外資系法律事務所
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「外資系法律事務所(がいしけいほうりつじむしょ)」とは、外国資本の法律事務所。単に外資系ともいう。
日本において(日本法の)弁護士が設立した法律事務所と区別するために法曹の間で用いられる言葉である。その定義は必ずしも明確ではないが、現在のところ、外国法事務弁護士の事務所および外国法事務弁護士と外国法共同事業を行う法律事務所と定義することができる。
[編集] 外国弁護士に対する規制
従来、弁護士法上、「弁護士又は弁護士法人でない者は、・・・法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない」(第72条)と定められていたことから、外国弁護士(外国等において法律事務を行うことを職務とする者で弁護士に相当するもの)が日本国内で「法律事務」を行うことは禁止されてきた。
しかし、これが内外差別であるとの批判を受けて、「外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法」(以下「外弁法」という。)が昭和61年(1986年)に成立し、外国弁護士は、法務大臣の承認を受けた場合に、外国法事務弁護士として原資格国法に関する法律事務を行うことが可能となった(外弁法第7条、第3条)。
ただ、外国法事務弁護士として原資格法に関する法律事務を行うことが承認された後も、外国法事務弁護士が弁護士を雇用したり、弁護士との間でパートナーシップを組んで共同して事業を行うことは禁止されていた。その後、平成6年(1994年)の外弁法改正で、外国法事務弁護士と一定の資格を有する弁護士間において、一定の範囲内の法律事務を行うことを目的とする共同の事業(「特定共同事業」)が許容され、平成10年(1998年)には特定共同事業に関する制限の緩和も行われたが、雇用等の禁止は維持されたままであった。
しかし、最終的には、平成15年(2003年)の外弁法改正(平成17年(2005年)施行)により、外国法事務弁護士による弁護士の雇用および外国法事務弁護士と弁護士または弁護士法人との外国法共同事業(外国法事務弁護士と弁護士又は弁護士法人とが、組合契約その他の継続的な契約により、共同して行う事業であつて、法律事務を行うことを目的とするものをいう。外弁法第2条第15号)を禁止する規定は削除され、自由化されるにいたった(なお、この改正に伴い「特定共同事業」は外弁法上廃止された)(改正外弁法の概要(法務省ホームページ))。なお、外国法事務弁護士が、弁護士を雇用しようするとき、または外国法共同事業を営もうとするときは、あらかじめ日本弁護士連合会に届け出なければならない(外弁法第49条の3)。
[編集] 「外資系法律事務所」の定義
従来、「特定共同事業」制度があったときは、特定共同事業を行っている法律事務所すべてが「外資系」と呼べるかは疑問の余地があった。もともと日本法の弁護士が設立した法律事務所が、外国の法律事務所と単なる提携をするためや、外国法事務弁護士を優遇するためにも、この「特定共同事業」が使われていたからである。
しかし、外国法共同事業が認められた現在においては、「外資系法律事務所」とは、外国法事務弁護士の事務所および外国法事務弁護士と外国法共同事業を行う法律事務所と定義することは可能である。
もっとも、伝統的な国内の法律事務所(例えば日本の四大法律事務所)が、ごく少数の外国法事務弁護士をパートナーとして迎える場合には、やはり外国法共同事業を行うことになるが、このような法律事務所をして外資系法律事務所と呼ぶものは少ないであろう。結局のところ、上記の定義も決して一義的なものではなく、弁護士の外国法律事務所・外国弁護士に対するある種の感情が作用するかどうかというところで、「外資系」か否かは決まるといえる。