エソ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
| エソ科 | ||||||||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 分類 | ||||||||||||||
|
||||||||||||||
| 種類 | ||||||||||||||
|
エソ（鱛・魚偏に曾）とは、狭義にはヒメ目・エソ科 (Synodontidae) に分類される魚の総称だが、広義にはワニトカゲギス目、ヒメ目、ハダカイワシ目の魚の総称としても使われる。広義のエソについては後述する。
目次 |
[編集] 概要
熱帯、亜熱帯の浅い海に広く分布する。すべての種類が海産だが、河口の汽水域に入ってくることもある。多くは水深200mまでの浅い海に生息しているが、シンカイエソの仲間は1500m以深の深海に生息する深海魚である。
目は大きく、頭の前方についている。目の後ろまで開いた大きな口には、たくさんの小さな歯がならんでおり、獲物を逃がさない。体は細長くて断面は丸く、円筒形をしている。また、背びれと尾びれの間に小さくて丸い「あぶらびれ」を持ち、これはサケやアユなどと同じ特徴である。顔つきや体つきが爬虫類を連想させるためか、和名で「ワニエソ」や「トカゲエソ」と名前がついた種類がおり、英名でも"Lizardfish"や"Snakefish"などと呼ばれている。
昼間は砂底にもぐって休み、夜になると泳ぎだして獲物を探す。食性は肉食性で、貝類、頭足類、甲殻類、魚類などいろいろな小動物を捕食する。
[編集] 食材
おもに底引き網などで漁獲される。釣りでも漁獲されるが、エソを主目的に釣る人は少なく、多くはキス釣りなどで釣り餌や釣った魚に喰らいつき「外道」として揚がるものである。
肉は白身で美味だが、硬い小骨がたくさん通っているため、そのままで食べることは少ない。ふつうは肉を掻き取るか骨ごとすり潰した上で、蒲鉾の原料として利用される。
[編集] おもな種類
マエソ Saurida sp.
- 体長40cmほど。背中側は褐色で腹側は白い。胸びれが腹びれに届くぐらい長く、尾びれの下半分が白いことでトカゲエソやワニエソと区別できる。
トカゲエソ Saurida elongata
- 体長50cmほど。マエソによく似ているが胸びれは短くて腹びれに届かないので区別できる。新潟県以南に分布し、エソの中ではもっとも北まで分布している。
ワニエソ Saurida wanieso
- 体長70cmほどになる大型種。尾びれの下半分が黒い。外見はマエソやトカゲエソに似ている。
アカエソ Synodus ulae
- 体長30cmほど。名のとおり体が赤っぽく、胴体に8-9本の褐色の横しまがある。
オキエソ Trachinocephalus myops
- 体長40cmほど。口先が短く、目が極端に前についている。体には4本の黄色の縦しまがある。
シンカイエソ Bathysaurus mollis
- 体長は75cmを超え、ワニエソより大きくなる。水深1500m-4800mの深海に生息する。なおこの魚についてはエソ科と分離し「シンカイエソ科」として分類することもある。
[編集] 広義の「エソ」
ヒメ目エソ科の魚以外にも、ワニトカゲギス目のヨコエソやホウネンエソ、ヒメ目のアオメエソなど、和名に「エソ」がつく魚は多い。また、ハダカイワシ目の魚も大きな目と口、あぶらびれなどの共通した特徴を備えており「エソの仲間」として扱う。これらは深海魚で、姿は似ていても比較的浅い海に生息するエソ科とはまた一味ちがう外見や生態をしている。
以下のような特徴があり、異形の深海魚としてよく紹介される。
- 多くの種類が発光器官を持ち、餌をおびき寄せる時や敵の目をあざむく時に発光する。
- 目が発達していて、目が前に突き出したボウエンギョや、目が上向きで縦長に突き出した種類もいる。
- ハダカイワシなどは、昼は外敵の少ない深海にいて、夜に海面近くまで浮上し餌を獲る「日周鉛直運動」をおこなう。
ただし極端な深海に生息するものは目や発光器官が退化し、日周鉛直運動もおこなわない。
