阪神3561・3061形電車
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阪神3561・3061形電車（はんしん3561・3061がたでんしゃ）は阪神電気鉄道に以前在籍した通勤形電車の形式である。
もとは1954年に登場した、阪神電鉄初の高性能車両で、現在と同じ19m車体を持つ大型車両としても初めての車両でもある3011形を改造したものである。
3011形は特急用として導入されたが、その後の輸送事情の変化に合わせて3扉の通勤形に改造されて改番され、急行用の赤胴車の一員として活躍した。
本項では、3011形および改造後の3561・3061形の順に述べることにする。
[編集] 3011形
3011形は、阪神初の高性能大型車として、1954年に3両編成5本、15両が日本車輌製造・川崎車両・汽車会社で製造された。編成は3011(Mc)-3013(M)-3012(Mc)といった形で、10位が編成番号を示した。運行開始に当たっては、走行に支障が出ないように線路・ホームなどの改良が行われている。
車体は、前面は非貫通形2枚窓のいわゆる湘南形の流れを汲んだ形状で、丸みを帯びているのが特徴。中央下部に車両番号が表記され、正面上部に前照灯、左右の前面窓上に標識灯・尾灯を装備した。側面は、2扉片引戸で、大型の2段式側窓が扉間に7個、妻側と運転台側に戸袋窓が1個取り付けられた。また、連結面の窓は曲面ガラスを採用しており、阪神歴代の車両でも傑作と言えるものであった。塗装は上半分がベージュ、下半分がアズキ色である。
性能面では、全電動車方式で、制御装置はMPM形の1M方式で、主電動機が東洋電機製59.7kw、駆動方式は直角カルダン式が採用された。台車は住友金属製コイルバネ付のほか、1両は東芝製TT-6形を取り付けた。制動装置はAR-D形とした。パンタグラフは各車両にあり、両先頭車はいずれも連結面側にあったため、中間車のパンタグラフが隣接している。
車内はセミクロスシートを採用、扉間には5組のクロスシートが設置された。
登場時には大阪梅田～神戸三宮をノンストップ・25分で運行する特急に使われた。方向板は前面中央窓下に取り付けた。ラッシュ時は準急などにも使われ、編成は3両を基本としていたが、1M方式のため編成の組換えがしやすく、後の編成替えで4両や5両編成での運行も見られた。
[編集] 3561・3061形
3011形は特急用として活躍していたが、その後登場した3501形などの急行用車両は3扉ロングシート・前面貫通式となっており、柔軟な運用が組めるのに対し、2扉セミクロスシート・前面非貫通のためラッシュ輸送には向かないため、1964年にロングシート・前面貫通式に改造され、形式も3561形（Mc）と3061形（M）に改番されることになった。ただし、改造当初は2扉のままであった。これにより阪神ではクロスシートを装備する車両が消滅し、2001年に9300系が登場するまで40年近く、クロスシート車が在籍しないという状態が続いた（なお山陽電気鉄道からの乗り入れ車がクロスシートを装備していたため、それ以前でも阪神線内でクロスシート車に乗車できるチャンスはあった）。
改造により8両が運転台つきの3561形、6両が中間電動車の3061形（1両は中間車化改造による）となった。3561形は大阪向きと神戸向きがそれぞれ4両改造された。前面は平面となったが車体断面の関係で、独特の顔つきになった。 架線電圧1500Vへの昇圧対応のため2両ユニット化され、3561形と3061形でコンビを組むのが6本、3561形同士の2両固定が1本（3567-3568）となった。なお、3011形は15両在籍しており、ペアを組めず余剰となった3021号車は当時量産途中であった7801形とペアを組むことになり、付随車化され7901形7922号車に改番された。改造後も3011形の流れを汲む形状であったため、他の同形とは見分けがついた。
制御装置や制動装置（AR-DからHSC-Dへ）も取り替えられて、他の赤胴車との併結が可能となり、塗装も上半分がクリーム、下半分が朱色となった。その他、通風器も強制換気装置が撤去されてグローブ形の通風器に、連結側の曲面窓も通常の平面窓になった。
1968年に昇圧工事とATSの設置が行われ、これにともないパンタグラフは2両で1台だけになった。さらに3扉化と側窓をユニット式への改造、通風器もラインデリアになり、制御装置は東芝製は1C8M（1台で8個の主電動機を制御）に再度取り替えられた。1974年には冷房装置の取り付けにより、最終的な形状となった（パンタグラフは下枠交差式になった）。なお、方向幕装置は取り付けられなかった。
[編集] 廃車
1984年から老朽化のため、8000系により代替が進められ、翌1985年末までに3567（Mc）-3568（Mc）の2両固定1編成以外は廃車となった。この2両だけは西大阪線の運用で残ったが、これは青木駅で乗客（児童）が通過列車の風圧により転倒死する事故が発生した際の当事車両だったことから、その裁判資料とされたためである。裁判の終結により、この2両も1989年に廃車となり形式消滅した。また、7901形に編入された3021改め7922号車も1990年に同形式で初の廃車車両となり姿を消した。
