M.U.G.E.N
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M.U.G.E.N(日本語では一般的に「ムゲン」と呼ばれる)はElecbyte(エレクバイト)によって開発された、フリーのパーソナルコンピュータ用2D格闘ゲームエンジンである。初めてのリリースは1999年。ElecbyteはDOS・Linux・Windowsで動作するM.U.G.E.Nのベータ版を配布した。このゲームエンジンはキャラクター・ステージなどのゲームオブジェクトをテキスト・画像・音声ファイルで構成でき、またゲームのBGMとしてMP3・ ADX・OGG・MIDIといった様々な音声フォーマットを利用できる。しかし、他のゲームから直接データをコピーしない限り、ゲームオブジェクトを作成することは難しい。また、M.U.G.E.Nのゲームエンジンは強力で融通が利き、商業2D格闘ゲーム(例えばカプコンのストリートファイターやSNKのザ・キング・オブ・ファイターズなど)で見られる機能ならほぼ全て実装できる。また、作成してある様々なキャラを追加することにより、普通のゲームではあり得ないドリームマッチができる。(ストリートファイターVSドラゴンボール ザ・キング・オブ・ファイターズVSギルティギアなど。)MUGENでしか見られないオリジナルキャラも存在する。
2003年にElecbyteは活動を停止していおり、M.U.G.E.Nの開発も停止している。
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[編集] 歴史
1999年から2001年にかけて、DOS版M.U.G.E.Nの大きなリリースが幾つかあった。その後、DOS版の開発は2001年末にElecbyteがプラットフォームをLinuxへ変更したことで終了した。ElecbyteはM.U.G.E.NのWindows版を作成するコンパイラを買うために、寄付の願いを公式サイトに少しのあいだ載せている。Windows XPでのDOS版の動作には問題があったので、これには50名程のユーザから寄付が寄せられた。新たなLinux版にはDOS版になかった機能が追加されており、M.U.G.E.NのWindowsへの移植は期待されていたが、開発グループは2003年にプロジェクトの中止を決めた。プロジェクト中止の声明や理由はアナウンスされなかったが、寄付者に配布された私的なWindows版ベータ版が勝手に一般配布されたトラブルが開発中止の直接の原因だったのでは無いかと考えられている。このWindows版ベータ版は登録できるキャラクターが2人という制限・ゲームモードの制限・警告表示のうるさい画面のあるものであった。そのため2004年にこれらの制限を取り除く「無制限」ハックが作成された。これが適用されたWindows版はLinux版最終版と同じ機能を持ち、現在最も使われているM.U.G.E.Nでもある。M.U.G.E.Nの開発が停止しElecbyteがソースコードを公開していないため、1からM.U.G.E.Nクローンを作成するプロジェクトが現在いくつかある(例えば OpenMugenがある)。これらのプロジェクトには需要の多いオンライン対戦機能を提供するものもある。今のところ、これらのクローンプロジェクトで完成したものはないが、多くの人たちがそれらに期待している。また、現在M.U.G.E.Nのコンボを収録したビデオがYouTubeで大量に見つけられる。
[編集] DOS版とWindows版の違い
Windows版は機能的にDOS版を遥かに上回っている。しかしWindows版はエラーが多く、さらに仕様がDOS版から大きく変化している。また、DOS版に比べWindows版は動作が重く、動作にはそれなりのスペックが必要である。
DOS版はキャラクターの色に256色しか使えず、BGMは主にMP3、MIDI、MODなどしか扱えない。Windows版はキャラクターの色に256色以上の色が使えるようになり、BGMもプラグインにより様々なフォーマットに対応している。
[編集] 法的見地
ElecbyteによるM.U.G.E.Nの使用に関するライセンス規約は有効期限が切れており、新しいライセンス規約は交付されることがないだろう。そのため、現在配布されているM.U.G.E.NはElecbyteによって許可されておらず厳密に言えば違法であるが、Elecbyteはこれまで何らの法的手段をとっていない。Elecbyteは、説明なしにただ姿を消したのである。多くの人々は新しいライセンスがないにも関わらずM.U.G.E.Nを使い続けることを選んでいる。ElecbyteのライセンスはM.U.G.E.N用のキャラクター・ステージといった創作品には適用されないが、M.U.G.E.N自身には適用される。そのため、2003年からライセンス違反についての公式声明がない中でElecbyteのライセンスを違反するかどうかは個人に委ねられている。
ほとんどのキャラクターやステージは合法性が疑わしく、スプライト・音声・音楽は著作権で保護されたゲームからのコピーが使われているものがほとんどである。このため、最近のゲームから作られたキャラクターへのリンクをしないという「タイムリリース」ルールを主張するグループもある。これは疑わしい素材の合法性に何の影響も与えないが、おそらく著作権保持者からの法的圧力を避けるのにいくらかは役立つのだろう。しかしカプコンのような、これらが二次創作だと理解していて特に気にしないと言われている著作権保持者もいる。
創作物には2種類ある。SSF(PCX画像形式を基にしたスプライト形式)とSND(WAVを基にしたオーディオ形式)を使った(カプコンやSNKなどの)それぞれの著作権で保護されたものを流用したものと、CMD(コマンドファイル)・AIR(アニメーションファイル)・CNS(定数とステート定義によるM.U.G.E.Nキャラクターのメインファイル)などによる、作成者に著作権のあるキャラクターやステージである。Elecbyteが言うに、ソースがテキストベースでゲームエンジンによってそのまま処理されている理由は、この方法がユーザにわかりやすいからであるという。
[編集] 外部リンク
- Elecbyte公式サイト 2003年末に閉鎖した。Internet Archiveで 過去のサイトが見られる。
- M.U.G.E.N Fighters Guild Network
- RandomSelect
- Mugen-Infantry