毛利敬親

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毛利敬親（もうりたかちか、文政2年2月10日（1819年 3月5日） - 明治4年3月28日（1871年 5月17日））は、幕末期の第14代長州藩主である。官位官職は従四位下、大膳大夫、左近衛権中将。明治維新後は従二位、権大納言。死後の1901年、正一位が贈られた。

毛利斉元の側室の長男で、幼名は保三郎。毛利斉広の娘婿。12代将軍徳川家慶の一字を与えられ慶親、のちに敬親と改める。

[編集] 敬親の改革と第一次長州征伐

1838年に萩に入り、翌年より質素倹約と貨幣流通の改正を行う。村田清風を登用して､藩政改革を断行。その後､村田の政敵である坪井九右衛門をも登用し藩政改革に邁進した｡

1841年、江戸に文武修業の場である有備館を建設､領内の実態調査を実施し、1843年には萩で練兵を行い、藩の軍事力の強化にも務めた。敬親の改革はこれだけに留まらず、1849年藩校である明倫館の改革をも断行した。

1853年、アメリカ合衆国の提督ペリーが来航すると相模国周辺の警備に当たった。

1858年の8月、密勅を受け、「尊王」に尽力することとなった｡

同年､坪井九右衛門を引退させ､周布政之助らを登用。藩論として「攘夷」の意見を幕府に提出した。以後敬親は周布を重用し、藩是三大綱を決定、藩の体制強化と洋式軍制の導入する改革を開始した｡ 1861年、長井雅楽を登用し、航海遠略策により幕府との協調策を模索するが､周布や桂小五郎らが主導する攘夷へと大きく方針を転換した｡

1862年7月、攘夷を実行を藩の方針とし、1863年4月には藩庁を萩城より山口に移転させ､5月には外国船の打ち払いを開始。8月、これに反発したアメリカ・イギリス・オランダ・フランスの4ヵ国の連合艦隊が下関に襲来し敗北する（下関戦争）。

そして同年の「八月十八日の政変」により長州藩は京都を追われ、翌1864年には禁門の変を引き起した。この長州の暴挙に対して征長令が出され、8月には敬親の官位は剥奪される。第1次長州征伐が開始されると国司信濃・益田右衛門介・福原越後ら主戦派を処刑して恭順。10月に萩に謹慎した。

[編集] 尊王攘夷から尊王開国、薩長同盟と倒幕

1865年、松下村塾出身の高杉晋作らが馬関で挙兵。俗論派（保守派）を打倒するクーデターを実行、倒幕派政権を成立させる。そして高杉らは西洋式軍制を採用した民間の軍事組織である奇兵隊や長州藩諸隊を整備し、大村益次郎を登用してゲベール銃やミニエー銃など新式兵器の配備し、戦術の転換など大規模な軍事改革を行う。 1866年、坂本龍馬の仲介で薩長同盟を結び、同年8月の第二次長州征伐にも勝利した。 1867年、イギリスとの関係を構築し、10月には討幕の密勅を受けた。そして同年11月には薩摩藩らと共に官軍を組織して上京。王政復古のクーデターを成功させる。毛利敬親は1868年5月に上洛し、明治天皇に拝謁して左近衛権中将に任ぜられると山口へと帰った。

[編集] 晩年

1869年正月、敬親は薩摩藩・土佐藩・肥前藩と連署して版籍奉還を奉請した。6月には権大納言の位を得て、養嗣子の毛利元徳と共に10万石を下賜されている。同月、家督を元徳に譲って隠居。 1871年3月、山口藩庁内殿で53歳の生涯を終えた。

[編集] 評価

家臣の意見に対して異議を唱える事が無かったため「そうせい侯」と呼ばれ、賢明な藩主ではなかったとの評価もある。しかし紆余曲折はあったものの、敬親は有能な家臣に全てを任せ、結果毛利260年の宿願であった「倒幕」を成し遂げている。

司馬遼太郎は『世に棲む日々』の中で以下のような評価を与えている。

「敬親に世界観がなかった、といえばかれに酷だろう。かれはかれ自身独創力というものはもたなかったが、人物眼もあり、物事の理解力にも富んだ男で、それにうまれつきおそろしく寛大であった。」
「ある意味では、かれほど賢候であった人物はいないかもしれない。かれは愚人や佞人を近づけようとはせず、藩内の賢士を近づけた」

毛利氏歴代（長州藩14代）当主

1836～1871