丸山健二
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丸山 健二(まるやま けんじ、男性、1943年12月23日 - )は、日本の小説家。長野県飯山市出身。
1964年に国立仙台電波高等学校(現在の国立仙台電波工業高等専門学校)を卒業後、就職しオペレーターとして勤務。
文學界新人賞を受賞した小説「夏の流れ」が、1966年の第56回芥川賞を受賞。23歳1カ月での芥川賞最年少受賞記録は、2003年に19歳の綿矢りさが受賞するまで破られなかった。
幼少期に矢車草の群生地に寝転んでいると「まったく出し抜けに心に穴が開いてしまった」。 中学時代に日本文学マニアの父の書斎でふと見つけたメルヴィル『白鯨』に衝撃を受け、船乗りになるため無線技師を目指すも「もはや海は自由と冒険の舞台ではなかった」と失望。やむなく商社に入社。妻は同期の社員。 仕事にうんざりし「元手がいらず、一人でやる仕事なら何でもよかった」と小説を書く。デビューするも文壇酒場的雰囲気に吐気を催して長野県大町市に居を移す。祖父の林檎園を開墾し、毎朝の執筆二時間以外を造園に当て、英国のホワイトガーデンをヒントに500坪の庭を造る。 ホフマンスタール『騎兵物語』に衝撃を受け、「街では腕っ節のケンカ屋がプロボクサーに打ちのめされる」。だが幸いホフマンスタールに駄作と失敗作、少女趣味むき出しの作品が多く見受けられ、嫉妬は闘志に変わり「ホフマンスタールが騎兵物語でしか成功させることができなかった文体を更に発展」させた独自の文体を目指す。 初期の文体はオペレーターの経験から極度に抑制されたものである。「和製ヘミングウェイ」と称されるも「自分よりも弱いものを殺して喜んでいる姿に垣間見られる底なしの女々しさ」とヘミングウェイを嫌う。 近年の作品は重厚な哲学的寓意と音楽的な文体に満ち、圧倒的である。 一つの町の一人の少年の生と死を千の視点でつむぐ『千日の瑠璃』 全体主義が蔓延る近未来日本を舞台にした『争いの樹の下で』『るりはこべ』 暗黒街全体を敵に回した青年ヤクザが高さ百メートルの電波塔に潜伏し再起を窺う『虹よ、冒涜の虹よ』など。 実在の映画俳優・高倉健・迎太陽は丸山のファンで、写真集の序文を依頼。以後交友関係にあり、高倉を主演に設定した『鉛のバラ』は話題を呼ぶ。 迎太陽は、丸山に引導を渡す男として各方面の事業経営者から注目されつつある。