裸殻翼足亜目
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
| 裸殻翼足亜目 Gymnosomata | ||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 分類 | ||||||||||
|
||||||||||
| 科 | ||||||||||
| 英名 | ||||||||||
| Sea Angel |
裸殻翼足亜目（らかくよくそくあもく、英名 Sea Angel、学名 Gymnosomata）は、軟体動物門 腹足綱 後鰓目（旧分類 軟体動物門 腹足綱 後鰓亜綱）に属する分類群の名称。Gymnosomataとは、裸の（gymnos）体（soma）という意味である。8科17属が属する。
[編集] 特徴
小さな軟体動物で、足は翼状の側足（parapodia）と呼ばれる付属器官物へ進化し、貝殻は消失している。どちらの進化も大洋を自由に遊泳するのに適している。
同じ後鰓目に属する、有殻翼足亜目（Thecosomata）とよく似ているが、近縁ではない。有殻翼足亜目はもっと長く幅広い側足を持ち、ほとんどの種に貝殻があり、Sea Butterfly（海の蝶）と呼ばれている。
ゼラチン質で、ほとんど透明で、非常に小さい。側足をゆっくり打って、20mより浅い海を優雅に泳いでいる。通常はゆっくり泳いでいるが、驚くべき速度で泳ぐこともできる。雌雄同体で、体内で受精する。卵はゼラチン状の塊で産み落とされ、孵化するまで水上を漂う。孵化して数日で未発達の貝殻が消失する。
最大の種は5cmに達するクリオネ（Clione limacina）である。クリオネは北極海に分布。暖かい水域に分布する種はクリオネよりはるかに小さい。
有殻翼足亜目のみを捕食する種も何種かいる。これらの種は、軟体動物に共通の歯舌を備えた口をもち、頭足類の吸盤に似た触手で獲物をつかむことができる。さらに、側足と呼ばれる「翼」で、より大きな「翼」を持つ有殻翼足亜目よりも非常に速く泳ぐことができる。これらの種以外のほとんど種は、動物プランクトンを常食にする。
北極海に分布するクリオネの一種Clione antarcticaは、pteroenoneと呼ばれる微量の忌避物質を合成することで捕食者から身を守っている。Clione antarcticaの局所的な存在密度は異常であり、最大で1m3あたり300匹になることもある。捕食者がClione antarcticaを食べないので、端脚目等その中に住む動物もいる。
