日本の中古文学史
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[編集] 概略
漢詩・漢文は引き続き栄え、特に『和漢朗詠集』でも多く採り上げられた白居易(白楽天)の影響は大きかった。又、初の勅撰和歌集である古今和歌集が編纂され、和歌が漢詩と対等の位置を占めるようになった。当時の公式文書は漢文であったが、平仮名による表現が盛んに始まり、紀貫之が女性を装って書いた『土佐日記』に続いて、清少納言の随筆『枕草子』などが書かれ、日本文学に特徴的な日記文学・随筆が栄えていく事になる。 紫式部による物語『源氏物語』など古典文学の代表作と言える作品も著された。『今昔物語集』などの説話集もこの時代を特徴に表している。
[編集] 文学の周辺
この時代、文学を含めた芸術や政治の中心は京都であった。遣唐使の廃止により国風文化が栄えた。歴史書としては『大鏡』が書かれた。又、猿楽が盛んになり、これは後に能楽としての完成に繋がった。
[編集] 中古文学の主な作品一覧
- 797年『続日本紀』藤原継縄・菅野真道ら/ 歴史
- 『高橋氏文』
- 810年『文鏡秘府論』空海/ 歴史
- 814年『凌雲集』
- 815年『新撰姓氏録』万多親王ら/
- 『文華集麗集』
- 『経国集』
- 835年『性霊集』空海
- 841年『日本後紀』/ 歴史
- 869年『続日本後紀』/
- 879年『都氏文集』/
- 900年『菅家文集』菅原道真/
- 905年『古今和歌集』醍醐天皇勅令/紀貫之・紀友則ら/ 勅撰和歌集
- 910年以前『竹取物語』未詳/ 物語
- 935年頃『土佐日記』紀貫之/ 日記
- 940年(1052年以後とする説もある)『将門記』未詳/ 軍記
- 951年『後撰和歌集』村上天皇勅令 /清原元輔・源順ら/ 勅撰和歌集
- 951年頃『大和物語』未詳/ 物語
- 956年以後『伊勢物語』未詳/ 物語
- 965年頃『平中物語』未詳/ 物語
- 974年以後『蜻蛉日記』藤原道綱母/ 日記
- 984年以前『宇津保物語』未詳/ 物語
- 984年『三宝絵』源為憲/ 説話
- 985年『往生要集』源信/ 仏教
- 989年頃『落窪物語』未詳/ 物語
- 1000年頃『枕草子』清少納言/ 随筆
- 1004年以後『和泉式部日記』和泉式部/ 日記
- 1005年『拾遺和歌集』花山院勅令 / /勅撰和歌集
- 1008年頃『源氏物語』紫式部/ 物語
- 1010年以後『紫式部日記』紫式部/ 日記
- 1018年頃『和漢朗詠集』 /詩歌集
- 1028年以後『栄華物語』赤染衛門/ 歴史物語
- 1057年頃『浜松中納言物語』未詳/ 物語
- 1059年以後『更級日記』菅原孝標女/ 日記
- 1060年以前『夜の寝覚』未詳/ 物語
- 1063年頃『陸奥話記』未詳/ 軍記
- 1066年以前『本朝文粋』藤原明衡/ 漢詩文
- 1080年頃『狭衣物語』六条斎院宣旨源頼国女/ 物語
- 1086年『後拾遺和歌集』白河天皇勅令/ 藤原通俊/ 勅撰和歌集
- 1104年頃『江談抄』大江匡房 /説話
- 1108年以後『讃岐典侍日記』讃岐典侍藤原長子/ 日記
- 1115年頃『俊頼髄脳』源俊頼/ 歌学
- 1119年頃『新撰朗詠集』藤原基俊/ 歌謡
- 1120年頃『大鏡』未詳/ 歴史物語
- 1120年頃『今昔物語集』未詳/ 説話
- 1127年頃『金葉和歌集』源俊頼/ 勅撰和歌集
- 1151年『詞花和歌集』藤原顕輔/ 勅撰和歌集
- 1170年『今鏡』藤原為経/ 歴史物語
- 1179年頃『宝物集』平康頼/ 説話
- 1180年以前『とりかへばや物語』未詳/ 物語
- 1184年『梁塵秘抄』後白河天皇/ 歌謡
- 1188年『千載和歌集』後白河法皇勅令/ 藤原俊成/ 勅撰和歌集