SEX PISTOLS (漫画)
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『SEX PISTOLS』(セックス・ピストルズ)は、漫画家寿たらこによるボーイズラブ漫画作品。
株式会社ビブロス出版の月刊誌「MAGAZINE BE×BOY」2003年1月号より連載開始。2006年4月5日のビブロスの倒産により、今後はリブレ出版株式会社から出版される「MAGAZINE BE×BOY」の掲載になると予想される。
ボーイズラブ漫画作品の中では異色の「繁殖」をキーワードにしており、性別にとらわれない妊娠・結婚や家制度的な概念を取り扱っている。
登場人物が非常に多く、またその関係性が非常に複雑なことが特徴ではあるが、オムニバス形式のように焦点の当たるキャラクターを都度変えている為、理解はそれほど困難ではない。
目次 |
[編集] あらすじ
円谷ノリ夫(つぶらや のりお)はごく普通の高校生活を送る16歳の少年だったが、原付事故をきっかけに周囲の人間が動物に見えるようになってしまう。また事故以降男女問わず「猛烈に愛される存在」になってしまい困惑する中、同校の斑目国政(まだらめ くにまさ)の出現により、人間には実は2種類の種族「人類(=猿人)」と「斑類」に分かれているという事実を知らされる。ノリ夫の目に見えている動物達は猿人の本来の姿(猿)と斑類の本来の姿(猿以外の動物)だったのである。
ノリ夫が急に周囲に好かれるようになった理由は、ノリ夫が先天的・潜在的に持っていた「先祖返り」という性質が、事故をきっかけに発現した為だという。ノリ夫のような「先祖返り」は猿人・斑類双方の特長を持ち合わせる為、通常の猿人・斑類に対して多大なセックスアピール(フェロモンに近い)を発する「超プレミア種」であり、斑類がこぞって手に入れようとする逸材である。国政はノリ夫に自分の子を必ず孕ませると宣言する。わけのわからないまま国政に惹かれるノリ夫、国政やその家族などを交えながらストーリーは展開する。
[編集] 各巻ストーリー
[編集] 1巻
[編集] 2巻
[編集] 3巻
[編集] 4巻
[編集] 登場人物
[編集] 主要登場人物
- 円谷ノリ夫(つぶらや のりお)
- 本作主人公。帝国義塾学院高等部1年生、15歳。ごく普通の高校生として過ごしていたが、事故をきっかけに「猫又の先祖返り」としての性質が目覚める。小柄な美少年。[第1話~]
- 熊樫照彦(くまかし てるひこ)
- 帝国義塾学院高等部3年生。日本一の由緒正しい熊樫一家の一人息子で、魂現はツキノワグマ。柔道部主将で園芸委員。猿人的な恋愛感に憧れる乙女チックな一面を持つ。変わり者の多い斑類の中において非常に真面目で常識的。[第1話~]
- 斑目国政(まだらめ くにまさ)
- 帝国義塾学院高等部3年生、17歳。巻尾(母)とデイビット(父)の子。口数が少なく凶暴な印象を与える。また巻尾に「教育」された為か貞操観念がほぼ皆無に等しく、自分の重種としての優れた血を引いた子孫を残すこと重要視している。現にノリ夫を「自分の雌」だと宣言しているものの、口説いた時には彼女がおりノリ夫を「恋人」にする気はなかった。魂現はジャガー。1巻登場。
- 斑目米国(まだらめ よねくに)
- 魂現はクロコダイル。両親が水中系の為自律神経が弱く、体温調節がままならない。重度の男嫌いで、病的な女好き。「のみ処 村の家」でバイト中。帝国義塾学院の中等部在籍中に200mバタフライで中学新記録を打ち出したことがある。1巻登場。
- 藤原しろ(ふじわら しろ)
- 米国と同クラスで学級委員長。中学時代に水泳の競技会で米国に一目惚れした為、同じ高校を受験したという過去がある。幼い頃に体の弱い両親(斑類)の元から猿人の夫婦の元へと預けられたが、その際に自分が斑類であるという記憶と自覚、能力は封印されていた。魂現は狼(日本では最後の一人)。1巻登場。
- 青桐王将(あおぎり おうしょう)
- 魂現は蛇の目の中間種のようである。しろに想いを寄せており米国をライバル視するような発言も。1巻登場。
- ヨシュア・マクベアー(Yoshua McBear)
- アメリカ人。魂現はグリズリー。アメリカでのグリズリーの最高峰「マクベアー家」の息子。照彦のブリーリングの為に1週間1000万円で貸し出されるが、実は6年前のベアーズコミュニティ(熊樫の世界的な集会のようである)から照彦を妻にすると決めていた。2巻登場。
- 青桐大将(あおぎり ひろまさ)
- 27歳。シマ・ウメの共通の友人であるが、両親同士は非常に仲が悪い。魂現はハブだが親はレトリバーとハブの組み合わせ。見た目は犬系で表面上は優しい男だが、シマを手に入れる為に卑劣と言えるほどの策略を巡らせるという蛇の目らしい一面も見せる。医師。3巻登場。
- 渡嘉敷シマ(とかしき しま)
- ウメとは双子。27歳。看護士。魂現はマングース。大将とはあくまでセフレのようなものだと考えようとしていたが、大将の策略で妊娠してしまう。3巻登場。
- 渡嘉敷ウメ(とかしき うめ)
- シマとは双子。27歳。会社員。魂現はマングース。大将のことが好きだったのだがウメと大将の関係には気づいていなかった。3巻登場。
- 渡嘉敷カレン(とかしき かれん)
- 料亭「嘉月」の女将。蛇の目。外見はノリ夫に言わせれば「極妻」。タバコを嗜む為甘いものはNG。愛美と志信の母(父はどちらも巻尾)3巻登場。
- 志信(しのぶ)
- カレン(母)と巻尾(父)の子。料亭「嘉月」の料理長。ノリ夫の斑類としての能力コントロールの為の教師となる。表情に乏しいが心優しい。3巻登場。
- 愛美(まなみ)
- カレン(母)と巻尾(父)の子。国政に対しては極度のブラコン。3巻登場。
- 英国(ひでくに)
- マクシミリアンとデイビットの子。3巻登場。
- 斑目巻尾(まだらめ まきお)
- 蛇の目。カレンと婚姻関係にあるが、カレン以外との間にも2人の子供を持つ。女性であるが言葉遣いが荒く、種の存続が何よりも重要と考えている為手荒な手段も用いる。各方面の権力と強い繋がりがあるらしい。カレンには頭が上がらない。
- 米国の母(父親はマクシミリアン)、国政の母(父親はデイビット)、志信と愛美の父(母親はカレン)。3巻登場。
- マクシミリアン・シーモア
- 英国の母で、米国の父。デイビットと婚姻関係にある。魂現は蛟。3巻登場。
- デイビット・ウッドビル
- 英国の父。マクシミリアンと婚姻関係にある。4巻登場。
- 青桐まさる(あおぎり まさる)
- シマと大将の子。しまことは双子。魂現はハブ。5巻登場。
- 青桐しまこ(あおぎり しまこ)
- シマと大将の子。まさるとは双子。魂現はマングースと思われる。5巻登場。
- 灰頭若葉(はいがしら わかば)
- 魂現は蝙蝠。父が早くに他界し、荒れた10代を送る。当時遊びで使っていた擬似子宮形成薬により、中途半端にメス化した下半身を持つ。5巻登場。
- 灰頭すずめ(はいがしら すずめ)
- セスと若葉の子。魂現は蝙蝠。5巻登場。
- セス(Seth)
- 魂現は鷹だが翼に奇形がある。5巻登場。
- 錦織長持(にしきおり ながもち)
- 若葉の好意に応えてはいるが、性的にノーマルな為肉体関係はない。セスや若葉と斑類の話をしている為斑類であると予想される。5巻登場。
- サラーム
- セスの婚約者。分家の中でも最も権力のある「西の分家」出身。男性であるがセスとの婚約に際して体を作り変え、アンドロジーナスとなった。5巻登場。
[編集] サブキャラ
- 田中麗子(たなか れいこ)
- 帝国義塾学院の校内一のマドンナで「ミス塾学」だが、魂現がマンドリル。先祖返り直後のノリ夫に迫るも失敗。1巻登場。
- 犬山さん(いぬやまさん)
- 米国と同じバイト先に勤務。魂現はマルチーズ。2巻登場。
- ホイットマン
- マクベアー家の代理人。非常に常識的。3巻登場。
- リチャード・ウッドビル
- デイビットの弟。マクシミリアンに想いを寄せるが身を引く。4巻登場。
- アンジェラ
- セスの従姉妹。5巻登場。
[編集] 用語解説
- 斑類(まだらるい)
- 進化の過程において、猿以外の動物の特徴を持ったままヒト型に進化した種族のこと。それぞれの動物のDNAが「斑覚醒」していることから斑類と呼ばれる。斑類は猿人(普通のヒト)と違い、特殊な能力を行使することができ独自の特長を持つが、繁殖力が猿人に比べて非常に低く、猿人と斑類の人口比率はおおよそ7対3であると言われる。また繁殖力の弱さをカバーする為か、個人差はあるものの猿人に比べて性に関して非常に奔放である。重婚や腹違い・種違いの子供に関してもさして珍しいことではないようである。また同様の理由で同性カップルでの妊娠・出産を可能にする技術を持っており、同性カップルの子供も珍しくはないように見受けられる。斑類の中でも貴重な種の人間は、その貴重な種の存続の為か幼い頃からの婚約者がいることも多いらしい。斑類は主に以下の6種類に分類され、またその中でも「重種 > 中間種 > 軽種」と区別がある。斑類界は典型的ピラミッド型を描く階級社会である。
- 猫又(ねこまた)…猫科の動物の特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では3%を占める。
- 重種…ジャガー(国政・英国)
- 蛇の目(じゃのめ)…蛇の特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では3%。
- 半重種…ハブ(大将)
- 熊樫(くまかし)…熊の特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では3%。熊樫には軽種が存在しない。
- 重種…グリズリー(ヨシュア)・ヒグマ(照彦の父)
- 中間種…ツキノワグマ(照彦・照彦の母)
- 犬神人(いぬじにん)…犬科の動物の特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では17%と最多。
- 重種…狼(しろ)
- 中間種…秋田犬(犬飼太郎)
- 軽種…マルチーズ(犬山さん)
- 蛟(みずち)…ワニの特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では3%。
- 重種…クロコダイル(米国)
- 人魚(マーメイド)…クジラの特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では1%以下。先祖返りよりも貴重度が高い。軽種・中間種は存在しない。
- 現在該当キャラなし
- 猫又(ねこまた)…猫科の動物の特性を持つ斑類。猿人を含む人口比率では3%を占める。
- また、コミックス5巻で登場するセス・若葉のように以上の分類に収まらない種も存在する。
- 猿人(えんじん)
- 斑類ではない、いわゆる「ヒト」のこと。猿人は魂現そのもの、また魂現に関する話題などを認識することができない為、斑類の存在すら知らない。
- 斑類に比べて非常に繁殖力が高いが、その為か猿人と斑類の子供は90%の割合で猿人になってしまう。
- 重種(じゅうしゅ)
- 斑類の中でも数が少なく貴重な種。力や特殊能力は優れているが、繁殖能力が極めて低い(例:ジャガー、狼、グリズリー)。
- 中間種(しゅうかんしゅ)
- 重種と軽種の中間の位置にある種(例:秋田犬)。
- 軽種(けいしゅ)
- 力や特殊能力、レア度では最下位であるが、斑類の中では繁殖能力が高い。
- 先祖返り(せんぞがえり)
- 猿人として生まれた者の中で先祖に斑類がおり、何らかのきっかけで斑類としての能力が目覚めた者を指す。ただしその存在はごく稀(一生に一度会えるかどうかの希少種との表現がある)であり、超プレミア種と呼ばれている。
- 先祖返りは斑類の能力と猿人の繁殖力を併せ持つ為、繁殖力の低い斑類には非常に魅力的である。また先祖返りはその繁殖力ゆえに強烈なセックスアピールを発する為、自らコントロールできない場合はノリ夫のように貞操の危機を招いてしまう。
- 魂現(こんげん)
- 精神と肉体が入れ替わり、本来の動物の姿が具現化して外に出てきてしまっている状態のこと。魂現を晒すことは裸になるのと同等の恥ずかしい行為であるが、怒りや興奮などで本能が理性を上回った場合に魂現が現れてしまうことがある。
- 魂元(こんげん)
- 変わり身(かわりみ)
- 『よいこのまだらるい』
- 国政がノリ夫との2回目の接触の際に渡した学習絵本。対象年齢6歳以上。照彦は「幼稚園で読んだ」と言っていた。
- ブラインド
- 半重種(はんじゅうしゅ)
- ブリーリング
- 種付け。金銭を伴ってビジネスとして行われる。女性を「借りる」場合は妊娠から出産まで期間が長い為、費用は5000万円はくだらない。男性を借りる場合は1000万円程度。
- 懐蟲(かいちゅう)
- ゲイミックス
- 同性同士の両親の元に生まれた斑類のこと。
- フリーズ
- 遺伝子スリープ化理論
- 斑類繁殖振興会
- 斑類協会