砂時計 (漫画)

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『砂時計』（すなどけい）は、芦原妃名子による少女漫画、およびそれを原作としたテレビドラマ。原作の漫画は「Betsucomi」（小学館）において2003年5月号から2006年7月号まで連載された（本編は2005年11月号まで）。

[編集] 概要

砂時計をテーマとした現在、過去、未来をつなぐ恋の物語であり、少女期から大人への季節の移り変わりと心情を緻密に描いている。
話の要所に島根県仁摩町（現・大田市）の仁摩サンドミュージアムが描かれており、ストーリーの原点ともなっている。
コミックスは、主人公である杏の12歳から26歳までの14年間を描いた本編8巻と、彼女の周りを取り巻く人々のストーリー等を描いた番外編2巻で全10巻構成。ファンブックも刊行されている。
2005年、第50回（平成16年度）小学館漫画賞少女向け部門を受賞。
2007年春にTBS系愛の劇場（1:00~1:30）にてドラマ化が予定されている。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] ストーリー

主人公の植草杏（うえくさあん）は、12歳の冬に両親の離婚を機に母親美和子の実家・島根に越してきた。田舎独特の雰囲気をなれなれしくプライバシーが無いと感じた杏。だが、近所に住む北村大悟（きたむらだいご）と知り合い、徐々にその田舎の雰囲気に慣れていく。

しかし、彼女を支える母親が仕事中に倒れてしまい、自分が「がんばって」と言ったことで母親を追い込んでしまったと責任を感じた杏は、母親を少しでも助けようと仕事を探す。

そんな中、大悟と共にお手伝いに行った村の地主「月島家」で、杏は同い年の月島藤（つきしまふじ）と妹の椎香（しいか）に出会う。団体行動が苦手な藤だったが、そんな藤をグイグイを引っ張っていく杏に、藤は次第に惹かれていく。 4人はいつしか行動を共にするようになり、杏は嫌で嫌でたまらなかったこの村に居場所を見つける。

一方、母の美和子は、生きることに疲れ、ある日ふらっと家を出たまま帰らぬ人となってしまう。杏は葬式の席で、島根に来る途中に仁摩サンドミュージアムで美和子に買ってもらった砂時計を、美和子の遺影に投げつけ壊してしまう。そんな杏に大悟は、壊れた砂時計と同じものを杏に渡し、ずっと一緒にいることを約束した。また、杏も大悟とずっと一緒にいられるよう願う。

少女から大人へと成長する中で、恋や別れを繰り返してゆく杏。しかし、自分の心の弱さと闘いながらも、杏の心の奥底にはいつも母美和子の影があった。周囲が徐々に新たな幸せを見つけ出していく一方、独り、母の影を背負いながら、杏は幸せを求め奔走していく……。

[編集] 登場人物

植草（水瀬）杏 （うえくさ（みなせ）あん）

本編の主人公。植草は母親の姓で、水瀬は父親の姓。12歳の冬に、父親の事業の失敗による両親の離婚を機に母親の故郷である島根に越して来て、大悟・藤・椎香達に出会う。15歳のときに父親と暮らす為、東京へと戻る。気が強いが、母・美和子に似て繊細でナイーブな性格で、精神的に不安定な面がある。その為、母親が自殺してしまったことがずっと心の傷となり、杏の精神状態に影響を与え続ける。大悟は初恋の相手であり、途中破局してからも、杏は彼の幸せを願い続けた。一時エリート商社マンの佐倉と結婚をするはずだったが、別れた大悟のことを思い出してしまい、婚約破棄となる。（母親と同じ病気にかかってしまう。）そのことで精神的バランスを崩し自殺未遂を起こすが、大悟に発見され助けられる。後に大悟と結婚し、稜（りょう）という息子を授かる。なお、作中に出てくる杏の携帯は高校生時代はV601T、社会人時代はW31SAである。

北村大悟 （きたむらだいご）

杏が田舎に慣れず、泣いていた時に偶然出会った、島根での初めての友達であり初恋の相手。男らしく、実直で不器用だが、優しい性格で、杏の母が自殺してからずっと杏の生きる支えとなった。頭は悪いが、楢崎の協力により必死に勉強をしたおかげか、何とか地元の国立大学に進学し、その後無事に夢だった小学校の先生になる。藤とは幼少の頃から仲が悪いが、藤が失踪した際には心配して上京してくるなど友達思いの面がある。杏と一時は破局したものの、本編・最終話で杏とよりを戻し後に結婚、息子稜を儲ける。

月島藤 （つきしまふじ）

村の地主「月島家」の御曹司。一見クールに振舞っているが、情に厚く優しい。月島家の跡取りということもあり、成績は優秀。使用人たちの間で母親と不倫相手の間に出来た不義の子ではないかと噂され、本人も幼い頃母親の不倫現場を目撃していた為、長年そうだと信じていたが、実際は不義の子は椎香の方であり誤解だった。この問題で一時家出し、失踪したことがあり、その為一年留年を経験している。団体行動が苦手。大悟とは恋敵ということもあり仲は悪いが、自分とは反対の性格に羨望の眼差しも持っていて、「かなわない」と思っている。杏に対しては杏と出会った12の頃から恋愛感情を持っており、杏が大悟と別れたことで一時期付き合っていた時期もあったが、うまくいかず破局。後に従姉の茉莉子と付き合いだし、両親の反対を説得して結婚する。なお作中に出てくる藤の携帯はV301SHである。

月島椎香 （つきしましいか）

村の地主「月島家」の令嬢で、藤の妹。実は母親と不倫相手との間に出来た不義の子であり、藤とは異父兄妹となる。温和でおとなしい性格に加え、端正な顔立ちで男子にもてる。家ではほとんど用事を押し付けられることがない為、用事を頼まれるのが好きで、パシリ体質。15歳の頃自分が不義の子であるという出生の秘密を知るが、誰にも言えず精神的に追いつめられてしまう。その際自分を助けてくれた大悟に恋するが、思いは遂げられなかった。17歳の時、出生の秘密・大悟への失恋・名家「月島家」の重圧などから家を出てカナダへと留学し、少しずつ自分を見出していく。後に経営学を学び、叔父のアメリカの会社で働くことになる。

植草美和子 （うえくさみわこ）

杏の母親。旦那との離婚を機に、娘の杏を連れて島根の実家に戻ってきた。気丈に振舞う博愛主義者だが、性格は繊細でナイーブ。他人の気持ちに敏感で、人一倍周りに気を使い気を揉んでいた。その為、離婚後島根に戻ってから暫くして、生きることに疲れ自殺してしまう。すぐになんでも噂にし、あっという間に広がってしまう、プライバシーやデリカシーのない田舎を嫌い、実家の村から出たがっていた。20歳の時、旅行で島根に来ていた杏の父親・正弘と出会い、後に上京し結婚。大悟の母親・広子とは高校時代からの同級生。

水瀬　正弘 （みなせまさひろ）

杏の父親。普段は頼りなくのんびりした雰囲気を持っているが、肝心なときは美和子よりもしっかりしている優しい人。大学生の頃、島根に旅行に来た際、美和子に出会い一目ぼれ。大学を卒業後、美和子の母親の反対を押し切り美和子を村から連れ出した。その為、今でも美和子の母親には頭が上がらない。一度美和子と離婚したが、杏が15歳の時に再び東京で二人暮らしを始める。その後、高校時代の同級生である楓と再婚し、娘を一人儲ける。

黒木（水瀬）楓 （くろき（みなせ）かえで）

杏の父親の再婚相手で、義理の母。杏の父親・正弘とは高校時代の同級生で、高校1年生の頃から片思いをしていた。職業は医者で、仕事は出来るものの、料理は出来ない。杏の父親と出来ちゃった婚で結婚を決め、後に千依という女の子を儲ける。さっぱりしたちょっと男らしい性格。

水瀬千衣 （みなせちい）

杏の父親・正弘と楓の子で、杏とは異母姉妹となる。杏とは19歳差だが、対等な存在で仲もとても良い。名前は楓の母親により命名され、由来は昔飼っていた犬、チロルの愛称「チィちゃん」から。

朝ちゃん （あさちゃん）

杏の友達の一人で、一番の仲良し。みっちょん・えだっちと共に杏の小学校時代の友達であり、高校で再会した。彼氏をしょっちゅう変えてしまうような恋多き女の子であったが、作中本気の恋に目覚めて年上の男性と交際を始める。その後、その相手と結婚し、子供を二人儲ける。意外としっかり者で杏のことを常に気にかける優しい人。本名は朝田。

みっちょん

杏の友達の一人。明朗快活、ちょっとミーハー気味で単純。電車で出会う園田に一目惚れし、後に交際を始める。しかし、22歳の時に彼に他に好きな人ができて別れ、26歳の時に園田とは別の人と結婚することになる。

えだっち

杏の友達の一人。杏の友達の中で一番冷静で穏やか。本心が表に出にくいらしい。本名は枝元。

園田くん （そのだくん）

藤の友達で杏の友達・みっちょんの彼氏。さわやかな好青年。みっちょんと高校時代から付き合っていたが、他に好きな人が出来た為みっちょんとは別れることになる。

楢崎歩 （ならさきあゆむ）

杏の中学時代の同級生。中学時代は大悟と同じ柔道部に所属しており、大悟に恋心を持ちアプローチしていた。その為杏に焼きもちを焼きあやうく杏を殺しかける。高校時代に大悟と再会した後、付き合い始めるが、20歳の時に破局。巨乳。

大木武志 （おおきたけし）

大悟の友達で、杏とも中学時代の同級生。飲み会で仕切るなど、非常にノリの良い明るいキャラだが、大悟を真剣に問い詰めるシーンも見られ、恋愛に関係こそしないが良い友達関係として描かれている。

佐倉圭一郎 （さくらけいいちろう）

エリート会社に勤める商社マン。杏と結婚寸前までいくものの、結局破談。オレ様な性格で、甘えた人間と弱い人間、すぐ泣く女が大嫌いな為周囲に敵を作りやすい。だが、その一方で子供っぽい一面も持ち合わせる。海外赴任の為渡米し、現在はニューヨーク暮らし。

最上茉莉子 （もがみまりこ）

藤と椎香の従姉で、藤が上京した時に居候していた家の娘。藤より2歳年上で、後に交際を始め結婚する。

植草美佐代 （うえくさみさよ）

杏の母方の祖母であり、美和子の母親。母親が亡くなってから杏が15歳の時まで親代わりに杏を育て、それ以後も杏のことを見守り支え続けた。気が強く、しっかりした女性。なお、原作では名前は出てこない。

月島志津代 （つきしましずよ）

藤と椎香の母で、月島家の後妻。20代の頃、見合い結婚で15歳年上の旦那と出会い、大阪から月島家に嫁いできた。きっぱり物事を言う、わがままで強い女性。椎香が不義の子だということに対する後ろめたさなどから、藤に冷たくあたる。

高杉恭一 （たかすぎきょういち）

藤と椎香の母・志津代の昔の不倫相手であり、椎香の実父。性格はあまり良くないようで椎香のことも認知していない。

北村広子 （きたむらひろこ）

大悟の母親。杏の母・美和子とは高校時代からの友達で、同じコーラス部に所属していた。おおらかで他人に寛容な性格だが、大悟には手厳しい。北村家を取り仕切っており、大悟も母親には逆らうことが出来ない。旧姓・小波（こなみ）。

[編集] ドラマCD

2005年5月25日にフィフスアベニューより発売。原作の「12歳冬・祈り」と「15歳秋・誰そ彼」のストーリー2編で構成されている。

[編集] キャスト

植草杏:神田朱未
北村大悟:鳥海浩輔
月島藤:千葉進歩
月島椎香:小林沙苗
植草美和子:折笠愛
水瀬正弘:平田広明
黒木楓:園田恵子
杏の祖母:尾小平志津香

[編集] テレビドラマ

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2007年春TBS系愛の劇場（1:00~1:30）にてドラマ化予定