ノーマーク爆牌党
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『ノーマーク爆牌党』(ノーマークばくはいとう)は、片山まさゆきの麻雀漫画である。「近代麻雀オリジナル」にて連載された。全9巻。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] あらすじ
- 雀荘「どら道楽」でよく麻雀を打つ鉄壁保、当大介、九蓮宝燈美。ある時、彼らの前に突然爆岡弾十郎(通称爆弾)なる男が現れた。鉄壁や大介は爆岡と勝負するが負ける。その後、爆岡は万利休と言う老人の推薦を受けて麻雀界の三大タイトルの一つ達人戦の予選に参加する。爆牌と自ら名づけた、相手の手牌を読み切り余り牌を狙うという天才的な打牌を武器に決勝まで進んだ爆岡は、タイトルホルダー・稲瀬を降して達人位を獲得する。更に満強位・茶柱、雀竜王・鬼押出も倒して麻雀界のタイトルを独占する。
その後も稲瀬・茶柱・八崎などのトッププロが何度か挑戦するが毎回返り討ちにし、3年の月日が流れた。その間にも爆岡は勝ち続け、3大タイトルの3年連続計9連覇を果たしていた。
- それに挑戦するのが、爆岡をライバル視している鉄壁保である。鉄壁は爆牌で派手に勝つ爆岡とは対照的に爆守備と呼んでいる非常に堅い打ち筋でプロの道を進んでいた。爆岡V10が期待される達人戦で、鉄壁は3年前の雀竜王戦での痛烈な敗北の雪辱を果たすべく、爆牌の研究・分析を重ねて挑む。勝利を目前にしながら、精神的な弱さから屈辱の逆転負け。だがその敗北にもめげず、新戦術色の支配を編み出して爆岡へ挑戦を続ける。敗北を繰り返しながらも少しずつ差を詰めて行き、爆牌の謎に迫っていく。翌年のリニューアルされた達人戦決勝の席で、鉄壁はライバルの茶柱立樹・八崎慎吾・当大介とともに再び爆岡に挑戦する…。
[編集] ストーリーについて
- 『ぎゅわんぶらあ自己中心派』・『スーパーヅガン』などそれまでギャグが強かった片山の漫画が麻雀理論に則ったリアルで緻密な闘牌シーンが花開いた最初の作品と言える。主人公の爆岡・鉄壁だけではなく、茶柱・八崎らのサブキャラクターが関わった立体的な闘牌は高い評価が挙がる。また「麻雀に流れなんて無い」と言い切る爆岡に対して「色の支配」と呼んでいる流れ理論で立ち向かう鉄壁と言う構図は後の『牌賊オカルティ』などで再び蘇ることになる。
- 登場人物の性格的な個性、麻雀の打ち方を関連付けた人物描写の面白さと、爆岡の操る「爆牌」のインパクトで90年代前半を代表する人気麻雀漫画であった。しかし、ストーリー的な部分を細かく見ると
- 傲岸不遜・自信過剰の爆岡の性格がだんだんネクラになっていく
- ギャグ色の強かった作品テーマが最終的に「爆岡を倒す」ことに絞られてしまう
- 当初は(おそらく)サブキャラ的だった鉄壁保がいつのまにか爆岡を倒す主人公に抜擢されている
- など、完成度に難点がある部分が散見される。これらの点は予想外に長期連載になってしまった漫画にはよく見られる現象であるが、作者はこの点を反省したのか、以後の作品では連載開始時のトーンが変わってしまう作品は見当たらない。
[編集] 主な登場人物
- 爆岡 弾十郎(ばくおか だんじゅうろう)
- 爆牌と呼んでいる奇妙な打法を操る天才雀士。前半は良く喋り、自らを天才と名乗るほどの自信過剰気味の性格であった。後半は頂点に立つことにプレッシャーを感じたのか、口数や心理描写が少なくなった。
- 鉄壁 保(てっぺき たもつ)
- 第一話で爆岡に出会い、その打ち筋に魅せられて麻雀プロの世界へと足を踏み入れる。爆守備と呼んでいる堅い打ち筋で辛抱の麻雀を打つ。新たに「ツモ牌に色の偏りがある」と言う色の支配を見出し、この2つを武器に何度も爆岡に挑戦する。
- 九連 宝燈美(ちゅうれん ぽとみ)
- 鉄壁と同じく爆岡に刺激を受けて麻雀プロとなる。爆テンパネ(麻雀の得点計算#符を参照)と自ら名づけた打ち筋を駆使する。この漫画のヒロイン的存在で、爆岡や大介に何度も迫られている。鉄壁の麻雀を誰よりも理解し、何度も鉄壁のサポートをしている。
- 当 大介(あたり だいすけ)
- 鉄壁と同じく爆岡に刺激を受けて麻雀プロとなる。麻雀の腕は悪いのだが、それに気づいていない上、本人の自信過剰な性格とあいまって周囲からは馬鹿にされている。しかし驚異的な確率で役満を上がる才能(強運)を持っており、大会決勝に何度も顔を出している。
- 茶柱 立樹(ちゃばしら たつき)
- 爆岡に奪われるまで満強位のタイトルを持っていた。相手の打ち方に惑わされず、牌の流れを読み自らの打ち筋を貫く牌流打ちという絶対的打法で、爆岡が現れるまでは天才の名を欲しい侭にしていた。
- 稲瀬 功一(いなせ こういち)
- 爆岡に奪われるまでは達人位のタイトルを持っていた。精神的な強さを持ち、達人位三連覇の実績を持つ。後半は八崎に出番を奪われ脇役になってしまったが、真面目そうに見えてユーモアあふれるキャラクターや味のある闘牌解説にファンも多い。視力は0.05。
- 八崎 真悟(やつざき しんご)
- 麻雀プロの一人。初登場時は平然と2着和了りをするような地味なキャラであったが、後半は伝説に拘る打ち筋で決勝の常連となった。作者に後書きで「あんたに助演男優賞をあげたい」とまで言わしめた、数々の名言を持つこの漫画の名脇役である。
- 鎌板地 迅(かまいたち じん)
- 速攻を得意とする若手プロの一人。爆岡に挑戦した達人戦の予選では、平均和了り巡が7巡目と驚異的な記録を持つ。
- 岩田プロ(いわたぷろ)
- 競技麻雀プロ。鎌板地と同じ達人戦で爆岡に挑戦した。暴力団関係と間違われるほどの強面ながら、落ち込んでいる鉄壁にハッパをかけに来るなど優しい一面を持つ。爆岡に勝つことは出来なかったが、実は爆牌に一度も振り込んでいない。
- オニオン砂椅子(おにおんすないす)
- 満強位戦Aリーグのベテランプロで、爆岡を目の敵にする。名前のとおりタマネギのような形の頭部をしており、回し打ちを得意とするらしい。
- 海鼠 踏彦(なまこ ふみひこ)
- Bリーグプロで、爆岡の後ろで牌譜を採り続けてきた。第12回雀竜王戦でついに爆岡に挑戦するが、爆牌の幻影を恐れすぎてしまい敗北する。
- 鬼押出 登(おにおしだし のぼる)
- 本業はコラムニストで、爆岡が現れるまでは雀竜王位を持っていた。爆牌や流れなど無いと言い切るデジタル論者で、対局中に茶柱と口論もした。だが、同じく「流れなんて無い」と言い切った爆岡に敗北して自信を無くし引退した。
- 箸休(はしやすめ)
- 満強位戦で新人ながら予選ぶっち切り一位の勢いで爆岡に挑戦するが、決勝戦20局中12局連続ハコという不名誉な記録をつくり田舎へ帰っていった。登場はたった4ページ(12コマ)ながら、読者に強いインパクトを与えて去っていった端役である。
- カッパのマスター
- 雀荘「どら道楽」のマスターで鉄壁たちに親切にしてくれる。宝燈美が「緑」から連想するほどそのまんまカッパなのだが、なぜ普通に人語を解し雀荘を経営しているのかは不明。
[編集] 刊行物等
- 近代麻雀コミックス(竹書房) 全9巻