地方公共団体
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地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい、独:Gebietskörperschaft、英:local government)とは、国家の領土の一部を範囲として、その地域における住民を構成員として、その地域内の地方自治を行うために、憲法や法律が定めた自治権を行使する事を目的とする団体をいう。一般に、地方自治体や地方政府とも呼ばれる。
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[編集] 単位
一般的に、国家の行政組織を階層別に分けると、「基礎自治体(市町村役場など)<広域自治体(県庁、州政府、地方王国政府など)<中央政府(連邦政府)」の順で大きくなる。底辺ほど数が多く、広域になるに連れて少なくなる。
以降でも述べる「単位系」においては、基礎自治体を青、県規模を緑、道規模を赤、出張所規模を黄で示して区別する。
[編集] 基礎自治体
都市や村落、即ち「点」「コミュニティー」を範囲とする地方公共団体を基礎自治体という。単位系では、都市を市、村落を村として分ける場合もあるが、「○○市」「○○村」を区別しない場合もある。尚、「○○市」「○○村」を区別せずに一括する国家は、ヨーロッパに多く見られる。
[編集] 広域自治体
県や道(州)など、広い範囲を治める地方公共団体や、複数の基礎自治体が集まって構成される地方公共団体を、広域自治体という。「面」「エリア」の概念となる。
単位の種類には、郡、県、道などがある。規模は「郡<県<道」の順に広くなり、県は小さな広がりを、道は大きな広がりを指す。規模が大きく異なる為、県規模と道規模の行政区画を区別する事が多い。
尚、県や道などとは別に、基礎自治体同士の広域連合体が結成される事もある。この場合は、「○○広域連合」のような一部事務組合の形式を採って、一部の案件を広域連合体に移して実施する事例が見られる。
[編集] 連合自治体
[編集] 日本
- 単位系:市・町・村<都・府・県・道<中央政府:二層制
日本の統治機構 |
日本国憲法 |
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天皇 |
立法 |
国会 衆議院 参議院 |
行政 |
内閣 内閣総理大臣 国務大臣 行政機関 会計検査院 |
司法 |
最高裁判所 裁判所 日本の裁判所 |
地方自治 |
地方公共団体 地方議会 首長 都道府県知事 市区町村長 |
国民 |
衆議院議員総選挙 参議院議員通常選挙 政党 |
[編集] 意味
- 日本国憲法(92条以下)における「地方公共団体」:地方自治法における「普通地方公共団体」を指すと解されている。
- 地方自治法における「地方公共団体」:「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」に分けられる(法1条の3第1項)。
- その他の区分による「地方公共団体」
- 基礎的地方公共団体:市町村と特別区
- 包括的(広域的)地方公共団体:都道府県
※ 地方公共団体の単位、即ち「市」「町」「村」「区」「都」「道」「府」「県」などの定義が明記されておらず、曖昧になっている。
[編集] 役割
地方公共団体の組織・運営に関する事項については、日本国憲法の規定により、「地方自治の本旨に基づき、法令で定める」とされており(日本国憲法第92条)、詳細については地方自治法で規定されている。
- 憲法での規定事項
- 議事機関として議会を設置し、団体の長、議会の議員は、その団体の住民が直接選挙する(日本国憲法第93条2項)。
- 財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる(日本国憲法第94条)。
- 日本政府と地方公共団体は俗に上級官庁・下級官庁とも表現されるが、地方公共団体は憲法において自治を認められた組織であり、本来両者は上下の関係にない。すなわち、地方公共団体は国の出先機関ではない。しかし、実際には、法律によって地方公共団体の活動は大きな制約を受けており、このことが近年の地方分権推進の動きにつながる根本原因の一つとなっている。なお、地方公共団体の活動により発生する国内の地域格差の問題に関する判例としては、「憲法が地方公共団体に自治を認めている以上、ある程度の格差が生じることも国民は受け入れるものと解されるべき」とするものがある。
- 地方自治法での規定事項
- 住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うもの(地方自治法第1条の2)
- 普通地方公共団体と特別地方公共団体に区分する(地方自治法第1条の3)
- 法人とする(地方自治法第2条第1項)
- その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない(地方自治法第2条第14項)
- 法令に違反して事務を行ってはならず、違反して行った事務は無効である(地方自治法第2条第16,17項)
なお、憲法上の地方公共団体とは、普通地方公共団体を指していると解釈されているので、特別地方公共団体では上記事項の一部が適用されない。
[編集] 機構
単に「地方公共団体」と言った場合、普通地方公共団体を指すことが多いので、以降この項では普通地方公共団体を扱う。特別地方公共団体については、特別地方公共団体の項を参照。
[編集] 住民
住民は、当該地方公共団体の区域内に住所を有する者。 法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。(第10条)
- 選挙に参与する権利(第11条)
- 条例の制定・改廃を請求する権利(第12条)
- 事務監査を請求する権利(第12条第2項)
- 議会の解散、議員・長等の解職を請求する権利(第13条)
[編集] 議会
議決機関
[編集] 執行機関
講学上の執行機関と異なり、地方自治体の業務を執行する全ての機関を指す。
[編集] 普通地方公共団体の長
- 都道府県知事、市町村長(第139条)
- 担任事務(第149条)
- 補助機関
- 議会との関係
- 長の専決処分(第179条)
- 議会が成立しないとき等は、議決すべき事件を処分することが出来る。
- 議会の委任による専決処分(第180条)
[編集] 委員会及び委員
委員会は規則その他の規定を定めることが出来る(第138条の3)。
設置しなけれなばらない行政委員会及び委員(第180条の5)
委員会の委員または委員は非常勤である(第180条の5第5項)
[編集] 事務
- 自治事務(地方自治法 第2条第8項)
- 地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のもの
- 住民基本台帳の整備(第13条の2)
- 公園、病院の設置
- 都市計画の決定
- 飲食店営業許可
- 法定受託事務(地方自治法 第2条第9項)
- 第1号法定受託事務:国が本来果たすべき役割に係るもの
- 第2号法定受託事務:都道府県が本来果たすべき役割に係るもの
[編集] 自治立法権
日本国憲法第94条では、地方公共団体に条例・規則の制定権(自治立法権)を保障している。憲法にいう条例には地方自治法に規定される条例、地方公共団体の長が定める規則及び地方公共団体の行政委員会が定める規則その他の規程が含まれている。
[編集] 条例
条例は、法令に違反しない限りにおいて定めることができ(地方自治法第14条第2項)、また自治事務のすべてについて定めることができる。
条例には、2年以下の懲役・禁錮、100万円以下の罰金、5万円以下の過料等を科することができる(地方自治法第14条第2項)。
条例については、住民による制定改廃請求が認められ、又、地方公共団体の長が再議に付することができるなど(第12条、第74条、第176条)、国の法律にはない制度がある。
- 委任条例
- 法令の授権に基づいて制定する。
[編集] 財務
- 会計年度(第208条)
- 予算
- 予備費(第217条)
- 収入
- 地方税(第223条)
- 分担金(第224条)
- 使用料(第225条)
- 加入金(第226条)
- 手数料(第227条)
- 分担金、使用料、加入金、手数料に関する事項は、条例で定める(第228条1項)
- 決算(第233条)
- 契約
- 一般競争入札:不特定多数のものが参加する入札である。
- 指名競争入札:特定の複数のものが参加する入札である。
- 随意契約 :特定のものを選んでする契約である。
- せり売り :不特定多数のものが参加し、口頭か挙手で価格を決める契約である。
- 指定金融機関(第235条)
- 現金及び有価証券の保管(第235条の4)
- 出納閉鎖(第235条の5)
- 翌年度の5月31日をもって閉鎖する。
- 財産
- 住民監査請求(第242条)及び住民訴訟(第242条の2)
[編集] 公の施設
公の施設とは、普通地方公共団体が、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するために設ける施設をいう(第244条第1項)。
[編集] 国との関係、地方公共団体相互間の関係
- 関与
- 関与の意義(第245条)
- 関与の法定主義(第245条の2)
- 関与の基本原則(第245条の3)
- 国は、普通地方公共団体が関与を受ける場合には、必要な最小限度とし自主性および自立性に配慮しなけれならない。
- 是正の要求(第245条の5)
- 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
- 是正の勧告(第245条の6)
- 是正の指示(第245条の7)
- 代執行(第245条の8)
- 法定受託事務の処理基準(第245条の9)
- 所轄大臣は、都道府県の法定受託事務について基準を定めることが出来る(同条1項)。
- 都道府県は、市町村の法定受託事務について基準を定めることが出来る(同条2項)。
- 関与の手続
- 許認可等の標準処理期間(第250条の3)
- 許認可等の取消し等の方式(第250条の4)
- 届出(第250条の5)
- 紛争処理
- 国地方係争処理委員会 (合議制機関)
- 総務省に設置され、国の関与に関する審査の申し出につき処理をする(第250条の7)
- 自治紛争処理委員 (独任制機関)
- 事件ごとに設置され、普通地方公共団体の間の紛争の調停、都道府県の関与に関する審査を処理する(第251条1項、2項)
- 委員は、総務大臣または都道府県知事が、任命する。
- 国地方係争処理委員会 (合議制機関)
- 普通地方公共団体相互間の協力
- 条例による事務処理の特例
- 都道府県は、条例により知事の事務を、市町村に処理することとすることが出来る(第252条の17の2)。
[編集] 日本での種類
[編集] 地方自治法に規定する地方公共団体
[編集] 「市町村の合併の特例に関する法律」に規定する地方公共団体
[編集] 独立した地方公共団体でないもの
[編集] フランス
- 単位系:コミューン<県<地域圏<中央政府:三層制
フランスは、日本と同様に中央集権国家と目されているが、地方行政区画の単位は以下のように明快に整理されており、「国と地方は対等」という自負も強い。
1982年に、フランソワ・ミッテラン政権下で地方分権法が成立し、知事官選制が廃止され、行政単位では地域圏が設置された。
- 基礎自治体
- コミューン(commune)
- (首都でも村落でも、基礎自治体は全て「コミューン」と呼ばれる。コミューンの総数は約36000個にも上る。)
- 広域自治体
[編集] イタリア
- 単位系:コムーネ<県<州<中央政府:三層制
イタリアは、1861年頃のイタリア王国成立以後、フランスに近い中央集権的な行政制度が見られる。財源は中央政府から地方公共団体に振り分けられるが、「紐付きの補助金」は存在せず、全部が自前で使用できる。
- 基礎自治体
- コムーネ(comune)
- (首都でも村落でも、基礎自治体は全て「コムーネ」と呼ばれる。コムーネの総数は約8100個。)
- 広域自治体
[編集] 大韓民国
- 単位系:洞・邑・面・区<市・郡・広域市<特別市・道<中央政府:二層制
大韓民国は日本と同様の中央集権国家で、地方自治体の単位も濫造されている。(※詳細は「大韓民国の地方行政区画」も参照する事。)
- 基礎自治体
- 広域自治体
[編集] 関連項目
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