五能線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
五能線（ごのうせん）は、秋田県能代市にある東能代駅と青森県南津軽郡田舎館村にある川部駅を結ぶ、東日本旅客鉄道（JR東日本）の鉄道路線（地方交通線）である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄（事業種別）：東日本旅客鉄道（第一種鉄道事業者）
- 区間・路線距離（営業キロ）：147.2km
- 軌間：1067mm
- 複線区間：なし（全線単線）
- 電化区間：なし（全線非電化）
- 閉塞方式：特殊自動閉塞式（電子符号照査式）
[編集] 運行形態
運行系統は深浦駅を境に概ね区分される。一部は深浦駅をまたいで運転される列車があるが、深浦駅で列車番号が変更される。東能代方では、東能代駅～能代駅間の区間列車が多く、運行本数は同区間の運行列車の3分の2を占める。これは奥羽本線から、能代市の中心部にある能代駅を接続する役割がある。その他、東能代駅～岩館駅間の区間列車がある。
岩館駅～北金ヶ沢駅間は海沿いを走るため、吹雪や強風、高波で運休することが年に何回かある。このことから地元では「不能線」・「無能線」とありがたくないあだ名が付けられている。
川部方では、快速「深浦」を除く全列車が奥羽本線に乗入れ弘前駅に直通する。深浦駅～弘前駅間の列車の他、鰺ヶ沢駅～弘前駅間の区間列車が半数を占めている。また、深浦駅～青森駅間に快速「深浦」が1往復運転されるが、五能線内は各駅停車である。詳しくは深浦 (列車)を参照。
一部列車（東能代駅～能代駅間の区間列車は全列車）ワンマン運転が行われている。
日本海の海岸沿いを走るというロケーションを活かし、土曜休日を中心に観光列車が運転されている。1990年から50系客車を使用した「ノスタルジックビュートレイン」が運行を開始したが、冬季運行の困難などにより1997年にキハ40系気動車による快速「リゾートしらかみ」に置き換えられた。運行区間は、秋田～東能代～（五能線）～弘前・青森間である。2003年と2006年にはそれぞれ編成が増備されて1日3往復の運行（冬期を除く）となり、五能線の顔となっている。
1980年代の一時期には鰺ヶ沢発下り（現在の始発に相当）列車及び当時の上り最終列車が、奥羽本線大館発着となっていた。
[編集] 車両
現在は、キハ40・48形の2形式で運行されているが、かつてはキハ58系も主に快速「深浦」（かつての急行「深浦」）を中心に運用されていた。また、1980年代まではキハ22形も運用されていた。
[編集] 歴史
五能線の歴史は、1908年に開業した能代（現在の東能代）～能代町（現在の能代）間に始まる。反対運動により能代の市街地を避ける形となってしまった奥羽線に接続するするための支線であり、後に能代線（のしろせん）と命名された。
一方、青森県側においても、1918年、私鉄の陸奥鉄道（むつてつどう）が奥羽本線に連絡する鉄道を川部～五所川原間に開業した。
日本海岸を巡って能代と五所川原を結ぶ鉄道は、旧鉄道敷設法による予定線にあげられ、能代方は能代線の延長として、五所川原方は陸奥鉄道の延長の形で五所川原線（ごしょがわらせん）として建設が進められ、1924年から順次延長されていった。昭和大恐慌の影響で、建設が一時スローダウンしたものの、1936年の陸奥岩崎～深浦間を最後に全通し、五能線と改称された。1927年には、陸奥鉄道が買収・国有化されており、機織（現在の東能代）～深浦～川部間が国有鉄道によりで運営されることとなっている。
[編集] 能代線
- 1908年7月1日 【開業】官設鉄道 能代（初代）～能代町（貨物取扱所） 【駅新設】能代町
- 1908年10月15日 【旅客営業開始】能代～能代町
- 1909年10月12日 【国有鉄道線路名称設定】能代線
- 1909年11月1日 【駅名改称】能代（初代）→機織、能代町→能代（2代）
- 1926年4月26日 【延伸開業】能代～椿 【駅新設】羽後東雲、沢目、八森（初代）、椿
- 1926年11月24日 【延伸開業】椿～岩館 【駅新設】岩館
- 1930年12月26日 【延伸開業】岩館～大間越 【駅新設】大間越
- 1932年10月24日 【延伸開業】大間越～陸奥岩崎 【駅新設】陸奥岩崎
[編集] 陸奥鉄道・五所川原線
- 1918年9月25日 【開業】陸奥鉄道川部～五所川原 【駅新設】藤崎、板柳、鶴泊（停留場）、陸奥鶴田、五所川原
- 1924年10月21日 【開業】五所川原線五所川原～陸奥森田 【駅新設】木造、陸奥森田
- 1925年5月15日 【延伸開業】陸奥森田～鰺ヶ沢 【駅新設】鳴沢、鰺ヶ沢
- 1927年6月1日 【買収・編入】陸奥鉄道を買収し五所川原線に編入（五所川原線 川部～鰺ヶ沢）
- 1929年11月26日 【延伸開業】鰺ヶ沢～陸奥赤石 【駅新設】陸奥赤石
- 1931年10月20日 【延伸開業】陸奥赤石～北金ヶ沢 【駅新設】北金ヶ沢
- 1933年11月5日 【延伸開業】北金ヶ沢～大戸瀬 【駅新設】大戸瀬
- 1934年12月13日 【延伸開業】大戸瀬～深浦 【駅新設】驫木、追良瀬、深浦
- 1935年4月15日 【駅新設】林崎、掛落林、陸奥亀田、津軽湊
[編集] 全通後
- 1936年7月30日 【延伸開業・全通】陸奥岩崎～深浦 【線名改称】五能線 【駅新設】陸奥沢辺、艫作
- 1940年11月1日 【駅営業停止】掛落林
- 1943年6月15日 【駅名改称】機織→東能代、羽後東雲→北能代
- 1949年4月1日? 【仮乗降場新設】横磯、風合瀬
- 1951年2月1日? 【仮乗降場新設】向能代
- 1952年1月25日 【仮乗降場→駅】向能代
- 1952年6月1日 【駅新設】陸奥黒崎
- 1953年6月1日 【駅新設】陸奥柳田
- 1954年7月7日 【仮停車場新設】千畳敷
- 1954年11月20日 【駅新設】越水 【仮乗降場→駅】風合瀬
- 1954年12月25日 【駅新設】広戸 【仮乗降場→駅】横磯
- 1956年11月30日 【駅新設】中田
- 1957年3月30日 気動車での運転開始。
- 1959年9月15日 【仮停車場新設】十二湖
- 1959年10月1日 【駅名改称】八森（初代）→東八森
- 1959年11月1日 【駅名改称】椿→八森（2代）
- 1960年12月1日 【駅新設】鳥形
- 1963年4月20日 【駅新設】滝ノ間
- 1969年10月1日 【仮停車場→臨時乗降場】十二湖、千畳敷
- 1971年10月1日 五能線管理所を廃止。
- 1972年12月2日 【事故・運休】広戸～鰺ヶ沢、浪害による機関車転覆のため運休。
- 1983年3月2日 【貨物営業廃止】東能代～五所川原
- 1984年2月1日 【貨物営業廃止】五所川原～川部、国鉄最後の混合列車が廃止される。
- 1986年4月1日 特殊自動閉塞（電子閉塞）・CTC化。
- 1987年4月1日 【承継】東日本旅客鉄道（第1種）【臨時乗降場→臨時駅】十二湖、千畳敷 又、同日より主要駅（一部駅除く）以外の列車交換設備廃止・撤去
- 1987年10月1日 【臨時駅→駅】千畳敷
- 1988年2月1日 【臨時駅→駅】十二湖
- 1989年3月11日 東能代～能代間ワンマン運転開始。
- 1989年12月1日 五所川原駅に「五能線営業所」を設置（深浦・鰺ヶ沢・五所川原・板柳駅を統括）。
- 1990年4月21日 「ノスタルジックビュートレイン」運転開始。
- 1993年5月22日 「夢空間」運転。
- 1997年4月1日 「リゾートしらかみ」運転開始。
- 1997年10月1日 【駅新設】あきた白神
- 2000年頃 「五能線営業所」廃止、津軽地区（弘前駅）へ編入。
- 2000年12月2日 【駅名改称】陸奥黒崎→白神岳登山口
- 2001年12月1日 【駅新設】ウェスパ椿山
- 2003年4月1日 「リゾートしらかみ」橅（ブナ）編成運行開始。
- 2006年3月18日 「リゾートしらかみ」にくまげら編成投入、3往復の運行となる。
[編集] 駅一覧と接続路線
| 路線名 | 駅名 | よみ | 電略 | 営業 キロ |
リゾ｜トしらかみ | 快速 深浦 | 接続路線 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 五能線 | 東能代駅 | ひがしのしろ | ヒノ | 0.0 | ● | 東日本旅客鉄道:奥羽本線 | 秋田県 | 能代市 | |
| 能代駅 | のしろ | ノロ | 3.9 | ● | |||||
| 向能代駅 | むかいのしろ | ムロ | 6.1 | ｜ | |||||
| 北能代駅 | きたのしろ | キロ | 9.3 | ｜ | |||||
| 鳥形駅 | とりがた | トリ | 11.2 | ｜ | |||||
| 沢目駅 | さわめ | ワメ | 14.1 | ｜ | 山本郡八峰町 | ||||
| 東八森駅 | ひがしはちもり | ヒハ | 18.0 | ｜ | |||||
| 八森駅 | はちもり | ハモ | 22.7 | ｜ | |||||
| 滝ノ間駅 | たきのま | タキ | 24.5 | ｜ | |||||
| あきた白神駅 | あきたしらかみ | キラ | 26.1 | ● | |||||
| 岩館駅 | いわだて | イテ | 29.1 | ☆ | |||||
| 大間越駅 | おおまごし | オコ | 39.9 | ｜ | 青森県 | 西津軽郡深浦町 | |||
| 白神岳登山口駅 | しらかみだけとざんぐち | ミケ | 42.3 | ｜ | |||||
| 松神駅 | まつかみ | マカ | 44.7 | ｜ | |||||
| 十二湖駅 | じゅうにこ | シコ | 46.6 | ● | |||||
| 陸奥岩崎駅 | むついわさき | ムサ | 50.9 | ｜ | |||||
| 陸奥沢辺駅 | むつさわべ | サハ | 53.6 | ｜ | |||||
| ウェスパ椿山駅 | うぇすぱつばきやま | ウハ | 56.0 | ● | |||||
| 艫作駅 | へなし | ヘシ | 57.9 | ｜ | |||||
| 横磯駅 | よこいそ | ヨコ | 61.4 | ｜ | |||||
| 深浦駅 | ふかうら | フウ | 66.9 | ● | ● | ||||
| 広戸駅 | ひろと | ロト | 70.8 | ｜ | ● | ||||
| 追良瀬駅 | おいらせ | オラ | 72.9 | ｜ | ● | ||||
| 驫木駅 | とどろき | トト | 76.0 | ｜ | ● | ||||
| 風合瀬駅 | かそせ | カセ | 79.0 | ｜ | ● | ||||
| 大戸瀬駅 | おおどせ | オセ | 83.9 | ｜ | ● | ||||
| 千畳敷駅 | せんじょうじき | セシ | 86.0 | ● | ● | ||||
| 北金ヶ沢駅 | きたかねがさわ | キカ | 90.6 | ☆ | ● | ||||
| 陸奥柳田駅 | むつやなぎた | ムヤ | 93.3 | ｜ | ● | ||||
| 陸奥赤石駅 | むつあかいし | ムア | 97.4 | ｜ | ● | 西津軽郡鰺ヶ沢町 | |||
| 鰺ヶ沢駅 | あじがさわ | アチ | 103.8 | ● | ● | ||||
| 鳴沢駅 | なるさわ | ナル | 108.3 | ｜ | ● | ||||
| 越水駅 | こしみず | コシ | 111.0 | ｜ | ● | つがる市 | |||
| 陸奥森田駅 | むつもりた | リタ | 114.5 | ● | ● | ||||
| 中田駅 | なかた | タナ | 116.9 | ｜ | ● | ||||
| 木造駅 | きづくり | キリ | 119.5 | ● | ● | ||||
| 五所川原駅 | ごしょがわら | コラ | 125.7 | ● | ● | 津軽鉄道:津軽鉄道線 （津軽五所川原駅） |
五所川原市 | ||
| 陸奥鶴田駅 | むつつるた | ツタ | 131.7 | ● | ● | 北津軽郡鶴田町 | |||
| 鶴泊駅 | つるどまり | ツト | 134.1 | ｜ | ● | ||||
| 板柳駅 | いたやなぎ | イナ | 138.9 | ● | ● | 北津軽郡板柳町 | |||
| 林崎駅 | はやしざき | ハサ | 141.9 | ｜ | ● | 南津軽郡藤崎町 | |||
| 藤崎駅 | ふじさき | フサ | 144.7 | ｜ | ● | ||||
| 川部駅 | かわべ | カワ | 147.2 (147.137) |
★ | ● | 東日本旅客鉄道:奥羽本線 | 南津軽郡田舎館村 | ||
| 奥羽本線 | |||||||||
| 撫牛子駅 | ないじょうし | ナヨ | 150.8 | ｜ | ▲ | 弘前市 | |||
| 弘前駅 | ひろさき | ヒサ | 153.5 | ● | ▲ | 東日本旅客鉄道:奥羽本線 | |||
- この書体の駅は列車交換ができる駅。
- ● : 1本以上停車する駅。
- ☆ : 旅客乗降を扱わず、列車交換のためだけに停車する駅（運転停車）
- ▲ : 快速 深浦の深浦発弘前行きのみ停車。川部～弘前間普通列車。鰺ヶ沢発青森行は経由しない。
- ★ : 青森発着のリゾートしらかみは弘前駅で折り返して運転。奥羽本線弘前～青森間の各駅は通過し五能線に出入りするときのみ停車。
- 一部の普通列車は、撫牛子駅を通過する。
