カメレオン (漫画)
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『カメレオン』は、週刊少年マガジンに1990年から1999年まで連載されていた、不良少年を題材とするギャグ漫画。加瀬あつし作。1999年、ONE PIECE、哲也-雀聖と呼ばれた男、からくりサーカスという強力なノミネート作品に勝って、第23回講談社漫画賞少年部門を受賞。OVA化もされている。
[編集] あらすじと登場人物
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
背が低く卑屈で卑怯、ケンカも弱い主人公・矢沢栄作は高校でヤンキーデビューし、ハッタリと強運のみで不良達のトップにのし上がっていく。
- 矢沢 栄作
- 中学時代はいじめられていたが、成田南高校(成南)進学にあたりヤンキーデビュー。身長が130cmしかなく、容貌はいわゆるイケメンにはほど遠い不細工面だが、回を重ねる毎にそれなりに凛々しくはなった。ケンカも非常に弱いが、土壇場で強運に恵まれることで次第にカリスマ性を高めていき、後に暴走族「OZ」(オズ)を結成し、初代総長となる。
- 危機に瀕するたび他者(味方を含む)を犠牲に自己保身を計る腹黒い打開策を実行するも、思い通りになることは稀で、むしろ全く逆の自己犠牲による他者救済という結果を生む。また、仲間やひかるを思う気持ちやハッタリの際に言う言葉は一応は本音。そのため、非常に卑怯かつ卑屈な性格にもかかわらず、読者から決定的反感を抱かれることもないという、独特の持ち味がある主人公である。ただし、ひかるや純菜ら女性へのセクハラは常軌を逸するため、女性読者に対する印象はこの限りではないと思われる。
- 相沢 直樹
- 成南の生徒で矢沢と同学年。親友である椎名と並び矢沢ファミリーのナンバー2的存在。両親を亡くしており、妹の純菜とアパートで二人暮らしをしている。女好きのイケメンでナンパの成功率はかなりのものである。その一方で椎名の彼女であるチカに手を出したとき(チカが相沢を忘れられずヤケになって相沢を誘った)は逆に言い訳はせずに椎名に自分を殴らせるといった硬派な面も持つ。当初は女子便所で矢沢に嵌められ、矢沢をターゲットにするも矢沢のおかげで椎名と和解。数々の修羅場を経て椎名以上の矢沢の理解者となる(横浜黄泉編では重症を負い拉致されるも最後まで矢沢の奇跡を信じ、その姿は自分の未来に絶望した藤丸の心さえ動かした)。ただし矢沢の奸計に陥れられるといった失敗も目立ち、強面ながら三枚目の役割も果たす(コミックでは削除されたが坂本に嵌められメーテルのコスプレをしたこともあった。ちなみにこれが原因で付き合っていたナオミにふられてしまうがコミックでは妖乱編の最後に登場した中性少年に手を出したことに替わっている)。愛車はZ400FX。後に白バイ警官となり続編の「ポリ公マン」にて再登場を果たす。
- 椎名 雄二
- 成南の生徒で矢沢と同学年。矢沢に心酔した最初の人物。相沢とコンビを組んでの登場機会が多い。スキンヘッドにしているため「ハゲ」と呼ばれることも。空手使いでケンカは相沢と並ぶ成南最強クラスの力を持つが、やられ役に回ることも多い。彼女であるチカが原因で親友である相沢との間に深い溝を作ってしまうが矢沢の体を張ったハッタリのおかげで、相沢とよりを戻すことが出来た。以来矢沢にもっとも忠実な仲間となるが矢沢のカメレオンぶりに激怒し敵に回ったこともあった(蜂谷編・乱鬼龍編)後にチカのため、旧車XJ400から新車のXJR400に乗り換える。後に消防士になり、相沢とは紅白コンビと呼ばれる。
- 坂本 昌明
- 矢沢がヤンキーデビュー当初より従えるパシリだが、自分では第一の子分と認識している。矢沢より弱い唯一の人物。相沢や椎名からは「茶坊主」と呼ばれ、やはりパシリの扱いである。矢沢と体型、顔の輪郭がそっくりで、変装で相互に入れ替わることが可能。矢沢に先んじて「オトナの仲間入り」を果たす。コンビニ店員の女性に恋をして、股間にバーコードを貼り付けてレジに向かったシーンは余りにも有名。
- 浅岡 ひかる
- 成南の生徒で矢沢と同学年。矢沢から想いを寄せられ日常的に異常な愛情表現(=セクハラ)を受け、トラブルにも巻き込まれるため辟易している。しかし同時に危機から救われることも重なって、次第に矢沢を異性として意識するように。後に矢沢栄光という矢沢の子供まで産んでいる。
- 宮園 蘭丸
- 矢沢のクラスメイト。バンドを組みライブハウスなどで演奏している。
- 後に音楽に専念するために成南を中退し、一流を目指す。
- 相沢 純菜
- 直樹の妹。初登場時には中学生だったが後に成南へ進学する。家事全般をこなし兄の暴走を抑える母親代わり的な存在。強気でヤンキーとしての実力も備えており、たびたび矢沢のセクハラターゲットにされるが、多くの場合返り討ちにしてしまう(一時期はそれが原因でOZ二代目と矢沢にからかわれていた)。BJCのファン。後に松岡と両想いとなり結婚。
- 小山 裕造
- 成南の教師。以前は暴走族で、親友であった相沢健吉と初代「影舞」を結成した。不良や落ちこぼれといった者に対する理解があり、亡き親友の忘れ形見である相沢兄妹のことは自分の子供のように気にかけている。後に見合いで後の恋人明日香と知り合う。だが見合い当日講談興業に拉致られた相沢を救うため見合いを反故にしてしまう。しかし、その姿に惚れた明日香と見合いではなく出会いから始めようと言われる。腕力的には全登場人物中でも最強クラスで砲丸の玉ですら野球ボールのように扱う。
- 椎名 雄一
- 自称「雄二のアネ・ユウ」だが女装した男性すなわち兄。見事な変身ぶりで女性にしか見えない。恋愛対象は男性。オカマと知らず交際した男達は、正体に気づいても決して彼女(?)を捨ててはならない。振ってしまえば最後、とことん追い込まれ不幸の底に落とされるからである。見た目とはうらはらに空手の実力者で、腕前は弟を上回る。
- 久古 明夫
- 通称キュウ。矢沢と同じく中学時代いじめに遭っていた。進学先の霞ヶ浦学園(カス学)では、殺人マシーンと呼ばれるほど手段を選ばぬ非情かつ徹底的な報復により周囲から恐れられ孤立するも、矢沢とは意気投合し「キョーダイ」と呼び合う仲に。後に鑑別所で知り合った美島ジュンと義兄弟の契りを交わす。
- 鶴岡 照生
- 暴力団組長の家に生まれ、文字通り生え抜きで跡目の組長に。孤独なケンカに明け暮れた高校時代、唯一優しくしてくれたレーコとのキューピッド役を矢沢が果たすこととなり、以後何かと助力する。矢沢を成南卒業後に五分の兄弟組長として迎えようとしたことも。長渕剛に似た風貌。
- 藤木 レーコ
- 暗い過去から脱却するため整形し、自分をラッキーガールと思いこみかつ売り込んで男を次々と手玉に取っては捨てていく。恨みを買った男達からのガードに利用しようと矢沢に接近するが、最初に利用した男である鶴岡の執拗な追求を受け挫折。矢沢やひかるを巻き込んで騒動となる。
- 松岡 英治
- 松戸の愚連隊「松戸苦愛」(マッドクラブ)のトップで大手ラブホテルチェーン経営者の息子。仲間内からはエーちゃんと呼ばれ、学年は矢沢らより1年上。小柄だがケンカでは超強力な蹴り技を繰り出しほぼ無敵の強者。矢沢らと対立し美島との死闘を経て成長、以後は矢沢に一目置くように。ただ矢沢ファミリーの軍門に降ることはなく独自の地位を占め続けた。読者人気投票では1位を獲得。松戸苦愛引退後、仲間達とアメ車ブローカーを設立。後にアメリカへと旅立つ。
- 美島 ジュン
- チームを率い渋谷最強を誇るも専横ぶりがメンバーの反感を買い、鑑別所出所時に刺されて重傷を負う。失血死の危機に陥るが久古の輸血により救われ、義兄弟の契りを交わす。矢沢を鉄骨からガードするなど不死身の活躍でターミネーターと呼ばれる無類のタフネスを誇る。松岡を一発KOした唯一の人物。後に自衛隊へ入隊し、飛行機内で国際テロリストを粉砕するなどの活躍をした。同時期彼女の「ミカ」とできちゃった結婚をするが、軟派気味だった以前とは打って変わって人間的にも成長していた。そして子供が産まれる前から親バカぶりも見せている。
- 仁村 忍・響
- 双子の兄弟で、見た目に区別が付かないほどよく似ている(顔に傷のある方が忍)。兄の忍はヤクザ者が乗るベンツを恋人の仇と見なし、RZを駆る「ベンツキラー」となって次々と血祭りに上げ、鶴岡系列の暴力団から的にかけられる。弟の響は当初兄のベンツ狩りを止めようと図るが、その甲斐なく兄が殺されたと思いこみ、復讐のためうり二つの外見を利しベンツキラーになり代わる。その後は矢沢に誘われて「OZ」に入る。
- 蜂屋 未来
- 松岡の異母弟。恵まれた境遇の兄に激しく反発、中鉢竜一らと松戸五人衆を結成し松戸苦愛に対抗する。成南へ進学し矢沢らの1年後輩となる。女性とも見紛う小柄で優しげな容貌ながらケンカの実力は兄譲りで、同学年中では中鉢と共に最強クラスである。
- 中鉢 竜一
- 蜂屋の無二の親友。情に篤い性格でケンカの腕は蜂屋と互角。仲間の保身の為に「松戸苦愛」の親衛隊の看板を背負わされ、松岡(と矢沢)の策略に陥れられるが後に和解。
- 上田 健二
- 通称ウエケン。矢沢らの1年後輩で蜂屋と同学年。中学時代に相沢とタイマンを張って惜敗した過去がある。狂犬、爆弾上田などと呼ばれ恐れられていたらしいが、蜂屋に敗北して以降は、やられ役、ギャグキャラとしての扱いがほとんど。
- 由来 カオル
- 二中のワルを束ね、暇つぶしの遊びで高校生の学生証狩りを行わせるなどして矢沢らと敵対。矢沢の成り上がりぶりを、実力の伴わないツキとハッタリの産物と看破するも、最後は自身の敗北を認める形に。後に松戸苦愛のトップを松岡から継承、愛車Z1000R(ローレプ)も譲り受ける。ゲーム好きで、特に格闘ゲームは達人の域。
- 新屋 力
- 通称ニーヤ。二中ではカオルと並ぶワルとして知られ、数多くの悪事を働く。しかし矢沢とタイマンで敗れ、その単純な性格ゆえカオルに乗せられて暴れるもまるでカッコ付かず。成南高進学後も京也にあっさりやられるという、やられキャラに転落。最終的にはギャグキャラ的な扱いにも。意外にもおばあちゃんっ子である。
- 不破 芹奈
- 登場時の年齢は21。仕事で大型トラックを転がす女傑。元は大阪最凶暴走族「妖乱」のレディースである。修学旅行をバックレた矢沢・相沢・椎名の三人組を妖乱の内部抗争に関わらせるため、盗まれた椎名のフェアレディZともどもトラックで大阪へと導く。相沢と深い仲に。
- 久米 治親
- 千葉の暴走族連合体・京狂連(京葉狂走連合)に所属する「極悪龍」と、OZ傘下の新興「乱鬼龍」を使い分け、京狂連とOZを争わせ漁夫の利を得ようと画策。メンバーを厳しく統制し手段を選ばない苛烈さで最強の座を狙うが、復帰した特隊・アベの働きやOZの人間関係を知ることで以前のひょうきんな自分と仲間意識を取り戻した。単車のテクに優れ、曲乗りを得意とする。
- 滝沢 勇人
- 京狂連の「爆妖鬼」総長。喧嘩の実力、リーダーシップとも相当なものだったが、その強力さゆえに巨大化した組織の頂点に立ち、「大名気取り」になってしまって所属員の反発を買う。矢沢にタイマンで敗れ総長の座を追われるも復活。しかしゲンに刺され重傷を負う。矢沢の腕力を超えた実力はなんだかんだ言いながらも認めており、将来の夢は「実家の石材店を大きくする」事らしく、結構親孝行。
- 日向 満三郎
- 京狂連の「爆妖鬼」所属で特攻隊長。色黒で眉なしの外人風、寡黙な硬派である。八極拳の使い手でケンカの実力はトップの滝沢に次いで高い。OZとの抗争では、アベとのタイマンを経て滝沢を下ろし矢沢をトップに据え大同団結を実現させる。その後はギャグ担当でたびたび登場した。プロ野球志望で当初は千葉ロッテを、次には福岡ダイエー入りを望んでいたようである。『巨人の星』オズマばりの見えないスイングを誇る。また、自らの陰毛で作ったルアーは驚異的なバスのゲット率を誇り"ルアーの神様"とも言われていた。重度の陰金タムシに犯されており、よく股間を掻き毟っている。
- 安部 照巳
- 通称アベ。久米の古くからの親友で良き理解者。中学時代は乱鬼龍を引っ張る久米を日に影に支えた。しかし、暴走する久米を見過ごせずあえて親友である久米とゲンを敵に回し矢沢についた。しかし日向とのタイマンの際激情したゲンに刺されてしまう。一見軟派に見えるがその実力は日向と互角。久米と和解した後には供に乱鬼龍を率いて黄泉と戦った。セックス・ピストルズのファン。
- 源田 実
- 通称ゲン。中学のときシンナー中毒だった自分を助けてくれた久米を慕い、狂信的に崇拝している。その崇拝振りは久米のためなら殺人もいとわないほど。アイスピックで日向やアベ、滝沢を刺す。
- 結城 直人
- 成南理事長の長男。アメリカへ留学していたため2年遅れで成南に入学。本来は矢沢らと同学年である。感情を完全にコントロールできると自認し冷酷無惨な所行を重ね「怪物」と恐れられる。あまりの恐怖に矢沢は退学して傍目も憚らず逃げ出すが、直人は資産力で成南を買収し、廃校を条件に呼び戻して対決した。この騒動で成南の校舎は半壊している。
- 結城 京也
- 直人の弟。かつて殺人(殺してしまったと勘違いしただけ)の濡れ衣を着せた兄の帰国によるプレッシャーに追い込まれ、矢沢を倒すことでその強運にあやかろうと画策するも失敗。自棄になりヤクザに囲まれるが矢沢らに助け出されて翻意し、兄を感情のない怪物から「ヒト」へと進化させるため心を砕くようになる。
- 藤丸 達也
- 急速に勢力を拡大した横浜「黄泉」ヘッド。難病により余命いくばくもないと宣告されている。地上の楽園ネバーランドを実現するとし、ために九楽や麻呂をはじめとするメンバーの心酔ぶりは強烈。宗教の教祖も同然で、神とも思わせるほどのカリスマ的存在である。鑑別所で結城直人と手を組み、その後は共に黄泉メンバーを扇動して貨物船をシージャック、矢沢らを巻き込み大騒動を起こす。
- 松平 海
- 日本を牛耳る大財閥の御曹司。将来は首相とも目される大物である。実家は迎賓館の巨大化版といったありさまで、とにかく桁外れの大富豪。妹エリカの許嫁候補さがしにハーレーで全国を放浪中、沖縄で矢沢と知り合いスカウトする。
- 美東 慶時
- 飛行機事故からただ一人生還した過去を持つ。九州の暴走族「九頭」(クズ)を率い、容姿や立場など何かにつけ矢沢とイメージが重なる人物。例えば矢沢が「エーちゃん」なら美東は「ビーちゃん」といった具合。ただし偏差値32の矢沢に対し、美東は名門校セ・ザールの首席で東大理3(医学部)を志望する秀才。東大受験とひかるを巡り、矢沢に去勢を賭けさせ対決する。
[編集] 成田南高校のモデル
一般的には作者の加瀬あつしの出身校の私立成田高等学校が有力であるが、 成田南高校の校風および雰囲気からモデルの成田市近郊では県立の成田西陵高等学校がモデルではないかと言われている。 ちなみに、連載当初は県立高校であったが、連載後期になると私立の高校になっている。
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