セリ市 (競馬)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

競走馬は、基本的にセリ市といわれる取引市場で馬主に売却される。ただし、日本においては、庭先取引と呼ばれる直接売買が約8割を占める。

競馬の本場アメリカ合衆国ではケンタッキー州やフロリダ州で盛んに行われている。中でも近年は調教トレーニングセール（実際にレース会場やトレーニングセンターのトラックで追いきりトレーニングを公開したうえで競走馬の売買取引を実施する）が開催されたり、またピンフッカー（0歳、もしくは1歳の時に一度購入し、その後改めて最短のレースデビュー年度である2歳の時に高値でトレードする）も盛んに行われ、競走馬の質向上につなげている。

日本では毎年年度上半期を中心にJA（農協）や日本軽種馬協会、日本競走馬協会などの競馬関連の公益団体などが主催してセリ市が実施される。その中でも「セレクトセール」（毎年7月）は1998年に創設以降、日本を代表する0歳馬のセリ市として定着しており、中央競馬GI戦線を賑わせた名馬の子孫馬が多数出場している。近年は出場馬の選定も厳しくなり、より上質の0歳馬をそろえてセリ落しがなされる。セリ市で売買された馬は、登録後は「市場取引馬」（丸囲みに市）と表記され、一部の競走で5着以内に入ると「市場取引馬奨励賞」として別途賞金が交付される優遇措置がある。

またJRA育成馬についてはこれまでドラフト制で希望する馬主に対して一律の金額で競走馬を売買していたが、2005年度から総務省が馬主が均等に馬を購入できる方式に改めるように勧告を出したことを受けて、より上質の競走馬を育てる観点から、セリ市形式による「ブリーズアップセール」として中山競馬場で毎年4月中～下旬ごろ開催されることになった。このセールで売却されなかった育成馬も他のセリ市に出展されることがある。

この他近年、ホッカイドウ競馬ではレース&トレーディングセールとして実際のレースを公開した後にセリを行う方式もある。