WETAデジタル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

WETAデジタル（ウェータ・デジタル、WETA Digital）はニュージーランド・ウェリントンに所在するのVFXの制作会社である。フィジカル・エフェクツの制作会社であるWeta Workshopの分社である。かつては「ウェタ」「ワタ」と訳されることも多かったが、最近は「ウェータ」に統一されつつある。

1993年、映画監督のピーター・ジャクソンやリチャード・テイラーらによって、映画『乙女の祈り』（1994年）のSFXを制作するために設立された。この映画では、たった1台のコンピュータによってVFXが制作された。それ以来会社はより大きく、より複雑に成長してきた。

ピーター・ジャクソン監督による『指輪物語』の映画化3部作『ロード・オブ・ザ・リング』（2001年）、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』（2002年）、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』（2003年）における突出したVFXは高く評価され、3作ともアカデミー視覚効果賞を受賞。アメリカの映画産業はWETAデジタルに対して高い評価を示した。3作品における驚異的なVFXのために、WETAデジタルはILMやデジタル・ドメインに肩を並べる会社であると一般的にみなされるようになった。彼らの仕事はその驚異的なクオリティー、フォトリアリスティックな効果の多さによって、世界一のVFX工房であると考えられることも多い。

『ロード・オブ・ザ・リング』がもたらしたVFX界におけるもうひとつの重要な貢献は、モーション・キャプチャーやキーフレーム・アニメーションに、最先端のCG技術であるサブサーフェイス・スキャタリングを組み合わせて、「ゴラム」（指輪の力によって姿かたちが変わってしまったホビット）という極めて人間に近いCGキャラクターを、初めて納得のいくレベルでメジャー映画の中で成立させたことである。その他にも、この映画では群集アニメーションを制作するためにMASSIVEというプログラムを開発し、製品化もされた。

また、Pixologic社のソフトウェア・ZBrushの開発にも協力している。
WETAと同じニュージーランドにあるSkymatter LimitedのMudBoxの開発にも協力している。
MudBoxは2005年度版キングコングの制作に活用された。

「WETA」とはニュージーランドに住むカマドウマ科の大型昆虫の名前である。

WETAデジタルは現在『新世紀エヴァンゲリオン』の実写映画のVFXを制作中である。