交響曲第2番 (シベリウス)
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シベリウスの交響曲第2番 ニ長調 作品43は、1901年に完成した交響曲で、シベリウスの7曲（『クレルヴォ交響曲』を含めると8曲）の交響曲中最もポピュラーな作品。
目次 |
[編集] 作曲の経緯
この作品について最も早い時期のスケッチは、交響曲第1番の初演が大成功に終わった2ヶ月後の1899年6月に書かれたフィナーレの主題であるが、この主題はしばらく放置された。1901年2月から3月にかけて、アクセル・カルペラン男爵の尽力でシベリウスは家族を連れてイタリアへ長期滞在の旅に出た。ジェノヴァ郊外のリゾート、ラパッロに住まいと作業小屋を借りシベリウスはこの作品の作曲を進めた。厳寒のフィンランドに比べ温暖なこの国を彼は「魔法がかかった国」と評し、スケッチの筆は急速に進んだ。また、この国の様々な伝説や芸術作品も彼の創造力を刺激した。第2楽章の楽想はフィレンツェでの印象やドン・ファン伝説にインスピレーションを得たと言われる。また、ローマ滞在中にパレストリーナの音楽に多く触れ、その対位法技法から多くを学んだ。しかし、シベリウスはこの作品をイタリア滞在中に完成させることはできず、フィンランドに戻ってからも筆を入れており、1901年11月にカルペラン男爵宛に完成が近いと知らせている。この時点で一旦完成とした後、年末に再び大幅な改訂を行った。
[編集] 作品の概要
[編集] 初演
初演は、1902年3月8日ヘルシンキで作曲者自ら指揮を執り行われた。この初演は、直ちに追加公演が行われたほどの大成功であった。
[編集] 出版
1903年 ブライトコプフ・ウント・ヘルテル社
[編集] 献呈
アクセル・カルペラン男爵
[編集] 楽器編成
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、テューバ、ティンパニ、弦楽五部
[編集] 作品の内容
第3楽章と第4楽章は休みなく演奏するよう指定されている。重厚な緩徐楽章の後、スケルツォの荒々しい響きが牧歌的なトリオを経由して壮麗なフィナーレへと切れ目なく続いて行くこの作品を、フィンランドの指揮者ロベルト・カヤヌスがロシアの圧政に対するフィンランド人の独立への気概を代弁したと解釈したため、現在でもそのように受け止められるきらいがあるが、作曲者自身はこの作品には政治的意図も標題的な意味もないと語っている。第3楽章と第4楽章を休みなく演奏するアイデアは交響曲第3番では両者を統一するアイデアに発展し、最後の交響曲第7番で交響曲全体を単一の楽章に統合するプランの嚆矢をなす試みである。
- 第1楽章 アレグレット
- ソナタ形式。第1主題は弦楽器の葉ずれのようなざわめきを背景に木管楽器で奏でられる印象的な歌にホルンが応答する。そのがやや幻想風のエレジーを弦楽器が奏でるが、その後ピツィカートに転じたりしながら盛り上がったところで、木管楽器が第2主題を提示する。
- 第2楽章 テンポ・アンダンテ、マ・ルバート
- ティンパニや低弦のピツィカートに促されファゴットにより提示される第1主題はドン・ファンと石の客から着想されたと言われる幻想的なもの。金管がコラール風に締めくくりアンダンテ・ソステヌートに転じた後ヴァイオリンで提示される安らかな第2主題はフィレンツェでインスピレーションを受けたキリストのイメージといわれている。
- 第3楽章 ヴィヴァーチッシモ
- 弦の急速な動きからなる荒々しいスケルツォに対してレント・エ・スアーヴェ（ゆっくり、しなやかに）と指定されたトリオ部分はのどかでしみじみとした牧歌的雰囲気。この雰囲気はスケルツォが再帰して打ち破られるが、その後再びトリオに戻る。これが徐々に盛り上がったところで第4楽章に休みなく突入する。
- 第4楽章 アレグロ・モデラート
- 弦楽器の力強いモチーフにトランペットが勇壮に応える第1主題が壮麗に盛り上がった後、徐々に静かになり低弦がうごめくような音型で伴奏する中木管楽器が第2楽章を互いに呼び交わして行く。展開部は第1主題のモチーフの変形から始まり第2主題も巻き込みながら次第に高揚してゆき、拡大され堂々とした再現部を経て、終結部ではオーボエ、トランペットやトロンボーンが朗々と讃歌を奏で全曲の幕を閉じる。
[編集] 参考図書
作曲家別名曲解説ライブラリー18「北欧の巨匠」（1994年 音楽之友社）ISBN 4276010586
