ハットゥシリ3世
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ハットゥシリ3世（Hattusili III、在位：紀元前1275年頃 - 紀元前1250年頃）は、ヒッタイトの王。彼はエジプト第19王朝との間に平和条約を結んだことで名高い。
[編集] 来歴
ムルシリ2世の息子として生まれ、先々王ムワタリの弟であった。ムワタリの息子で甥のムルシリ3世が王位についていたが、ムルシリ3世は庶子であり、このことがムルシリ3世と他の王族の間に軋轢を生み出していた。ハットゥシリ3世は当初はムルシリ3世を支持していたが、ムルシリ3世が自分を排除しようとしたので先手を打ってムルシリ3世を追放して王位についたと自らの碑文で主張している。一方で、ムルシリ3世の弟クルンタをかつてムワタリが首都を構えたタルフンタッシャの王に任じて、親ムルシリ3世派の懐柔を図った。
前王の代より、東隣する国家アッシリアが急激に勢力を拡大していた。アッシリア王アダド・ニラリ1世の時代にはミタンニの旧領を併呑し、この時期にはヒッタイトの領土に迫る勢いを見せた。このため、ハットゥシリ3世は歴代王が長期にわたって継続してきたシリアでエジプトと対抗する政策を転換し、シリア方面での拡大を放棄してエジプトとの講和、さらに同盟を図った。
この結果、ヒッタイト王ハットゥシリ3世とエジプト王ラムセス2世の間で、シリアにおける国境線の確定、相互不可侵、外敵に対する共同防衛を取り決める平和条約が結ばれた。これは当時の平和・同盟条約としては条文が残されている数少ない実例であり、極めて重要である。正文を銀板に記し、粘土板にコピーしたものを両国が所有したが、正文を記した銀板は発見されていない。さらにハットゥシリ3世は、ラムセス2世に娘を嫁がせてエジプトとの同盟強化を図った。
ハットゥシリ3世の死後、息子のトゥドハリヤ4世が跡を継いだ。
