前田利長

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前田利長（まえだとしなが、永禄5年1月12日（1562年 2月15日） - 慶長19年5月20日（1614年 6月27日））は安土桃山時代の武将、加賀藩初代藩主である。前田利家の嫡男。妻は織田信長の娘・永姫（玉泉院）。犬千代、孫四郎。初名は利勝。その後、利長と改名。

尾張国荒子城（愛知県名古屋市）に生まれる。初めは信長に仕えて越前国府中を与えられ、信長の娘の永姫を室に迎える。1582年の本能寺の変では京都を脱出して織田信雄の軍に加わり、信長没後は利家とともに柴田勝家に属するが、勝家の自殺後は豊臣秀吉に仕える。1585年、秀吉により佐々成政が支配していた越中国（富山県）が制圧されると、同国射水郡・砺波郡・婦負郡32万石を与えられた。1599年、父・利家が病没したため、家督を相続し、豊臣政権では五大老となる。若年より秀吉旗下の将校として転戦しており、父である利家を上回る程の軍歴を持ち、加賀藩の礎を築いた。

前田利家は豊臣政権において五大老として徳川家康に対抗する位置にあった。利家死後に五奉行の石田三成が襲撃されるなど党派抗争が始まり前田氏は対徳川的の急先鋒的立場に立たされる。この際、利長は領国へ帰国している。文学作品では徳川家康とその参謀・本多正信が策した偽の家康暗殺事件の嫌疑をかけられたとされる。前田氏を屈服させようとする家康の謀略があったと考えられており、家康は強権を発動して加賀征伐を計画する。利長は交戦を回避し、実母の芳春院（まつ）を人質として江戸の家康に差し出すなどの譲歩をしてその傘下となることで難を逃れている。なお、この際に細川氏・浅野氏・大野氏などが連座している。

1600年、家康は会津の上杉景勝討伐のために出陣し、利長にも出陣が命じられる。家康出陣中に石田三成らが五大老の毛利輝元を擁立して挙兵すると、利長は北陸で大聖寺城（石川県加賀市）や小松城（石川県小松市）などで西軍に与した諸城を落とし、浅井畷の戦いで丹羽長重軍を撃破する。関ヶ原の戦いの後には、西軍に与した弟の利政の領地を加領され、加賀・越中・能登との合わせて120万石を支配する加賀藩が成立した。

利長には実男子がなく、異母弟の利常（利家の四男、初名は利光）を養嗣子として迎え、越中国新川郡富山城に隠居した。1609年、富山城が焼失したため高山右近に命じて射水郡関野に新しい城（高岡城）を築き移った。1614年に高岡城（富山県高岡市）で病没、享年53。高岡に葬り、利常が菩提寺として瑞龍寺（堂宇は国宝）を整備した。高岡市立博物館で常設展示により書跡等の関連資料を展示している。

法名：瑞龍院殿聖山英賢大居士

墓所：富山県高岡市大野の前田利長墓所、同市関本町の高岡山瑞龍寺、石川県金沢市野田町の野田山墓地、石川県七尾市小島町の休嶽山長齢寺、和歌山県高野町の高野山奥の院

肖像画：富山県高岡市金屋町共有本、富山県高岡市石堤の長光寺本（原本焼失。複製：高岡市立博物館蔵）、富山県魚津市教育委員会蔵（複製：石川県立歴史博物館蔵）

書跡:高岡市立博物館蔵「前田利長書状」4点、ほかに高岡市内の個人等、財団法人前田育徳会、石川県立歴史博物館など多数