綿矢りさ

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綿矢りさ （わたやりさ、1984年 2月1日 - ）は、京都府出身の小説家。本名は、山田梨沙（やまだりさ）。史上最年少の文藝賞・芥川賞の受賞者（前者の記録は後に、2005年の第42回文藝賞で受賞当時15歳の三並夏によって塗り替えられた）。

雑誌の取材やインタビューで本人が述べたところでは、ペンネームの「綿矢」は、以前から「いいな」と思っていた中学の同級生の姓「綿谷」を勝手に拝借し、姓名判断で名付けたもの。この同級生は実在する。村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』の登場人物についてあらかじめ知っていたのかどうかは、今もってよく分からない。

京都市立衣笠中学校卒業。2002年3月京都市立紫野高等学校卒業。2006年3月早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。

[編集] 状況

作品内容においては、その世界観が狭いとする批判がままあり、これは作者本人も認めている。しかし、まだ新進気鋭の作家であり、広がりのある作品世界が描けるようになるのはこれからだと期待する向きもある。技巧・技法では、細かな描写や推敲を重ねた文章については肯定的な意見が多い。他方、独特な表現に馴染めないという感想もある。

最新作『夢を与える』では、それまでの作品が持っていた「新しさ」「若者にとっての読みやすさ」が消え去って、「小説」の体裁がきちんと確立されたものになった。これを成長として歓迎する方向と、ストーリーの陳腐さに弱点をみる傾向とに、評価は二分されている。

ストーカーに悩まされたことがあり、授賞式以外、公の場からは長く遠ざかっていた。映画化された『インストール』のプロモーションにも参加しなかった。

毎日新聞社・（社）全国学校図書館協議会・「ホンヨモ!セッション」実行委員会の共催で、2006年10月22日に行なわれた「ホンヨモ!セッション　おおさか」にゲストとして参加し、久し振りに愛読者の面前に姿を現した。

[編集] 略歴

中学では演劇部に所属。演劇部の27年先輩に歌手の尾崎亜美がいる。
2001年　京都市立紫野高等学校在学中に、『インストール』で、第38回文藝賞を史上最年少（当時）の17歳で受賞。(前者の記録は後に2005年の第42回文藝賞で受賞当時15歳の三並夏に塗り替えられた）
2002年　早稲田大学教育学部に進学。同年『インストール』が三島由紀夫賞候補になる。受賞は逃したが、福田和也から絶賛され、島田雅彦からも高い評価を受けた。
2004年 1月15日　『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を史上最年少の19歳で受賞し、注目を集める。
2006年 3月25日　『蹴りたい背中』で早稲田大学2005年度小野梓記念賞<芸術賞>を受賞。

[編集] 作品リスト

[編集] 著作

2001年: 『インストール』

（単行本）河出書房新社 2001年11月 ISBN 4309014372
（文庫本）河出文庫河出書房新社 2005年10月 ISBN 4309407587

2003年: 『蹴りたい背中』

（単行本）河出書房新社 2003年8月 ISBN 4309015700

2005年: 『You can keep it.』（『インストール』文庫本に収録された書き下ろし短編)

『インストール』河出文庫河出書房新社 2005年10月 ISBN 4309407587

2006年: 『夢を与える』（芥川賞受賞第一作）

季刊『文藝』 2006年冬季号河出書房新社 2006年10月刊　初出掲載

[編集] 映画化・漫画化

映画：『インストール』、主演: 上戸彩、神木隆之介　監督: 片岡K、脚本: 大森美香
コミック：『インストール』作画・みづき水脈講談社デザートKC 2003年3月 ISBN 4063652114

[編集] 記録

『インストール』は発行部数50万部のベストセラーになり漫画化され、上戸彩主演で映画化された。
芥川賞の発表が掲載された月刊誌の『文芸春秋』2004年3月号は、金原ひとみと共に年少者の受賞であることが注目を集め、雑誌としては異例の初回刷80万部、最終的には118万5000部を記録。これまで最高の1990年12月号「昭和天皇独白録」収録号105万部を抜き、最多発行部数を更新した。
『蹴りたい背中』は芥川賞受賞作としては1976年受賞の村上龍による『限りなく透明に近いブルー』（131万部）以来、28年ぶりの単行本ミリオンセラーとなった。年末までの発行部数は127万部。
『蹴りたい背中』は韓国語に翻訳され発売3日で初版3000部が完売した。