岡田時彦

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岡田時彦（おかだときひこ、本名・高橋英一、1903年 2月18日－1934年 1月16日）は、大正・昭和初期の俳優。無声映画時代を代表する二枚目俳優である。

東京神田宮本町（現・外神田2丁目）に生まれる。東京開成中学校（現・開成高等学校）を中退し、1920年、設立されたばかりの大正活映の俳優募集に応募し、入社する。同年の『アマチュア倶楽部』で映画デビューを果たす。何本かの映画に出演し、脚本を担当していた谷崎潤一郎にかわいがられ、「岡田時彦」という芸名をもらったりするが、1922年に同社は松竹に吸収される。それに伴い、映画芸術協会、マキノ映画制作所を経て、帝国キネマと移る。ここで伊藤大輔監督の『煙』に出演している。

1925年、日活に入社する。そこで、溝口健二監督の『紙人形春の囁き』や阿部豊監督の『足にさはった女』などに出演し、その演技力に対する評価は高まっていった。岡田嘉子や入江たか子、夏川静江らの人気女優と次々と共演し、近代的な二枚目像を確立した。

1929年に松竹へ移る。小津安二郎監督の信頼を受け、『その夜の妻』、『お嬢さん』、『淑女と髭』、『東京の合唱』、『美人哀愁』などに出演し、どこにでもいるような小市民を飄々と演じきり、新境地を開拓した。なお、この年雑誌『新青年』6月号に岡田の名義の探偵小説『偽眼のマドンナ』が掲載されているが、これは映画俳優が書いた小説という特集に名前を貸したものであり、実作者は渡辺啓助である。

晩年、当時の人気俳優、鈴木傳明、高田稔と共に、退社し、不二映画社を設立し、阿部豊監督の作品に主演するが、まもなく解散。

1933年、新興キネマに入社し、溝口健二監督の『滝の白糸』、『祇園祭』に出演し、村田実監督の『青春街』に出演したのを最後に、結核により32年の短い一生を閉じた。

俳優、岡田茉莉子は実娘。