プロデューサーズ (ミュージカル)
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『プロデューサーズ』(The Producers)は、アメリカのミュージカル作品。2001年に初演された。1968年の映画『プロデューサーズ』をミュージカル化した作品で、映画を監督したメル・ブルックスが作詞と作曲を行った。初演の主役はネイサン・レインとマシュー・ブロデリックが演じた。大ヒット作となり、トニー賞の12部門を受賞。
このミュージカルを元にして、2005年に『プロデューサーズ』が再映画化された。
目次 |
[編集] 公演
[編集] ブロードウェイ公演
[編集] ロンドン公演
[編集] 日本での公演
[編集] あらすじ
(♪Overture/序曲)
[編集] 第1幕第1場
(♪Opening Night/初日) ブロードウェイの劇場の出口。新作ミュージカルであるFunny Boyの初日である。2人の案内嬢が出口を開ける。「♪今夜はマックス・ビアリストックの最新作の初日。劇は終わってお客様がいまから出てくるから、感想を聞いてみましょう」 そこへ出てくる観客達は口々にこの劇をののしる。「♪マックスがまたもしでかした。この街で最低のショーだ。どうやったらこんなものができるんだ?なんて大災難」 (脚立に登って係の人が「Opening Night」を「Closing Night」に変える) そこへ最後に出てくるマックス・ビアリストックその人に、みながパンフレットを投げつけてこの曲が終わる。
(♪The King of Broadway/ブロードウェイの王様) 客達が去った後、浮浪者や街の貧民達が通りかかる。盲目のバイオリン弾きの悲しいメロディーにのせてマックス・ビアリストックが歌いだす。「♪私はかつてブロードウェイの王様だった。私は常に大ヒットを飛ばしていた」 「王様っていうのはいいもんだぜ」盲目のバイオリン弾きに茶化される。 「♪昔は皆が私をほめた。私の手からは黄金が産み出された。それがどうだ、今では返却期間を過ぎた貸衣装を着ている」 貧民たちが踊りだす。「♪あんたのいうことを信じるよ、ビアリーストック」 「私はビアリストック、初めて夏の分のストックを冬に上映した男だ。初めて四角い劇場を作った男だ。以前は誰もいい席がなかったんだぞ。私の師匠は死ぬ時に私に言い残したんだ。○△×■※!」 「それなんて意味?」 「知らん。ヘブライ語なんて奇妙なものは分からん。♪私はもう一度かならず返り咲く」 再び一同は歌いながら踊りだし、マックスを乳母車に乗せながら一同は退場。
[編集] 第1幕第2場
所変わって雑居ビルの中らしき一室、下手の扉を叩く音がする。返事がないので扉を開けて入ってくるのは、会計士のリオ・ブルーム。突然、中央のソファーで寝ていたマックスが起き、リオは腰を抜かす。リオは自分が会計監査のために来たと告げる。リオはマックスをプロデューサーだと知り、昔からプロデューサーになることに憧れていた、というが、夢のままにしておけ、といなされる。 そこへ、さらにノックの音が。「誰だ!?」というマックスに「抱いて、触って(Hold me Touch me)」という老女の返事。あわててトイレへリオを押し込み、身なりを整え、たんすから彼女の写真を探し出してピアノの上に載せるマックス。老女から小切手を受け取ろうとするが、老女はHな遊びをしないとだめだと言い張る。仕方なく付き合うマックスだが、なんとか小切手を受け取ってお帰りいただく。 リオは帳簿をみて、おかしいところがあるとマックスにいう。「ちょっといいですか?」というリオの言葉を文字通りに、時計で時間を測りながら早口で説明することを強要したため、リオは泣きそうになりながら奇妙な青い布を出して顔をなでる。マックスがそれを取り上げると、突然半狂乱になってしまうリオ。大騒ぎになってしまい、マックスはなんとか布を返してなだめることに成功する。マックスはふと窓の外を見て美女をみつけ、「手に入れたら見せびらかせ!」などと冷やかす。 再び帳簿に向かうリオだが、出資金の出資者への返金についての説明をマックスに求めると、大失敗した劇で出資者に金を返すはずなどないだろう、とリオはいう。返金を全く行わないと、黒字になることに気が付いたリオは、もしかして金だけ集めて経費をケチり、劇を失敗した方が儲かるのじゃないだろうか、と気づき、マックスに強要されてそれを言ってしまう。「しかしわざと失敗など・・・」というリオにマックスが歌いだす。 (♪We Can Do IT/我らにはできる) 「簡単なことだリオ。第1に最悪の脚本をみつける。第2に最悪の演出家を雇う。第3に2百万ドルを集める」「2百?」「百は私、もう百は君にだ。そして第4に最悪の役者を雇い、第5に劇をたたむ。そして2百万ドルをもってリオ(・デ・ジャネイロ)に飛ぶ」「リオ!もう働かなくてもういいんだ」 「まあそんなところだ。アフリカ大陸横断で相棒に、エベレスト登頂でシェルパに、ワシントンがデラウェアを横断していた時に率いていた兵達に、なんていったと思う?」「なんて?」「♪我らにはできる。君と私だ。我らにはできる。夢を実現させるんだ。着物望み全てが手にはいる。裸の美女が真珠だけつけて迫ってくるぞ。どうだね、ブルーム」「♪なんていえばいいんだ。私の望みがついにかなううんだ。私には・・・できない」 以後2人は二重奏で「できる」「できない」を言い合うが、ついにリオは出て行ってしまう。マックスはひざまずき、神に祈りをささげる。「金が欲しい!」
[編集] 第1幕第3場
(♪I Wanna be a Producer) 会計会社で、社員達が並んでいる。リオが帰ってくると、社長に遅いと怒鳴られる。リオが自分の席に着くと、同僚達が歌いだす。 「♪朝は借方、夕方は貸方、計算が合うまで」同僚達の合いの手にと共にリオが歌いだす「♪人生が会計で終わっていく(不幸だ)、私には心の奥底に隠した密かな望みがある・・・」 音楽が長調に変わり、リオが踊り始める。 「♪プローデューサーになりたい、ブロードウェーでヒットさせて。贅沢な暮らしをして」 すると、それぞれの棚からコーラスガール達が出てくる。最後のだけ不細工。美女達と踊りだす。 「♪プロデューサーになりたい。自分の名前をそこでみたい」 セットが変わり、タキシードを着て美女達と歌い踊るリオ。 「♪プロデューサーになりたい」 プロデューサーになってやりたいことを歌いだすリオ。だが突然に全てがコーラスガールたちに剥ぎ取られて正気に戻る。「♪なぜなら全部が今の私と違うから」 曲調が単調に戻り、セットも元に戻る。同僚達の「♪不幸だ、とても不幸だ」の合いの手の中で「♪プロデューサーになりたい」とつぶやくリオ。 「そうだ、私は何をしているんだ。マックスは正しい」さぼっているリオに怒鳴り込む社長だが、「私は辞める」と言い放ち、リオは会社を再び現れたコーラスガール達の歌声に見送られながら出て行く。
場面は再びマックスのオフィスへ戻る。マックスはまだ祈りの姿勢のまま。リオが一緒にやることを告げると、2人は再び(♪We Can Do It)のメロディーで歌いだす。
[編集] 第1幕第4場
オフィスで徹夜で脚本の山から最低の脚本探しを行っている2人。しかし、リオはもうダウンしている。どれもこれも最低とまではいかない。「もう諦めよう」などというリオだが、マックスは諦めない。突然。マックスは笑い出す。「これだ。ヒトラーの春(Springtime for Hitler)。ヒトラーとゲイたち」「ヒトラーの春?なんてこった」 早速二人はオフ・ブロードウェイのその脚本家の場所へ向かう。
[編集] 第1幕第5場
古いビルの屋上で、半ズボンに鉄兜をかぶった見るからに怪しい男(フランツ・リプケン)が鳩の世話をしている。鳩たちの名前をいうと鳩が応え、最後の鳩はナチス式の敬礼で応える。フランツは朗々と鳩の合いの手を共に歌いだす。
(♪In Old Bavaria/古きよきババリア) 「♪ああ懐かしい古きよきババリアの自然にどれだけぶちゅーとキスしたいか。空と草原。(クークー)もちろん民族衣装。(クークー)このナチの目に涙があふれてくる。ああ古きよきババリア(バイエルン)よ」 鳩がドイツ国家の出だしをハミングする。 (♪クーククークー、クークークククー)
そこへ現れるマックスとリオ。明らかに狼狽するフランツは、「私はナチなんて知らない」などといいながらヨーレイなどを歌いだすが、マックスの政府から来たわけではない、という説明に少し安心する。リオはすでに濃すぎる、と嫌気が差している。そしてマックスに「君の脚本は傑作だ、是非ブロードウェイで使いたい」といわれ、「脚本というと、「例の人の春?(Springtime for You-Know-Who)」と確かめ、途端ににこやかになる。それならば契約を、というマックス達にたいし、総統のお気に入りのダンスを踊らないとダメだ、という。「ホ長調でいいかな?」「他に選べるのかね・・・?」
(♪Der Guden Tag Hop-Clop/こんにちはのタップダンス) 「♪おはよう、タップタップ。いとしい人へ、息子へ。飲んで食べて踊って!さあ一緒に!」 仕方なく踊りに参加するマックスとリオ。 踊りが終わったので、さあサインをというと、フランツはジークフリートの宣誓を行わなければならない、という。ここまできたら、とマックスは嫌がるリオにも強引にやらせる。2人はナチの鉤十字の腕章を付けさせられ、「この誓いをアドルフ・エリザベス・ヒトラーに誓う」と誓わせられる。 「エリザベス?」 「総統のミドルネームだ。多くの人は知らんがな。総統は英国王室と血が繋がっているのだ」
2人は誓いを破ったら殺す、と脅されながらも無事に契約書にサインをもらい、逃げ出す。残されたフランツは「なんていいやつらだ!」と感激し、「ハイル、例の人!」というと、鳩が一斉に腕に鉤十字の腕章をつけて敬礼する。
[編集] 第1幕第6場
打って変わって、悪趣味な家具が並ぶピンク貴重の部屋に呼び鈴がなる。明らかにゲイっぽい男が扉をあけるが、腕章を付けたままの2人をみて固まる。「Yessssssssssssssssssssssssss.......」2人は気が付かず、約束をしていた者だが、と告げると、カルメンはにこやかに2人を招きいれる。「その前にその鉤十字を」といわれ、初めて気が付き、ゴミ箱に投げ捨てる2人。「ロジャー」と主人の名前を呼ぶカルメン。中年の男ロジャーはパーティードレス姿で優雅に現れる。たじろぐ2人。あなたの最新作はよかったわ、という2人。それに比べて最近のショーは女がターンターンキックターン、それだけ、と嘆きだす。ロジャーに脚本は読んでくれたかと聞くと、むさぼるように読んだという。引き受けてくれるかといわれると、もちろんそんなわけないでしょ、といわれる。ロジャーがカルメンと共に歌いだす。
(Keep it Gay/ゲイでなければ) 「♪そんなものではチケットは売れないわ。ショーはもっと可愛く、機知に富んでいて、なんていえばいいのかしら?」リオに迫ると、リオが答える。「ゲイ・・・?」 「その通り!♪舞台は明るくゲイでなければ。暴力などがあっても、嫌だけど不平はいわない、ゲイであれば。♪人々は楽しいものがみたいの。♪♪ハッピーエンドはショーを活気つける。♪エディプスは死ななくてよかったのに。♪母親を諦めていればね♪♪ゲイでなければ」 マックスが「その通りだ。だからこそ君にやってもらわねば」というが、ロジャーは乗り気ではない。「趣味じゃないわ。だけど一応私のスタッフを紹介するわ」 曲と共に4人のスタッフが次々と登場する。最後の1人以外は様々なタイプのゲイである。全員がロジャーを褒め称えつつ「ゲイでなければ」と歌う。 マックスが再度懇願する。「君でなければダメなんだ。考えても見たまえ、名声を、尊敬を。トニー賞を」 最後の言葉に反応するロジャー。カルメンが「天才のひらめきよ!」という。ロジャーがひらめいた演出方針をうたいだす。 「第二幕は書き直さなければね。戦争に負ける?盛下がるわ」 「♪ロジャーが歴史をつくる!」 「冒険的だけど、うまくいくわ。♪突撃隊の服装の女達が皮の鞭でひっぱたくの、あえていうわSとM」 「♪すばらしい!」 「♪ドイツ兵のダンスがフランスを蹂躙していく。そして、戦争に勝つの!ダンスも目新しくターンターンキックターン・・・」 マックスが感動した振りをしていう。「素晴らしい。君にしかできない」 「ちょっと待って、これは大切な決断なの、考えさせて。やるわ。♪私はやるわ!」 他のゲイ達も入ってきて、「ゲイでなければ」を大合唱。
[編集] 第1幕第7場
乱痴気騒ぎから事務所に戻ると、扉を叩いて金髪美人(ウーラ)が入ってくる。英語がまともに話せない。スウェーデン人で、オーディションが今日と勘違いしてやってきた。美女なのでとりあえず歌わせてみる。「昨日、変な男に窓から『手に入れたら見せびらかせ』といわれて思いついたの」とオリジナルの歌と踊りを披露する。最初はたどたどしいが次第に力強く妖艶に歌い踊りだす。
(When you got it, Faunt it/手に入れたら見せびらかしなさい) 「♪手に入れたら見せびらかしなさい。劇場では謙譲など美徳でないの。魅力をみせなさい。隠しているのをみせなさい。バイオリン奏者はE線を引きたがるけど、客はG線を聴きたいの。手に入れたら大声で言いなさい。女には小麦の肌だけが必要なの。スウェーデンでお母さんが教えてくれた。頭から脚まで祝福されているならば、頭から足まで見せなさい、考えてはダメ。手に入れたなら分かち合いなさい、与えなさい、利己的ではダメ。男に生まれたままの姿を見せなさい、手に入れたなら!」
あまりのセクシーさに前を押さえて立ち上がれない2人。2人はウーラの採用をもちろん決め、さらにマックスは練習が始まるまで秘書をやらないかともちかける。リオは英語ができない秘書?といぶかしむが、マックスは気にしない。「ビアリストック&ブルーム」と電話が来た時の予行練習をするウーラ。 何時から働けるかとたずねると、起きてからのスケジュールをいい、11時からはセックスというウーラ。もちろん11時から!という2人。
[編集] 第1幕第8場
ウーラが帰った後、ここからは私の出番だ、というマックス。
(♪Along Came Bially/そしてビアリーがやってきて) 「♪時は来た。色状狂どもから出資させる。奴らには望みがない、喜びがない。そこにビアリーがやってきて。奴らは沈み込んでいる。そこへビアリーがやってきて」 すると場面は老人ホームに移る。老女達が歌いだす。 「♪私たちは望がない。そこへビアリーがやってきて。時は過ぎていった。人生の最後に喜びが与えられた。私たちが本当にやりたいのは、座って編み物などではなく、セックス!」 マックスがそこへやってきて、老女達のゴキゲンを取り始める。やがて老女達は歩行器をつかってタップダンスを繰り広げる。最後にマックスは老女達から小切手を受け取り、出てきたリオに上首尾だと伝え、「我らは出来る」と歌いだす。ウーラも「ビアリストック&ブルーム。ショーが始まる!」と歌いだす。カルメンとロジャーも現れ「ゲイでなければ」と歌い、フランツも鳩を抱えて「ドイツドイツ世界に冠たるドイツ」とドイツ国家を歌いだす。老女たちも含め、一同が大合唱となり、第1幕が終わる。
[編集] 第2幕第1場
マックスとリオが事務所に戻ってくると、部屋が真っ白に塗られている。ウーラが勝手に部屋を塗っていたのだった。 所要があるからと再び出かけるマックスに対し、部屋にウーラと残されるリオ。女性恐怖症なのでウーラが近づくと逃げてしまう。
(♪That Face/あの顔) 「♪合体したいという欲望は思慮分別を奪う。スカートは男性ホルモンを試す。だから私は今まで正しい方向に向かっていた。あの顔に出会うまでは。あの顔。素晴らしい顔。彼女が近づいたら逃げなければ、笑顔で殺される。あの顔、用心せねば、恋におちたら私など消えてしまう。だけどその価値はある、あの顔には」 ウーラが誘うと、リオは共に踊りだし。ウーラとの二重奏になる。 「♪あの顔、愛すべき顔、このスウェーデン人の心を溶かす」 「♪恋におちたら私など消えてしまう」 「♪♪だけどその価値がある、あの顔には」 2人はキスをし、リオはポケットから例の青い布を取り出し、ゴミ箱に捨てる。
そこへマックスが戻ってきて、ウーラのお尻を見ながら歌う。 「♪あの顔・・・」
そうこうするうちに、ウーラが11時でオーディションの時間だという。11時という言葉にすっかり反応してしまう2人。
[編集] 第2幕第1場
役者のオーディションだが、素人ばかりで、ロクな人材がいない。4人目の候補が(ドイツ音楽を聴いたことがあるか?)をとろとろと歌いだすのに業を煮やし、フランツが「こうやって歌うんだ!」と飛び込んでくる。
(♪HABEN SIE BEHORT DAS DEUTSCHE BAND?/ドイツ音楽を聴いたことがあるか?) 「♪ドイツ音楽を聴いた事があるか?さあビム、さあボム、さあビムバムビムバムボム。ロシアやフランスの音楽はうらら~。ドイツ音楽とは比べ物にはならない!ドイツ音楽を聴いたことがあるか?ポーランドのポルカなど陳腐でばかげてる!こうやらなければだめだ。輪になって、美しく、酢漬ソーセージ!転調!ドイツ音楽を聴いたことがあるか!?これだけが真の音楽、我らが愛する人々が歌う歌!」
終わるや否や、マックスが叫ぶ。「奴が我らがヒトラー役だ!」
[編集] 第2幕第2場
(♪Opening Night/初日) 再び劇場前。案内嬢2人が歌いだす。 「♪マックス・ビアリーストックの最新作の初日。上手くいくかしら駄目かしら。社交界の人々も集まってきた。私たちも興奮している、だって『ヒトラーの春』が来たのだから!」
(♪YOU NEVER SAY GOOD LUCK ON OPENING NIGHT/初日にグッド・ラックといってはダメ) そこへマックスとリオ、そしてロジャーとカルメンがやってくる。フランツは以前のびくびくした様子は全くなく、ドイツ国防軍式のサイドカーで乗り付ける。初日がはじめてのリオは、思わず「グッド・ラック」といってしまい、たしなまれる。 「♪あなたには誰もいっていないのね。初日にグッドラックというのは縁起が悪いの」 「♪分かったよ。僕は馬鹿じゃない。ではなんといえば?」 「♪それは脚を折ってしまえ」 ロジャー、カルメン、フランツ、そしてリオたちの合唱に対して、マックスは通り行く役者やスタッフ、通行人に「グッドラック」を言い続け、黒猫を振り回し、脚立を入り口の前に置き、くぐることを強要する。
合唱後、フランツはその脚立の下をくぐって入り口から中に入るが、とたんにすごい音がする。「どうした?」というと、「脚を折った」という答え。代役がおらず中止にしようかというカルメンの言葉にマックスは慌てる。ロジャーが何気にヒトラーのちょび髭を口元にあててやりたそうにしている。マックスが気づき、ロジャーならできる、という。ロジャーはもったいぶるが、カルメンの励ましを受けて、ヒトラー役を引き受ける。
[編集] 第2幕第3場
(♪Springtime for Hitler/ヒトラーの春) ドイツ国家の短い序曲が終わり外側の幕が上がると、民族衣装を着た男女が踊りながら歌いだす。 「♪ドイツは災難にあっています。栄光を取り戻すには新しい指導者が必要。どこにいるの?私たちは見つけました!」 内側の幕があくと、ドイツの親衛隊の服装を来た青年が歌いだす。中央からプレッシェルやポット、ソーセージなどを付けた奇妙な衣装のショーガールが登場し、それをエスコートし、最後に鷹の衣装を着たウーラが現れる。やがて女性コーラスが加わる。 「♪そして今や・・・ヒトラーとドイツの春。ドイツは幸福でゲイ。我らは快進撃を続けている。我らこそ支配者たる民族だ。ラインラントは素晴らしい土地に再び。気をつけろヨーロッパ、我らはもうすぐ進撃する。ヒトラーとドイツの春。(みて、この春を)ポーランドとフランスの冬。(春・・・)来たまえドイツ民族、踊れ」 突撃隊の制服を着た男女(女性は半ズボン)が左右から現れ、タップダンスを繰り広げ、腕と脚で鉤十字を作り出す。2人の突撃隊員が現れる。 「私はロルフ。なぜならデュッセルドルフで生まれたから」「馬鹿なこというな。賢くあれ。ナチ党にきたまえ」 ウーラが叫ぶ。「総統がいらっしゃるわ」そして一同が「ハイルヒトラー」と敬礼すると共に、現れたヒトラーに扮するロジャーが奇妙なポーズをとり、そして降りてきて歌いだす。 「♪ハイル私、自分にハイル。私は歴史を作ろうと頑張っているドイツ人。私以上の独裁者はこの国にはいないわ。私がするわ、あなたのために私がするわ。(あなたがなさる!)戦争がほしければはい第二次世界大戦。ハイル私、祝杯のビールよ。(ヤーボー!)立ち上がって手を振りなさい!」 「♪総統は熱狂を引き起こすわ、あなた方は愛すべきよ。世界を手に仕掛けている。熱狂を引き起こす」 やがて幕が降り、その外でヒトラーがただ一人になり、舞台の端に座り、ゲイっぽい仕草の後に歌いだす。 「♪私は誰も覆いかぶされない紙のハンガーみたいなものだった。議会から電話があってね、私に言ったの、私が総統ですって。ドイツは元気がないの。だけど今やフランスを征服して国民は笑っているわ」 そこへスターリン、チャーチル、ルーズベルトがそれぞれ現れるが、ヒトラーは追い返してしまう。 「♪おかしなところがあっても、それが政治や歴史、わかるでしょ、全てはショービジネスなの!ハイル私、ショーをごらんなさい。新世界秩序がここにあるわ。みんな私に敬礼。素晴らしい私に!そして今や」 すると幕が開き、突撃隊がウーラと共に列を作って現れ、大合唱となる。 「♪ヒトラーとドイツの春、爆弾が空から落ちてくる、栄光は再び、潜水艦は再び出航する。ヒトラーとドイツの春。我らが使用としているのは戦争!」 落下傘部隊や戦車の張りぼての兵士たちも現れ、大円団。
幕が閉まると、カーテンコールとなる。カルメンが現れてロジャーに花束を投げる。しかしロジャーがウーラにキスをしたため、涙目となっている。
[編集] 第2幕第4場
事務所に暗い顔をして戻ってくるマックスとリオ。ヒットおめでとうの横断幕がある。リオはゴミ箱へ行き、例の青い布を取り出す。マックスは新聞の束から劇評を読み出すが、全てが絶賛の記事ばかりである。2人は二重奏を歌う。
(When Did We Go Right?/どこでまちがえた?) 「どこで間違えた?劇は長くて不快なはずだ」 「♪♪我々はブロードウェイの内外を探して咳払いをするような歌手やヘタクソなダンサーを雇った。演出家は半ばいってしまっているようなゲイの男だ。どこで間違えた? 「『ここ10年で最高の傑作だ。マックス・ビアリーストックは天才だ。』いまさら好きになっても」 「客の半分はユダヤ人だったんだぞ」 「もうおしまいだ」 「20年は上演されるだろう」 「♪♪おしえてくれ、どこで間違えた?」
歌い終わると、正気に戻ったかのようにリオが帳簿を持っていこうとする。マックスが止めるが、それがまるでゲイ同士の交際のように見える。そこにそこへロジャーとカルメンが事情も知らずに祝いに駆けつけ、2人の姿に喜ぶが、そこへジークフリートの誓いを破られたフランツが松葉杖を突きながらやってきて拳銃をぶっ放す。マックスは逆に説得してこんな劇を止めるため役者を殺して来いというが、リオが慌てて止める。そこへ警察が拳銃をぶっ放した男がいると聞いてやってくる。フランツが連れて行かれるが、警官の一人がそこにあった帳簿と裏帳簿の両方を見つけてしまったために、マックスが逮捕されてしまう。 そこへやってくるウーラ。リオが扉の裏に隠れているのに気が付く。リオが自首しようとするのを、一緒に逃げようという。ウーラにそそのかされ、リオは逃げることにする。
[編集] 第2幕第5場
(♪Betrayed/裏切られた) 牢屋のマックスに、看守が葉書を渡す。それはブラジルに逃げたリオとウーラからで、2人は幸せに結婚しており、これもマックスのおかげで、マックスがここにいたらいいのに、などと話しながら2人でいる、という。 「♪裏切られた。お前は寝転び私は牢屋。私は裏切られた。私はかつては王様だった。だが今は愚者だ。全ては奴が来てから始まった」 マックスは様々な裏切られた人物に自分をたとえ、そして今までの歌を断片的に使いながらストーリーの流れを再現する。 「♪お前はリオへ逃げた。私は牢屋でお前はウーラと。ブルータスに裏切られたシーザーだ。これも報いなのか。裏切られた!」
[編集] 第2幕第6場
法廷、中央に裁判官がおり、下手に老女達が座る。マックスが有罪を認めようとしたその時、リオがウーラと入ってきて、使ってしまった分以外の金を全て出す。ウーラはリオの妻だという。そして裁判長に語りだし、やがて歌いだす。 「♪私の人生はこの男に会うまでは何もありませんでした。彼が満たしてくれたのです。彼のような人物はいません」 マックスはリオに「今まで気が付かなかった。君は歌が上手いな、とぼける」友達じゃないかといわれ、マックスが歌いだす。 「♪今まで友達なんていなかった。誰もが騙そうとしてきた。彼と会うまでは。私にはとうとう友人が出来た」 「♪♪空虚な人生を満たしてくれた」
裁判官は二人の友情を引き離せないから2人仲良くニューヨーク州Sing Sing刑務所に5年の刑を選考する。
[編集] 第2幕第6場
(♪Prisoners of Love/愛の虜たち) 囚人達が歌の練習をしている。マックスが指導しており、フランツがピアノを弾いている。リオは出資金を集めている。一同は歌の練習を続ける。 「♪愛の虜。空は自由、だが愛に満たされたハートは自由。我らは未だに囚人、我らは未だに愛の虜」 そこへ、囚人達へ歌の指導を通じて貢献したということで、3人は保釈できることになった。囚人達の歌はそのままブロードウェーの舞台となり、ロジャーやウーラも加わる。
やがて、マックスとリオがタキシード姿で現れる。舞台は変わり、2人が歌いだす。 「♪私たちのやったことはおいといて。もう二度としないから。私たちはまっとうな偉大な道に戻ってきた。配役はすごい、台本は感動的。だけどプロデューサーがいなければ始まらない。我らはリオ&マックス」 するとブロードウェーのヒット作のタイトルをもじったネオンが次々と現れる。 「♪♪プロデューサーのリオとマックス!」
[編集] 外部リンク
- The Producers - ブロードウェイの公式サイト
- The Producers - ロンドンの公式サイト
- The Producers - Internet Broadway Databaseのページ