新宮ダム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
新宮ダム（しんぐう－）は愛媛県四国中央市（旧・伊予三島市）新宮町馬立地先、吉野川水系銅山川の最下流部に建設されたダムである。
目次 |
[編集] 宇摩地域第2の水源
宇摩地方の悲願である「銅山川分水」は1953年（昭和28年）の柳瀬ダム（国土交通省四国地方整備局）完成により仮通水が実現し、住民の悲願は達成した。だが更なる水需要の確保は不可欠であり、1968年（昭和43年）には銅山川上水道企業団を旧川之江市・伊予三島市・新居浜市等が発足させ水資源管理を行った。1950年（昭和25年）経済安定本部は「吉野川総合開発案」を策定したが、この中で銅山川流域では柳瀬ダムの他に下流の岩戸地点に「岩戸ダム計画」を立案した。これが新宮ダムの前身となったが1966年（昭和41年）の「吉野川水系水資源開発基本計画」で愛媛分水事業が組み込まれ、銅山川の新規ダム計画が為された。
こうして1969年（昭和44年）に水資源開発公団（現・独立行政法人水資源機構）によって建設が開始され、1975年（昭和50年）に完成した。この年は早明浦ダム・池田ダム・香川用水といった四国の重要な水資源施設が相次いで完成しているが、新宮ダムも愛媛分水の水がめとして法皇山脈を貫く分水トンネルと共に完成した。型式は重力式コンクリートダム、高さは42.0m。洪水調節・灌漑・工業用水・発電を目的とした多目的ダムである。ダム完成に伴って新宮集落の100戸の住民が新宮ダム湖の湖底に沈んだ。この後銅山川には2000年（平成12年）に富郷ダムが完成し、愛媛分水事業は完了。吉野川総合開発事業も完結したのである。
[編集] 待たれる国道整備
ダム完成後、銅山川流域を縫って走る国道319号の整備も行われ、法皇山脈を貫いて高知県道・愛媛県道5号川之江大豊線（土佐北街道）の「堀切トンネル」が建設され国道192号と繋がり、川之江・伊予三島方面と銅山川流域のアクセスが格段に向上した。又、高知自動車道・新宮インターチェンジも近くに完成し、香川・高知方面のアクセスも向上した。しかしながら、堀切トンネルからダム下流3km地点の影井堰区間は片側1車線で整備されているが、影井堰～三好市山城町大野区間は未整備のままであり、車1台が通行できる隘路となっておりすれ違い困難な区間でもある。連続雨量による制限があり災害時には大きな支障を生じる為、早期の改善が望まれている。堀切トンネル～柳瀬ダム～金砂湖・平野橋区間も同様の隘路となっている。
