スクランブル合体ロボ
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スクランブル合体ロボはタカラ(現・タカラトミー)の玩具シリーズ『トランスフォーマー』(以下、TF)の1カテゴリー。
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[編集] 概要
ミクロマン等にも見られるタカラ(現・タカラトミー)自家薬籠中の物、互換性のある玩具のノウハウが活きており、各部隊のリーダーが胴、他のメンバーが共通のジョイント部で接合した手足となる。元はダイアクロンの自由合体シリーズとして開発が進んでおり、シリーズのTFへの流用に際して最初からTF玩具として世に出た(アストロトレインも同様)。シーコンズ以外はサイバトロンとデストロンのライバル同士のチームとなっており変形モチーフにおいても「空対陸」「防衛・救助対戦闘」「ハイテク対獣性」と対比を打ち出し、両軍の拮抗の図式をより鮮明にしている。
[編集] 各部隊
本項ではアニメ項目との重複を避けるため玩具を主体に解説する。
[編集] エアーボット
(飛行メカとなる者も)ロボットモードでは飛べない者の多いサイバトロンの航空戦力を補填するため生み出された。
- 航空指揮官シルバーボルト
- コンコルドとスロープ付き発進基地に変形。
- 副官スリング
- ハリアーから変形。頭部と車輪の収納が他の手足となるメンバーと異なる。
- 戦士エアーライダー
- 変形モードは敵軍の初期ジェットロン3人衆と同じF-15。カラーリングは中でもスカイワープを想起させる。
- 偵察員ファイヤーボルト
- 変形した姿はF-4。しかし赤くては警戒させてしまうのでは?と突っ込むのは野暮。
- 航空戦略家スカイダイブ
- 変形モチーフはF-16。役割分担はデザインの似通った各員の差別化に貢献している。
- 合体戦士スペリオン
- 手足が同じ戦闘機では入れ替えに意味がなさそうだが誕生経緯を踏まえると楽しめ、TFへの転向の奏効が最もあったと云えよう。
[編集] スタントロン
エアーボットに対抗して、デストロンが自軍の陸上戦力を補填すべく誕生した。実際にエアボットより先に作られ車に変形できるサイバトロンに対抗するためにメガトロンの提案で作り出されたデストロンの新メンバーとなる
- 参謀モーターマスター
- 斥候ブレークダウン
- カウンタックに変形。同車種はサイバトロンにも数体おり、差別化のためこのサイズで脚部の変形が凝っている。
- 兵士ドラッグストライブ
- 六輪式のティレルP34が変形モード。ダイアクロンであらかたの車種が揃ってから開発されたためこれまた車種選択がマニアック。
- テロリストワイルドライダー
- フェラーリ308GTBから変形。ロボモードでは一際背が低い。
- 兵士デッドエンド
- 変形モチーフはポルシェ928。脚部変形はブレークダウンと同一。
- 合体戦士メナゾール
- TFでは珍しく剣が武器となっている。アニメではブルーティカスより強い描写がなされた。
[編集] プロテクトボット
ライバルチーム共々自軍が正邪に分かれた片方と印象付ける。特に誕生エピソードはない。
- 防衛指揮官ホットスポット
- 水色の体色と些かミスマッチな消防車と防衛基地に変形。後者のマニピュレーターはプレイバリュー高し。
- 航空支援員グレイズ
- 救助ヘリコプターが変形。ローターをV字型にできシルエットを変えられるのが嬉しい。
- 偵察員グルーブ
- 変形モードは白バイ。下半身は無変形でシート部が左右に分かれるだけで足首となり以降の安易な足変形の嚆矢となったのが惜しい。
- 追跡員ストリートワイズ
- パトカーとなる。車の前後が180度動き変形しロボモードは長身。
- 救助員ファーストエイド
- 変形モチーフは救急車。そのシルエットを感じさせないロボデザインは見事。
- 合体戦士ガーディアン
- スクランブル物中、唯一頭部が別パーツでない。全体のデザインも1、2を争う人気。
[編集] コンバットロン
ロボモードのデザインにも好感を持つファンは多い。スタースクリームはメガトロンに対抗するために第2次世界大戦から現在(1985年)まで残っている人類のビークル武器で作り出した自分の部隊だ。
- 攻撃参謀オンスロート
- 偵察兵ボルター
- 軍用ヘリから変形。合体時に腕となればローターの回転で遊べる。
- 狙撃兵ブロウル
- 変形モードは重量感溢れる戦車。足となったとき前後いずれ向きでも見栄えがし、腕となれば砲塔の旋回も楽しい。
- 宇宙兵ブレストオフ
- エアーボットとの兼合いでか、変形モチーフはスペースシャトルだが尖鋭さは独創的でかつ、子供に技術は軍事絡みで発達したと大人の世界を垣間見せる点でも印象的。
- 補給兵スィンドル
- コンバットバギーから変形。タイヤは合体時にプロテクターの脇から見えるオンスロートのそれと同形で、腕とすれば同じ部隊としての統一感がある。
- 合体兵士ブルーティカス
[編集] テックボット
登場時期のシリーズ全体の趨勢に合わせ、フューチャービークルに変形。一時天才になったグリムロックは自分の手で作り出したハイテクを持っている新メンバーだ。
- 攻撃指揮官スキャッターショット
- 合体時のプロテクターが台座のスペースジェットとなる他、第三モードは基地でなく砲座。その際の花弁を思わす展開が面白い。
- 射撃員アフタバーナ
- 変形モードはスーパーバイク。シートが屋根で覆われている点が未来色を濃くしている。
- 探索員ライトスピード
- スーパーカーから変形する。ハイセンスを損ねぬためか、変形は無難。
- 狙撃員ストレイフ
- SFジェットが変形モチーフ。双機首が手持ち銃となる。
- 砲撃員ノーズコーン
- 合体戦士コンピューティコン
- ワインレッド基調と相俟って垢抜けたデザインを誇るが、各員の入れ替えがデフォルト以外し辛いのが玉に傷。
[編集] テラートロン
怪物部隊だが、モチーフは神話・伝説に基づくものも独創的なものもある。特に誕生エピソードはない。
- 破壊指揮官ハングルー
- 双首ドラゴンとなり、第三モードはやや苦しい基地。合体時のプロテクターは盾となりライバルとは余剰パーツの削減の工夫で比べるのも一興であろう。
- 急襲兵カットスロート
- 変形モチーフは怪鳥との触れ込みだがインパクトが弱い。合体時の腕にしても翼の角度が180度のため、正面から見ると目立たないのも悲しい。
- テロリストリッパースナッパー
- シャークモンスターから変形。魚としてのフォルムは弱いのが怪物的。
- 追撃兵シナーツイン
- 変形モードはオルトロスを思わす双頭獣。節くれだったやはり二股の尾がそれに劣らぬビザール感を出す。
- 火炎歩兵ブット
- 変形モードのミュータントとは何かと首を傾げるが当時の書籍では蛙怪物とのこと。横幅がありすぎ合体時に足にしにくい。
- 合体兵士オボミナス
- 個々のデザインを考えるとあに図らんや、卒なく纏まったシルエットを呈する。トランスフォーマー史上最も頭が悪い兵士であり、テックスペックでは「知力1」。この記録は2006年現在でも未だ破られていない。
[編集] シーコンズ
海棲生物(型モンスター)となる。手足となるメンバーは五人で残る一人は銃となる。すなわち、スクランブル合体ロボであると同時にターゲットマスターでもある。既存カテゴリーに+αのプレイバリューという点からTFのデストロン系重視の姿勢が窺える。国内では登場作「超神マスターフォース」がそれまでと繋がりが弱くなったため部隊を越えた合体もアピールされなかった。
- シーコンズ指揮官タートラー
- 亀から変形し、第三モード変形に代わる背部の砲身連動ギミックが遊べる逸品。
- 海中破壊兵オーバーバイト
- 手足のある鮫となり、リッパースナッパーとの差別化のためかモチーフの体形が強い。
- 深海攻撃兵ガルフ
- 変形後の姿はシーラカンス。手足が小さめで、変形機構がオーバーバイトと同一なための類似感を払拭している。
- 機雷攻撃兵テンタキル
- 烏賊モードのあまりに強烈なバタフライマスクに反しロボモードは端整。
- 海中爆破兵ロブクロウ
- 変形モードの蝦の足が干渉し折角銃にしても持たせづらいためか、海外のセット品やビーストウォーズセカンドでの再販時に削除されている。
- 海洋工作兵クラーケン
- エイ頭部のロボモードの足への変形は凝っているが、スタイルを崩してしまっている。
- 深海合体兵士キングポセイドン
- 胸部パーツの変形といい、名の由来の海神の槍を翻案した三つ又剣といい、TF玩具全般でも傑作の部類に入る。
[編集] 特徴
スクランブル合体戦士は、それ以前の唯一の合体戦士であるデバスターと比較すると、作戦に対し非常に柔軟に適応できるという特徴がある。スクランブル合体戦士は、その合体パターンによって24通り(シーコンズのみ120通り)の形態を持つこととなる。そのため、様々な作戦に対しそれに適した合体形態をとることが出来る。作戦中に合体形態の切り替えも行うことも可能だが、各メンバーの慣熟が十分でないと、大きな隙を発生させてしまう。OVA『スクランブルシティ発動編』にて、スペリオンとメナゾールが合体形態の切り替えを行う描写が見られ、さらに形態切り替え時にまごつき、スペリオンがピンチに陥っている。
また、これをさらに進めると、各部隊の混成合体ということも可能である。『2010』の後半の時期に行われた「スクランブル大決戦」キャンペーンにて、エアーボット、プロテクトボット、テックボットの混成合体戦士「コンペリアン」、スタントロン、コンバットロン、テラートロンの混成合体兵士「オボメナティカス」が登場、また、テレビマガジンで連載されていたまがみばんの『超神マスターフォース』の漫画では、シーコンズを中心とした混成合体兵士「スクランブル7」が登場している。このスクランブル7は、合体戦士の銃に変形するというシーコンズメンバーの特徴を生かし、7体合体となっている。
しかし、各メンバーの意思の統一が取れた部分のみが合体戦士の頭脳として働き、合体する各メンバーが極めて高い協調性を持っていないと、知能や結合力に問題を生じるという問題を合体戦士は常に抱えている。これはデバスターも持っていた欠点であり、スペリオン、メナゾール以降の合体戦士では「意思の統一をスムーズ化する」という方法で欠点を克服しようとしている。つまり根本的な解決は出来ていない。これを踏まえると、こうした混成合体戦士が十分な能力を発揮するのは困難が予測される。
とはいえ、玩具展開において、自分の手で自分だけの戦士を生み出せるというのは大きなプレイバリューであり、この点を見るとスクランブル合体ロボは、「君が選ぶ、君のヒーロー!」を地で行くシリーズであるとも言える。