阪神1形電車
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1形電車は、阪神電気鉄道が1905年に出入橋駅～滝道駅間で運行を開始した時、投入した電車である。なお、1形と称した場合、阪神では新設軌道線（阪神本線）用に使われた車両と、併用軌道線（路面電車）の阪神国道線用に使われた車両とがあり、それぞれが別の車両である。本項では、国道線用1形についても記載する。
[編集] 1形（本線）
阪神本線は、アメリカの郊外電車（インターアーバン）を規範として、路面電車に準じた軌道線扱いながらも、大阪市と神戸市という関西の2大都市間を結ぶ路線として建設された。
そのため、大阪市電などが単車を採用していた時代、路面電車ながらも車体大型化を狙って、ボギー台車を採用した。日本初のボギー台車採用電車である。また、電動機も高速運転が可能なよう、45馬力のものを4個装備した。更に当時としては珍しく、エアブレーキも採用した。
その一方、路面電車として開業したこともあって前面には網状の排障器が取り付けられ、集電装置も2本ポールであった。側面窓は13個、前面窓は3個、そして運転台は当時主流であった吹きさらし構造だった。
大阪出入橋～神戸滝道間が開業した当時、同区間は90分運転・12分間隔運転であった。軌道法に基づく電車の最高速度を大幅に超過した運転であったが、阪神では内務省（監督官庁）の何度にもわたる指摘を受けても違反を改めようとはせず、後には80分、72分と更に所要時間を短縮し、運転間隔も9分にした。これにより、阪神間における東海道本線は大打撃を受けたとされる。
1形電車は50両製造され順次投入されていったが、1920年以降に間接制御・高床ホームへ対応した後継車両が増備されるに及んで、順次廃車された。一部は貨車への改造、7両は京都電燈（後の京福電気鉄道）への譲渡（嵐山線などで使用）がなされ、また1923年の関東大震災で被災を受けた東京市電にも、30両が譲渡されている。
[編集] 1形（国道線）
国道線の1形は、1927年の同線開業時に30両が併用軌道線専用として、藤永田造船、田中車輛、大阪鉄工所の3社がそれぞれ10両ずつ製造した。
全長は12.6m、自重17.6トン、定員82名。車体は鋼製のボギー車で、台車はボールドウィンタイプである。制御装置は三菱電機製の直接式で、主電動機は同じく三菱製40HPを2個搭載した（のちに一部車両は4個モーター化）。集電装置は、当初はトロリーポールで、後にビューゲルに取り替えている。
直接地上から乗降するため、扉の開閉と連動して動作するステップを備えていた。これは、国道線電車共通の仕様となった。
国道線・甲子園線廃線まで運行を続けたが、廃線時に27号車が甲子園阪神パークに保存された。パーク保存の際には車体表記を1に改めている。しかし、園内をリニューアルした1991年ごろに撤去されたため、現存しない。
[編集] 31形（国道線）
国道線1形の増備形で、1929年～1930年に20両が、田中車輛（10両）、汽車会社（5両）、日本車両製造（5両）の3社で製造された。このうち、田中車輛が製造した5両（36～40号）はバスとの競合に応じて、クロスシートを備えていた。
大きな変更点は、4個モーターの採用で、東芝製35HPを採用し高出力化した。制御装置も東洋電機製直接式となった。定員は82名で変わらず、自重は18.6トンと1トン重くなった。
後にクロスシート車は、番号を46～50号に変更し、それまでの46～50号が代わって36～40号を名乗った。さらにその後、40番台の車両は81～90号車と番号を改めている。
本形式も国道線1形同様に、廃線時まで活躍した。
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