては忠実と思われがちだが、ドラマでは取調べで当たり前のように暴力を振るうシーンや、不当な別件逮捕、不当な身柄拘束を正当化する描写も多くみられており、警察考証に忠実であるとは言えない。
また、規則に厳しいという設定のはずの主人公でさえも、警察手帳(当時)を提示する際に、刑事ドラマに見られるドラマ的演出である「かざすだけ提示」で済ませている。しかし、警察規則に則るのならばこの提示は明らかに不十分であり身分提示に至っていない。
また、あまりにも女性警察官の姿を低く描いている点はいくらなんでもジュンダー意識が低過ぎて大袈裟過ぎるという批判も見られた。因みに劇中では九条を除く女性警察官が警察活動を行うシーンは殆ど全く描かれていない。
また劇中に多く見られた「捜査活動における暴力描写」では実際の警察では捜査取調べで暴力を振るうことは違法行為とされており、あのような暴力行為も認められていない。にも関わらず、劇中では本庁公認の上で当たり前のように行われる正当行為として描かれており、この点もアンリアリティ描写が強い。
また、冒頭の大臣逮捕も通常は警察よりも検察主導で行われるのが通例で、さらに逃走しているわけでもない閣僚を非常線を敷いてまで捕獲するような捜査は日本の警察ではまず行われない。
私服警察官(いわゆる刑事)の姿に関しては、劇中では独断専行で単独捜査を行う女性刑事や、出てくる刑事も皆、強面で暴力的な、いわゆる紋切り刑事ドラマにおける典型的な刑事ドラマ的刑事しか出てこない。
しかし、現実にはあのようないかにも強面な顔付きの刑事など殆どおらず、暴力的で喧嘩っ早いような者はむしろ刑事にはなりにくいという現状がある。独断行動を容認されるような刑事も現実にはいない。警察官は最低限二名での捜査活動を犯罪捜査規範で規定されており、情報共有もしない捜査員が処罰もされないというのは明らかにリアリティに欠けている。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- 羽村斗馬 (松岡昌宏)
- 警察庁採用の見習い刑事・警部補(キャリア)。
- 東京大学法学部卒で国家公務員Ⅰ種試験を一発合格したキャリアの卵。柔道は苦手。実務研修を名目に城南署に派遣される。現場勤務の刑事は兵隊・キャリアである自分は指揮官と思って所轄を軽視し、親が弁護士で法曹家庭に生まれていることから杓子定規な性格を持つ。組織捜査を最重視しており、現場の刑事の勘というものは一切信じず、中でも命令違反を犯して行動をとる九条とはいがみ合う。
- 12年後には警視庁刑事部捜査二課理事官(警視)になっているらしい。
- 九条彩乃(田中美佐子)
- 刑事課強行犯係主任・巡査部長(ノンキャリア)。
- ややはみだし者であるが、かっこよさも漂わせる女性刑事。交通課・生活安全課を転々とし、刑事課に異動してこつこつと昇進試験で巡査部長に出世した努力家で、勤務中でも捜査車両の中で昇試問題集を使った勉強は欠かさない。羽村とコンビを組むことに懐疑的で彼の論理を認めずそのまま受け流しているが、正義感は強い。
- 彩乃が重用した捜査車両「城南20」はトヨタ・キャバリエで、当時全国の警察で実際に使用されていたキャバリエの捜査車両をほぼ忠実に再現し、ファンからは「彩乃車」と呼ばれ人気を集めた。
[編集] 警視庁城南署
- 曽根田(田山涼成)
- 刑事課強行犯係長・警部補。
- ごますりが特技。規律違反ばかりする九条に手を焼いている。羽村に対してはキャリアということもあり穏和に接している。
- 笠井恭造(田邉年秋)
- 刑事課強行犯係・巡査部長。
- 仏頂面の堅物でふだんは無口だが意外と義理に熱い人情派。
- 沖津忠彦(佐久間哲)
- 刑事課強行犯係・巡査。
- 仕事とプライベートの両立に一生懸命励んでいる若手刑事。捜査ではいつも笠井と手を組んでいる。
- 片岡幸男(高木将大)
- 刑事課強行犯係・巡査。
- 強行犯係の中ではインテリタイプの刑事。
[編集] その他
原作者の佐竹一彦が勤務交代時の装備点検シーンで当直責任者役として出演した回がある。着用していた出動服の階級章は佐竹の現職当時の最終階級である警部補だった。
[編集] 主題歌
TOKIO「愛はヌード」
[編集] スタッフ
[編集] サブタイトル
- モミ消された事件
- ダマされたキャリア!
- ウソつきは警察の始まり!?
- 誤認逮捕!?仕組まれた罠を暴け
- 痛恨の捜査ミス!?逃げた放火魔
- 託児所ジャック!!密室の16時間
- 超カリスマホストを愛した女
- 少年犯罪に隠された真実の叫び
- 死にたがる少女に愛された刑事
- 美少女誘拐変質者を捕まえろ!
- 巨悪の罠に嵌った女刑事を救え
- キャリア最後の決断!
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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