新ソード・ワールドRPGリプレイNEXT
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新ソード・ワールドRPGリプレイNEXT(しんそーどわーるどあーるぴーじーりぷれいねくすと)は2004年より刊行されている、グループSNEによるソード・ワールドRPGのリプレイ本。
ゲームマスター・執筆者は藤澤さなえ。イラストレーターはかわく。プレイヤーズ・キャラクターはクレスポ、ベルカナ、マロウ、シャイアラ、ブックの五人。登場人物の生命力・防御力が冒険者としては異常に低いことから紙のように薄いという意味でぺらぺらーず編、というあだ名が付いている。
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[編集] 舞台
これまでのソード・ワールドリプレイは、前のシリーズが完結してから新シリーズを始めていたため同時に進行するシリーズは一つだけであったが、本作は秋田みやびが執筆する『新ソード・ワールドRPGリプレイ』が現在進行形の中で平行して開始された。
主な舞台はそれまでのソード・ワールドでは悪役とされたロマールなど中原南部諸国。ファンドリア王国や旧レイド帝国領も舞台となった。 オーファンのほかラムリアースなどを紹介しつつも読み物的要素の強かった前作とは異なり、「ワールドガイドとしてのリプレイ」の性格が強く出ており、これまで悪役国家だったファンドリアがシナリオの舞台として使用されたり、レイド帝国の大物残党など歴史人物級のNPCが登場する。
[編集] 特徴
[編集] 徹底した戦闘回避
出来るだけ戦わない、戦うにしてもサーバントや協力者、補助魔法を徹底的に生かし出来るだけ自分達では戦わないスタイルに特徴を持つ。これは特に前作である新ソード・ワールドRPGリプレイとの差によって際立つ。
これは攻撃を耐えうる壁をもたない脆弱さ(唯一のファイターであるマロウは戦士に最適とは言いがたいハーフエルフである)と生命力が人間としての期待値の半分以下で攻撃命中が即死に繋がりかねない主人公的存在クレスポを持つ事により発生するものである。
シナリオ発生→展開→戦闘→解決というオーソドックスなリプレイの流れの中で派手な戦闘が存在しない、もしくは初心者GMの戦術宣言を読んで巧みに回避されてしまうことなどに対し、当初は失望の声があったことも事実だが現在ではバブリーズとは違った形での頭を使ったリプレイ方法として評価する向きも出つつある。
[編集] ハード・イメージの解体
脱線を積極的に公式、準公式の設定として取り込んでいることも特徴として挙げられる。モケケピロピロ、背中の毛の長さを測るロマール盗賊ギルドの拷問などが代表例である。これらは多くがイラスト化されており、作者からも読者からも好評である。 これらは「ハードなイメージを叩き壊した」「(ロマールの盗賊ギルドが)どんどんダメになっていく」などと評されたが、「マイナスイメージを抱かれているものをくだけた側面を見せるなどして親しみを呼び起こし普及させる」という宣伝の方法は実際のビジネスや選挙の現場でも用いられており、これらの「悪役国家」を一般に受け入れさせるための方法として間違っているとはいえない。 同時期に悪役国家のイメージをそのまま留めた「ソードワールドRPGツアー」のロマール、ファンドリアの[1]巻も発行されており、功罪の評価はこちらも見たうえで行わねばなるまい。また、ゲームマスター、プレイヤー陣が悪役国家のカラーに染まった部分、イメージを壊すことなく振舞った部分もあり、単純にイメージを破壊したとは言い切れない。
[編集] サブタイトル
リプレイ集ならびに短編小説のタイトルは全て韻を踏んだものとなっている。詳細はソード・ワールドRPGを参照。
[編集] 登場人物
[編集] ぺらぺらーず
全員がシナリオ上の経過により盗賊ギルドに籍を置く。5人全員が敏捷度と知力が高い[2]一方、筋力に乏しく防御力に欠けるため内部(或いは一部のファン)にはスペランカーズと呼ばれていたが、商標の関係から公式名称はぺらぺらーずと決定した。
- クレスポ
- 主人公的存在である盗賊(15歳)。根っからのスケベでNPCが女性である(ただし貧乳は興味なし)かどうかを常に気にするほど。成長中に大病を患ったことを起因とする(本人談)人間として特筆すべき生命力、精神力の低さが特徴[3]。そのため、1クレスポという単位まで作ってしまった(生命力6で1クレスポとなる)。シリーズ5巻以降ではロマール盗賊ギルド下級幹部に昇格している(最も、ベルカナの傀儡になっているとも言われているが…)。
- ベルカナ・ライザナーザ
- 成功した冒険者を父親に持つ賢者学院次席卒業の魔法使い(17歳)。父親譲りの戦士技能も若干持つ。貧乳。当初は箱入り娘で少し世間知らずなお嬢様という名目だったが、次第に「腹黒」のイメージがでるようになり、現在ではクレスポ達からも恐れられるほど(「ファンドリアでは生き生きしていた」等と評される)。そのため、パーティの交渉役を務める。第1話で愛称は「ベル」だと言っているが、定着せず、誰にも愛称で呼ばれた事がない。
- マロウ
- ハーフエルフのマーファ神官戦士[4]。年齢を数えるのを忘れる位おっとりとした性格だが、幼馴染の年齢より40代と推測される。神殿にファンクラブを持つほどの美形だが、田舎から出てきたため大変な訛りを言葉に持つ。しかし、別に標準語を喋れないわけではなく、変装した際は完璧な標準語を使っている。
- シャイアラ
- エルフの精霊使い。パーティの姐御的存在。初期の頃は怠惰で高飛車というキャラクターだったが徐々に可愛げや色気の面が強く出てくるようになる。また、意外とうっかり者でもある。遺跡とおいしい食事をこよなく愛する。その性格のためエルフにしては肉付きがよい体型になっている。興奮すると耳がくるくる回り、怖い事があると耳が倒れる。
- ブック
- グラスランナーで賢者という変わり種。気楽極楽というグラスランナーの性格からはやや外れた面として本と戦略をこよなく愛する。シャイアラのエルフとしての知識や経験を学ぶためにお供をしているが、シャイアラからは小間使い扱いされている。シャイアラをその気にさせる事に関してはパーティでも随一。
[編集] したっぱーず
ぺらぺらーずがファンドリアで戦った暗殺者&冒険者達。ぺらぺらーずに敗北した事でファンドリアにいられなくなったが「それは可哀想」とぺらぺらーずの面々が同情したため、部下という形でロマールの盗賊ギルドに所属する事に(そのため、クレスポがギルドの幹部になるための試験を受ける事になった)。
- カクタス
- グリーン
- レイバー
- ジーン
- マリオ
[編集] ロマール
- アイリちゃんの宿
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- アイリ
- レミィ
- 盗賊ギルド
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- バーゼル
- ぺらぺらーずの初期の上司なのだが、出だしで無理矢理ぺらぺらーずに仕事を強制させたためか、ぺらぺらーず(マロウ以外)からは全く敬われてない(むしろ嫌われている)。
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- コルネリア
- ぺらぺらーずの現在の上司。バーゼルとは違い、ぺらぺらーずからも信頼されている。
- リッチャー家
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- ライオー・リッチャー
- セバスチャン
- その他
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- テーワズ・ライザナーザ(ベルカナパパ)
- ユリィ
- クリストファー
- ドナート
- ノア
[編集] その他
- このNEXTが好評だったこともあって、続編リプレイWaltzの製作が決定。JAPAN GAME CONVENTION 2006において公式に発表された。
- 無印、NEXTと続いたタイトルから、スレイヤーズシリーズを連想し「TRY」と続編のタイトルを予想した者が多くいたが、TRYは企画の早い段階で却下になったと語られファンの苦笑を呼んでいた。
- 正式なタイトルの「Waltz」にも略称が「W」となることから、またNEXTのカラーを反映してか新機動戦記ガンダムWとの関連で茶化しが入っている。
- 劇中に冗談として登場した「ILoveファラリスTシャツ」は同イベントで実際に製作・着用し来場した者がおり清松みゆきが真っ先に脱線トークのネタにしていて、当リプレイの路線、カラーが否定されていないことを示す証左と言える。
[編集] 備考
- ↑ ツアー3巻『ファンドリア』にはファンドリアを舞台としたシナリオが掲載されているが、いずれも裏切りや謀略の絡む暗い雰囲気のものである。うち一本についてはシナリオの難度が高くテストプレイにおいて多数の死者を出したことがJAPAN GAME CONVENTION 2006において清松みゆきによって語られている。
- ↑ 敏捷度の最低はクレスポの17、知力の最低はブックの15。どちらの数字も一般的基準と比較すると十二分に高い。
- ↑ 生命力6、精神力5は人間に限らなくともほぼ最低値に近い。
- ↑ ハーフエルフは人間に比べて筋力、生命力に劣る為本来は戦士向きではない。「出来すぎた能力」であると後のリプレイである猫の街の冒険では語られている。
[編集] 関連項目
- モケケピロピロ
- 新ソード・ワールドRPGリプレイ
- スペランカー(クレスポの貧弱ぶりをこのゲームに評する読者が多く、またチーム名も「スペランカーズ」にしようという声もあったが、結局版権の問題で却下された(なお、その時は伏字だった))
- ソード・ワールドRPGリプレイ
- 2004 -2006?
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- 先代:
- へっぽこーず編