ノッキング
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ノッキングとは「コツコツ」とドアをたたく様子のノックと同じ言葉で、一般的に広く知られる表現である。車の世界でも、音が繰り返し鳴ったり振動が出たりした場合に使われている。
●Car knock とは、加速の際のエンジンの回転数が低くなりすぎた時などにガクガクとゆれること。エンジンマウントの異常などでも起きるが、普通は操作上の問題。クラッチのすべりの異常でガクガクゆれることはジャダーと呼んで区別する。
●Engine knock とは、内燃機関の異常を示す。体感できる現象の一つとして、自動車（マニュアルトランスミッション車）で、低回転時に高めのギアを選択、加速した際に発生するカリカリという音で実感できる。
音の発生源は、シリンダー内の温度、圧力が上昇し過ぎ、混合気がスパークプラグの発火によらず自己着火する異常燃焼時に発生する衝撃波である。衝撃波は高周波を伴うため、極端な場合にはエンジンブロック自体が破壊されることもある(その前にレシプロエンジンの場合は、異常燃焼の高温が原因でピストンが溶ける可能性が高い)。
点火プラグによる点火時期前に自己着火するプレイグニッションと、点火時期後に火焔伝播異常によって発生する事象を分けて、前者をデトネーション、後者をノッキングと区別する。 点火プラグ系統停止後も蓄積カーボンやエンジン冷却異常による燃焼室過熱によって引き起こされる自己着火現象を特にディーゼリングと呼ぶが、デトネーションの一種と分類される。代表的なノッキングは以下の通り。
①スパークノック エンドガスの圧力上昇による自己着火を“スパークノック”と言い、このときの衝撃波により音が聞こえる。混合気の境界層を破壊し、直接的にエンジンにダメージを与える。
②スカートノック ピストンがシリンダーに当たる衝撃で音が聞こえる。この場合、ブローバイガスがエンジンオイルを希釈してしまう。
③ディーゼルノック 燃料の着火初期に遅れが生じ、一気に燃焼することで急激な圧力上昇が起きる。
現在生産される自動車の多くは、ノッキングセンサーが装備され、異常燃焼を検出すると自動的に制御（一般には点火時期を遅らせることが多い）が行われる。また、性能を高めるために高圧縮比にしたエンジンを搭載する自動車の燃料には、あらかじめノッキングを起こしにくいハイオクガソリンの使用が指定されている。点火時期を電子制御できなかった時代には、ディストリビュータ部に手動で進角時期を可変できるツマミを設け、使用ガソリンによって切り替える機能（”オクタン・セレクタ”）を持つ車種が多かったが、排気ガス規制が厳しくなるにつれ見ることがなくなった。
輸入・逆輸入されたオートバイは多くの場合ハイオクガソリンが指定されている（北欧やアメリカでは、日本でいうレギュラーガソリンに該当するグレードのガソリンが無い為である）。またノッキングセンサーを備えていない。レギュラーガソリンが使用できるとされている車種においてもオクタン値はかろうじて許容範囲であり、ガソリンが劣化するとノッキングを起こす場合がある。オートバイはエンジンに不具合が発生すると直ちに走行安定性を損ない事故に繋がるため、輸入・逆輸入車はハイオクガソリンしかも回転がはやく新鮮なガソリンを供給しているガソリンスタンドを利用するのが望ましい。
