アホ (アリゾナ州)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アホ (Ajo) は、アメリカ合衆国アリゾナ州南部、ピーマ郡に位置する町。正式な都市・町村ではない所属未定地であり、CDP (Census-Designated Place) と呼ばれる、統計上の市域である。人口は3,705人(2000年国勢調査)。
アホはアリゾナ州道85号沿いにあり、メキシコ国境から70kmほどである。そのため、人口に占めるヒスパニック・ラテン系の割合が37%と高くなっている。また、オルガン・パイプ・カクタス国定公園 (Organ Pipe Cactus National Monument) に最も近い町でもある。
同市の発音は日本語では「阿呆」に近いが、スペイン語ではにんにくを意味する語であり、先住民のパパゴ族(現在のトホノ・オーダム族)の言葉では絵を描くことを意味する。パパゴ族はこの地域から赤色の絵の具を得ていたのである。たまねぎのようなアホユリもこの近くに生息する。また、アホにはサワロサボテンやオコチロなどのソノラ砂漠の植物も自生している。
目次 |
[編集] 歴史
アホには鉱石の埋蔵量が多かったため、古く先住民やスペイン人、アメリカ人は鉱産資源を採取していた。1800年頃には「古いこうもり穴」(Old Bat Hole) とよばれるスペインの鉱山があったが、後に先住民に襲撃されたため放棄された。トム・チャイルズ (Tom Childs) は1847年に最初のアメリカ人としてこの地を訪れ、20m程のシャフトやメスキートのはしご、生皮の手桶などが揃えられている鉱坑跡を発見した。良質の銅鉱石が採掘されたためアホはアリゾナ初の銅鉱山となり、溶錬のために鉱石はウェールズに海輸された。
しかしながら、1900年頃に低質の銅鉱石を製錬する方法が発明されるまで、アホはあまり注目されることはなかった。1906年にはジョン・グリーンウェイ大佐 (John Greenway) がニュー・コーネリア・カッパー社 (New Cornelia Copper) を立ち上げ大規模な拡大を行った。1921年、アメリカ最大の銅会社であるフェルプス・ドッジ社 (Phelps Dodge) がニュー・コーネリア社を買収した。その後何十年にも渡ってアホでは1,000人以上のフェルプス・ドッジ社の従業員が働いていたが、1983年に激しいストライキの最中に閉山した。現在ではアリゾナ州の多くの他地域同様、リタイアした高齢者が居住する地域となっている。
[編集] 地理
アホは北緯32度22分53秒西経112度52分10秒 (32.381348, -112.869407) に位置している。日本では八代市(熊本県)や延岡市(宮崎県)とほぼ同緯度である。
アメリカ合衆国統計局によると、アホは総面積 72.7km² (28.1mi²) である。全域が陸地であり、水域はない。
アホはアリゾナ州の多くの他地域同様、1年を通じて温暖で、乾燥している。そのため、リタイアした高齢者が多く住む地域となっている。ケッペンの気候区分ではBW(砂漠気候)に属する。
街は南北に伸び、南端に採掘場があった。銅を露天掘りしていたため、現在でも直径1.5kmほどのほぼ円形のすり鉢型の採掘跡が残っている。すり鉢の底まで約350m掘り進んだ。街の東には一辺が1kmから1.5kmに及ぶ3つの選鉱用池の跡があり、街自体とほぼ同じ面積を占めていた。採掘場の南には小さな山があり、南から北に向かって街は緩やかな坂の上に広がる。乾燥地であるため、無数の枯れ川が南から北に流れ、周囲は一種の悪地を成している。最大の枯れ川はギブソン涸れ谷 (Gibson Arroyo) と呼ばれている。
[編集] 近隣の主要都市
- フェニックス - アリゾナ州の州都、最大都市で、全米でも第6の大都市。北東約180km、所要約2時間。
- ツーソン - ピーマ郡の郡庁所在地で、アリゾナ大学の学術都市。東約260km、所要約2時間40分。
- ユマ - 日本のプロ野球球団、ヤクルトスワローズが冬季キャンプを実施したことで知られる。西約250km、所要約2時間半。
これら3都市はいずれも規模の大きい空港を持っており、アホへの玄関口となる。
[編集] 人口動勢
基礎データ
- 人口: 3,705人
- 世帯数: 1,659世帯
- 家族数: 1,088家族
- 人口密度: 51.0人/km²(132.0人/mi²)
- 住居数: 2,485軒
- 住居密度: 34.2軒/km²(88.5軒/mi²)
人種別人口構成
- 白人: 78.70%
- アフリカン・アメリカン: 0.24%
- ネイティブ・アメリカン: 6.88%
- アジア人: 0.30%
- 太平洋諸島系: 0.08%
- その他の人種: 9.15%
- 混血: 4.64%
- ヒスパニック・ラテン系: 37.57%
年齢別人口構成
- 18歳未満: 20.6%
- 18-24歳: 4.9%
- 25-44歳: 17.2%
- 45-64歳: 25.3%
- 65歳以上: 32.1%
- 年齢の中央値: 52歳
- 性比(女性100人あたり男性の人口)
- 総人口: 90.3
- 18歳以上: 88.3
世帯と家族
- 18歳未満の子供がいる: 19.7%
- 結婚・同居している夫婦: 51.4%
- 未婚・離婚・死別女性が世帯主: 10.6%
- 非家族世帯: 34.4%
- 単身世帯: 30.1%
- 65歳以上の老人1人暮らし: 17.1%
- 平均構成人数
- 世帯: 2.23人
- 家族: 2.74人
収入と家計
- 収入の中央値
- 世帯: 25,618米ドル
- 家族: 29,310米ドル
- 性別
- 男性: 28,000米ドル
- 女性: 18,571米ドル
- 人口1人当たり収入: 14,548米ドル
- 貧困線以下
- 対人口: 16.5%
- 対世帯数: 22.3%
- 18歳未満: 36.5%
- 65歳以上: 9.0%
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- en:Ajo, Arizona 5/30/2006 5:20 (UTC)