エーリヒ・ウォルフガング・コルンゴルト
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エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト（Erich Wolfgang Korngold, 1897年5月29日 - 1957年11月29日）はオーストリアとアメリカ合衆国で活躍した作曲家。ユダヤ系。
注記:「エリック・ウルフギャング・コーンゴールド」と英語式の呼称で表記される事もある。
彼は音楽評論家ユリウスの次男として、モラヴィア地方のブリュン（現在はチェコのブルノ）に生まれた。幼い頃から作曲の才能を示し、モーツァルトと同じ名前と相まって「モーツァルトの再来」と言われるほどの神童ぶりであった。9歳の時に作曲したカンタータはマーラーを唸らせ、11歳の時に作曲したバレエ『雪だるま』（Der Schneemann）はヴィーン宮廷歌劇場で初演された。いくつかの幼少期の作品は、マーラーが善意で手伝ったという説すらある。
1920年、オペラ『死の都』（Die tote Stadt）の初演によって、弱冠23歳にしてオペラ作曲家としての評価を確立する。1927年、満を持して作曲した歌劇『ヘリアーネの奇跡』（Das Wunder der Heliane）を初演するも、そのグランドオペラ的な内容がたたったのか失敗に終わり、彼の音楽の評価も下降の兆しを見せる。1934年、マックス・ラインハルトの招請でハリウッドに赴き、映画音楽の作曲を手がける。その後、ヴィーンとハリウッドを往復する日々を送りながら、『ヘリアーネの奇跡』以来久しぶりのオペラ『カトリーン』（Die Kathrin）を書き上げ、初演を間近に控えていた1938年、ナチス・ドイツのオーストリア併合により、ユダヤ系だったコルンゴルトはアメリカに亡命する。
コルンゴルトはアメリカで映画音楽作曲家として成功をおさめ、1936年に『風雲児アドヴァース』でアカデミー賞作曲賞を受賞、1938年には『ロビン・フッドの冒険』で2度目のアカデミー賞に輝く。コルンゴルトは映画音楽の作曲法をオペラ創作の延長上に見なしており、また、気に入った映画音楽は自作の芸術音楽に転用できる権利も保有していた。映画音楽におけるコルンゴルトの作風は、その後ハリウッド映画音楽の基礎となり、直接的にはジョン・ウィリアムズに継承されている。
戦後、映画音楽作曲の筆を絶ち、シリアス・ミュージックの作曲家に戻るべく新作を携えヴィーンを訪れるも、後期ロマン派的作風は前衛音楽全盛の音楽業界から受け容れられず、失意の内にハリウッドに戻り、同地で1957年死去。
戦後の主要作品としてヴァイオリン協奏曲（ハイフェッツの愛奏曲として知られる）、弦楽合奏のための交響的セレナード、交響曲（フランクリン・ルーズベルトの思い出に捧げられた）などが挙げられる。
[編集] 主要な作品
- 交響曲嬰ヘ長調
- ヴァイオリン協奏曲ニ長調（自作の複数の映画音楽に基づく）
- チェロ協奏曲ハ長調（自作の映画音楽の拡大改作）
- ベイビー・セレナーデ（オペラ「カトリーン」と共通の、ジャズ・ベースの楽想をもつ）
- ピアノ三重奏曲（ブルーノ・ワルターが初演時にピアノを弾いた）
- ヴァイオリン・ソナタ（フィナーレに自作歌曲が転用されている）
- 弦楽六重奏曲ニ長調（ロゼー四重奏団により初演）
- ピアノ五重奏曲
- ピアノ五重奏のための組曲
- 弦楽四重奏曲 第１番～第３番
- オペラ《ポリクラテスの指輪》《死の都》ほか
- 多数のピアノ曲、声楽曲
- 映画音楽
- 風雲児アドヴァース (1936) マーヴィン・ルロイ監督、フレデリック・マーチ、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演
- ロビン・フッドの冒険 (1938) エロール・フリン、オリヴィア・デ・ハヴィランド主演
- シー・ホーク (1940) エロール・フリン主演
- 嵐の青春 (1942) サム・ウッド監督
- 永遠の処女 (1943) シャルル・ボワイエ、ジョーン・フォンテイン主演
カテゴリ: オーストリアの作曲家 | アメリカ合衆国の作曲家 | ロマン派の作曲家 | 近現代の作曲家 | オペラ作曲家 | 映画音楽の作曲家 | 1897年生 | 1957年没
