島津貞久
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
島津貞久（しまづさだひさ、1269年5月10日（文永6年4月8日） - 1363年8月12日（貞治2年／正平18年7月3日））は島津家第五代当主。忠宗の嫡男。南北朝期の武将であり、在地化を進め、島津氏の守護大名としての基礎を作った。
1333年（元弘3年）足利尊氏の倒幕挙兵勧誘により、少弐貞経、大友貞宗と共に鎮西探題北条英時を攻撃、自刃に追い込む。その功により、大隅・日向守護職に補任され、島津氏は初代忠久来、本貫地と見なしていた日薩隅三州を約130年ぶりに回復する。
1335年（建武2年）尊氏が後醍醐天皇に離反。貞久は、一時敗れて九州へ逃げのびた尊氏を助け、多々良浜の戦いで、菊池勢を撃退、尊氏の巻き返しに協力するなど、足利幕府成立に大きく貢献した。しかし、膝下の三州では谷山氏や肝付氏が南朝方として挙兵。これに対し貞久は川上頼久らを薩摩に下向させ、南九州における南北朝の激戦が繰り広げられる。従来、南九州は谷山氏ら薩摩平氏や肝付氏など在庁官人が勢力をもっていた地であったが、鎌倉時代、島津氏や渋谷氏と言った東国武士団が進駐し、在地勢力との間に軋轢を生んでいた。その鬱憤が、在地勢力をこぞって南朝方に誘導し、守護島津氏との対決姿勢を顕わにすることとなった。
1342年（康永元年／興国3年）征西宮懐良親王が谷山城に入城して南朝方に勢いがつき、貞久は度々谷山に攻撃を掛けたが落とせず、戦況はなかなか有利にならなかった。1350年（観応元年）、そのような状況の中、北朝方は尊氏方と直義方とに分裂（観応の擾乱）、この間、直義方の畠山直顕とも戦わなければならず、一時南朝の軍門に下らざるを得ないほどであった（観応の擾乱終結後、北朝方に復帰）。
1363年薩摩守護職を三男上総介師久（総州家）に、大隅守護職を四男陸奥守氏久（奥州家）に譲ったため、島津家は分裂し対立することとなる。
| 先代: 島津忠宗 |
島津氏歴代当主 1318～1363 |
次代: 総州家：島津師久 |
