ストロングスタイル

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ストロングスタイル（Strong Style）とは、プロレスのファイトスタイルのひとつで「強さ」による実力主義を前面に打ち出したプロレスのスタイル。または、そのファイトスタイルのコンセプト。王道プロレスの対義語としても使われる。本項ではこれについて述べる。
新日本プロレスのオフィシャルマガジン、「ストロングスタイル」のこと。現在は廃刊。

[編集] 概説

かつてアントニオ猪木の提唱以来、新日本プロレスを中心に継承されているスタイルとされている。アントニオ猪木は自著である「アントニオ猪木自伝」の中で、カール・ゴッチ流のレスリング技術の攻防を見せるスタイルと力道山流のケンカに近いプロレスの凄みを見せるスタイルを融合させたものが、アントニオ猪木流の「ストロングスタイル」であると述べている。

カール・ゴッチは努力の積み重ねによって強さを身に付け、力道山のプロレスは喧嘩で、物凄い怒りを込めた怨念のプロレスと評し、その遺伝子を継承していると自認している。

[編集] 経緯

力道山からジャイアント馬場との待遇の面で、差別されていると感じていた猪木自身は早い段階から「実力至上主義」のプロレスの実現を目指していたが、ジャイアント馬場との直接対決の要求は受け入れられず、新たに立ち上げた東京プロレスは頓挫したため理想のプロレスの実現はなかなか出来なかった。

自ら創設した新日本プロレス旗揚げ戦（1972年 3月6日）のカール・ゴッチ戦で手応えを感じた猪木は、以後アントニオ猪木流の「ストロングスタイル」を前面に打ち出し、「いつ何時、誰の挑戦でも受ける」「プロレスこそ最強の格闘技」と公言するようになり、新日本プロレスのプロレスこそ「KING of SPORTS」であると標榜するに至った。

猪木はこれらの主張を世間に認知させるため、「異種格闘技戦」でウィルヘルム・ルスカ（柔道）戦、モハメド・アリ（ボクシング）戦、ウィリー・ウィリアムス（空手）戦などを行い実証しようとした。

アントニオ猪木の考えや一連の行為を「猪木イズム」と称される事もあるが、アントニオ猪木が現役を引退した現在の日本プロレス界において、「ストロングスタイル」を実践しているプロレス団体はどこか「猪木イズム」を継承しているプロレスラーは誰かは議論の分かれるところであり、流動的な現状である。

長州力の手により創設され、崩壊したWJプロレスの標榜するファイトスタイルが「目ん玉飛び出るストロングスタイル」であった。WJではアングルを否定した、時間をかけないラリアットプロレスが中心となっていたことを考えると、ストロングスタイルとして定義してよかったものかについては疑問符が付く。同時に、ストロングスタイルそのものの存在の是非に対しても結果的に疑問符を投げかけることとなっている。

武藤敬司はメディアを使って大々的に対立軸やストーリー展開を煽っていく仕組みから、「猪木さんこそアメリカンプロレスだ」と指摘している。また、新日本プロレスのレフェリーやマッチメイクを担当したミスター高橋は前述の異種格闘技戦は台本（ブック）や仕掛けアングルを練った上で進めていたと自著で述べ、実力主義は演出の賜物であると指摘している。

[編集] シュートスタイル

シュートスタイル・レスリング（Shoot-style wrestling）はヨーロッパ伝統のキャッチ・レスリング（Catch wrestling）に端を発し、ビリー・ライレージムの卒業生などによって継承されていたが、アメリカン・プロレスを主体とするショー的側面の強いプロレスに興行的には勝てず衰退してしまった。ビリー・ライレージム出身者のカール・ゴッチやビル・ロビンソンは従来のプロレスでシュートマッチを行ってしまい、プロモーターから敬遠されたこともある。

日本以外の国では、アントニオ猪木に端を発したストロングスタイルは佐山聡や前田日明らによってUWFに継承（実際にはアントニオ猪木よりカール・ゴッチ色が強い）され、UWF崩壊後の藤原組、UWFインターナショナル、リングス、パンクラスなどの所謂U系は、アメリカン・プロレスとは違う日本独特のスタイルとして認識されている。日本で発祥した修斗、PRIDE、HERO'Sなどの総合格闘技をシュートスタイルの発展系と見ることもできる。