真夜中を突っ走れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
真夜中を突っ走れ（Whatever Get You Thru The Night）は1974年に発表されたジョン・レノンの個人名義第4弾アルバム『心の壁、愛の橋』に収録された曲で、同アルバムを代表する曲である。
ジョンはソロ活動を始めた1969年以降、プラスティック・オノ・バンドをバック・バンドに従えて（※ビートルズ解散の1970年まではジョンもメンバーの一員であったが）曲を制作・演奏していたが、このバンドの特徴は一流のミュージャンが一回限りでメンバーに加わり完成度の高い演奏を披露していたことで、このアルバムではニッキー・ポプキンス、キース・ムーン、ハリー・ニルソンといった豪華メンバーがバンドに加わって演奏していた。この事が同アルバムの完成度を高めていたわけであったが、この曲ではエルトン・ジョンがヴォーカルとして加わり、ジョンとのダブル・ヴォーカルで曲を盛り上げていたのだ。同アルバムが音楽的に完成度の高いアルバムである事を窺わせる曲といえる。
この曲は同アルバムからの最初のシングル曲として発表（B面曲はビーフ・ジャーキー）され、米国ビルボードのチャートで1位にランクされたが、ジョンは『イマジン』でビルボードの1位にランクされた事があるが、アルバムのみでシングルでは最高3位であったため、シングルでは初の1位ランク曲である。アメリカではシングルのチャートの1位に輝くことで一流とされ、これでジョンは名実ともに一流のソロ・ミュージシャンとなったわけである。従って今でも米国ではこの曲のほうが人気が高いそうである。
ジョンはこの曲が1位になったお礼に、1974年11月29日にエルトン・ジョンのマジソン・スクエア・ガーデンでのコンサート[1]に参加したが、これには有名な逸話がある。ジョンは「どうせ1位になれない」と読み、冗談でこの約束を取り交わしたが、予想に反し1位になってしまった。ジョンはしぶしぶ承諾し参加したわけだが、このコンサートには別居中のオノ・ヨーコが観に来ており終了後楽屋で再会、有名な「失われた週末」に終止符を打ったのである。もしこの曲がヒットしていなかったから、終止符が打たれていなかったといえよう。 なお、この曲が一位になったお礼として今度はエルトンの録音にジョンが参加し、またも一位になった。それが「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・ダイアモンズ」である。
曲の内容は、諸々の悩みを振り払い前を向いて歩こうというもの。邦題は原題の直訳「夜眠れないのが気がかりだって」がベースとなっている。
[編集] 脚注
- ↑ エルトン・ジョンのライヴアルバム『ヒア・アンド・ゼア～ライブ・イン・ロンドン&N.Y.』にこの日の音源が3曲とも収録されている。
