ガルウイング

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ガルウイング (gull wing) とは英語で「カモメの翼」の意味で、転じて形状がそれに似ている航空機の翼の形状の種類の名称を指す。

また、ガルウィングドアとは、上向きに開くタイプの、自動車などのドアの形式をいう。

[編集] ガルウィング

PZL P.11.

高翼の単葉機や複葉機では、視界の確保などの観点から、翼（複葉機の場合上翼）はできるだけ高い位置にあることが望ましい。支柱を使って翼を胴体から全体的に持ち上げる「パラソル翼」という方法もあったが、支柱を用いるのは空気抵抗の面で不利だった。このため、胴体から斜め上向きに取り付けた翼を途中で曲げる設計が採用された。これがガルウィングである。

アメリカのPBM マリナー飛行艇やポーランドのPZL P.11、ソ連のI-15などがガルウィングを採用した。また、戦後開発されたジェット飛行艇Be-12でもガルウィングが採用されている。さらに、小型飛行機のソカタ TBシリーズもガルウィングドアを採用している。

以下、主なガルウィング装備機

[編集] 逆ガルウィング

F4U: 曲がり角の部分に主脚がついている。プロペラと地面のクリアランスを確保すると同時に主脚を短く・軽くできる

胴体から翼端への途中で上向きに曲がっている翼は逆ガルウィング（逆ガル翼とも）と呼ばれる。

例えばエンジン出力の増加を生かせるように直径の大きなプロペラを採用するためや、爆弾の取り付けなどの作業性のために、胴体を地面から離したいが、脚を長くしたくないなどの理由から採用された。

F4Uコルセア、Ju87などが有名である。日本の航空機では流星艦上攻撃機が、若干の逆ガル翼ということになっている。

[編集] ガルウィングドア

デロリアン DMC-12: 正面から

斜め前方から

ガルウイングドアとは、自動車などのドアの開閉方式の一つ。

通常の自動車は左右（外側）に開く形のドアを持つが、上方に跳ね上げる形で開くドアの形式。1954年のメルセデス・ベンツ・300SLが初めて採用し、それ以降主に高級スポーツカー（特にスーパーカーと呼ばれる車種）が採用している。しかし、ルーフとドアを接点に地面に対して水平に展開するのが本来のガルウイングであるので、その多くが厳密にはガルウイングではない。したがって、ガルウイングの代名詞的存在として扱われるカウンタック(いわゆる斜め開き)も正確にはガルウイングではなく、ポップアップ式ドア(持ち上げ式ドア)である。ポップアップ式ドアは、ランボルギーニのイメージから、ランボドア(lambo doors)とも呼ばれる。最近では、ガルウィングではない車のドアを後付けでガルウィングすることもできるようになった(殆どは、ポップアップ式となる)。

なお、ガルウィング式ドアの本来の導入意図は、クローズドボディの車体で、ボディ剛性を確保するためにサイドシル部を非常に太く設計すると、通常の横開きドアでは、乗降性が非常に悪化する。そのため、ルーフ部まで開口する、ガルウィング式ドアが採用された次第である。また、ルーフ部まで開口する事で、低車高の車に乗りやすくするという次第もある。ちなみに、設計にもよるが、見た目の派手な印象とは異なり、開閉に必要な横幅は、通常のドアよりも少ない場合が多い。

欠点として、開閉アシスト用のダンパーが弱くなると、ドアの開閉操作のフィーリングが悪くなる点や、ルーフを下にして車体が裏返ると、物理的にドアが開かなくなるという点がある(後者に関しては、設計時の暗黙の了解として、車内からフロントガラスを足で蹴り出したり、フロントガラスの枠が変形すると、フロントガラスがシール部分から丸ごと外れるように配慮しているようである)。

ガルウィングドアには他の名称が色々とあり、ランボドア(lambo doors),バタフライドア(Butterfly doors),シザードア(Scissor doors)等がある。