デル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Dell(デル、DELL)は、世界最大のパソコンメーカー。本社は、アメリカテキサス州ラウンドロック。
目次 |
[編集] 概要
テキサス大学の学生であったマイケル・デルにより1984年に創業した。中間業者を排し、在庫を持たない注文生産(BTO)の直販スタイル(ダイレクト・モデル)が特徴。その価格の安さと品質の良さから、現在世界でトップの販売台数を誇る。パソコン以外にもサーバやストレージも扱う。なお、日本では一部の家電量販店にRealSiteを設置し販売を行っている。
インテル社からのリベートなどで優遇されてきたせいか、頑なにインテル製CPUを採用することでも有名であったが、2006年5月18日に行われた第一四半期の決算発表の場にて遂にマルチプロセッササーバにAMD社製Opteronチップを採用すると発表した。採用の理由は「われわれの顧客からこの技術に対する要望が出されていた。(ケビン・ロリンズ氏)」。
まれに企業向けに高スペックのデスクトップサーバーを2万円以下まで下げることがあり、個人事業主から大量に発注が来る。デルでは今現在も受注発注を行い、日本向け製品に関しては発注が来ると中国で組み立てて発送する。
[編集] 沿革
- 1984年 1000ドルの資金を元に創業
- 1986年 業界最高速のパソコンをコムデックスに出展
- 1987年 初の海外進出で英国へ
- 1993年 日本での販売を開始
- 1996年 日本法人本社を川崎市幸区ソリッドスクエアに移転
- 1994年 ノートパソコン市場に参入
- 1996年 サーバ市場に参入。インターネット販売を開始
- 2003年 社名を「Dell Computer Corporation」から「Dell Inc.」へ変更。日本法人の「デルコンピュータ株式会社」も「デル株式会社」へ変更。
- 2005年 64ビットサーバー(IA64Itaniumを用いた)市場から撤退を表明
- 2006年 5月18日(米国現地時間)サーバー製品向けにAMD製64ビットCPU(Opteron)の採用を発表
- 2006年 9月13日コンシューマー製品向けにAMD製64ビットCPU(Athlon 64 X2/Athlon 64/Sempron)の搭載PC「Dimension C521」及び「Dimension E521」の発売開始
- 2006年 9月21日(米国時間)AMDプロセッサとHyperTransportで接続されるコプロセッサの規格であるTorrenzaについてIBM、HP、Sun Microsystems、CrayおよびFujitsu Siemens Computersと供に協業開始。
[編集] 製品
- Dimension シリーズ(個人向けデスクトップパソコン)
- Inspiron シリーズ(個人向けノートパソコン)
- XPS シリーズ(個人向け高性能パソコン)
- OptiPlex シリーズ(法人向けデスクトップパソコン)
- Latitude シリーズ(法人向けノートパソコン)
- Precision シリーズ(ワークステーション)
- PowerEdge シリーズ(サーバ、ストレージ、ネットワーク)
- Axim シリーズ (PDA)
- モニタ、プリンタ、プロジェクタ、その他周辺機器など
[編集] サポート面
日本において、購入後には電話や電子メールでのサポートを行っており、他社と比べエンジニアと直接話し問題解決につながることを売りとするが、人件費のコストダウンを図り中国法人の大連市のコールセンターのよく訓練された担当者に取り次がれる。以前は日経サポートランク1位であったが、富士通、NEC、アップルコンピュータにその座を奪われた。しかし、今後はカスタマー・エクペリエンスに重点的に投資されることが予定されており、サポートが向上するものと思われる。
当初、DELL製のマザーボードは電源供給コネクターなどのピン配置が独自のものが採用されたため、電源の故障などが起きた場合は、サポートを利用して交換する必要があった。(変換アダプターもサードベンダーから発売されていた。)
「サポートNO1評価が下がったのは、それまでPCに詳しいお客様が多かったのに比べ、それほどPCに詳しくない購入者層にまで広がったのが一因。PCに詳しくない購入者層へのサポートが重要となってくる。」と浜田社長(当時)が話した。
しかしながら日本法人では、完全な物理的に動かない等の故障ではない場合は仕様であるという対応がなされ、ハイエンドワイドモニターの2407WFPでの滲みやマッハバンドの発生への対応は受け付けない事がユーザーの報告やインターネット上のニュースサイトに掲載された。その後2006年6月頃より、アメリカ法人では不具合として交換が始まった。 同様にマルチメディアモニターのW2306C・W2606Cにおいても電源部不良・DVI接続時の表示不良がユーザーより多数報告されているにもかかわらず、サポートでは「そういう報告は受けていない」と返答するなど対応にちぐはぐな面が出ている。
マルチメディアモニターの当該不具合情報はデル社日本法人のホームページ上では告知されておらず、この問題を消費者として認知するにはデル社からの手紙、電話または消費者自身によるインターネット等での調査等が必要となる。尚、マルチメディアモニターについては『良品』との交換又は場合によっては返金を2006年8月から順次実施している。交換と返金の判断基準は不明(2006年12月1日現在)。
[編集] トラブル
1994年前後に多発した、台湾コンデンサー・メーカーの品質管理ノウハウ不足に起因するトラブルをDELLでも同様に抱えた、2005年も同様にOptiplex GX270やOptiplex GX280でコンデンサーの品質問題が起きた。ただし、台湾メーカーではなく、日本のメーカーである。これらは2003年4月からおよそ11ヵ月に渡って製造されたもので、その交換費用のために3億700万ドルが計上された。該当コンデンサーは高温環境で電解液の蒸発が多く(ドライアップ現象)、部品寿命が設計保証値よりも若干短くなってしまうというものである。PCの具体的なトラブルは起動不能、動作不安定などである。
また、ノートPCに関しては他の大手パソコンメーカー同様、幾度となくリコールが実施されている。例えば、2000年10月13日(米国現地時間)には、使用中でなくとも回路のショートを引き起こす可能性があり,発熱,発煙,発火等の危険があるため、2万7000台をリコールすると発表された。次に、2004年10月8日(米国現地時間)には同様にノートPC用のACアダプター等で過熱し、発火するということでリコールを発表した。これは、1998年9月から2002年2月にかけて製造された物で、合わせておおよそ440万台に相当する。更に、2005年12月16日(米国現地時間)には、2004年10月5日から2005年10月13日にかけて製造された、ノートPC用のACアダプター等の発熱・発火問題によるリコールの発表を行っている。
Latitude、PrecisionおよびInspironの内の16のモデルに搭載された2004年10月5日から2005年10月13日に製造されたバッテリー2万2000個(米DELL試算)に発熱、発火の可能性があるとして、2005年12月16日より自己申告による交換プログラムが開始された。2006年になり、ノートPCのバッテリーが発火する事故が数件起きたことにより、アメリカ法人にて調査が開始され、2006年8月14日、Latitude/Inspiron/Precision/XPSの33モデルに関して、バッテリーの発熱、発火の可能性が発表された。これらの対象となったバッテリーは2004年4月1日から2006年7月18日に出荷された410万個の一部ですべてソニーの子会社が製造した充電池で、製造時に金属の微粉末が混入したことが原因の可能性と考えられている。
[編集] 不法行為
日本法人「デル株式会社」では、店頭販売員を採用する際、自社で面接を行った上で人材派遣会社に採用させて、派遣社員として就労させていたことが発覚し、職業安定法が禁じた「職業紹介」にあたるとして、神奈川県警が法人としてのデルと当時の採用担当元社員を同法違反容疑で書類送検、略式起訴し、同社に対し罰金30万円、元社員に対し罰金10万円の略式命令が2005年8月25日に出た。
[編集] 会社概要
[編集] 日本法人
日本法人「デル株式会社」は神奈川県川崎市幸区ソリッドスクエア。
- 代表取締役社長 ジム・メリット
- 取締役 スティーブ・フェリス
- 取締役 トーマス・エイチ・ウェルチ・ジュニア
- 監査役 ダニエル・ティモシー・クリードン
- 顧問 吹野 博志
- 顧問 浜田 宏
- 川崎本社
- 〒212-8589 神奈川県川崎市幸区堀川町580番地 ソリッドスクエア東館20F
- TEL: 044-556-4300(代表)
- 設立年月日: 1989年6月
- 販売業務開始年月日: 1993年1月
- 資本金: 300,000,500円
- 従業員数: 約1,100名(2005年4月現在)
- 会計年度: 2月~翌年1月
- 宮崎カスタマーセンター
- 〒880-0805 宮崎市橘通東4-8カリーノ宮崎5F
- ※営業拠点とテクニカルサポート拠点として設置されている。
- ※設置目的は、サポート拠点の強化と体制の拡充を進め、多様化するお客様のニーズへの対応能力を増強し、製品はもちろん、サービス・サポートを含めたお客様満足度No.1企業を目指すため。
- 中国・大連コンタクトセンター ※Dell (China) Co., Ltd Dalian Branch Office
- 〒116023 中国大連市高新技術産業園区七賢令産業化基地高新街5号
[編集] 関連事項
[編集] 外部リンク
カテゴリ: コンピュータ関連のスタブ項目 | アメリカ合衆国の企業 | 多国籍企業 | コンピュータ企業 | 神奈川県の企業 | NASDAQ上場企業 | S&P 500 | 香港証券取引所上場企業