未来の二つの顔

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『未来の二つの顔』(みらいのふたつのかお, 原題 The Two Faces of Tomorrow )はジェイムズ・P・ホーガンによるSF小説。「高度な人工知能は人類と共存できるか」をテーマとする。

星野之宣によって漫画化されている。

注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。

[編集] あらすじ

人類が月面にまで生活圏を広げた未来、地球圏では高度な推論能力を持つコンピュータが人類の生活の隅々まで入り込んで生活の便宜を図っていた。

ある日、月面の工事の一環として丘陵の掘削を推論コンピュータに命じたところ、端末に表示された予定工期は工事担当者の想像よりも遥かに短いものであった。これから工事機械を手配して運搬し、施工にかかるだけでももっとかかる筈なのに、そう訝る工事担当者を突然の衝撃が襲う。やがて衝撃がやみ、怪我の応急処置を終えて立ち上がった担当者の目前からは丘陵が消えていた。そして端末には、工事結果の評価を問うコンピュータの確認画面が……

事のあらましを調査したところ、推論コンピュータが配下のマスドライバーを制御し、荷物を所定丘陵に落下させて破砕する手法を編み出して実行したものと判明するが、この事実はコンピュータ技術者を恐怖させた。コンピュータの推論の条件から、大事なものが欠けているのではないか。或いは、それを修正する事ができれば、人類の安全を考慮する人工知能ができるかも知れない。しかし、それは本当に安全なのか……

その疑問を解くべく、竣工したばかりのトーラス型スペースコロニー「ヤヌス」を舞台に、限られた世界で人工知能の安全を実証する試みが企てられる。独立したエネルギープラント、ヤヌス全体を保守する部材・機材を生産できる産業プラントと各種作業用の小型ドローン、人類のための食料プラント、広大な生活空間を備え、外界から完全に断絶した言わばミニ地球に、次世代の人工知能を制御コンピュータとしてインストールした。不測の事態にも対応できる軍人を居住民として住まわせ、人と人工知能が共存できるか、壮大な実験が始まる。勿論、最悪の事態にも備えた万全の策を用意して……

人工知能に自己保存という動機、言わば、生存本能というものを植え付けることはできるのか。そして、生存本能を持った人工知能は人類の味方になるのか、それとも敵になるのか。人工知能に関する漠然とした、しかし根源的な問いに、一つの回答を与えるホーガンによるハードSFの代表作のひとつ。