コンサルティング
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コンサルティング (consulting) とは、業務または業種に関する専門知識を持って、主に企業(まれに行政など公共機関)に対して外部から客観的に現状業務を観察して現象を認識・報告し、問題点を発見・指摘し、原因を分析し、対策案を示して、企業の発展を助ける業務を行うことである。
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[編集] 概要
コンサルティングの業務範囲はまちまちで、問題提起だけで終わる場合もあれば、対策案を提示するのみならず、対策案を実行して成果を出すところまで責務を負う場合もある。
コンサルティングの黎明期には、財務を中心とするコンサルティングを公認会計士や税理士が行い、法務を中心するコンサルティングを弁護士が行った。 20世紀後半から、少品種大量生産から多品種小量生産に変わり、顧客ニーズが多様化し、IT化・従業員重視経営・株主重視経営・環境重視経営などと、企業経営に対する価値観の変化が激しくなると、業務が分化して、組織が複雑化し、企業内の人員だけでは対処しきれなくなり、外部コンサルティングに対するニーズが高まった。
コンサルティングを依頼する側のメリットは以下のような点にある。
- 外的環境の変化(法改正・機構改革他)への対応がスムーズである。
- 新業種への進出や新商品開発の際の未経験のノウハウを教授できる。
- 経営意思決定のための別角度からの情報を得られる。
- 客観的な第三者の立場からの分析結果・アドバイスを得られる。
コンサルティングを行う人のことをコンサルタント (consultant) と言う。コンサルタントには、当該業務または業種に関する専門知識もさることながら、観察・整理・構成・分析・指導・プレゼンテーションに関する高い能力が必要とされる。 国内では、有資格者としては、弁護士・公認会計士・不動産鑑定士・税理士・社会保険労務士・司法書士・行政書士・中小企業診断士などがあたることが多いが、コンサルタントとなるための特別な国家資格はない。
大企業が依頼するコンサルティングにおいて、限られた業務(経理・人事など)や限られた組織でない場合、問題解決には情報システムのリプレース、新規開発、システム間結合など、情報システムを伴う場合が多い。
コンサルタントは、平均として高学歴・高収入であり、その反面、激務・実力主義という厳しさを特徴とする。戦略コンサルティングファームは一般的な企業と異なり、小数精鋭を貫き、極一部のエリート人材を奪い合う傾向がある。そのためハイアリングのための広告活動は消極的であり、広告会社集計の就職人気企業ランキング上位に純粋なコンサルティングファームが顔を出すことはまずあり得ない。しかしながら内実は、学生からの人気は常にトップクラスにあると言われており、特に戦略系の外資系コンサルティングファームに入るには、難関の入社試験を突破しなければならない。
また、こうした近年のコンサルタント人気にあやかって、社名に「コンサルティング」と付与するベンチャー企業、IT企業などが急増している。 このような動きからも、IT系のコンサルタント会社は、その他のコンサルタント会社と若干趣きが異なる。
保険会社の営業職や、転職斡旋企業の代理人なども、顧客と「相談する」という観点からコンサルタントを名乗る場合があるが、これらは個人をクライアントとする業務であり、前述のコンサルタントとは根本的に異なる職種である。
[編集] プロジェクトの進め方
コンサルティングを依頼されたコンサルティング会社はプロジェクトを編成して業務を行う。プロジェクトにはコンサルティングを依頼する会社の側から主要メンバーが加わり、コンサルティング会社からは該当する内容の専門家が加わる。 プロジェクトの計画の立て方から、どのような順序で何をしてどのような成果物を作るのか、その成果物をどのような基準で評価し、次のステップに進むのかなどの定義を、メソドロジーと呼ぶ。
[編集] コンサルティング業務の分類
[編集] 経営コンサルティング
M&A・他業種進出/撤退・資産流動化・分社化・社内カンパニー制・組織改革・新商品開発など。
[編集] 業務コンサルティング
財務・税務・法務・人事・営業・調達・研究・生産・環境・マーケティング・テクニカルサポート・ITなど。
[編集] 業種コンサルティング
建築・食品・外食・アパレル・機械・電気・流通・製造・不動産・物流・運輸・通信・金融・医療(医療ソーシャルワーカー?)など。
[編集] コンサルティング会社の分類
[編集] 戦略系コンサルティング
経営戦略をコンサルティングするため、キャリアの長いベテランコンサルタントが担当することがほとんどである。企業内コンサルタントについては、相談役という呼ばれ方がポピュラーであり、一流企業をリタイアした後に、再雇用や天下りで就任するケースが多かった。
こうした特性につき、新卒で戦略コンサルティングを任される事は皆無である。 就職の人気は非常に高く、収入の面でも最高クラスのコンサルタント。
[編集] 専門系コンサルティング
最も一般的なコンサルティングファーム。独自の得意分野においてコンサルティングを展開する。
[編集] SI系コンサルティング
SIer の総称。コンサルティングファームに含まれるかどうかの境界は微妙である。
[編集] ERP系コンサルティング
ERP:企業資源計画
エンタープライズリソースマネジメントパッケージを製造、販売しているベンダー企業において、その導入をサポートするエンジニアを指す。
ERPは、そのパッケージに対する専門的な知識と、顧客の業務内容によってソフトをカスタマイズするスキルが要求されるため、広義のコンサルタントに位置づけられることが多い。
[編集] 総研系コンサルティング
シンクタンクを指す。完全にシンクタンクのみで収益を上げることは困難であり、企業数は減少しつつある。 もともとシンクタンクから始まった日本総研、大和総研などでも、昨今はSI事業がメインとなりつつある。
[編集] コンサルティング用語
- 3C 顧客 (Customer)・競合 (Competitor)・自社 (Company) の3つからビジネスを捉えて戦略を練ること。
- 4P 製品 (Product)・価格 (Price)・販売チャネル (Place)・プロモーション (Promotion)の4つの視点からマーケティング戦略を捉えること。
- PD(project development) 営業のこと。
- アウトプット (output) 成果物のこと。
- アサイン (assignment) プロジェクトメンバー割当のこと。
- フレームワーク (framework) 物事を考える際の枠組・構造。
- メソドロジー (methodology) 方法論のこと。
- アジェンダ (agenda) 議題や会議の事項、またはその備忘録のこと。
- スパン (span) 期間。
- タスク (task) 課せられた作業のこと。
- リソース (resource) 資源や資産。主として人的な資産を指す。
- コンテンツ (content) 情報的な内容のこと。
[編集] コンサルティングの問題
欧米で大企業として認知されている国際的なコンサルティング会社自体およびその日本法人でも、日本国内の一般消費者にとっては認知度は低く、コンサルティング業務そのものの認知度も低い。 一部のコンサルティング会社においては成果主義を謳っているケースもあるが、一般にコンサルティングに対して、はったり・張りぼて・絵に描いた餅などの悪評を伴うことがある。 一部のコンサルティング会社は情報マフィアとも呼ばれ、企業の弱みを握った上でその弱みに付け込むようにコンサルティング業務を受託する。 客観的に分析・整理してその企業に最適な解決策を提供する筈であるのに、特定企業と裏で連携し、特定商品を売るために故意に情報操作を行う。
アップ・オア・アウトの言葉の通り、若い段階から、出世するか会社を転職するかという決断を迫られる。コンサルタントは、終身雇用・安定性とは真逆の世界と言える。
[編集] コンサルタントの役職
トラディショナルなコンサルティングファームでは、一般企業で使うタイトル(課長、部長といったもの)は使用されず、以下のような独特な人事タイトルで階級を分けられることが多い。企業によって前後する場合もある。 例えばIT企業でアナリストといえば、上級のプロジェクトマネージャーを指す言葉だが、コンサルティング業界では入門クラスの名称として使われる。
- アナリスト、リサーチャー (一般社員クラス)
- シニアアナリスト (主任クラス)
- アソシエイト (係長クラス)
- コンサルタント (課長補佐クラス)
- シニアコンサルタント、アシスタントマネージャー (課長クラス)
- マネージャー (次長クラス)
- シニアマネージャー (部長、室長クラス)
- ディレクター
- アソシエイトパートナー、プリンシパル (事業本部長、取締役、局長クラス)
- パートナー
- ヴァイスプレジデント
[編集] コンサルティング会社
昨今は、大手コンサルティングファームも多種、多分野に精通する必要に迫られ、特にITに関する強みは全てのファームに対して必要とされるものとなってきた。従って、一昔前まで盛んに言われてきた「何々系」という分類はあまり意味を成さないものとなりつつあり、ほとんどのファームで独自のサービスを展開するようになっているが、敢えて分類すると下記のようになる。
- マッキンゼー&カンパニー(戦略系)
- ボストン・コンサルティング・グループ(戦略系)
- A.T.カーニー(戦略系)
- ベイン&カンパニー(戦略系)
- ブーズ・アレン・ハミルトン(戦略系)
- ローランド・ベルガー・ストラテジー・コンサルタンツ(戦略系)
- アーサー・D・リトル(戦略系)
- モニター・グループ(戦略系)
- コーポレイト・ディレクション(戦略系)
- ドリーム・インキュベータ(戦略・ベンチャー系)
- エム・セオリー(戦略・マーケティング系)
- アクセンチュア(IT系)
- IBM ビジネスコンサルティング サービス(IT系)
- ベリングポイント(IT系)
- アビームコンサルティング(IT・総合系)
- スカイライトコンサルティング(IT・総合系)
- 日立コンサルティング(エクサージュ)(IT・ベンチャー系)
- 日本総研(IT系・シンクタンク)
- 野村総合研究所(IT系・シンクタンク)
- 大和総研(IT系・シンクタンク)
- トーマツコンサルティング(IT系)
- フューチャーシステムコンサルティング(IT系)
- ザカティーコンサルティング(キャップ・ジェミニ アーンスト&ヤング)(総合系)
- みずほ情報総研(IT系・シンクタンク)
※IT系は半SIerを含めると、他多数。
- ヒューイット・アソシエイツ(専門系・人事組織)
- ワトソン・ワイアット(専門系・人事組織)
- マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティング(専門系・人事組織)
- ヘイ・グループ(専門系・人事組織)
- タワーズペリン(専門系・人事組織)
- プライスウォーターハウスクーパースHRS(専門系・人事組織)
- 電通イーマーケティングワン(専門系・マーケティング)
- 電通ネットイヤーアビーム(専門系・マーケティング)
- 電通フューズ(専門系・マーケティング) = 2003年3月倒産
- NO.1戦略研究所(専門系・マーケティング)
- オーディーエス(専門系・マーケティング)
- カラ・エスピーアイ(専門系・マーケティング)
- ツタガワ・アンド・アソシエーツ(専門系・マーケティング)
- 日経BPコンサルティング(専門系・マーケティング)
- ニュー・フォーマット研究所(専門系・マーケティング)
- 流通戦略研究所(専門系・マーケティング)
- 流通マーケティング研究所(専門系・マーケティング)
- ユナイテッドコンサルティングファーム(専門系・マーケティング・ブランド戦略)
- 博報堂ブランドコンサルティング(専門系・ブランド戦略)
- プロフェット(専門系・ブランド戦略)
- インターブランド(専門系・ブランド戦略)
- フューチャーブランド(専門系・ブランド戦略)
- 日本ブランド戦略研究所(専門系・ブランド戦略)
- ランドーアソシエイツ(専門系・ブランド戦略)
- 双日総合研究所(シンクタンク)
- 日立総合計画研究所(シンクタンク)
- UFJ総研(シンクタンク)
- 三菱総研(シンクタンク)
- 富士通総研(シンクタンク)
- りそな総合研究所(シンクタンク)
- インターリスク総研(シンクタンク)
- 日通総研(シンクタンク)
- タナベ経営(日本系)
- 日本能率協会コンサルティング(日本系)
- 船井総合研究所(日本系)
- ビジネスコンサルタント(日本系)
- ビジネスブレイン太田昭和(日本系)
- ジェムコ日本経営(日本系)
- 日本経営システム(日本系)
- 日本経営(日本系)
- 名南経営センターグループ(日本系)
- NTTデータ経営研究所(日本系)
- NTTデータビジネスコンサルティング(日本系)
- 山田ビジネスコンサルティング(日本系)
- SAPジャパン(ERPベンダ系)
- 日本オラクル(ERPベンダ系)
- インテリジェントスクエア(ERPベンダ系)
- 日本ジェイ・ディ・エドワーズ(ERPベンダ系)
- バーン・ジャパン(ERPベンダ系)
[編集] 関連項目
ブーズ・アレン・ハミルトン http://www.boozallen.jp/