ケタミン
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ケタミン
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IUPAC命名法による物質名 | |
2-(2-chlorophenyl)-2-methylamino-cyclohexan-1-one | |
識別 | |
CAS登録番号 | 6740-88-1 |
ATCコード | N01AX03 N01AX14 |
PubChem | 3821 |
DrugBank | APRD00493 |
化学的データ | |
化学式 | C13H16NClO |
分子量 | 237.725 g/mol |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 93% 筋注, 17% 経口 |
代謝 | 肝臓 |
半減期 | 2.5~3時間 |
排泄 | 腎臓(>90%), 尿 |
Therapeutic considerations | |
胎児危険度分類 |
B |
Legal status |
DEA Schedule III (アメリカ) POM (Unscheduled, イギリス, though Class C) |
投与方法 | 静注, 筋注, Insufflated, 経口, topical |
ケタミンはフェンサイクリジン系麻酔薬のひとつで、三共エール薬品から塩酸塩としてケタラール®の名で販売されている医薬品。解離性麻酔薬(大脳皮質などを抑制し、大脳辺縁系に選択的作用を示す)のひとつ。静注用・筋注用として提供されている。日本では、2005年12月13日に厚生労働省から麻薬及び向精神薬取締法に基づく規則により麻薬指定が決定した。施行は2007年1月1日である。
主に、(人間用も含め)麻酔薬として使われ、特に獣医師や大型動物を実験に用いる研究機関の間では、「常備薬」になっている。麻薬指定開始後は動物用ケタミンの製造が中止される可能性が高いことから、去勢・避妊をはじめとした動物の手術の料金に影響が出そうである。
[編集] 化学特性
(RS)-2-(2-クロロフェニル)-2-メチルアミノシクロヘキサノン 塩酸塩。化学式でC13H16ClNO・HClと表される。分子量は274.19。CAS登録番号は6740-88-1。
常温常圧においては固体で、白い粉末状の物質。融点は266度で、不燃性である。ギ酸に非常に解けやすく、水やメタノールにも解けやすい特性を示す。また、無水酢酸やジエチルエーテルには殆ど解けない。pHは3.5~5.5で、水溶液は酸性。
[編集] 作用と副作用
解離性麻酔薬の副作用として悪夢を引き起こすことが多いことが知られているが、呼吸抑制作用が弱く、患者は麻酔中でも自発呼吸を行うことが可能。ただし、大量では呼吸抑制が現れる。
カテコラミン遊離作用があるため、交感神経を刺激し、気管支拡張作用・昇圧作用を示す。そのため気管支喘息を持つ患者にも比較的安全に使用できるが、脳血管障害、虚血性心疾患、高血圧の患者には禁忌。
嘔吐中枢の化学物質引き金帯を刺激し、嘔吐を誘発する。
内臓に対する効果よりも体の浅層における麻酔効果が高く、麻酔から覚醒した後も鎮痛作用は持続している。
即効性の抗うつ作用があり投与から2時間で効果が現われることが臨床治験で示された。Arch Gen Psychiatry (2006) 63:856-64.
不正に密輸入され若者の間での乱用(本来は主に動物病院での麻酔に使われる薬であるが、解離性麻酔薬であるため、ヒトがこの粉末を鼻孔吸入、もしくは、経口摂取、静脈注射した場合、一種の臨死体験様作用(俗にKホールという)が得られるため。)が問題となり、厚生労働省はケタミンを麻薬及び向精神薬取締法に基づく「麻薬」に指定することを決めた。この指定は、医療用当の用途に対する代換品移行措置期間も考慮し、施行は2007年1月1日となっている。
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