ヴィッカース・クロスレイ装甲車
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| ヴィッカース・クロスレイ装甲車 | |
|---|---|
| 性能諸元 | |
| 全長 | 5.01m |
| 車体長 | 〃 |
| 全幅 | 1.88m |
| 全高 | 2.61m |
| 重量 | 4.85t |
| 懸架方式 | |
| 速度 | 最高64km/h |
| 行動距離 | 128km |
| 主砲 | ヴィッカース7.7mm重機関銃×2～4 （弾薬搭載量3,500発） |
| 副武装 | |
| 装甲 | 5.5mm |
| エンジン | クロスレイ 直列水冷4気筒ガソリン 50馬力 |
| 乗員 | 4名 |
ヴィッカース・クロスレイ装甲車は、帝国海軍が昭和6年（1931年）にイギリスから輸入した装輪式装甲車で、第一次上海事変で海軍陸戦隊が使用した。商品としての本車の名称は「M25四輪装甲車1925年型」。
第一次世界大戦においてイギリス海軍は飛行場の警備用に四輪装甲車を開発・使用した。戦後、イギリス海軍はこうした車両の保有を止めたが、代わりに帝国海軍が関心を持つようになった。国内の自動車産業が未発達だった当時、帝国海軍はイギリスから輸入する方針を立て様々なイギリス製装甲車を検討した結果、本車の輸入が決定された。
帝国海軍が選んだのは1925年に設計されたタイプのM25四輪装甲車で、製造は当時の世界的な兵器メーカーであるヴィッカース（ビッカース）社の傘下にあたるクロスレイ社であった。車体は5.5mm厚の装甲で覆われ、車体前部にエンジンを搭載し、車体上部には半球形の銃塔が載せられた。銃塔にはヴィッカース重機関銃Mk.1が前方に向かって2つ、後方に向かっても2つ搭載できたが実際は前方の2つだけという場合が多かった。また、最高64km/hという高速性能もウリだった。
昭和6年、帝国海軍はイギリスから本車10両を輸入し、上海の日本人租界の警護に当たっていた上海海軍陸戦隊に配備した。折りしも同年には満州事変が勃発し、大陸の情勢は不穏なものとなっていた。翌昭和7年1月、中国人による日本人僧侶に対する暴行事件（実際は日本側が仕組んだとされる）をめぐり、ついに上海でも日中両勢力による戦闘の火蓋が切られることとなった。
中国側は第19路軍配下の第155、第156旅団（3,3000人）から成るエリート部隊を上海方面に進めた。当時、上海陸戦隊は800人（第1大隊）だけであり、到底足るものとは思えなかった。その為内地から第2、第3大隊が送られることとなり、1月23日には軽巡洋艦大井が第2大隊（500人）を、1月28日には軽巡洋艦夕張が第3大隊（500人）を上海に輸送した。これでも足りないので、更に敷設艦常盤、砲艦安宅、軽巡洋艦大井、夕張、第15,22,23駆逐隊が各々1ヶ中隊ずつの陸戦隊を下ろした。
貴重な装甲車両である本車は1両ずつバラバラに配備され、ネイビーブルーの軍服に身を包んだ陸戦隊兵士の先頭に立ち活躍した。前方に向かって取り付けられた2つの機銃はそれぞれ別の目標を狙うことが出来た。また上海市街の舗装路は装輪式の本車の行動を容易にした。
但し本車が無傷であったわけではない。5.5mmの装甲板は銃弾の命中角度によっては貫通されたし、装輪式なのでちょっとした障害物でも重大な問題となった。また市街戦ということもあり、中国側は路地の影や建物の上層階といった死角から手榴弾を投げ、本車数両が失われた。
但し全般的に見て本車が活躍したことは紛れもない事実であり、2月13日に帝国陸軍第9師団が到着するまでの2週間をわずかな数の陸戦隊で大人数の敵部隊を食い止めるのに大いに貢献し、「タイヤ付きの装甲車は役に立たない」という従来の見解を改めさせた。
本車の活躍を受け、海軍は同年に海軍九二式六輪装甲車を採用した。
[編集] 関連項目
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